『プリエル』土岐隼一さんインタビュー。SNSの時代にあえて手紙を交わすコンテンツだからこその魅力を語る

電撃オンライン
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 音楽と手紙で紡がれる、文通アイドルプロジェクト『Prince Letter(s)! フロムアイドル(通称:プリエル)』。

 本作は、公式YouTubeチャンネルにてアイドルたちのストーリーを描いたボイスドラマや、彼らの心境を歌ったポエトリーリーディング楽曲が楽しめるほか、アイドルたちと実際に手紙のやりとりができる唯一無二のコンテンツです。

 1月30日に行われた初の有観客イベント「『Prince Letter(s)! フロムyuzu』ストーリーライブ ~私立常和歌学園 舞台『CLOCK』~」は大成功を収め、同時に次回イベントの開催も発表されるなど、話題の尽きない本作。

 今回は、アイドルユニット、STAr(s)!の冥王院シンを演じる土岐隼一さんに、『プリエル』の魅力やイベントを終えた感想、今後挑戦したいことなどをうかがいました。

封筒やインク、香りにまでこだわって手紙を綴る『プリエル』のアイドルたち

ーーアイドルとお手紙でやりとりできる『プリエル』のコンセプトを初めて聞いたとき、どんな印象を受けましたか?

 最初にキャラクターと文通ができるコンテンツだと聞いて、新しい試みだと思ったのと同時に、不安はまったくなかったのですが、どういう風に育っていくのか、未知数だなと感じた記憶があります。

 だからこそ先日のイベント『CLOCK』で初めて、彼らと文通をなさっているであろう方たちを実際に見て、なんだか感動してしまいました。シン君たちはこの方たちとどんな素敵なお話しをしているんだろう、と想像が膨らんだんです。

 普通なら、アイドルと一対一でお話しができる機会なんてほとんどないですし、コロナ禍でイベント会場で会うことすら難しい状況の中、手紙でやりとりできるなんてすごいコンテンツですよね。

ーーSNSが主流の時代に、手紙でコミュニケーションをとることにも意味がありそうですね。

 何か聞かれたときにその場ですぐに返す返答と、文面でいただいてそれをまた文面で返すときの返答って、まったく違いますよね。手紙では、相手に対してどういう表現を使うか、どういう言葉を選ぶか、時間をかけて考えますから。

 相手にしか届かないし、相手にしか見えないので、SNSのようなオープンな場とはまた違った表現も生まれると思います。

 この間、僕自身としては初のフルライブを開催したのですが、そのときはオンラインでの配信をしなかったんです。その分、会場に来てくれた方と僕だけが共有する空間だからこそ伝えたいことがたくさんあったんですよね。

 手紙も一緒で、2人だけの場だからこそ言えることがあるんじゃないかな。

ーー土岐さんご自身のお手紙にまつわるエピソードはありますか?

 お手紙ではないんですけど、最近“書く”ことの楽しさに気がつきました。『CLOCK』イベントで、ホリエルが玲央くんと僕に万年筆をプレゼントしてくれたんですよ。そのときにスタッフさんが、シン君が使っているものに近い色のインクを用意してくださったので、それでサインや一言メッセージを書いてみたら、今までにないような感覚だったんです。

 こだわったペンと、こだわったインクで言葉を綴るのってすごくいいなと思いました。自分で書いてみて改めて、普段応援してくださっている皆さんが、どんな気持ちでお手紙を書いているかとてもよくわかりました。

 シン君たちも自分の好きなインクや封筒を使っていますし、彼らの部屋の香りが手紙に移っています。イベント後に、改めてシン君からもらった手紙を手に取って見返してみたら、香りがまだちゃんと残っていたんです。

 行間や言葉の使い方にもこだわりを感じますし、彼らは人に思いを伝えることの重要性を理解しているんでしょうね。これだけSNSが発達している中で、シン君たちから手紙という形で思いを受け取っている皆さんは、より一層、応援したい気持ちが増すんじゃないかな。

ーーシンは土岐さんから見てどんなキャラクターですか?

 シン君は僕ら大人から見ると、若々しくてエネルギッシュで、まだまだ成長段階で、ときに危うさも感じられますが、同世代の子たちからすると、すごく成熟しているように見えると思うんですよ。

●動画:『冥王院シンの話(CV.土岐隼一)』ポエトリーリーディング楽曲 Special MV(フルサイズver)

 考え方も話し方も、かなり大人びていますよね。でも実は彼が、相当意識してそう振る舞っていることが、ボイスドラマ『フロム冥王院シン』で明らかになります。今までとはまったく違ったシン君の一面を垣間見ることができますよ。

ーーボイスドラマを見る前と後では、シンに対する印象が大きく変わりそうですね。

 今のシン君を好きであればあるほど驚くでしょうし、さらに彼を応援したくなると思います。現段階ではこれ以上お話しできないのがもどかしいですが、新たな色が彼の人間性に加わりますので、楽しみにしていてください。

盛り上がりすぎて時間オーバー? 初の有観客イベント『CLOCK』を終えて

ーー『CLOCK』公演では、オープニングでポエトリーリーディング楽曲『Little Prince』を初披露されましたね。振り返ってみていかがですか?

 イベントの1番最初にポエトリーリーディングが控えていたので、そこが緊張感のピークでした。歌い終わって舞台袖に戻った瞬間、3人で「終わったー!」とホッとしましたね。

 もう長い間この3人で演じさせていただいていますし、今自分たちが持っている力が発揮できれば、本番もいいものになるだろうとは思っていたのですが、逆に言えば誰かが失敗すると全部崩れてしまうので、1人1人がしっかりと自分のパートを歌い上げようという覚悟で挑みました。みんないい意味でとても緊張していましたね。

●動画:『Little Prince』ポエトリーリーディング楽曲 Special MV(フルサイズver)

ーー難易度の高い楽曲だと思いますが、練習や収録の際は、苦労されたのではないでしょうか?

 それがすごくテンポよく進んだんですよ。最初の収録のときからほぼあの形が出来上がっていて、びっくりするくらいスムーズでした。『プリエル』が始まってまず最初にソロのポエトリーリーディング楽曲を歌って、そのあとにボイスドラマのフロム亜月アキト、フロムyuzuがあってと、定期的にみんなで話しをする機会があったからかな。

 お互いの曲も聞き合っていたから、2人はこのパートをこう表現するだろうな、とイメージができたんですよね。『Little Prince』の歌詞をいただいた段階で、このパートは誰が歌うかもなんとなくわかりました。あとこの楽曲ははじめから、イベントで披露する形になると聞いていたので、3人ともそのつもりで仕上げていたこともあるかもしれません。

 ただもちろん大変な部分はあって、たまに1人で歌ってみることがありますが、6割ぐらいで息が足りなくなっちゃいますね。言葉をすべて詰め込めたとしても、それは喋れているだけで、言葉を紡いでいることにはならないと思うんです。

 ポエトリーリーディングって、ただ歌うのとも喋るのとも少し違うんですよね。歌が強すぎると言葉が弱くなっちゃうし、反対に“セリフ感”が強すぎると、それはただ音楽に合わせて喋っているだけだし。そのバランスは、3人の中でもそれぞれ違うかもしれません。

ーー昨年の夏に土田さんにインタビューした際、「土岐さんが現場をまとめてくださっている」とお話しされていたのですが、土岐さんから見て、収録現場はどんな雰囲気ですか?

 たしかに昨年の夏頃は、僕がまとめ役というか、話を切り出すことは多かったですが、今は玲央君もホリエルもめちゃくちゃたくさん話しますよ。

 2人は人見知りなところがありつつも、仲良くなるとよく話すようになるタイプです。yuzu君のストーリーの収録を終える頃には、人見知りなことを忘れてしまうくらいの仲になりましたね。

ーー『CLOCK』のイベント本番も、とても息が合っていたように感じました。

 そうですよね。2021年の4月に行われた生放送を今改めて見返したら、ぎこちなくて笑っちゃうと思います。今回の『CLOCK』イベントのリハーサル中には、ホリエルが「今のちょっと早かったですか? 大丈夫でしたか?」と声をかけてくれましたし、本番では、開始早々に玲央くんがボケて会場を和ませてくれました。

 誰かに話を振るとみんな丁寧に返してくれて、僕にも聞き返してくれるし、室さんもたくさんお話してくださって、すごい楽しかったですね。

ーー観客の皆さんも楽しそうでしたね。

 皆さんにも楽しんでいただけてよかったです。イベントの後半にお便りコーナーがあったじゃないですか? 本当はあの2倍、お便りを読む予定だったんですよ。その前のゲームコーナーが盛り上がりすぎて、時間が足りなくなっちゃいました。それくらい、このメンバーでいることが楽しいと思える関係性になっています。

STAr(s)!としてのライブにフル尺の朗読劇……『プリエル』の可能性は無限大

ーー今後『プリエル』でやってみたいことや、挑戦してみたいことはありますか?

 これまで朗読劇、歌、劇中劇、そして『プリエル』の1番の見どころであるポエトリーリーディングと、いろんなことをやらせていただきました。いつかそれぞれの要素にフォーカスしたイベントをやってみたいですね。

 たとえば今後、STAr(s)!の楽曲が増えてきたら、楽曲だけを披露するライブができたらおもしろそうです。ポエトリーリーディングだけのイベントもいいですね。

ーーシン、アキト、yuzuがSTAr(s)!として行うライブをそのまま再現するわけですね。

 我々の肺活量の問題などは一旦置いておいて、理想を語っているんですけれども(笑)。もし実現するなら、人が喋れるだけの枠を空けてほしいですね。吹奏楽には、吸いながら吐く循環呼吸という呼吸法がありますが、喋るときには使えないので、できるだけ隙間を作っていただければ可能だと思います。

 あとは、今回の『CLOCK』では演目の要所要所を抜粋してお届けしましたが、フル尺で朗読劇として披露するのもいいですね。アンサンブルのメンバーも登場していますし、室さんをはじめいろんな方たちをお呼びして、朗読劇をやってみたいです。

 『プリエル』には、歌、朗読、ポエトリーリーディング、ストーリーパートといろんな要素が詰まっているので、それぞれでできることがたくさんあると思います。

 シン君のストーリーがすべて公開されて、第1章が終わるタイミングで、改めて3人で生放送とかもやりたいなあ。1章を終えてみてどうだったか、感想を言い合う場があったら楽しそうです。そのときは僕が進行役を担当しますよ!

ーー可能性は無限にありますね。実現するのを楽しみにしています!

(C)フロムアイドル

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