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アドベンチャーゲームに変革をもたらした名作『弟切草』! 花言葉や“ピンクのしおり”も話題に【周年連載】

ライターM
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 あの名作の発売日から5年、10年、20年……。そんな名作への感謝の気持ちを込めた電撃オンライン独自のお祝い企画として、“周年連載”を展開中です。

 今回お祝いするのは、チュンソフト(現スパイク・チュンソフト)より1992年3月7日に発売されたスーパーファミコン用ソフト『弟切草』です。


 サウンドノベルシリーズ1作目のタイトルで、さまざまな要素が話題となりました。1999年3月にはシナリオの加筆やムービー&サウンド演出の強化などが施されたPlayStation用ソフト『サウンドノベル・エボリューション1 弟切草 蘇生篇』が発売され、その後はiアプリなどでもリリースされました。

 記事の画像は『弟切草 蘇生篇』を使っています。SFC版『弟切草』と『弟切草 蘇生篇』を比べると、よりリアルなグラフィックになっているため、臨場感がより倍増しています。また、狙い澄ましたようなタイミングでデュアルショックが震えるなど、驚かせるような演出が続きます。



 『弟切草』のストーリーはホラー寄りのサスペンス仕立てで、プレイするごとに展開や結末が変化&増殖するというやり込み仕様。ただ、SFCを多く楽しんでいたであろう小中学生向けにしては大人びた世界観だったため、当時プレイされた人の中には恐怖シーンのみがボンヤリと刻まれているかも知れません。

 山道を走る黒を運転する主人公と、車に乗るヒロイン。2人は辺りに咲く“弟切草”にまつわる伝承について話していました。

 運転している中、とある洋館に迷い込んだ2人はそこで不思議な出来事に遭遇していきます。

 車椅子のミイラや歩く鎧に襲われるという、オバケ屋敷的な仕掛けが散りばめられていたのも印象的です。

ゲーム史に与えた影響は?

 開発元のチュンソフトといえば、かの名作『ドラゴンクエスト』シリーズのプログラミングを手がけていた会社としても知られています。そんなチュンソフトの自社ブランド第1弾となるのが本作『弟切草』で、ゲームの構成や表現手法から“サウンドノベル”と命名されました。

 区分をアドベンチャーゲームとするなら、本作以前の作品はほとんどが一本道でした。いかに正解の選択肢を見つけてゴールにたどり着くかという、かつて流行したゲームブックに近い内容でした。

 『弟切草』が既存のアドベンチャーゲームと大きく異なったのは、繰り返しプレイすることで内容が変化し、文章そのものを楽しませるという点。意図して同じ選択肢を辿ったはずが、途中から新たな展開に迷い込むといった不思議な魅力に溢れていました。

 以降、サウンドノベルシリーズだけでなくさまざまなアドベンチャーゲームやビジュアルノベルにおいて異なる展開と結末の多さが売りになるなど、物語と文章を楽しませるゲームの在り方に大きな影響を与えました。

 『弟切草 蘇生篇』では選んだことのある選択肢にはチェックマークが記されるように。周回プレイを前提としているため、ありがたい仕様変更です。

 通常のストーリーでもお笑い要素は多く、当時活躍した芸能人を連想させる名前などを見かけると懐かしさがこみ上げてきます。

 ただ一点だけ苦言を呈するなら、お遊び選択肢の振り幅が激しいというか内容がエキセントリック過ぎて、展開が支離滅裂気味に陥っている部分も少なからずあるところでしょうか。今となってはそれはそれで味わい深いものでもあるのですが。

みんな大好き“ピンクのしおり”

 繰り返しプレイで一定数のエンディングに到達すると出現する“ピンクのしおり”は何かと話題を呼びました。

 未プレイの人のため簡単に説明しておくと、ストーリーに沿いつつもアダルト色の強い選択肢が追加されるというもので、ピュアな男子が前屈みになってしまうほどではありません。

 この隠し要素は好評を博して、サウンドノベルシリーズ第2弾の『かまいたちの夜』をはじめ、同社のタイトルに受け継がれました。

 また、『弟切草 蘇生篇』では“ピンクのしおり”出現後に追加されるエンディングを見るなど、一定条件を満たすとさらなる隠し要素“金のしおり”が出現。これらのストーリーすべてを見ることで真のエンディングとなるのですが、攻略メモをなくしてしまったためか、今回の記事のプレイでは、筆者はついぞ達成することなく挫折してしまいました。

 今であればPS Storeにて『サウンドノベル・エボリューション1 弟切草 蘇生篇』を購入するのがプレイしやすいかと。オリジナル版に加えて、ヒロインである奈美の視点を描いた“奈美編”にザッピングするようになっています。

 アドベンチャーゲームの新たな扉を開いた名作を体験してみてください。

スクリーンショット



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