『悪魔城ドラキュラX 月下の夜想曲』発売から25年。メトロイドヴァニアの礎を築いた名作を紹介【周年連載】

sexy隊長
公開日時

 あの名作の発売日から5年、10年、20年……。そんな名作への感謝の気持ちを込めた電撃オンライン独自のお祝い企画として、“周年連載”を展開中です。

 今回お祝いするのは、コナミ(現KONAMI)より1997年3月20日に発売されたPlayStation用ソフト『悪魔城ドラキュラX 月下の夜想曲』です。

 『悪魔城ドラキュラ』シリーズと言えば、リアルなホラーを意識した世界観や今なお名曲と呼ばれるBGM、そしてやられて覚えるゲームタイトルの走りとしても名高いタイトルとして認知されています。


 鞭を使って敵を倒していくイメージが強い方が多いと思いますが、本作はそのイメージとは少し異なります。発売から十数年が経ったころに、新たなジャンル“メトロイドヴァニア”が生まれ、その基礎となったという歴史的な作品になります。

 発売から25周年を迎え、今なお根強い人気と高評価を得ている本作の魅力、特徴を語っていきたいと思います。

 なお、画像はPS4版『悪魔城ドラキュラX・セレクション 月下の夜想曲&血の輪廻』のもの。

主人公の武器が鞭じゃない!?

 『月下の夜想曲』は、『悪魔城ドラキュラX 血の輪廻(ロンド)』の続編にあたる作品ですが、『血の輪廻』は従来の鞭で戦うステージ型の横スクロールアクション。それに対して本作は探索型アクションRPGになっており、ジャンルやシステムがガラッと変更されているのが特徴です。

 本作をプレイするとまず、前作の主人公リヒターを操作してドラキュラ伯爵を倒すところからスタート。その戦いが終わると主人公がアルカードに変わり本編が動き出します。

 ゲームとしては、横スクロールアクションになっていますが、ステージクリア型ではなく悪魔城内のエリアを自由に行き来しながら、ドラキュラ伯爵を探し出す探索型になっています。

 ちなみに探索型のタイトルは、ファミリーコンピュータディスクシステム用で発売された『ドラキュラII 呪いの封印』以来となるシリーズ2作目です。

 敵を倒し経験値を稼ぎレベルを上げたり、入手した装備品で能力アップができたりとRPG要素がかなり濃くなっています。発売当時から探索型アクションRPGとしてかなり高いクオリティを誇っています。こちらでファンを増やしたという印象です。

 そして一番の衝撃は、主人公の武器が鞭ではないということ!

 上記でも述べましたが、『悪魔城ドラキュラ』=“武器が鞭”というイメージが強い方が多いと思いますが、本作の主人公アルカードの武器は初期装備が剣! 他にも斧や鈍器などさまざまな武器を装備できます。そのため、ダメージは低いがモーションが早いタイプ、ダメージが高いけどモーションが遅く隙が大きいタイプなど、個性があるのも本作の特徴です。

 あまりに違うゲームシステムに筆者は当時、何も調べずに「『悪魔城ドラキュラ』シリーズの新作だ!」と購入してプレイしたのですが、「知っている『悪魔城ドラキュラ』と違う!」と驚いた記憶があります。

“メトロイドヴァニア”の基礎となる作品

 探索型アクションRPGというジャンルですが、任天堂の『メトロイド』シリーズと本シリーズ『悪魔城ドラキュラ』の海外タイトル『キャッスルヴァニア』を組み合わせた造語“メトロイドヴァニア”という名称で呼ばれ、昨今でも高い人気のジャンルとして確立しています。

 『月下の夜想曲』が発売された時にはまだそのような名称はついておらず、2000年代に入ってから呼ばれるように。シリーズの1作であることや探索型であることが話題となったことを含めて、本作は“メトロイドヴァニア”の礎を築いた作品と言っても過言ではありません。

 筆者は、『悪魔城ドラキュラ』シリーズはもちろん『洞窟物語』をはじめとしたメトロイドヴァニアばかりプレイしていることに気づき、25年間『月下の夜想曲』の魅力に取り憑かれていることを改めて知りました。

初心者にも優しい『悪魔城ドラキュラ』作品

 評価が高った原因としては、これは死んで覚えるゲームではなく、探索型になったという部分が大きいです。

 従来の『悪魔城ドラキュラ』シリーズは覚えることが多く、アクションが苦手な方は大変だと感じる人もいたと思います。

 一方、本作はRPG要素があるので装備品を変えたり、レベルアップで自身を強化したりすることで進むことが可能になり、アクションが苦手な人でも『悪魔城ドラキュラ』の特徴や世界観を堪能できるわけです。まだシリーズにふれたことがないというのであれば、本作をオススメします!

 ちなみに『悪魔城ドラキュラ』シリーズが死んで覚えるゲームと呼ばれる所以は、敵が強いというよりもステージギミック、特に落下死判定がある穴にあります。本シリーズは体力ゲージがあるので、敵の攻撃で一撃死することは基本ありませんが、穴に落下すると即死となるわけです。

 そのため、足場が不安定な場所でのアクションは手に汗に握る緊張を毎回味わえます。そして何より厄介なのが敵の攻撃を食らった際のノックバック! このノックバックで穴に落下して死んでしまうということが多々ありました。

 本作は探索型マップになっているので、穴に落下しても下の階層へと移動するだけで死にません!

 強い装備やレベルアップによるキャラクター強化、落下死しないマップ……こう聞くと「ちょっと歯ごたえがないのでは?」や「もの足りないのでは?」と思うかもしれませんが、そこは縛りプレイをすることで解決できます!

やりこみ要素が多すぎる!

 本作における難易度は、装備品を変えるだけでガラッと変わります。

 装備品も武器と防具といったシンプルなものではなく、“右手”、“左手”、“兜”、“鎧”、“マント”、“アクセサリ”とさまざまな部位があります。その組み合わせを試行できるのがおもしろくも悩ましいところ。ちなみに装備品は武器だけで100種類以上あります……。

 最強の組み合わせはないので、友人と自分が考えた最強の装備を見せ合うのもおもしろく、筆者は友人と自分が使っている武器の見せ合ったところ、筆者は“短剣”で、友人は“棍棒”と、全然違う武器を好んで使っていることがわかりました。

 そんな種類がある装備品ですが、集めるだけでもコレクター魂を刺激されます! そして恐ろしいのが、そんな種類の装備品がマップのあちこちにあること……マップがものすごく広大なのです。あまりにも広大すぎて、ゲーム内のマップだけでは把握できず、ノートにマップと何があったかをアナログで記載していきました。

 気を付けていても、結局広大すぎてマップがグチャグチャになってしまい、途中で断念し、気合いと根性で把握しましたね。

 下記画像は序盤のマップ図になります。

 コレクター魂に通ずる話になりますが、敵キャラが100種類以上、登場してきます(笑)。これもすごい!

 1回クリアしたぐらいでは探索しきれない場所があったり、回収できていない装備品があったりと2周目も楽しめる要素は多数あります。

 筆者は途中で断念しましたが、“装備品をすべて外して素手でクリアできるのか?”という遊びも可能で、とにかくバリエーション豊かな遊び方ができるのは魅力の1つです。

未だに色褪せないドット絵グラフィックとBGM

 最後に紹介したいのはグラフィックとBGMです。『悪魔城ドラキュラ』シリーズのBGMはどれも評判ですが、筆者は本作のBGMが一番好きです。というのも特定のボス戦の曲がいいという話ではなく、プレイ中のBGMがず~~~~っといいのです。

 広大なマップを探索する作品で、BGMがイマイチだったり単調だったりすると間違いなくプレイが盛り下がるわけですが、本作はBGMを聴いているだけでテンションが上がるので、探索時のテンションが上がります!

 さらにステージ型だとBGMは一期一会になってしまい、過去ステージのBGMは聞けなくなるのですが、探索型だと何度でも聞けるのが魅力ですね。


 そして、広大なマップを探索するうえで外せないのがグラフィック。ドット絵で綿密に描き込まれた背景やキャラクターデザインが本当に美しい! 特に綿密に描き込まれた背景は今見ても美しく、ドット絵のよさを再確認できました。

 ちなみに100種類以上いる敵キャラのグラフィックも個性豊かに描かれています。“怪物図鑑”という敵キャラの情報を閲覧できる図鑑があるため、敵キャラ集めが捗ります(笑)。


 今回記事を書くために改めてプレイしたのですが、今プレイしても古臭さを感じませんでした。システムはもちろん、グラフィックやBGMという面で、プレイすればするほど新しい発見がある作品だったので、記事そっちのけで一気に終盤まで進めてしまいました(笑)。

 『悪魔城ドラキュラX 月下の夜想曲』は、ゲームアーカイブスとしてPlayStation Storeで配信されている他、『悪魔城ドラキュラX 血の輪廻』とカップリングされた『悪魔城ドラキュラX・セレクション 月下の夜想曲&血の輪廻』としてPS4にて配信されています。

 さらにiOS、Androidにてスマートフォン向けアプリとしても配信されているので、興味のある人はチェックしてみてください。

©Konami Digital Entertainment

本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります

関連する記事一覧はこちら