レジェンドヒーローが多く出演する映画『ムーンライト・ダイナー』の見どころとは?
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- 電撃オンライン 終末のバンギア。
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特撮レジェンドヒーローを演じた役者がキャストとして多く出演する映画『ムーンライト・ダイナー』。
本作は、以前インタビューさせていただいた、ヒーローの敵役などを多く演じられたことのある神威杏次さん(以下、神威監督)が、脚本・監督を務める最新作です。
去る3月16日(水)本作の舞台挨拶付き上映会にお邪魔することができたので、本作の魅力や、舞台挨拶のレポートを前編・後編の2回に渡ってお届けします。
レポートは、電撃オンラインでエンタメ系のレポーターを務める音楽創作ユニット“終末のバンギア。”がお届けします。
併せて、前作『スモーキー・アンド・ビター』のときにお伺いした神威監督へのインタビュー記事も読んでいただけると、神威作品をより深く楽しむことができると思います。
前編となる今回は、『ムーンライト・ダイナー』の見どころと紹介を、観覧後のレビューを交えてお届けします。
特撮ヒーロー作品に出演した役者さんが多数出演!
映画『ムーンライト・ダイナー』の大きな見どころのひとつは、特撮レジェンドヒーローを演じた役者が数多く出演し、特撮ヒーローとはかけ離れたキャラクターを演じているというところ。
神威監督の作品テイストは独特で、大きな括りで“ハードボイルド”と自身で呼ばれていますが、その意味も深く。
ハードでバイオレンスな部分や、ファンキーでキャッチーな部分、ダークでシュールな部分などを合わせ持った、ハイブリッドな新機軸テイストの作品だと感じます。
本作の舞台も、日本のようで日本でなく、かといって欧米諸国でもなく、一体どこなのか分からない……登場するキャラクターたちも、(言語は日本語だし、演じているのは日本人だけど)果たしてどこの国の人なのかもよく分からない。
そんな独特な世界観のなかで、妖艶だったり、だらしなかったり、特撮ヒーロー作品では観ることのできなかった、別の側面の彼ら(彼女ら)の“演じる姿”を楽しむことができる作品となっています。
神威監督は、演じる人を考えながら本(脚本)を書くタイプの脚本家で、監督がイメージするキャラクター像で、キャスト陣の新たな魅力を引き出しているのが本作です。
『ムーンライト・ダイナー』で、特撮ヒーロー作品に出演した経験のあるキャストは、神威監督をはじめ、『世界忍者戦ジライヤ』磁雷矢/山地 闘破役などを演じられた筒井巧さん、『科学戦隊ダイナマン』ダイナピンク/立花レイ役などを演じられた萩原佐代子さん、『超電子バイオマン』のピンクファイブ/桂木ひかる役などを演じられた牧野美千子さん、『地球戦隊ファイブマン』の銀河剣士ビリオン役などを演じられた工藤俊作さん、『人造人間キカイダー』ジロー役などを演じられた伴大介さん(順不同)です。
筒井巧さんと萩原佐代子さんは、夫婦役で出演されており、なんだかおかしな二人の“ダメっぷり”の演技が秀逸です。物語に見事に巻き込まれていく、“巻き込まれっぷり”がその演技力で際立ち、ハラハラさせられます。
工藤俊作さんと牧野美千子さんも夫婦役で出演されています。こちらは、なんだか得体のしれない“怪しげ”と“妖しげ”が合わさったお二人の妖艶な演技に息を飲みます。それが、筒井さんと萩原さん夫婦とのコントラストになっていて、物語にグイグイ引きこまれます。
伴さんは、とある初老の男性で物語のキーマンの一人を演じてらっしゃいます。物語の過去と現在を繋ぐような重要なシーンで、ホッとするような演技をされてらっしゃいました。
レジェンドヒーローを演じたキャストだけでない“神威組”キャストの魅力
本作の魅力は、特撮ヒーロー作品に出演されたことのある役者さんだけでなく、“神威組”と呼ばれる、神威作品には欠かせないキャスト陣の演技も素晴らしいこと。
まずは男性陣。神威作品は強面の男性俳優が多く、ソリッドで武骨な男性を好演しています。とりわけ、坂本三成さんの怪演(いい意味で)が素晴らしく、坂本さんの演技がなくては、本作が成り立たないのではないか? とさえ思えてくるほどのインパクトです。
坂本さんは前作『スモーキー・アンド・ビター』で、ロンドン国際映画祭の外国語映画、最優秀助演男優賞を受賞されており、それも頷けるほど破壊力のある演技です。
公演後に劇場外でお見掛けする、人懐っこそうな笑顔とお客様をお送りする紳士的な姿のギャップが、いわゆる最近で言うところの“ギャップ萌え”として、私たちのハートもキャッチされまくります。
そして女性陣。 監督は“カムイ・ガール”と勝手?w に呼ばれているようですが、それは映画『007』シリーズの“ボンド・ガール”から来ているようです……が!、そう呼ぶのも頷けるほど魅力的です。
女性の撮り方は監督のテイストが全開されていると思います。艶めかしく最大限、女性の魅力を引き出せるように撮られていると感じます。
前作『スモーキー・アンド・ビター』から続投されている、メインキャストのひとり、中川ミコさんは影を背負いながらも、それを感じさせない元気な女の子を演じており、終盤にはホッコリとする名演を魅せてくれます。
次回、後編では舞台挨拶の様子などをリポートいたします。
『ムーンライト・ダイナー』概要
それでは、本作を簡単に紹介いたします。
イントロダクション
誰もがいつか、自分が月であることに気づくんだ。光を放つことができるのは、もう手の届かない遠い場所から太陽が照らしてくれているから。そして放たれる月の光は、また長い歳月を経て、どこか遠く、誰かの心に降り注ぐ。
作品紹介
前作『スモーキー・アンド・ビター』で、2021年、スペイン・バルセロナ国際映画祭にて“最優秀プロデューサー賞”、フランス・ニース国際映画祭にて“最優秀監督賞”を受賞した神威杏次監督の劇場長編映画最新作。
本作は“無国籍・ハートウォーミング・ハードボイルド”と銘打たれ、ハードボイルドでありながら“家族の絆”そして“親子愛”をテーマにしたエンターテイメント作品です。
あらすじ
山道に佇むダイナー。ひとりで店を営むレイの元に、家出娘・亜衣が現れる。なぜか「雇ってほしい」という亜衣を、仕方なく受け入れるレイ。
そんな折、ダイナーで騒動が起こる。人質欲しさに店に押し入った強盗が見たものは、フロアに転がる男の死体、血に染まった札束、銃を手にした屈強な男、その傍らになぜかアザだらけの女。
茫然とする強盗だったが、さらにそこに、強盗に車を盗まれた殺人未遂犯の夫婦が、ついさっき殺害に失敗した娘を連れてやってくる。奇しくもひとつの場所に集まってしまったあきらかにワケありな彼ら。そこに、パトロールに来たアル中の保安官が加わって……。
かたや、ある闇カジノでは、黄色い眼をした盲目の男がセクシーな執事を抱き寄せながら、男に、資産家が墓に隠した財宝の話を語っている。
「財宝の地図か、そこの娼婦か、どちらか好きなほうを選べ」。それが男のポーカーの勝ち分だった。
男が地図を頼りに墓にたどり着くと、そこにいたのは、カジノの片隅で一部始終を聞いていた美貌の娼婦だった。
作品情報
『ムーンライト・ダイナー』英題:MOONLIGHT DINER
【脚本・監督・撮影・編集】神威杏次
【出演】菅井玲 中川ミコ 坂本三成 平塚千瑛 萩田博之 加賀谷崇文 平野尚美 磯崎美穂 蜂谷英昭 小林一三 野々のん / 筒井巧 萩原佐代子 牧野美千子 伴大介 / 永井一誠 水希友香 工藤俊作 神威杏次
【スタッフ】助監督:萩田博之 スチール:蜂谷英昭 MA:(株)こだまプロダクション(炭鎌悠 家崎大 金谷実里 安宅潤一郎) CG:林潔
SpecialThanks:小﨑潤(男A) 岸田尚(ウサギお顔ブローチ) 萩原くるめ(写真出演)
協力:三枝プランニング 遅咲会 劇団昴 超次元電視いと、まほろば リミックス zeus.llc 伊井たこすけ 貴志ふゆ
ロケ地協力:ぎゅうや ei 萩原達也
協賛:株式会社進成(代表取締役 土堂進) もみや鍼灸整骨院 遠藤文具店 癒し酒場・旧道 株式会社坂本建材 富士城鷹雄 築地諏訪商店 (株)KSCふくろう薬局 byCAMPFIREクラウドファンディング 文化庁“ARTS for the future!”補助対象事業
製作・配給:TEAM KAMUI
(2021年製作 日本/107分/16:9/ステレオ/DCP/107分)
(C)2021.KyojiKamui
3月25日(金)まで大阪シアターセブンにて上映中、詳細は下記ページにて。
“終末のバンギア。”プロフィール
対となる白と黒のコンセプトで創作活動をする音楽ユニット。音楽を軸に、コンセプトアートやイラストの創作、メディアライティングやレポーター活動をしています。
2022年2月に白は『癒やす歌』黒は『揚ガル歌』として、白と黒で2枚の2ndアルバムをリリース。最新情報はTwitterや公式サイトにて!
●最新作『命のカタチ』ミュージックビデオ
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