しゃべる金魚がいたらポケットにしまうか捨てるか? 奇妙なADV『Mosaic』の試遊レポ【TGS2019】

キャナ☆メン
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 9月12日~15日に千葉・幕張メッセで開催された“東京ゲームショウ2019”のインディーゲームコーナーに出展されていたタイトルのプレイレポートをお届けします。

 本記事で紹介するのは、ノルウェーのデベロッパーKrillbite Studioが開発するアドベンチャーゲーム『Mosaic』です。別の記事で紹介しているRPG『Haven』と同様、架け橋ゲームズが国内展開をサポートするタイトルになります。

 なお同社がサポートするタイトルは、『Stranded Sails』、『Atomicrops』、『Kingdom: Two Crowns』、『Etherborn』と合わせ計6作品が出展されていました。

主人公の内面を反映した背景やシーンが印象的

 『Mosaic』は、人口過密な都会の街で同じ毎日を繰り返し、企業の歯車として単調で孤独な生活を味わいながら、そのことに恐怖を感じる男性を主人公にしたアドベンチャーゲームです。


 ストーリーは、ある日を堺にして男性の身におかしなことが起こり始め、以降、奇妙な体験をするようになるというもの。試遊版では、ゲームプレイのごく一部を体験できました。

 まず印象に残っているのは、主人公の内面を反映するかのように背景やシーンで描かれる、自然の生命感と人工的な無機物のコントラストです。

 例えば、主人公の自宅があるマンションの廊下から外を覗くと、窓の外には遠く離れた山の稜線と朝焼けが見える。すると窓ガラスが割れてシーンが切り替わり、宇宙空間のような場所で主人公と太陽だけが映る光景に。ここでは、自然が輝きに満ちて美しく栄えています。


 序盤にそうしたシーンがあるかと思えば、試遊の最後では、不気味に誇張された都市の陰鬱とした景色が描かれます。高架から見下ろす車の渋滞と、道路の両脇に建ち並ぶビル群、空を覆い尽くす暗い曇。そして遠くに見える高層ビル。

 この高層ビルは、屋上に独特なMのロゴが見えるので、おそらく主人公が勤める企業のビルなのでしょう。カメラが引いて画面手前の主人公が小さく見えるにも関わらず、一番遠くにある高層ビルは、遠近感を無視してより大きく映ります。まるで主人公の心理的な圧迫感を表現しているように。

表現の1つ1つが心を動かし考えさせられる作品

 他にも印象的なシーンとして、通勤中に突然、操作キャラクターが主人公から蝶に切り替わる場面があります。蝶は車に轢かれそうになるなど、街中のさまざまな危機を乗り越えて進むのですが、最終的にはあっさりと最期を迎えます。

 操作キャラクターとすることで、命のちっぽけさや都市社会の無情を印象的に描いているのかもしれないし、蝶の姿を介して、社会の中で企業の歯車に組み込まれる人間(主人公)の無力さを描いているのかもしれないし、別のことを表現しているのかもしれない。

 開発者の真の狙いはわかりませんが、少なくともゲームの小さな体験から、さまざまな想像を膨らますことができます。

 別の形でユニークな表現としては、自宅で歯を磨いていると洗面台にしゃべる金魚が現れる場面があります。このシーンでは、会話の後に、しゃべる金魚をポケットにしまうか、捨ててしまうか選択できる点がとてもシュールです。


 前述の蝶が、危機を乗り越え、ちょっと愛着が湧き始めた辺りであっさりと死を迎える場面もシュールと言えばシュールですが、本作では、こうしたシュールな表現も特徴になるようです。

 試遊の短い時間で語るには、あまりにも不思議な体験の多いゲームなのですが、その短い時間ですら、1つ1つの出来事に心が衝き動かされます。ある意味ではアートのように、作品から受ける心の揺れ動きを自分で咀嚼していくゲームかもしれません。

 筆者が試遊したのは英語版でしたが、製品版は日本語を含む18言語に対応する予定とのこと。ゲーム自体の配信は今秋予定で、海外向けにはPS4/Xbox One/Nintendo Switch/PCでの展開が告知されています。

東京ゲームショウ2019 開催概要

【開催期間】
 ビジネスデイ……9月12、13日 各日10:00~17:00
 一般公開日……9月14、15日 各日10:00~17:00
【会場】幕張メッセ
【入場料】一般(中学生以上)2,000円(税込)/前売1,500円(税込)
※小学生以下は無料

(C)Krillbite Studio