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君たちは、どこまで支援課に“幻想”を抱き続けるつもりなんだい?(ワジ)【軌跡シリーズ名言集】

Zenon
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 日本ファルコムの名作ストーリーRPG『軌跡』シリーズの名言集をお届けします。

 本記事で紹介するのは、『創の軌跡』に登場するキャラクター、ワジ・ヘミスフィアのセリフ。『碧の軌跡』以来、4作品ぶりに再登場を果たした彼により、「ハッ」とされられた名言を紹介していきましょう。

※本記事内には物語のネタバレを含む表現がありますので、ご注意ください。

君たちは、どこまで支援課に“幻想”を抱き続けるつもりなんだい?(ワジ)

●チャプター3 幻想を越えて(英雄伝説 創の軌跡)

 ワジは『零の軌跡』にて、クロスベルの不良グループの1人として登場した人物です。ある時はホストとして裏の社交界に顔を出し、ある時は主人公のロイドたち《特務支援課》の準メンバーとして手助けしてくれるなど、その性別も含めて謎の多い人物として描かれていました。

 しかしその正体・本分は、大陸で最も広く信仰されている《七耀教会》に所属する《星杯騎士団》の一員。《特務支援課》としては助っ人的な立ち位置であり、『碧の軌跡』の物語のあとは皆と別れて本国へ帰還しています。

 そのあたりは下記の名言集の記事でまとめているので、よければこちらも参照してください。

『軌跡名言集』ワジの過去記事はこちら

  • ▲数年ぶりに登場したワジ。彼の再登場を待ち望むファンは多かったのでは?

 さて、今回の名言は『創の軌跡』の中盤、ロイドたちが聖ウルスラ医科大学に立ち寄り、ティオたちと合流しようとするときのことです。再独立を目前にして妨害されたことにクロスベル市民が絶望し、彼女たちを責めていました。


 絶望する市民。彼らが目指した“再独立”の象徴たる《特務支援課》が、新総統に敗れたことですべての希望を失ったと思い込んでいます。


 あげくの果てには《特務支援課》が余計なことをしなければこんな思いをせずに済んだのに、すべては《特務支援課》が“本当は存在しない希望”を自分たちに見せたからだ、などと言い出します。


 歯を食いしばり、2年間も地道な独立活動を続けてきたロイドやティオに、言葉の刃がグサリ。それはどこかで皆思っていたこと、「自分たちは間違っていたのではないか」という可能性の話です。

 かつての事件で彼らは選択を迫られました。神のごとき力を振るう《零の至宝》に頼って今後の困難を排除してもらうか、または家族である少女を助け、人としてともに苦難の道を歩むか。ロイドたちが選んだのは、後者でした。

 その選択は間違いなく彼らがしたものであり、もし《零の至宝》が健在なら世界の勢力図も変わっていたかもしれません。それほどに至宝の力は万能で、“ズル”とも言われているレベルでしたので。



  • ▲苦しくても“筋”を通すべきと語る在りし日のロイド。そこには少女を救いたいという想いのほか、人として成長できなくなるといった主張も入っていました。

 そして確実に帝国の占領を退けられる力を自ら捨て、一人の少女を取り戻す“選択”をした彼らは、自覚がないまま“独立は自分たちが成さなければ”と認識していたのです。それがあのとき、選択した者の責任だと。

 そして背景を知らない市民たちも、いつしかそれが当然だと思い込んでいたようです。帝国に支配されていたこの2年間の“冬の時代”を思えば、決して大げさな話ではありません。

 そのため、ロイドたちは「自分たちが何とかしなければ」という趣旨の発言を、ことあるごとに口にしています。それはもはや呪縛に似たなにかでした。

 新総統が現れて独立調印式を無茶苦茶にしたとき。

 新総統に敗れて目覚めたとき。

 クロスベルを取り戻す。そう目的を話すとき。

 絶望した市民に声をかけるとき。

 そこへ、後ろから割って入ったのがワジです。かつての事件では準メンバーとして《特務支援課》と行動をともにしていた当事者でありながら、この2年間の活動からは外れていた人物。




 ワジは言います。《特務支援課》がしたことは、法にのっとって職務をまっとうし、罪人である大領領を逮捕した。それだけで特別なことではなかったのだと。

 市民は「それは無責任じゃ」と反論しますが、ワジはそんな“責任”など、それこそ存在しないものだと切って捨てました。そこでの発言が、今回の名言となります。





「君たちは、どこまで支援課に“幻想”を抱き続けるつもりなんだい?」

  • ▲!!

 『碧の軌跡』で起きた事件は、幻獣が出現したり、巨大な《碧の大樹》が出現したりするファンタジーのような出来事でした。それを解決してみせた《特務支援課》という“幻想”の残滓が、ようやくここで解き放たれたと思っています。


 2年間の苦悩を思えば“救世主”じみた存在を求めるのも理解できるが、そんなクロスベルは見たくなかったとワジは語ります。本物の故郷以上にこの地を愛している1人として。

 そしてキーアも言います。当時ロイドたちが“選択”したことで助けられた女の子、当事者として「自分さえいなければ」と考えたことがあると。クロスベルが帝国に占領されたのも自分のせいではないのかと。

 しかし、その時ロイドたちが“選択”できたのは、女の子を助けるためだけではなかったはずだとも語ります。確かに、そうでした。



 数々の苦難を乗り越えてきた“クロスベルの強さ”を信じられたからこそ、ロイドはあの“選択”ができたのだと語ります。そのあとに起きる帝国の占領という苦難も、クロスベルの強さがあれば乗り越えられるはずだと。



 自分にできることで、その信頼に応えたい。みんなにだってできることはあるはずだと、そう市民に呼びかけます。

 それを聞いたクロスベル市民の方々は、見失っていた“クロスベルの強さ”を思い出します。自分たちがいつしか《特務支援課》に助けてもらうのを当たり前に思っていたことも自覚し、自分たちにできることをやってみると話してくれました。




 市民たちを覆っていた絶望の深さを助長する黒いオーラも消えていき、彼らは再び“クロスベルらしく”動くことを決意します。





 ロイドも力強く語りかけます。「俺たちがなんとかします」ではなく、「俺たちもお手伝いしますから」と、本来の英雄視される前の《特務支援課》に戻ったような顔で。

 はい、というわけで今回の名言「君たちは、どこまで支援課に“幻想”を抱き続けるつもりなんだい?」をお送りしました。このときのワジの「君たちは」の部分、市民だけでなくロイドたちにも向けているように聞こえたのが、すごく印象的です。

 離れていたからこそわかる大切な人たちの変化。それをワジがズバリ指摘したときに、壮大な伏線が回収されたかのような「ハッ」とする気付きを感じました。

 発足当初はニセ遊撃士とまで言われて何の期待もされていなかった《特務支援課》が、いつしか“英雄”扱いに。それ自体は感慨深いものがありますし、新《VII組》のユウナのように彼らに憧れて成長した子たちもいると思うと、クロスベルに無くてはならない存在であるのは間違いないでしょう。

 しかしロイドたちはやはり“支援課”なので、多くの人と協力して物事を成すのが本来の足場。鼻っ柱を折るではないですが、『創の軌跡』で描かれた“英雄”としての敗北は、ロイドたちにとって必要な物語だったのかなと、個人的には思いますね。

 シリアスなものからコメディ的なものまで、軌跡シリーズにはほかにも数々の名言が存在します。今後もそれらをピックアップしてお届けしていく予定なので、お楽しみに!

※画面はPS4『英雄伝説 創の軌跡』『英雄伝説 碧の軌跡:改』のものです。
(C) 2020 Nihon Falcom Corporation. All rights reserved.
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