『俺の料理』おいしい料理を作って20年。2つのアナログスティックを使った楽しさを再発見【周年連載】

信濃川あずき
公開日時

 あの名作の発売から、5年、10年、20年……。そんな名作への感謝を込めた電撃オンライン独自のお祝い企画として、“周年連載”を展開中です。

 第99回でお祝いするのは、20周年を迎えた『俺の料理』です。発売プラットフォームはPlayStationで、発売日は1999年9月9日と見事な9並びの日。現在、PS Storeにてゲームアーカイブスとして配信されているので、PS3とPS Vitaで遊ぶことができます。

 本作最大のポイントは、ボタンではなくアナログスティックを使って遊ぶこと。90年代に主流になったアナログスティックが搭載されたコントローラにより、操作の幅は格段に広がったのですが……アナログスティックのみで遊ぶゲームということに、当時も驚きを感じたことを覚えています。

 それでは、20年の時を超えて今ふたたび『俺の料理』を料理していきましょう!

2つのストーリーでおいしさ2倍!

 主人公は、あらゆる料理賞を総ナメにする天才料理人。そんな主人公がいるおかげで一番になれないカエルのコックさんは、うらみをつのらせていました。そしてついに、偽の料理大会で主人公を誘い出し、二度と料理が作れないよういじめてやることにしたのです!

▲どの料理大会でも2位、銀メダル、準優勝……。カエルのコックさんが追い詰められていきます。かわいい。
  • ▲偽の料理大会の招待状が届きました。怪しさしかありませんが、主人公はヒマなので行くことにしたようです。

 以上は“ノーマルモード”のストーリーです。実は本作、“イージーモード”にはまったく異なるストーリーが用意されています。単なる難易度の違いだけではないので、両方プレイすることを強くオススメします! ちなみに、イージーモードも終盤は“イージーさ”をまったく感じない手強さです。

▲イージーモードは、悪の組織“カエル軍団”に支配され、まずい料理しか食べられなくなった王国で戦う勇者の物語となっています。

うまくて早い、通いたくなるお店を目指して

 料理の基本は、来店したお客さんにうまい料理を早く出すこと。お客さんが満足すると、お店の評判が上がっていきます。評判が一定まで上がると、ステージクリアです。逆に、料理の提供が遅かったり、煮すぎ揚げすぎでおいしくなかったりした場合、お店の評判は下がります。一定まで下がるとゲームオーバーになるのです。

  • ▲背景の赤いラインが、現在の評判。お客さんの評価で、上下にスクロールします。

 料理は、例えばビールのように“注ぐ”だけの1ステップで完成するものもあれば、“切る”、“ゆでる”、“味付け”の3ステップで作るラーメンのように、複数の手順で作るものもあります。ラーメンの“ゆでる”以降のステップは、複数の注文をまとめて作ることができるので、どれだけまとめて料理することができるかが大切です。

  • ▲ビールは、左スティックでジョッキを傾け、右スティックで注ぎます。ほどよいタイミングでジョッキを立て、泡を作るのがポイント!
  • ▲食材は薄く、素早く切ります。焦って失敗すると、ほぼまるごと1本のネギやごんぶとナルトを放り込むことになります。
  • ▲ラーメンの注文が複数ある場合、すべての切る工程を済ませておけば、あとはまとめて調理ができます。
  • ▲ゆでるなど時間がかかる工程の最中は、別の作業をすることもできます。忘れて煮すぎないように注意です!

 ステージが進むと、より調理工程が複雑な料理が出てきたり、お店のメニューの種類が多くなったりします。いろんな調理工程を楽しめるのが特徴です。

  • ▲落とさないように挽肉の空気を抜きます。スティックを同時に動かすのは、意外とコツがいります。
  • ▲スティックを回してエビをむきます。シュルルとむけるのが気持ちいい!

 お店の経営は、料理だけではありません。お客さんから両替を頼まれたり、酔っ払いや食い逃げが現れたり……。こうした“おじゃま”を、料理の合間に素早く処理していく必要があります。

  • ▲両替依頼。スティックを素早く左右に動かして、お札をカウントします!
  • ▲ゴキブリ出現! スリッパで潰します。筆者はこれがとても苦手で、時間を取られて料理を煮込みすぎちゃいます。
  • ▲お皿が足りなくなっちゃった。早くスティックをグルグルして洗って!

 作業を絶妙なタイミングで終えることで、うまい料理ができます。これを、お客さんが不満に感じる前に素早く提供することで、高得点が得られます。また、ときどきテレビに出てたえらい人、通称“グルメ”が来店することがあります。

  • ▲真ん中の白髪おじさまがグルメ。グルメといえば和服のおじさまというイメージは強固ですね。

 グルメが来店したら注意! 満足させないと、評判が普通のお客さんの2倍も下がってしまいます。しかし、満足させれば評判は大きく上がります。また、他のお客さんの注文品とグルメの注文品が同じだった場合、まとめて料理すればすべてグルメと同じ評価になります。

 たとえ、グルメ以外の料理の序盤工程を大失敗していても、グルメのさえ上手に作って仕上げでまとめ料理すれば、全部高評価になるのです。うまくグルメを巻き込むのがポイント!

  • ▲切れていないネギが入っていたとしても「ま、まあ、あのグルメがうまいと言ってるんだし……」と、納得しちゃうお客さんたち。

おじゃまだらけの料理対決!

 ストーリーモードでは各ステージにボス料理人がおり、対決することになります。料理の作り方はこれまでと同じ。ボスよりも早く、お店の評判を上げましょう!

  • ▲画面が上下に分割されます。プレイヤーは上。

 対決の際は、まとめて料理を仕上げることで相手におじゃまを送りつけることができます。相手がゴキブリや食い逃げに対応しているうちに、こちらはどんどん料理を作って差をつけましょう。ただし、対戦相手もこちらにどんどんおじゃまを送ってきます!

  • ▲どれだけまとめて料理をして、おじゃまを送れるかが勝利へのカギ。まとめられない料理は素早く処理!
  • ▲相手も、できるだけまとめ料理をしようとしてきます。

 さらに、グルメの注文品が含まれるまとめ料理では、相手に複数のおじゃまを送りつけることが可能。相手を一気に崩す大チャンス! 判断のために許された時間は一瞬です。状況を見極めて、素早く的確に料理を仕上げていきましょう!

  • ▲「勝負はほぼ決まったな……」と見えても、グルメのおじゃまでひっくり返ることもあります。

料理に無関係のミニゲームもまた楽しい

 本作には、アナログスティックで遊ぶミニゲームが搭載されています。料理に関係ないミニゲームもありますが、気にせず楽しく遊びましょう! スコアが記録に残るので、友だちや家族とスコア対決することもできちゃいます。

  • ▲スティックの微妙な傾きでステーキの焼き加減を調整するゲーム。オリジナル版では『電車でGO! コントローラ』にも対応していました。
  • ▲割れないように、風船をできるだけ大きく膨らませるゲーム。微妙なスティックさばきが重要に。
  • ▲自分で好きなリズムを作れるリズムマシン。……これ、料理ゲームでしたよね?

 ここまで、アナログスティックをとことん使い倒しているゲームはおそらく他にないと思います。○ボタンでも×ボタンでも△ボタンでも□ボタンでもない、アナログスティックが主役なんです。2本のスティックを使ったシンプルな操作ながら、その扱い方で多彩なゲームを実現している、まさにアイデア賞といった作品です。

 発売から20年経過しても、アナログスティックを使ったゲームといったら『俺の料理』だなぁと思います。それくらい振り切った、思い切った、ゲーム史に刻んでいつまでも称えるべき作品です。スマートフォンのタップに慣れた昨今だからこそ、たまには自分の筋肉や神経を使って遊ぶ、『俺の料理』のようなゲームで遊んでみてください。

▲バリサン、ナタデココ……90年代の懐かしいワードもたくさん出てきますよ。

(C)1999 Sony Interactive Entertainment Inc.

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『俺の料理』

  • メーカー:SIE
  • 対応機種:PS
  • ジャンル:ETC
  • 発売日:1999年9月9日
  • 希望小売価格:5,800円(税別)

『俺の料理』(ゲームアーカイブス)

  • メーカー:SIE
  • 対応機種:PS3/PS Vita(ダウンロード専用)
  • ジャンル:ETC
  • 配信日:2007年8月30日
  • 価格:571円+税

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