『MHライズ:サンブレイク』で西洋風の世界観になった理由は? 裂傷状態や登場キャラの関係性などに迫る

kbj
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 6月30日発売予定のNintendo Switch/PC用ソフト『モンスターハンターライズ:サンブレイク』について、開発者インタビューを掲載します。

 『モンスターハンターライズ:サンブレイク』は、『モンスターハンターライズ』の超大型拡張コンテンツ。新たな地で展開するストーリー、より軽快に進化したアクションを楽しめます。

 プロデューサーの辻本良三さん、ディレクターの鈴木佳剛さんへのインタビューを実施。注目タイトルの新要素や開発秘話などをお聞きしています。

 なお、オンラインにて合同インタビューで実施し、記事中は敬称略。

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前作『ライズ』から引き継いだ要素と新たに構築した『サンブレイク』の世界観

――前作『ライズ』を遊ばれたユーザーからはどのような意見がありましたか?

辻本:『ライズ』をプレイしていただいた人からは、“翔蟲”のアクションや、ガルクなどを含めて新しい要素については受け入れていただけたと感じています。あとは、NPCが魅力的で、世界観も好評でした。

 それらの評判だった部分は『サンブレイク』でも考え方を引き継いでいます。世界観こそ和と洋で変わっていますが、“翔蟲”でさらに深いアクションをできる要素を入れたり、個性豊かなNPCを用意したりといった具合です。

 ご意見としていただいた部分は、アップデートの情報についてです。先の情報まで気にされている方が多かったので、『サンブレイク』では少し先の情報まで出せる形にしたいと考えています。

――『サンブレイク』全体の開発コンセプトをお話ください。

鈴木:『サンブレイク』は『ライズ』の持つ“和”の要素から、“西洋”のイメージにシフトさせていただいています。このコンセプトには、ユーザーの皆様にビジュアル面、遊びの両面で新鮮さを味わっていただきたいという気持ちも込められています。

辻本:拡張コンテンツを作る際には、元になるタイトルのシステムがあるので、そこを深くして遊んでいただいたり、ゲーム自体をより楽しんでいただけるように伸ばしたりが、作り方の主軸になります。

 そのうえで、やはり皆さんにワクワク感やインパクトを味わっていただきたい。そこで、前作の和のテイストを伸ばすのではなく、洋に変えることを決めました。ただ、『ライズ』でやっていた妖怪をモチーフにする部分は引き継いでいるので、そのテーマ性は感じつつ、新鮮さを感じていただけるかと思います。

――新モンスターの制作コンセプトと、どのように物語にかかわってくるのか、ご説明いただけますか?

鈴木:新モンスターとして登場する3体は西洋の怪物がテーマとなっています。メル・ゼナは吸血鬼、ルナガロンは狼男、ガランゴルムはフランケンシュタインを意識しています。これらのモンスターは王国の領域を脅かす“王域三公”と呼ばれ、『サンブレイク』のストーリーに密接にかかわってきます。

 物語の内容はお伝えできないのですが、どのように関わってくるかは、ぜひプレイしてお楽しみいただければと思います。


――未発表のモンスターが出てくることも考えられますが、物語の主軸になるのはこの王域三公でしょうか。

鈴木:ストーリーの軸はこの王域三公になります。また『ライズ』を遊ばれたユーザーの皆さんはご存じかと思うのですが、『ライズ』においてシリーズに登場してきたモンスターについても、日本の妖怪に紐づいた演出を用意していました。『サンブレイク』においても踏襲しており、西洋の怪物をテーマにした登場デモを用意しています。

――復活モンスターのセルレギオスですが、ボディラインがしっかりしてイメージが変わっているうえに、すばやくなっている印象があります。こちらについてご説明ください。

鈴木:『サンブレイク』に登場するモンスターの選定理由は、作品のコンセプトやユーザーに体験いただきたい遊び、シリーズ全体のモンスターの登場傾向、さらにユーザーの声など、さまざまなものを参考にしています。

 『ライズ』を遊んでいただいたユーザーが声を大きくされていたのは、シリーズモンスターに対する遊びごこちや、より個性を感じるモンスターでした。

 セルレギオスを選定、実装していくなかでもそこにはかなり重要でした。ユーザーの遊びごたえの部分と、モンスターとハンターのやり取りの部分で、より攻略性というか、ストレスばかりがたまるようなやり取りにならないように、楽しんでいただけるものを目指しています。

――以前と比べて裂傷状態から回復しやすくなっていると感じたのですが、そのコンセプトからの調整内容になるのでしょうか?

鈴木:裂傷については仕様を変更しています。大きく異なるのは、“裂傷状態の内容”と“解除されるまでの条件”です。ダメージを受ける部分をダメージ予約という形にしていて、有効になった瞬間に体力が減ります。

 解除手段は、抜刀状態で待機していても解除できるようにしています。方向性としては緩和になるのですが、よりストレスなく、それでいて状態異常のやりとりを成立させつつ、遊びやすさを増してモンスターと楽しく挑めるような状態異常の調整をしています。

――他にも亜種モンスターや復活モンスターが公開されています。ボリュームはどれくらいでしょうか?

辻本:具体的な数は言えないのですが……今までの経験も踏まえ、登場モンスターを選ばせていただいております。

 まだ詳細は発表していないのですが、無料のタイトルアップデートも考えています。

――タイトルアップデートの詳細は今後発表されていくと。

辻本:現在は「数回を考えています」としか言えないので、モンスターやアップデート内容などは発表をお待ちください。タイトル発売までにはもう少し情報を出せると思います。

 なお、タイトルアップデートとは別に、イベントクエストの配信などは当然予定しています。

――6月30日に発売となりますが、それ以降も長期にわたってアップデートがある構想ですか?

辻本:“長期”がどこまでを指すかは人によるのですが……私たちとしては「数回のアップデートを実施しようと計画を立てている」という伝え方にしています。

観測拠点エルガドや城塞高地、盟勇クエストについて質問

――『ライズ』のカムラの里が和風だったことに比べて、『サンブレイク』で話の軸になってくる観測拠点エルガドは西洋風になっています。世界観のコンセプトについてお話いただけますか?

鈴木:『サンブレイク』は当初、『ライズ』の和のコンセプトを受け継いでいくことを検討していたのですが、ユーザーの皆さんに与えるインパクトに加えて、テーマとなる怪物の幅を広げることで、モンスターのアクションにも幅を出したかったことから、本作では西洋をコンセプトにしました。

 新拠点のエルガドは、カムラの里から遠く離れた異国の地にあります。古龍メル・ゼナをはじめ、周辺のモンスターの異変を調査するために、王国領内に築かれました。エルガドでは王国騎士や調査隊、物資を運ぶ船乗り、雇われのハンターなどさまざまな人間が生活しています。

 拠点は作品コンセプトでもある西洋のイメージを多く採り入れており、そこに暮らす人々の衣装デザインは『ライズ』に登場した交易窓口担当のロンディーネを元にしています。彼女は王国の騎士であり、サンブレイクの主要人物であるフィオレーネの妹でもあります。

――エルガドは街と集会所がわかれていない作りにした理由は?

鈴木:『サンブレイク』はマスターランク進行で、里クエストが存在しません。つまり『ライズ』における集会所のクエストを主体としたものになっています。そこにプラス、シングルクエストを楽しめるような要素として盟勇クエストがあります。

 マスターランクのクエスト進行を主体とするうえで使いやすさやユーザビリティを高めるために、各施設を集めて1つのエリアにしています。

――城塞高地が公開されています。エリアごとにバリエーションが豊かな場所だと感じました。新しいフィールドを作るに際して、苦労したことはなんでしょう。

鈴木:城塞高地は、広大な自然の中に取り残された古城であったり、森林エリアや氷雪エリアなど、さまざまな側面を持ったフィールドです。また、城塞高地にはもちろん『ライズ』に登場したモンスターたちが現れます。

 『ライズ』のモンスターと対峙する際に、エリアサイズに加えて、配置される環境生物、採取可能な素材など、『ライズ』でつちかわれたレベルデザインから逸脱しないようにしつつ、新しいフィールドの側面で新鮮さを味わっていただきたいという、両面を意識しつつ作っています。

 広大なフィールドなのでそのバランスには大変苦労いたしました。

――広さは以前までのフィールドと同等になるのでしょうか?

鈴木:基本的に同サイズだと思っていただいて問題ありません。ただ、高低差があり、目的地にたどり着くまでのメインエリア、探索フィールドなどのサブエリアが多数存在しているため、その行き来の部分でストレスがなるべくなくなるように注意しています。

――盟勇クエストですが、ハンターが同行するクエストは本家『モンスターハンター』において初となります。実装に至った経緯は?

鈴木:『モンスターハンター』は、マルチプレイが大きな魅力のひとつです。しかし、中にはシングルプレイを中心に遊ぶユーザーの方々もいらっしゃるため、そのニーズに応えたかったことと、『ライズ』では百竜夜行で、里の仲間たちがハンターの助けとなる“里のツワモノ”という要素がありました。

 そこから派生して、個性的なキャラクターたちをクエストに同行させられたら、より楽しんでいただけるのではないかと考えたこと、これらのふたつの理由から盟勇クエストを考案しました。

――映像のなかで、盟勇クエストには“盟勇同行クエスト”と“重要調査クエスト”がありました。“重要調査クエスト”はどういった内容になるのでしょうか?

鈴木:“重要調査クエスト”には、盟勇を最大で2名まで同行させられます。ハンターはオトモ2匹を連れており、そこに盟勇2名とそれぞれにオトモガルクが付くことで、全体として最大7キャラをもってクエストに挑めます。

 盟勇にはそれぞれに得意武器が設定されており、その他にもいくつかの武器種から選択が可能です。例えば、フィオレーネは片手剣を得意武器としていますが、他の武器を選ぶことで、同じクエストであっても立ち回りが変わります。

 もちろんそれによって、プレイヤーであるハンターとのやりとり部分でも変化が生じます。さまざまな楽しみ方を味わっていただけると思います。

――盟勇の武器種はハンターが選べるのですか?

鈴木:はい、選べます。

辻本:なお、盟勇は全クエストに連れていけるのではなく、クエストが決まっている形になります。

――新たな鉄蟲糸技を加えるに際して、武器ごとで大きく心がけたことはありますか?

鈴木:現時点では武器種ごとの細かな仕様を語るのは難しいのですが、開発中においては、ユーザーからいただいた意見を参考にしている部分はもちろんあります。そちらを『サンブレイク』のアクションに反映する努力を行ってきました。

――“先駆け”の回避は、避けられた時の気持ちよさがありつつ、位置取りなどにも使えると感じました。

鈴木:今回、入れ替え技をクエスト中にリアルタイムに切り替える“疾替え”を導入しています。たとえば、抜刀した状態を継続したまま狩りを行うにあたって、ハンターが入れ替え技を使った状態から、次の攻撃に移るまでの間の部分を“疾替え”だけでアクションを止めてしまうと、モンスターとのやりとりで間が生まれ、テンポ感が失われてしまいます。

 その間の部分を次のアクションにつないで、狩りを継続するために“先駆け”であったり、“先駆け”から抜刀状態を継続して次のアクションにつなげることを重視しています。

発表時に話題になったあのキャラの特徴とは?

――加工屋のミネーレが公開された時、『モンスターハンター4』のナグリ村を連想する衣装をしていることがユーザー間で話題となりましたが、いかがでしょうか?

鈴木:ミネーレにつきましては……実は『4』に登場したナグリ村の加工屋の娘さんではありません。ただ、服装からわかるように、ナグリ村とはつながりがある人物となります。ぜひゲーム内で確認いただければと。

――前作『ライズ』から入った“翔蟲”は立体的な動きが可能なうえに、『サンブレイク』ではさらに昇華されています。正直、一度体験してしまったらもう戻れないほど爽快であると感じているのですが、今後のスタンダートになっていくのでしょうか? 現状でどういう位置づけにあるのか、お話いただけますか?

辻本:いままで『モンスターハンター』に入ってきたアクションは、タイトルごとのテーマに沿って決めてきたものになります。例えば『クロス』のように、どういう遊びをテーマにするのかで、内容は大きく変わってきます。

 タイトルごとのテーマによってどういう要素を入れて、どう変えていくのかが決まるため、今の要素が必ずしも引き継がれていくわけではありません。これまで同様に今後も、タイトルごとの遊びごたえや快適さを追求していきます。

あらゆるユーザーのニーズにこたえられるように尽力したタイトル!

――マスターランクで新たな“百竜クエスト”は追加されるのですか?

鈴木:“百竜夜行”はカムラの里で起きた出来事です。本作はエルガドにおけるストーリー進行になるため、マスターランクの“百竜クエスト”は存在しません。

――動画にあった“百竜武器”や“百竜装飾品”などは、別のシステムで作る形になるのでしょうか?

鈴木:そちらの情報は現時点ではお出しできないため、申し訳ありませんが答えることができません。

――体験版の配信予定はありますか?

辻本:内緒です!

――新型コロナウィルスによる情勢が最近では落ち着き始めていますが、発売記念イベントやモンハンフェスタなどの実施は予定されていますか?

辻本:『モンスターハンター』のイベントはいろいろやらせていただきましたが、長い間やれていません。その辺を含めて、今後どうしていくのか……ただ、イベントごとは、決めてすぐに実行できるわけではありません。正直、まだ未定で、今の段階ではお伝えできることはない状況です。

――本作の新要素で2人が一番気に入っているものはどちらですか?

辻本:全部なので“一番”というのは難しいです。ですが、アクション全体では連動性ができていると思います。また、『ライズ』をプレイして慣れている方のプレイスタイルに加えて、本作の新システムを使ってのプレイスタイルなどもあり、アクションの幅が広がると思っています。

 やはり『モンハン』シリーズで大事なのはアクション。そういう意味で言うと“幅が広がったアクション”になります。

鈴木:私も似たような内容にはなりますが、『サンブレイク』で追加した要素はどれも気に入っています。アクションでは“疾替え”であったり、クエストでは盟勇であったりと、魅力ある要素がたくさん入っていますので、ぜひ触れていただければと思います。

――ありがとうございました。

■『モンスターハンターライズ』+『サンブレイク』セット


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※画面写真は開発中のものです。

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