ヴァンたちが辿り着いた先には…?『黎の軌跡』の物語をプレイバック【五章~終章】

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 日本ファルコムのストーリーRPG『黎の軌跡II』の発売を記念して、前作『黎の軌跡』のストーリーを全3回で振り返っていきます。今回は第五章~終章までのプレイバックとなります。

『黎の軌跡』プレイバック記事

※本記事内には物語のネタバレを含む表現がありますので、ご注意ください。

第五章_白夜のカルナヴァル

●訪れる大きな“選択”

 未知の兵器による爆発で壊滅したクレイユ村。その場にはヴァンにとっても深い交流のあった記者のディンゴがいたという。それを聞いたヴァンは、ディンゴからクラウド経由でアップされていた映像を回収。そこにはマフィア《アルマータ》の首魁ジェラールが《反応兵器》を無理やり起爆する衝撃的な映像が映っていた。

 真の“恐怖”を示すためだけに《反応兵器》を起爆させ、クレイユ村を滅ぼすと語るジェラール。彼自身も7:3で巻き込まれると承知しつつ、「だからこそだろう?」と面白がる余裕さえ見せる。

 ディンゴはもう言葉では止められないと悟り、この映像をヴァンやマリエルへと託すことに。彼のカメラはクラウドと連動させており、自動でアップロードされるよう仕込みをしていた。




  • ▲爆発のなか、狂気にとりつかれたかのように笑うジェラール。すさまじい爆発だ。ちなみにその際にタイトル画面へ戻ると、こんな一枚絵も見られた。

 情報収集するなかで、ヴァンの師父であるバルクホルンあらためベルガルドが生きていたこと、マフィア《アルマータ》がいま旧王都オラシオンにいること、あらゆる勢力がオラシオンを目指して動き始めていること、そして結社《身喰らう蛇》が《裏解決屋》に依頼を持ち掛けてくるなど、いろいろなことが判明し、事態が動いていく。


 猟兵崩れを破天荒な一撃で一網打尽にする、バルクホルンあらためベルガルド。死んだことになる前は七耀教会の《守護騎士》の1人であり、前シリーズに登場した《VII組》のガイウスの師でもある。

 突然現れて《アルマータ》が現在いる「オラシオンへの出張を頼みたい」と言い出す、結社《身喰らう蛇》の使徒第四柱《千の破戒者》ハーウッド。その理由は「面白そうだから」と、無茶苦茶な相手であることがわかる。

 ハーウッドはディンゴの形見であるカメラをヴァンへと渡す。《反応兵器》は現実でいうところの核爆弾のようなものらしく、理論上は放射線によって周囲一帯は立ち入れない状況になるはずなのだが、不思議と放射線汚染は確認されなかったとのこと。

 オラシオン入りした一行は、《アルマータ》の首領ジェラールによる通信で《謝肉祭(カルナヴァル)》のルール説明を受ける。オラシオンの地下遺構を利用したゲームで、この地に集ったあらゆる勢力につぶし合ってもらい、勝者がジェラールの待つ宮殿にたどり着けるというルールだ。


 ジェラールは《反応兵器》でオラシオンに住む28万人の市民を人質にとる。ルール違反を犯したかの裁定は、第6の《ゲネシス》を用いて公平に、そして絶対に行なわれるという。

 ヴァンはルールの裏をかき、ほかの勢力と対等な協力関係を結ぶことを提案。これまでの4spgの蓄積により、手を結べる相手が変わるシステムとなっていた。

  • ▲L.G.C.アライメント。筆者は調整が甘く、LAWが不足していたため遊撃士協会と協力関係を結ぶことができなかった。とは言え、大筋の流れはどのルートを選んでも変わらない。

 その後、地下遺構を攻略してさまざまな勢力を下し、先へと進んでいく一行。3日間におよぶ激闘の末、なんとか《アークライド解決事務所》が最後のチームに残ることに成功する。


 ここで、決戦前夜に話していたエレインが突如失踪。彼女の目的は父親が《アルマータ》に資金援助をしていたスポンサーであることを突き止め、けじめをつけることだった。父親を捕えたことで、エレインの遊撃士になった理由の半分が終わったとされている。


  • ▲その間、アニエスが独自に動いてオラシオンの子どもたちを空へ逃がしたのは、希望ある取り組みだったと言えるだろう。これで《反応兵器》が起爆したとしても、子どもたちだけは守れることになる。

 ヴァシュタール宮跡に進んだヴァンたちは、130年前まで大陸東部を治めていた超大国《イスカ神聖皇国》の生まれであるというアリオッチを倒し、残った首領ジェラールとの戦いに臨む。


 ジェラールは自身が旧王家の末裔であること、目的は“真の恐怖”をその手にすること、そのための予行演習として謝肉祭を企画したことなどを話す。ヴァンがグレンデル化したところでジェラールが何かをし、《メア》が掻き消えるというイレギュラーがありつつも、ヴァンの手で倒すことに成功する。

 戦闘後、見届け役のメルキオルが宮殿跡を爆破して逃げたため、一行は《反応兵器》と《ゲネシス》を回収して爆炎のなかを脱出することに。まるで映画のクライマックスのように熱い展開だ。

 こうしてマフィア《アルマータ》が引き起こした謝肉祭は幕を閉じた。オラシオンに集結していたさまざまな勢力は各々の思惑を抱えたままこの地を後にし、平和が戻るのだった。

終章_いつか還る貴方のために

●“嘘(ウソ)”

 《アルマータ》が壊滅し、一連の脅威は去った。解決事務所に集った面々はそれぞれが《アルマータ》を放ってはおけない理由を抱えるものたちだったため、それが解消されたいま、バイトの終了も検討するべきだとヴァンは語る。

 アニエスからの依頼である《ゲネシス》の捜索は続けるものの、ほかの仕事の合間になるため、助手を雇う必要もなくなるだろうという言葉。そこには彼の、“人を遠ざけようとする意図”のようなものがチラついていた。

 4月下旬に開催されるという“アラミス学藝祭”に向け、これから忙しくなるだろうと話すアニエス。ヴァンもアラミス高等学校の出身だと知り、当時の思い出話もしていた。

 ディンゴの遺したネタ帳を探し、上水道に逃げ込んだ半グレやマフィアの残党の“恐怖”を足場に出現した上位悪魔などを掃除し終え、ここ数ヵ月で関わりのあったさまざまな勢力が招待された“カオスな打ち上げ”が開かれる。

 打ち上げにはなぜか《黒月》やエルザイム公国の公太子なども出席。黒芒街ほどではないが、なかなかにカオスだ。

 ヴァン、エレイン、キンケイドの3人はかつてオラシオンで過ごした幼馴染。そしてアラミス高等学校の腐れ縁でもある。その頃に戻ったかのような気の置けない会話を交わす。

 そして始まる《革命記念祭》。ハーウッドとカシムとキンケイドが飲んでいたり、ツァオとクロンカイト教授とソーンダイクGMが話していたり、ゴッチ監督と守護騎士リオンとアシュラッド副兵長とクロガネが映画談議で盛り上がったりと、ツッコミどころしかない光景がそこらじゅうで広がっていた。

 また、ヴァンが車で見回りを続けようとすると、なぜかシズナが同乗。無邪気に観光を楽しむ彼女に振り回されつつ、しっかり世話を焼いているのがヴァンらしい。

 彼女たち《斑鳩》がイシュガル山脈《崑崙の地》を封じていることについて意味深な会話をしていると、端末がハッキングされてメルキオルが姿を現す。



 第7の《ゲネシス》を用いて《汎魔化(パンデモニウム)》を発動。周囲の人は一部を除いて“停まり”、ヴァンタイユ地区には巨大な塔が出現する。さらにあり得ないことに、死んだはずの《アルマータ》のメンバーがそこに立っていた。

 ヴァンはこの異常な状況で、仲間と合流するべく各街区の調査を開始。シズナ、ツァオ、フィー、キンケイドと頼もしい助っ人の力を借りつつ、順調に仲間との合流を果たしていく。


 各街区に1つある魔障の源《魔球》の内部空間に取り込まれたレンとアニエス。過去のトラウマをえぐられ苦しむレンを、アニエスはなんとか助けようと呼びかけ続けていた。

 そのなかで“停まっていない人”は、ヴァンがこれまで一度でも関わった人だけという法則が明かされ、ジェラールとヴァンの関係も匂わされる。

  • ▲念話(?)で誰かと話すニナ。彼女もまた謎が多い人物の1人だ。

 無事に仲間たちとの合流を果たしたヴァンたちは、多くの人たちの力を借りて“塔”への突入に成功する。そこは首都だけでなく、ゼムリア大陸全土を“汎魔化”するための演算を行なう亜空間「第七原理観測機関 事象変換術式《ゲネシスタワー》」だった。


 タワーの周囲を守る“柱”の破壊を、これまで関わってきた各勢力が手伝ってくれる。最後には《破戒》と大統領のタッグというとんでもない光景も。




 貸し借りを渋っていたヴァンが発した「頼む」、もう1人で無茶はしないでという言葉に対する「約束する」、そして「俺たちは英雄じゃない」から始まる鼓舞。その言葉の裏にあるヴァンの想いとは……。

 不死者として復活を果たした《アルマータ》の面々を次々に撃破して進む一行。最後に待ち受けていたのは、首領のジェラールだった。




 彼はそこで、自分が《D∴G教団》にいたころに本来この世に存在しないはずの魔の因子“魔核”をヴァンから抽出して取り込んだこと、《結社》およびS級遊撃士による殲滅作戦をその力で逃げ延びて《アルマータ》へ転身したことを語った。

 そして“魔核”を解放した魔神ジェラールに対抗するため、ヴァンは《メア》を呼び出しグレンデル化する。しかしその際、《メア》からの問いかけは今までのものと異なっていた。

 「悪夢を纏う、纏わない?」ではなく、「夢から醒める、醒めない?」と変化している。


  • 最初期(序章)のグレンデルと、最終形(終章)のグレンデル・シン。黒い装甲や青い光はより濃く、髪(?)が碧色から金色へと変化していることがわかる。

 2人の間でだけグレンデル化のプロセスが理解できた、というような空気が流れる。「軌跡」シリーズで“枷”と言われると別の意味を想像してしまうが……?

 魔神ジェラールを倒し、“魔核”を回収したヴァンはそれを本来の場所、つまり自分のなかへと戻す決断を下す。その結果、彼は七耀教会に伝わる禁書「エゼル記」に書かれた七十七の魔を束ねる魔王の一柱、黝き(あおぐろき)“刻”の力を秘めた《漂白の魔王》となってしまう。

 《メア》によると、ヴァンは“拘束具”であるグレンデルを外して“魔核”を受け入れ、世界を喰らう魔王としての己自身を“狭間”に封じて消え去ろうとしているという。ヴァンの“嘘”に気付いたアニエスたちはそれを黙って受け入れることができず、事務所の屋上に残されていた狭間への入口を見つけ出し、ヴァンの元へとたどり着く。

 かつて“世界が書き換えられるまで”は七十二柱しかいなかったはずの煉獄の悪魔に、新たに加わった《五柱の魔王》の一体。『閃の軌跡IV』で悪魔退治をしている際にも、似たような話を聞いた気がする。


  • ▲『閃の軌跡IV』より2点ほど引用。こちらは悪魔の眷属に過ぎず、ヴァンは正真正銘の魔王なので格はかなり違うのだろう。

 魔王の霊圧を《ゲネシス》によって抑えたところを攻撃し、魔王の依り代であるヴァン本人が魔王から脱出。パーティに合流して魔王を一旦倒すことに成功する(魔核がある限り消滅はしていない)。

 魔王と分離したグレンデルは、前の色に戻っていた。そして魔核を狭間の彼方にぶん投げたことで、しばらく時間は稼げるだろうとのこと。

 こうして、マフィア《アルマータ》が引き起こした汎魔化も阻止され、ヴァンも無事に戻ってきた。年末ということで一旦《裏解決屋》のバイトメンバーは解散しそれぞれの居場所へと戻るが、再び戻ってくるつもりだと口々に話し、「もうお別れだな」みたいな空気を一人だけ出していたヴァンを驚かせるのだった。


 自分が諦めても、ほかの連中が放っておいてくれないと身に沁みてわかったから、次の選択はもう少し考えると語るヴァン。「別に“嘘”じゃないからな?」とバツの悪そうな顔になっているのが印象的だ。

 アニエスも自分たちの想いが少しは伝わったと喜び、いい笑顔に。

 エンディングイラストより。フェリは“クルガ戦士団”のもとへ戻り、里の新年祭に巫女役で出演。

 アーロンは母親の命日が近いため、煌都へ里帰り。宴会に舞台に、と忙しくしているそうだ。

 カトルは理科大学の必修単位を取るため帰省。ハミルトン門下揃って新年を迎えているようでとても暖かい感じが伝わってくる。

 ジュディスは一旦実家に戻り、母親や祖母と過ごしている模様。年明けには新作のクランクインも控えているとか。

 リゼットは《アルマータ》の総括とメンテナンスのために帰社。というか後ろにいるご老人ってもしやヨルグ=ローゼンベルクでは……!?

 エルザイム公国の公太子シェリドは、憧れの帝国の皇子オリヴァルト夫妻と会えたようだ。

 遊撃士組。フィーは一度帝国へと戻っている様子。え、続編でも出てくるよね? ね?

 七耀教会組。ベルガルドに再会できたことを喜ぶガイウスが可愛い。そして『空の軌跡 the 3rd』主人公のケビンさん、お久しぶりです!

 幼馴染組。この3人のお話はもっと見たいと思う魅力がある。

 学藝祭に向けてガムテープなどの買い出しをする高校生組。

 これにて『黎の軌跡』の物語はEND。そして『黎の軌跡II』へと続いていく。


『黎の軌跡II』電撃スペシャルパックが登場!

 『黎の軌跡II』電撃スペシャルパックでは、“グレンデル”がプラキットになって付属! 更に学生時代のヴァン・エレイン・キンケイドを描いたタペストリーや、ピクニック隊の缶バッジ&ポストカードセット、新久保先生の描き下ろし4コマにエレインのDLC衣装など盛りだくさんです。

 また、シズナEDITIONでは“シズナの黒太刀”のメタルウェポンも同梱されます。豪華グッズが詰まった電撃スペシャルパックをお見逃しなく!

※“グレンデル”のプラキットは後送で12月以降のお届けとなります。

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