『クライシス コア -FFVII- リユニオン』レビュー。単なるHDリマスターではなく、まぎれもない『リユニオン』だ

　スクウェア・エニックスから12月13日（Steam版は12月14日発売）に発売されるPS5/PS4/Nintendo Switch/Xbox Series X|S/Xbox One/Steam用アクションRPG『CRISIS CORE -FFVII- REUNION（以下、CCFFVIIR）』。そのレビューをお届けします。

　本作は、2007年に発売されたPSP用ソフト『CC-FFVII-』のHDリマスター版。『FFVII』の7年前を舞台に、ザックスを中心としたソルジャーたちの物語が描かれます。

　発売を前に本作をプレイする機会を得られたので、この記事ではレビューを掲載。物語の核心などには触れませんが、記事内にゲームのネタバレが含まれている可能性についてご了承ください。なお、プレイしたのはPS5版となります。

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グラフィックのHD化がもたらす圧倒的な没入感

　キャラクターの3Dモデルをはじめ、背景もUIも全グラフィックがHD化で作り直されている『CCFFVIIR』。もともとのPSP版も、当時の携帯ゲームとしては十分ハイクオリティなグラフィックでしたが、HD化によってビジュアルは文字どおり生まれ変わりました。

　高精細なグラフィックで描かれるキャラクターの動きや表情、ミッドガルのさまざまな背景などが没入感を高め、プレイヤーを虜にしてくれます。全体的に暗めなロケーションが多い本作ですが、だからこそ時おり見られる明るいロケーションではグラフィックの美しさが際立ちますね。

　自分はプレイしていた際、2章で訪れるバノーラ村のリンゴ農園を見て、感動で一瞬声を忘れました。大画面に映し出して遊んでもまったく見劣りしないグラフィックは、間違いなく本作の目玉のひとつでしょう。

　HD化による視覚的なインパクトは大きく、ゲーム部分のプレイにも少なからず影響を与えていると感じます。敵や味方、攻撃エフェクトなどがはっきり視認できるようになっており、ハードの変化を抜きにしてもPSP版からさらに遊びやすくなっている印象です。

　今回はPS5版でプレイしましたが、多機種で共通してこのHD化を味わえるのも評価点。『CC-FFVII-』を遊んだことがない人の入門用として、最適な作品に仕上がっています。

まるで『FFVII REMAKE』!?　随所に見られる細かい変化

　『CCFFVIIR』の大きな特徴として、ゲーム全体が『FFVII REMAKE』に寄った雰囲気に作り直されているという点が挙げられます。各種UIやメニュー画面のデザイン、ダッシュで移動できるなど、遊べば遊ぶほど『FFVII REMAKE』に近いゲーム感覚を味わえると思います。

　さすがにグラフィックは『FFVII REMAKE』におよばないものの、HD化によってPSP版からかなり差は縮まっています。

　リメイクプロジェクト第2弾『FFVII REBIRTH』が発表され、『FFVII REMAKE』にも再び注目が集まる現在。このタイミングで『CCFFVIIR』を出すなら、『FFVII REMAKE』に沿った作り直しはたしかに効果的で、作品間で大きな違和感を感じることなく楽しめます。

　『FFVII REMAKE』はプレイしたけど『CC-FFVII-』は未プレイの人、『CCFFVIIR』を遊んでから『FFVII REMAKE』を遊ぼうとする人のどちらにも本作はピッタリで、『FFVII』リメイクプロジェクトの流れに作品が自然と溶け込んでいます。

HD化に留まらない数々の改良と新要素！

　画質の向上だけでなく、ゲーム部分にも数々の手が加えられている本作。個人的には、“D.M.W（デジタル マインド ウェーブ）”でリミット技が任意発動できるようになった点と、新要素“スキルパワーゲージ”が印象的でした。

　前者に関しては、D.M.Wで絵柄がそろったあとに△ボタンでリミット技が発動するようになり、好きなタイミングで技を繰り出せるようになったのがグッド。敵のスキルパワーゲージに対して攻撃系のリミット技をぶつけるという戦い方もでき、バトルの戦術性が増しています。

　後者のスキルパワーゲージは、ボスの必殺技を弱体および阻止できる新要素。PSP版をプレイした身だからこそ断言できますが、これはまさに“求められていたシステム”です！

　PSP版ではボスの必殺技に対し、基本的に耐えるしか選択肢がなかったと記憶しています。支援魔法やフェニックスの尾の役割が用意されていたとも考えられますが、腕前でどうにもできない攻撃をボスが使ってくる仕様には、正直プレイしていて首を傾げたものです。

　しかし、『CCFFVIIR』ではスキルパワーゲージを削り切れば必殺技を阻止できるようになりました。これは達成感や爽快感を味わえるだけでなく、装備やマテリアなどカスタマイズの重要性にも影響を与え、本作のアクションバトルをより奥深くしています。

　上記のみならず、メールの確認とミッションの挑戦にワンボタンでアクセスできる改良や、召喚獣の新ムービーといった要素も存在。とくに召喚獣の新ムービーは、これだけでもかなり労力がかかっているであろうリッチな内容となっているのが魅力です。

やりこみも豊富で純粋にハマる！

　今回はレビュー用のプレイでしたが、進化した部分のおもしろさが想像以上で、気を抜くといつまでも遊んでしまいそうでした。PS5版のおかげか、ロード時間もほぼ皆無でしたし！

　マテリア合成やミッションなど豊富なやりこみ要素もあり、骨太なゲーム体験が詰まっています。もとのPSP版が高水準にまとまったアクションRPGなので、見た目と遊びやすさが改良されただけで今でも夢中になれる作品に仕上がっています。

　単なるHDリマスターであれば『CRISIS CORE -FFVII- HD』といった作品名になっていたと思いますが、実際にプレイすると「これはHDリマスターに留まらない『REUNION』である」と確信できます。

　昔の作品のHD版を出すうえで、画質を上げるだけでなく今の時代に合わせたアップデートを施す。この理念がしっかり体現されているのが、本作で一番評価すべき点ですね。

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スズタク：RPGとアクションをこよなく愛するライター。近年、シミュレーションRPGのおもしろさに気づき始める。

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