すでに2本以上の新作に着手。 DMMグループの戦略的子会社“Studio KUMASAN”が生まれた目的とメリットは…美少女ゲーム好きにとって素敵な未来につながりそうです!

カワチ
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 “クリエイティブチーム くまさん”の団長として、はせPの愛称で親しまれる長谷川雄大さんが設立した新会社“Studio KUMASAN”について聞き出すインタビュー。インタビュー前半から続く後半では“Studio KUMASAN”の目指すビジョンをお聞きしていきます。

長谷川 雄大(Hasegawa Yuta)さん

 専門学校在学中、コンシューマーゲーム会社へ入社。その後、大手出版社にて出版営業や雑誌制作など幅広い業務に従事。2014年にDMM.comラボ(現EXNOA)に入社。現在は企画制作部部長 兼“クリエイティブチーム くまさん”の団長を務める。通称“はせP”。

  • ▲代表作は『ミストトレインガールズ 』『モンスター娘TD』など。

かつてのスピード感を取り戻すために

――新会社“Studio KUMASAN”として新しい出発をすることになりますが、今後の目標をお聞かせください。

はせP:“クリエイティブチーム くまさん”というブランドを広げていくというのがひとつの目標です。もうひとつはかつての速度ですね。もともとEXNOAは10人ぐらいの組織でしたが、今は会社全体で1000人ぐらいの規模になっています。

 DMMグループはベンチャー気質で、スピード感のあるジャッジで投資をしていくという強みがあったのですが、これぐらいの人数規模になってくると判断が遅くなってきてしまうんです。いろいろなことを同時にジャッジしなければいけないため、これは仕方のないことです。どこの会社さんも規模が大きくなるにつれて、生まれてくる悩みでしょうね。

 そこで、今の新会社として目標に持ってきているのが、ユーザーさんからいただいた意見に対して、なるべく早く運営としてレスポンスしたいということです。

 ユーザーさんとちゃんと向き合ってスピード感のある運営をするのが僕のスタイルとしてやってきたことなので、そのレスポンスが遅くなってしまうっていうことは良くないなと、ずっと感じていました。

 “Studio KUMASAN”はすごくスマートな少人数のチームとして独立したのですが、それは経営のジャッジなどを僕ができるようにしてスピード感を上げていくことを意識しているからです。

――スピード感を取り戻したかったと。

はせP:プレスリリースには戦略的子会社と書きましたが、それは戦略的に速度感を上げるための独立ということです。ユーザーさんに求めてられているものがあるなら、即座に経営判断をして、すぐにその動きを取れるような形にしたい。そのためのジャッジを僕が最優先でできるという形にしているところです。

――これまでいくつかの承認が必要だったものを省けるようになったわけですね。

はせP:そうですね。承認にはいろいろな検討事項があるわけで、ひとつなにかを動かすとなると、さまざまな手順が必要です。それを僕がしっかり確認したうえで、すぐに判断できるようにします。

 たとえば、特殊な新イベントや新要素を盛り込もうとすると、それだけ費用や工数がかかるわけで、それを会社に承認してもらうためには準備や時間が必要になるわけです。仮にこれまで会社を通すために1カ月間かかっていたようなことが、今後は僕が決裁権・承認権を持つことで、数日に縮めることができるわけですね。

 でも、これが本来のDMMのスピード感あるジャッジだと思っているので、そんなベンチャー気質を取り戻したいというのが、今回の戦略的な独立です。これまでも面白い美少女ゲームを生み出すために動いてきましたが、新会社の設立によって動きやすくなるので、もっと面白い美少女ゲームを作っていけるはずです。

――長谷川さんは会社にどのような点が認められて新会社を設立できたと思いますか?

はせP:まず、新会社を設立することは簡単なことではないので、何度も話し合いをしました。なにが認められたのかは僕の口から言うのは難しいですが、僕のゲームをおもしろいと言ってくれるユーザーさんの実際の声ではないかと思っています。

 やっぱりファンの人たちがしっかりゲームがおもしろいと声を上げてくれているのが今回の話に繋がったのではないかと。

――では、長谷川さんがチームくまさんをブランドとして高めるためにやっていることはなにかありますか?

はせP:じつはブランドをよく見せるためのマーケティング活動はほとんどしていません。それこそTwitterを立ち上げるみたいな一般的なマーケティングもしていないんです。本当にユーザーさんと向き合って、いいと思ってもらうものを作って、少しずつ名前を覚えてもらおうぐらいしか考えてないですね。

 もちろんブランディングをしたい気持ちはありますが、ユーザーさんと向き合ったうえで、その結果として支援してもらえることがいちばん嬉しいです。

――宣伝をしなくても、コアなゲーマーはいいゲームと出会ったらどこが作ったのか気になって調べますよね。

はせP:そうなんですよ。だからケバケバしく紹介するのも違うかなと。ずっと寄り添ってくれる人たちになってくれるかが重要で、そういう方たちを増やしたいんです。

――新会社の話に戻りますと、戦略的子会社ということは、チームくまさんが完全に独立してDMMとは別会社になるというわけではないんですね。

はせP:はい。DMMグループの100パーセント子会社でEXNOAとは横並びの会社になります。

――独立の経緯ですが、会社の上の人から話があったのか、長谷川さん自身が独立のメリットを上の人に伝えたのでしょうか。

はせP:どちらかというと会社との話し合いのなかで、このかたちを提案いただいたという形ですかね。僕としては大きな会社になった特有の問題がいくつも出てきてしまっていることで、DMMらしさが薄れてきていることに強い課題感を感じていました。

 そういった問題を自身で解決したいという思いを伝えたところ、独立を提案いただいたという形ですね。僕自体がEXNOAのなかでより広い範囲をマネジメントするという案もありましたが、その形だと僕がプロダクトを作れなくなってしまう。

 また、単純な独立だと、元の会社で指揮する人間が少なくなってしまうということで、新会社との兼務でEXNOAにも執行役員として残るという形になりました。ここはEXNOAのCOOの東條やCEOの村中とも話し合って一番いい形に落とし込んだというところですね。

――初期メンバーに近いとはいえ、1人の開発スタッフが独立して会社の社長になるというのはなかなかすごいことかと。他のゲーム会社でもあまり例が少ない事例ですよね。

はせP:うちの会社的にもレアケースですね。外から買収して子会社化する場合はあっても、なかから新会社が設立されることはほとんどないと聞きました。

――お話を聞いていると、やはりグループ内から認められたところから、戦略的子会社も任せられたと感じられます。

はせP:それはあるかもしれませんが、これがほかの会社だったら絶対になかった話だと思っています。DMMだから認めてもらえた。

 先ほどから話しているスピード感のあるジャッジももちろんですが、結果を出したものや人たちを評価する文化がDMMにはあります。この会社はチャレンジをして、結果を出し続ければ、必ず陽の目を浴びるチャンスが来ると思っています。

――新会社の社名についてお聞かせください。くまさんの名前を引き継いだのはこの名前に思い入れがあるからでしょうか?

はせP:そうですね。『FLOWER KNIGHT GIRL(フラワーナイトガール)』の生放送に僕が映ったときに「くまさん」とイジってもらえたことがきっかけです。僕はユーザーさんと向き合いながら作品を作っているので、このくまさんもユーザーさんからもらった大事な名前なんです。

 それで、クリエイティブチーム くまさんというチームを立ち上げたので、会社名を考えることになったときもまったく迷わなかったですね。たとえば、ユーザーさんにブタって呼ばれてたら、ブタさんになっていたでしょうね。ユ―ザーさんの反応自体が僕にとってはすべての糧なので、そこは大事にしています。

――新会社でやってみたいことはありますか?

はせP:僕を含めてチームのメンバーはDMM GAMESのプラットフォームが好きなので、そこが主力であることは変わりません。アダルトな部分も含めて、楽しい美少女ゲームを作っていくつもりです。

 僕はDMM GAMESというゲームプラットフォームは、これからまだまだ発展すると信じています。現状はほかの市場よりも遅れている部分もありますが、だからこそ、もっと挑戦できるはず。

 そちらのチャレンジが満足できたときに買い切りのゲームも作ってみたい気がしますが、まだまだ先の話で、直近では考えてないですね。当分は美少女ゲーム中心です。

――DMMのゲームをずっと遊んでいる、いちプレイヤーとしてはどんどん遊びやすくなっている印象があるのですが、長谷川さんとしては、まだまだ改良の余地があるイメージでしょうか?

はせP:そうですね。少なくとも、ゲームのクオリティはもっともっと上げられるはずです。これまではブラウザゲームの展開が中心でしたので、どうしても軽く動かすことが重要視されがちでしたが、今はDMM GAME PLAYERもありますし、まだできることは全然あります。いわば、伸びしろだらけです!

 最近だと『メメントモリ』にうならされましたね。あの作品がヒットしたのは独特の世界観作りや、芯の入ったクリエイティブがユーザーさんに評価されたからではないでしょうか。僕たちはまだそこに到達してないですし、DMMの外を見てもすごいタイトルばかりです。そういった作品にちゃんと追いついていけるようなタイトル作りをしていかなければいけないと思っています。

――新会社の代表になることで経営部分も増えるのではないでしょうか?

はせP:そうですね。経営のところも一通り見ることにはなりますが、お話した通り明確にやるべき目標は定まっています。みんなでちゃんといいものを作って、世に発信していくってだけでも、目標としては十分で、余計な経営は必要ないチームだと思っています。

 経営=お金も大事ですが、僕がトップとなる新会社だからこそ、お金よりもクリエイティブ優先で動けるチームづくりをできるメリットも大きいです。

 ちなみに僕は経営とクリエイティブのどちらの仕事もやることになりますが、相変わらず現場でのクリエイティブが中心になります。そのため、サービス中のゲームに関しては、なにも変わらないので安心してください。むしろ、これからはスピード感をあげて対応していけるので、ぜひ期待してほしいです。

――“Studio KUMASAN”の新作について予定などがあればお聞かせください。

はせP:会社設立と同時にタイトルも発表したかったのですが、具体的なことはもうちょっと先になりそうです。現在複数本の新作ゲームを制作していますが、そのうちの2本は今年のうちに発表できるはずなので、楽しみに待っていて欲しいですね。

――最後に改めて新会社設立に関する意気込みをお聞かせください。

はせP:ここまでDMM GAMESを支えてくださったユーザーのみなさん、本当にありがとうございます。ユーザーさんとしっかり向き合って、タイトルを作って運営していくということは、株式会社Studio KUMASANにかぎらず、合同会社EXNOA、DMM GAMES全体で変わらずやっていくので、今後もチャレンジをしていくDMM GAMESをぜひ応援してくださるとうれしいです。

――本日はありがとうございました。

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