『機動戦士ガンダム 水星の魔女』12話(第1クール最終回)は画面の前で「マジか…」「えぐい」と言ってたら30分が過ぎてました【感想&考察】

てけおん
公開日時

 1月8日に放送&配信されたアニメ『機動戦士ガンダム 水星の魔女』第12話(第1クール最終回)“逃げ出すよりも進むことを”の感想や考察をお届けします。

【注意】キービジュアルより先のテキストでは、『機動戦士ガンダム 水星の魔女』第12話の物語に関する記述が多々あります。そのため本編をご覧になってから読むことを強くオススメします。

視聴者の情緒をかき回しまくった最終回

 タイトルに書いた通り、画面の前で「マジか…」と「えぐい」を言うだけのマシンとなっていました。

 11話で部屋の掃除や1日3回のメールを要求するなどのやり取りを繰り広げていたのに、まさかED後のCパートであんな最後を迎え、さらに春までお預けなんて……。

 最後まで見て放心状態になっていましたが、数時間経って落ち着いたところで12話の感想などを書いていきたいと思います。

父と子に訪れたのは、残酷な結末……

 Cパートの衝撃も大きかったですが、Aパートでもっとも撃的だったのがグエルとヴィム(グエルパパ)のドラマ。ここでも「こんなのってないよ……」と大きく心を揺さぶられました。もうヴィムがディランザに乗って前線に出て行った時点でイヤな予感はしていたんですが、ソフィかノレアに撃墜されると思っていたんですよね。

 それがグエルがデスルターに乗るあたりから「こ、これはマズイのでは……」と猛烈にいやな予感が。そしてグエルがスレッタのことを想いながら繰り出した一撃は……。ヴィムの最期の言葉がグエルへの恨み言ではなくその身を心配する言葉だったのがまた何とも言えません。それを聞いたグエルの悲痛な叫びでAパートは幕を閉じます。

 この悲劇、もちろんクーデターを企てたヴィム自身にも原因の一端はあるのですが、シャディクによるところが大きいですよね。はたしてグエルがそのことを知る日は来るのでしょうか? そして知ってしまったらどうするのでしょうか? 第2クールでグエルに“救い”があることを望まずにいられません。

ここで『祝福』のアレンジを流すのか

 Bパートでまず「うわぁ……」となったのはプロスペラとスレッタの会話ですね。娘を守るためではありますが、目の前で殺人を行い、そのことに動揺する娘を言葉巧みに自分の目的に向けて動かしていきます。

 そのシーンのBGMが穏やかな曲調にアレンジされた『祝福』という……。絶句しながら見ていました。すごい、本当にすごい。途中から思っていたことではありましたが、スレッタとともにあった「逃げたらひとつ、進めばふたつ」という言葉は、彼女を支えとなってきたものでありつつも縛り付ける言葉でもあるのでしょう。

 エアリアル(改修型)のシーンは後で振り返るとして、先にCパートについて。すでに皆さんもご覧になって、筆者と同じ衝撃を受けたかと思いますが、母親が敵を殺したことにあれだけ動揺し怯えを見せていたスレッタが、こともなげに敵兵を殺します。ここがもう本当に衝撃的で……。

 何でプロスペラはここまで……と思わざるを得ない出来事でした。

 その後、いつもと変わらないテンションでコックピットを降り、エアリアルと同様に血にまみれた右手をミオリネに差し出すスレッタ……。そんなスレッタとミオリネのそばにはかしづくエアリアルがあります。1話のラストと似たような構図であることが、なんとも印象的な、第1クールのラストでした。

エアリアル(改修型)が初出撃!

 さまざまな出来事のせいでかすんでしまいましたが、12話ではエアリアルの改修型が初出撃となりました。『ガンダム』シリーズのファンにとって主人公が駆る新型機の出撃は“アガる”シーンですよね。

 2機のガンダムに一歩も引かず戦い、長大な射程を持つビームライフル(HG 1/144 ガンダムエアリアル(改修型)のページによると、すべてのビットステイヴを銃身に接続した状態を“ガンビットライフル”と呼ぶそうです)での一撃! 撃つ前にノレアが身震いしてオルコットに後退を進言していたのが、その威力のヤバさを表しているようでとってもいいなと感じました。

 そんなエアリアル(改修型)のガンプラは3月に発売予定。これは絶対にほしいやつですね……。

何もわかっていないってことがわかった第1クール

 第1クールが終わりましたが、ここまで謎を保ったまま終わりを迎えるとは……。

 プロスペラの最終的な目的……わかりませんでした。“ゆりかごの星”でエアリアルはプロスペラの目的を“復讐”だと推察していますが、筆者は今、「はたして復讐が目的なのか?」と考えています。

 デリングと協力関係にあることが明かされたプロスペラ。彼女の目的に関係していると思われるプロジェクト“クワイエット・ゼロ”は、第1クールでは何も明かされることなく終わりました。

 エアリアルのことも謎だらけです。なぜエアリアルだけが操縦者にデータストームを発生させないのか? 強化人士4号に見せた幻影は? パーメットスコア6とは?

 また、ベネリットグループの他にはどんな勢力がいるのか? 単語だけ出てきている“宇宙議会連合”という組織や“フォルドの夜明け”、ソフィとノレアを“フォルドの夜明け”に派遣している組織、地球は今どういう状況なのかも不透明。考えてみればわからないことだらけです。

 これらのことが第2クールでは明らかになっていくのでしょうか? 今から4月が楽しみで仕方ありません!

その他気になったこと

 さて、ここからは筆者が第12話を見て気になったことを、たまに推測を交えながらつらつらと書いていきたいと思います。

●パーメットスコア4

 アンチドートを無効化したソフィは「ソイツが通じるのはスコア3までだよ」と言います。プロローグの時点でスコア3まではナディムも使えていました。対GUNDフォーマット技術はほとんど進化せずのままだったということなんでしょうね。こういった技術の追いかけっこは現実世界でもありますし、今後はより強力な対GUNDフォーマット技術が出てくるかもしれません。

 プロローグではナディムが、第6話でエラン(強化人士4号)がスコア4を使っていましたが、かなり命を削っているかのように思えました。それに比べるとソフィはまだ余裕があるようにも見えました。GUNDフォーマット技術も進歩してデータストームの影響が減っているということなのか、強化人士のようなものなのか。この辺りも気になりました。

●身体を張ってミオリネを守ったデリング

 敵ガンダムの攻撃を受けた際、デリングはミオリネを守りました。その際に「生存確率の高い選択をしろ」「ノートレット(ミオリネの母)ならそうする」とミオリネに伝えます。さらにデリングはノートレットと「何かあればどちらかだけでも……」という約束を交わしていたことも明かされます。

 なぜデリングとノートレットはこんな約束をしたのでしょうか? どちらかだけでも生き残らなければならない理由があったと推測できます。そして12話では、デリングはその身を挺してミオリネを守りました。つまりは“ミオリネを守ること”が理由だったからではないでしょうか? 単に娘への愛情から妻と約束を交わし、自らを犠牲にして守ったと見ることもできますが、なんとなくそれだけが理由じゃないような気も……。ミオリネには“特別な何か”があるのかもしれないと思いました。

 余談ですがこのシーン、デリングのことをクソ親父ではなく「お父さん!」と気づかわしげに叫んだミオリネが印象的でした。

●「宇宙を汚しやがって!」

 本作はアーシアンとスペーシアンが対立しているという設定ですが、それが現れたセリフなのかなと。実弾使用が禁止されているのはデブリ対策ということなのでしょうか? またノレアは「地球を汚して逃げたスペーシアンがどの口を……」と言います。地球を汚したとはどういうことなのでしょうか? またこの時、ノレアがどうやって敵のセリフを聞いたのかもちょっと気になりました。

●ニカの正体がばれてしまいそう……?

 宇宙空間を漂う薬きょうから相手がアーシアンだと推察したニカは、ノレアにコールサインを送って難を逃れましたが、その様子をマルタンに見られてしまいます。地球寮の面々の中では気弱なところが目立つマルタンですが、ニカを告発するのでしょうか? それとも……?

●「実戦仕様じゃない? それであの威力か……」

 エアリアル(改修型)がガンビットライフルを撃った時のオルコットのセリフです。ビームの色などを見て判断したのでしょうか? 学園の決闘の際は、各種兵器の威力が抑えられていたことがうかがえるセリフです。こういうセリフ、ガンビットライフルのすさまじさがにじんでいるようで、好きなセリフですね。

●作戦失敗に動じないシャディク

 サビーナを通じて作戦失敗を知らされるも、顔色ひとつ変えないシャディク。この展開も想定の範囲内ということなのでしょう。なんだかジェターク・ヘビー・マシーナリーにすべての責任がおっかぶせられそうな気が……。

●スレッタ“お姉ちゃん”

 最後にスレッタのことを“お姉ちゃん”と呼んでいたソフィ。このシーンの前にはスレッタを“動画の人”などと呼んでいたことから、面識があったというわけではないでしょう。実際に手を合わせてみて、興味の対象になったということなのでしょうかね?

『機動戦士ガンダム 水星の魔女』

【スタッフ】※敬称略
企画・制作:サンライズ
原作:矢立肇/富野由悠季
監督:小林寛
シリーズ構成・脚本:大河内一楼
キャラクターデザイン原案:モグモ
キャラクターデザイン:田頭真理恵/戸井田珠里/高谷浩利
メカニカルデザイン:JNTHED/海老川兼武/稲田航/形部一平/寺岡賢司/柳瀬敬之
チーフメカアニメーター:久壽米木信弥/鈴木勘太/前田清明
副監督:安藤良
設定考証:白土晴一
SF考証:高島雄哉
メカニカルコーディネーター:関西リョウジ
設定協力:HISADAKE
プロップデザイン:絵を描くPETER/えすてぃお
コンセプトアート:林 絢雯
テクニカルディレクター:宮原洋平
美術デザイン:岡田有章/森岡賢一/金平和茂/玉盛順一朗/上津康義
美術監督:佐藤歩
色彩設計:菊地和子
3DCGディレクター:宮風慎一
モニターグラフィックス:関香織
撮影監督:小寺翔太
編集:重村建吾
音響監督:明田川仁
音楽:大間々昂
製作:バンダイナムコフィルムワークス/創通/MBS

【出演声優】※敬称略
スレッタ・マーキュリー:市ノ瀬加那
ミオリネ・レンブラン:Lynn
グエル・ジェターク:阿座上洋平
エラン・ケレス:花江夏樹
シャディク・ゼネリ:古川 慎
ニカ・ナナウラ:宮本侑芽
チュアチュリー・パンランチ:富田美憂
デリング・レンブラン:内田直哉

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