レビュー:待ち受ける限界生活。『ハテナの塔』はパンがとにかく大事なサバイバルゲーム!
- 文
- sexy隊長
- 公開日時
- 最終更新
集英社ゲームズのサバイバルADV『ハテナの塔 -The Tower of Children-』の企画記事をお届けします。
4月20日に発売されたばかりの『ハテナの塔』。世界観・登場キャラクターを前編ではご紹介しましたが、後編では独特な戦闘システムなどについて見ていきましょう!
『ハテナの塔』関連記事抜粋
絵本のような作風だけど……? 侮るなかれ!
本作は謎に満ちた塔を中心としたサバイバルADVです。危険と未知の探索を進めながら、地上にあると言われている楽園を目指すことが主な目的となっています。
一見、絵本のようなタッチでほんわかした作品に見えるかもしれません。ですが、間違いなく本作は“サバイバルADV”です! その理由が感じられるシステム面を見ていきましょう。
実はやることが多い! 塔の上の(限界)パン生活。
塔の上にそびえ立つ謎の大きな木。実はこの木は神木と呼ばれており、パンを捧げることで塔の上が発展していく、というシステムになっています。
塔の上を発展させるとパンの入手が容易になったり、楽園を目指すのに必要な施設の復活ができたりと至れり尽くせり。塔の上の発展が最重要となっています。
他にも、ここでは子どもたちを塔の戦士へと導く戦礼を授かることができるほか、子どもたちの愛着度をあげるイベントや会話を行えます。子どもたちの能力を上げるのに必要なものもあるので、こまめにチェックしてあげてくださいね。ちなみに戦礼にもパンが必要です。どう使うかかなり悩むところ。
というのも、ここの生活では子ども1人につき、1日1個パンを消費していきますつまり、最大9人で生活をするので1日9個のパンを消費することになります。ここまで読んでお気づきでしょう、何をするにもパンを消費する“塔の上の限界パン生活”が待ち受けていると……!
本作はパンがなくなり、2日経過すると子どもたちは全滅。ゲームオーバーとなってしまいます。ゲームオーバーになると最初からになってしまうので、慎重にパンを管理したいですね。
そこだけ見ると身構えてしまうかもしれませんが、ご安心を。救済処置として、復活した施設や経験値、子どもたちの愛着度などは、次の挑戦でも引き継げます。ただ、出会う子どもたちはランダムなので、前回のプレイで育てた子どもたちに会えない可能性も。
塔の中の冒険は楽園探しよりもパン探し!?
塔の中へ冒険へ行く際、パンを集めて持ち帰るか楽園を求め下へ下へと進んでいくか、どちらかを選んで進行していきます。
この2つの選択肢によって、塔の中に持っていくアイテムが変化。
塔の中で手に入るアイテムも変化するようです。パンを集めて持ち帰るを選択すると、“不思議なつるべ”というアイテムが手に入ります。
このアイテムは塔の中の特定の場所、戦闘中に使用すると、いつでも塔の中から脱出できるアイテムになります。そのため、安全にパンを持って帰れるのですが、たまに失敗してパン半分をロストしてしまうことも……。消えたパンはどこへ。
楽園を求め下へ下へと進んでいくを選択すると、今度は“パン”を持って塔の中へと冒険できます。パンは回復として重宝するアイテムなのですが、使いすぎると塔の上で生活する分もなくなってしまいます。
地上の楽園を目指すため、塔の中を冒険するのが目的ですが……塔の上でも冒険の回復でもパンが大量に必要になるので、しばらくは塔の中でパン探しの冒険をメインにしたほうが良さそうな印象です。とにかくパンがないと困ります!
まるでトランプ!? スピーディーなリアルタイムカードバトル!
本作の魅力を語るのに外せないのが戦闘システムです! 3種類の職業タイプ+70種類以上の、タロットをインスパイヤしたカードを使用してのバトルは世界観にも合っていますし、何より奥が深いです。
「70種類以上のカードか……デッキを組むの難しそうだな……」と思う方もいるかもしれませんが、塔の中に持ち込めるカードは各子どもが所持している4枚+ペアで塔の中に入るので8枚が基本になります。
そこに不思議なつるべやパンといったアイテムを含めると、最大でも10枚ぐらいのデッキ構成で挑むことになります。各子どもが所持しているカードは変更できないので、自分でデッキを組むということはありません。こういったシステムに不慣れな方でも、入りやすい仕組みとなっている印象です。
今度は「デッキ構築ができないのは物足りないなぁ……」と思う方もいると思いますが、安心してください! 誰と誰でペアを作ろうかな? というのが本作のデッキ構築になっています。
剣士、魔法使い、神技使いという3つの職業タイプがあるので、剣士×剣士や神技使い×神技使いといった同タイプで構築するのもありですし、剣士×魔法使いといった異なるタイプで構築することもできます。様々な組み合わせが楽しめるのがいいですね。
それに加えて、各子どもが所持している固有のパッシブスキルやスキルもあるので、単純なデッキ構築に見えますが奥深さが味わえます。
カードは10枚がMAXではなく、塔の中を冒険していると様々なイベントや戦闘にてカードが入手できます。運要素が強いデッキ構築になりますが、ローグライクなカードバトルというジャンルはなかなか斬新なシステムに感じました。
なお、塔の中で入手したカードは上に戻るとすべて失ってしまいます。塔から持って帰れるのはパンのみなので、手に入れたカードは色々と使って効果を試しておくのも良いでしょう!
ここで、各職業の特色を解説したいと思います。
●ジャストガードを使いこなせ! “剣士”
剣による攻撃、盾によるガードを行うことが可能なバランスタイプの職業。一定時間内に攻撃カードを出すとダメージが上がっていく、連撃を繰り出してくれます。
盾を使ったジャストガードをタイミングよく発動させることで、相手の行動を制限できます。剣士はこのジャストガードがうまく使いこなせるかどうか? が鍵となっているので、ぜひ練習してみてくださいね。
●序盤は攻撃に回復と重宝する。“魔法使い”
攻撃が全体攻撃となっているなど強力なイメージを抱きますが、発動までに詠唱時間が必要なものも。この詠唱時間中、新たな魔法をチャージすることができるので、より強力な攻撃へと昇華できるのが特徴です。
回復系の魔法を使うこともできるので、序盤は魔法使いの子どもたちが冒険しやすかったです。1人は選んでおきたいですね。
●使いこなせたら最強!? “神技使い”
印を指で組んで相手を麻痺させる、といった、妨害や遅延が得意な職業です。剣士と魔法使いのいいとこ取りという感じですが、慣れないうちは印を組むのがちょっと難しいかもしれません。
といったように、三者三様のスタイルを持った職業を駆使して探索中の危険を乗り越えましょう! 基本的には同じ職業でペアを組んだほうが良さそうですが、そればかりではなく、色んな組合せで冒険が必要な状況が用意されています。筆者は剣士と魔法使いを組ませて、詠唱中の無防備なところをひたすらガードして守る……というプレイで楽しんでいました。
ちなみに本作はターン制のカードバトルではなく、リアルタイム制のカードバトルなのが面白いところです! しかもこのカードには向きがあり、上下逆さのカードを使用すると……?
攻撃するのか? 回復するのか? ジャストガードするのか? といった判断をリアルタイムで行い、なおかつ使用するカードの向きは合っているか、というのも確認して……と、なかなかに忙しい戦闘です。が、考えることの多さと手ごたえが釣り合っていて、のめり込んでしまいます。
実際にプレイしてみると分かるのですが、忙しなさはあるものの難しいわけではく、例えるならばトランプのスピードをプレイしている感覚に近いですね。テンポよく&楽しく&軽快に戦闘が楽しめるシステムになっています。
塔の中を進んでいくと、こちらのカードを逆さまに変えてくる敵、酒を浴びて回復し続ける敵、ウソをついてくる敵など個性豊かな敵が多数出てくるのも本作の魅力。
多数いる敵の弱点に気づけないと、序盤から大苦戦することも……。ですが、戦闘中にその弱点を見つけるのがすごく楽しいです!
例えば、酒を浴びて回復し続ける敵が出てきますが、回復量が多すぎて普通に攻撃するだけではダメージが足りず倒しきれない! ということが起きます。じゃあどうすればいいのか? というと……答えは簡単“火をつける”です。酒を浴びているので炎属性の攻撃で大ダメージを与えられる、と。頭が柔らかくなる気がします。
攻撃だけではなく、相手の攻撃を防ぐ方法も多岐にわたります。戦闘中にヒントや対処法を教えてくれるときもあるので、画面下のカード以外にも、視野を広げて色々な場所を見ることが大事です。戦闘の奥深さを楽しめるだけではなく、楽園への近道になります!
ハテナな世界観×サバイバルADV=絶妙なバランス
本作は、様々な“ハテナ”とサバイバルADVのシステムが絶妙に組み合わさって、最初から最後まで世界観にどっぷり浸かることができる素晴らしい作品です。
特に塔の中では戦闘だけではなく、パンがほしい、薬草がほしい、不幸をもらってほしい、薪に火を付けてほしい……などといった、いくつものイベントが発生します。イベントに成功したらカードが入手できるのですが、失敗したら戦闘が始まってしまう場合も。何が起こるか分からないのが結構ドキドキします。
“子供たち”、“敵”、“カード”というコレクション要素も存在するので、そういった部分も攻略とは関係なしにワクワクする要素になっています。しかし、塔の上には子供たちしかいないのに、塔の中で出会う敵は大人ばかりという部分……すごく不思議ですよね。
世界観orシステム、どちらかが気になった方でも間違いなく楽しめる作品になっているので、ぜひ子どもたちと地上の楽園を目指してほしいです。
ちなみに、本作を初めてプレイした時に一番印象的だったのが、塔を下っていくところでしょうか。洞窟やダンジョンと異なり、塔が舞台だと上へと向かっていくイメージが強いので、尚更「地上の楽園とは……?」という気持ちにさせられましたね。
未知と神秘に満ちた“ハテナの塔”。ゴールデンウィークが近いですし、長いお休みがある方もぜひ、探索へ踏み出してみてください!
©SHUEISHA / DeNA / Tasto Alpha, SHUEISHA GAMES
本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります
『ハテナの塔 -The Tower of Children-』公式サイトはこちら
『ハテナの塔 -The Tower of Children-』公式Twitterはこちら