レビュー:神秘的でシビアなサバイバルゲーム『ハテナの塔』が面白い。冒険を終えると記憶がなくなる塔の謎とは?

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 集英社ゲームズが贈る、ローグライクなリアルタイムカードバトルゲーム『ハテナの塔 -The Tower of Children-』。4月20日にNintendo Switch・PC(Steam)で発売される、サバイバルローグライクアドベンチャーです。

 電撃オンラインではネオンがコミックで魅力をお届けしていますが、改めて、発売間近となった『ハテナの塔』の世界観・登場キャラクター、独特な戦闘システムなどを前編・後編に分けて紹介したいと思います!

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神秘的な世界観と多くの謎(ハテナ)が堪能できる世界観


 

 『ハテナの塔』は世界の果て、そのまた果てに存在する塔が舞台です。塔の上の集落で肩を寄せ合い生活する子どもたちは、地上にあると信じている楽園を目指して、塔の中の試練に挑み続けます。

 そういった世界観ゆえか、“塔の上”と“塔の中”しかない、クローズドな世界になっている印象です。どういった結末が待っているのか……? と、プレイする前から期待が高まりました。

すべては塔の上からはじまる


 塔の上はパッと見、大きな木が生えているだけのように見えます。が、探索をしていくと鯨に似た神が空に浮いていたり、祭壇や儀式の場の跡地があったり、とてつもない巨大な生物の骨が存在したり、巨人の像・戦神の像がある……など、狭い塔の上とは思えないぐらい神秘的で、謎多き世界観になっていることが分かります。


 塔の上では、どこからか神の声が聞こえてくることも。神の声は物語の根幹に関わる話であったり、子どもたちを戦士へと導く戦礼を与えたりと、プレイヤーを導いてくれる要素になっています。

 ですが、子どもたちには直接は声が届いていない様子。そもそもこの神は何者なのか? 何を知っているのか? という部分がずっと謎めいており、それを解き明かしていくという楽しみがあります。


 また、この世界で最も重要なアイテムが“パン”になります。そうです、あのパンです。イラストで描かれているものが美味しそう。

 このパンの管理が本作の肝になっていると言っても過言ではなく、子どもたちは最初、塔の上に5人生活しているのですが、1日に1人1個ずつ消費していきます(もっと食べさせてあげたい気持ちにもなりますが)。

 ほかにも戦礼や、塔の上を発展させるために必要な捧げ物としても消費していくのですが、パンをすべて失うと子どもたちの命は絶えてしまうので要注意です! 本作のジャンル名にサバイバルが含まれている理由がよく伝わってきます……。

地上の楽園を目指すため、塔を下へ。その先には……?

 地上にあるという楽園の存在を信じて、塔を下へ下っていく子どもたち。戦礼を受けた子どもたちから2人を選んでペアを組み、冒険していくのですが、塔の中では敵とのバトルはもちろん、不思議な子ども・新しい仲間との出会いなど、様々なイベントが発生します。未知も危険も発見も詰まっているわけですね。


 塔へはパンを集めて持ち帰るか、楽園を求め下へ下へと進んでいくという目的のどちらかを選んでから入っていきます。安全に塔の上に帰れるか否かという違いがあるのですが、詳しくは後編の記事で紹介したいと思います!

 探索中に遭遇する敵とは、カード形式でバトルを繰り広げることになります。そこで登場する敵と使用するカードは、タロットカードからインスパイヤされたデザインになっており、神秘的な世界観にぴったり。センスが良い……! と唸りたくなりますね。


 塔の中には、敵か味方かも分からない子どもや、行く手を阻む巨大な何かなど多くの謎が存在。探索するにつれて数多の不思議、危険が取り巻く塔が隠している秘密が気になっていく造りになっています。独特な世界観に惹き込まれますね。


 何より一番不思議で“ハテナ”なのが、塔の中の冒険を終えて塔の上に戻ると、冒険に出た人の記憶がなくなっているということです。いったい塔の中で何が起こっているのでしょうか? 記憶がなくなるのはちょっと怖いですよね。

総勢20人の個性豊かな子供たちとの出会いが楽しめる!

 ゲームを開始すると、20人の子どもから5人が選択。その後、塔の中を冒険していると倒れている子どもを4人救出できることがあり、最大で9人の子どもたちで生活できます。


 最初の5人も救出できる4人も基本ランダムなので、1回のプレイでは全員に出会えないのも本作の特徴の1つと言えそうです。気になる子がいたら、出会えるまで粘ってみるのも楽しみ方の1つかもしれません。

 子どもたちはそれぞれ“剣士”、“魔法使い”、“神技使い”の3つの職業に属していて、固有のパッシブスキルやスターティングデッキのカードを持っています。子どもが増えれば増えるほど塔の中の冒険の戦略性が増しますし、より楽園へと近づけますが……そのぶん1日のパンの消費量が増えてしまい、パンの管理が難しくなってしまうのが悩みどころです。


  • ▲9人いれば1日9個のパンを消費。パンがなければ死のみです。この世界にケーキはない……。

 能力のパラメーターは、戦礼を受けた際にランダムで設定。話を進めて経験値を稼ぐと、パンを消費して戦礼の受け直しが可能になります。それができるようになると能力が高くなったり、新たなスキルが手に入ったりと、だいぶ楽に進めるようになる印象です。


 以下では、筆者が出会えた子どもたちを紹介します。プロフィールを解放していくと、より詳しいことが分かっていく仕様となっています。

我知らずの子“ニード(剣士)”


 人一倍がんばり屋で正義感が強い、THE主人公キャラ、という印象を抱いたニード。

 プロフィール欄を見ると「でも……」という気になる部分で終わっていますが、これは塔の上で発生するイベントや中の冒険を一緒にこなすことでキャラとの愛着度が上がっていき、開放されます。

 愛着度を100にするとプロフィール画面のキャラが彩色されます。また、そのキャラが持っているネガティブな悩みが解消され、覚醒して新たなスキルを入手可能。好きなキャラやお気に入りのキャラを見つけたら、常に一緒に行動することをオススメします!

腹が満たされぬ子“ガブ(剣士)”


 食べ物への執着心が強い男の子です。地上の楽園よりも食料の方をいつも気にしている様子。集落での生活ではパンが重要ですし、間違っていませんね。

 剣士は剣の攻撃と盾の防御を得意としていますが、ガブはスターティングデッキに盾がなく、超攻撃型なのが特徴です。……パン、本当に1つで足りる!?

世界を見る子“アイ(魔法使い)”


 ふわふわとした女の子。世界がふわふわしていると話していましたが、それは目が悪く世界が本当にぼやけて、ふわふわしていた……というところも。バランス型の魔法使いで、攻撃に回復と様々な状況で使いやすいです。

予言に従う子“ウサン(魔法使い)”


 自称預言者、という良い意味でクセのある性格を持つ男の子です。予言書を常に持ち歩いていますが、その予言書には楽園のことが書いてあるらしく楽園の情報をくれることも。攻撃型の魔法使いなのが特徴です。

逃れられない子“フラワー(神技使い)”


 自分だけが感じる、嫌な臭いにいつも悩まされている女の子。この嫌な臭いから逃れるために戦うモチベーションを維持しているのだとか。

 ただ、緑と光の匂いは好きらしく……彼女だけが感じる嫌な臭いとはなんなのでしょうか? こういった何気ない情報が大きな謎に繋がることもあるので、心の片隅に置いておきたいですね。

愛の申し子“ラブ(神技使い)”



 
 愛を大事にしている女の子、ラブ。名前から既にそう感じ取れます。

 神様からの愛を何よりも信じていて、どんな生活でも神様の愛があるから生きていける……とのこと。地上にあるという楽園も、神様が自分たちのために用意してくれた場所だと思っているようです。

プレイすればするほど惹かれていく世界観。絵本のようなタッチの中にあるシビアさがイイ

 色々とご紹介しましたが、本作最大の魅力は“多くのハテナと神秘的な世界観”にあります。

 神秘に満ちた塔の上や中に散らばる“ハテナ”、登場する子どもたちそれぞれが抱える悩みなどの“ハテナ”……。プレイすればするほど、この世界観に魅了されていくのが分かりました。少し怖いですが、行ってみたいなと感じることも。

 子供たちはどうなるのか? 塔に隠された“ハテナ”とは? といった謎の追求がやみつきになるので、最初から最後までこの世界観に没頭できると思います。

 少しでも刺さる! と感じた要素がありましたら、ぜひプレイしてみてください。

©SHUEISHA / DeNA / Tasto Alpha, SHUEISHA GAMES

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