『機動戦士ガンダム 水星の魔女』23話感想&考察。グエル!? とかエリー!? とか見ていて一瞬も油断できない回でした
- 文
- てけおん
- 公開日時
- 最終更新
6月25日に放送&配信されたアニメ『機動戦士ガンダム 水星の魔女』第23話(Season2 第11話)“譲れない優しさ”の感想や考察をお届けします。
【注意】キービジュアルより先のテキストでは、『機動戦士ガンダム 水星の魔女』23話の物語に関する記述が多々あります。そのため本編をご覧になってから読むことを強くオススメします。
“譲れない優しさ”がぶつかって宇宙を照らす
今回いくつも山場がありましたが、やはりスレッタとエリーの戦いが一番目を引きました。スレッタの言葉にムッとするエリーや、悲しそうに目を伏せる表情が印象的でした。同じく自分ことを心配する言葉を聞いたプロスペラは、唇ひとつ動かしませんでしたが……仮面の下で何を考えていたのでしょうか。
それにしてもスレッタ、ガンビットの猛攻をよけつつもガンドノードを撃墜していましたが、本当にパイロットとして優秀なんだとわかります。
この戦闘での会話部分もいくつか気になったところがありました。スレッタの「そのためにたくさんのフロントを飲み込むの? 命を奪うの?」というスレッタの呼びかけに、リプリチャイルドの1人が「エリーはそんなことしないよ?」「けど、邪魔するならお母さんはためらわない」と返していました。これはどういう意味なのでしょう?
宇宙議会連合の艦隊をたやすく退けた戦闘力の高さや、パーメットを使用する機器をオーバーライドできるなどのことから危険視していましたし、危険視してしまうこと自体は仕方のないことだと思います。ですがクワイエット・ゼロの行き着く先は、プロスペラの狙いは、スレッタをはじめ周囲の人間が予想しているものとは違うのかもしれませんね。
エラン(オリジナル)の表情が気になる……
宇宙議会連合とつながりを得て、騒動後の地位まできっちり確約を勝ち取っていたペイル社。……ですが、笑顔を浮かべていたニューゲンたち4人の共同CEOに対して、深刻そうな表情のエラン(オリジナル)が気にかかりました。
19話終盤、クイン・ハーバーでの出来事がTVニュースで流れた時にエランは、厳しい表情を浮かべるニューゲンに対して「どうするのこれ?」と言いました。この時の“これ”が差すのは、ひょっとしたら“事件が起こったこと”ではなく、“オックス・アースの秘密工廠がつぶされていたこと”を意味していたのかもしれないな、という気がしました。
そうであればニューゲンの厳しい表情もうなずけます。ひょっとしたらエランはエランで、宇宙議会連合議長たちが属する派閥とは別派閥と裏で手を組んでいて、ニューゲンたちを出し抜こうとしていた……なんてこともありそうです。
そもそも23話での議長の発言を見ると、彼は宇宙議会連合を捨てる気なのかもしれませんね。“ILTS(※送電システムを偽装した惑星間攻撃兵器)が誤作動”してしまい、L4全域に被害が及んだ責任は宇宙議会伝号がとると言っていましたが、その後は“L1の自治政府および有志ある企業群が復興を先導する”とも言っていました。これを見るに議長はペイル社またはL1自治政府とすでに話をつけていそうな気がします。
グエルとラウダの兄弟ゲンカ。そのMVPは……
MVPは間違いなくフェルシーでしょう。ほんっと、あの流れはビックリしました。グエルとラウダの出会いのシーンが挿入され……というところでもう100%グエルは死ぬんだな……と思いましたもん。グエルの「ガンダムなんて、もう乗るな」の時は涙出てましたよ。
グエルが言えなかったのは、もちろんラウダが許してくれなかったら……という怖さもあったのでしょうが、「ラウダが知らせる必要はない。自分の罪として背負っていく」という考えのもとでしょうし、ラウダが怒ったのも「言ってほしかった、頼ってほしかった」という部分があるでしょう。
決着の寸前、ラウダが自らのことを“ラウダ・ジェターク”と名乗ったのもグッと来てしまいました。本当にヴィムはいいパパしてたんだなあ……。
それと、20話のダリルバルデも大破したもののグエルが脱出するまでの“間”があったり、ディランザもフェルシー(今回のMVP)の消火活動が間に合うくらい“間”があったりと、これはジェターク社のMSがそれだけ堅ろうに作られているってことなのかもしれませんね。
これであとはペトラが目を覚ましてくれれば言うことなしですが……来週そんなシーンがあるんでしょうか?
ノートレットとプロスペラ。2人の“母の想い”の形
クワイエット・ゼロに忍び込んだミオリネたちとプロスペラが対峙するシーン。ここでノートレットがトマトに仕込んだメッセージが新たに意味を持ってくるとは……。
前回の感想で、トマトに仕込んだということもあって、「伝わらなくてもよかったってことなのかもしれません」と言いましたが、違いましたね。
また、劇中ではロウジによってトマトに仕掛けられたメッセージをミオリネが事前に知ることになってしまいましたが、順序的には“クワイエット・ゼロの管理者権限を見る⇒ノートレットのアイコンがトマトになっている⇒ノートレットが遺したトマトに何か秘密があるのでは!?”みたいな流れだったんじゃないかなって気がしています。
ノートレットがどこまで予見していたのかはわかりませんが、結果として彼女の遺したものによって、クワイエット・ゼロ――プロスペラがエリーのために行ったことが止まったのは印象的でしたね。ミオリネに銃口を向けた「母は強しよ、お嬢さん」という言葉と、ミオリネの「私も愛してる」「お母さん!」という言葉が対照的でした。
プロスペラに対して、言葉とともに手を差し伸べるミオリネ。これまでミオリネに対して余裕を持った態度で臨んでいたプロスペラですが、ここでは表情を繕うことなく忌々しげな眼を向けていたのが印象に残りました。
来週はいよいよ最終回。どんな結末が待っているの!?
第23話は、エリーが身を挺して“ILTS”の攻撃を防ぎ切ったあとに破壊されたエアリアルが映り、プロスペラが「エリー!」と絶叫したところで終わりました。“ILTS”の攻撃を防ぐ際、スレッタとクワイエット・ゼロを見やり、何とも言えない表情で微笑んでいたエリー……。彼女は何を思っていたんでしょうね。
さて、次回はいよいよ最終回。予告のサブタイトルが“最終回”となっていましたが、放送時に発表されるというような形なんでしょうね、きっと。
Season1最終回のサブタイトルは“逃げ出すよりも進むことを”でしたが、今回は一体どんなサブタイトルになるんでしょうか? “水星の魔女”とか“めいっぱいの祝福を君に”みたいなところが来るんじゃないかな~なんて筆者は予想していますが……。こうしたものを予想しながら来週を待つのも楽しそうです!
もうほんと知りたいこと、描いてほしいことは山のようにあるんですよ。
・スレッタやミオリネをはじめ、登場人物はどうなっていくの?
・“GUNDの理想”って結局何?
・ミオリネとシャディクの契約って?
・ベネリットグループはどうなるの?
・アスティカシアはどうなるの?
・スペーシアンとアーシアンのことは?
いったい何が描かれるのでしょうか? 来週も楽しく視聴したいと思います。
そして今回はセセリアの出番がなかった……とお嘆きの方は、“ざっくり解説Extra”をご覧になることをオススメします。ここまでの整理にも役立つと思いますので。
いよいよ最終局面?『機動戦士ガンダム 水星の魔女』ざっくり解説Extra
その他気になったこと
●エリーとスレッタが戦っている時、途中でデータストームの情報密度が低下し、エリーが「なんで邪魔するの!?」と送るシーンがありました。あれはどういうことなのでしょう? タイミング的に偶然……ということではない気がします。エリーの「どうして、なんで邪魔するの!?」という言い方から、誰かが意志を持ってやったことで、エリーにはその見当がついている気がします。もしも何が起こったのか把握していないとしたら「どういうこと?」みたいないい方になったんじゃないかと推測しました。
「データストームのおかげで願いが叶うのに!」の“願い”というのは、エリー自身の願いだけでしょうか? データストームの中にひょっとしたら別の人間もいて、共通の願いを持っていたりする……のかもしれませんね? 作中でデータストームに適合したのはエリーだけ……というのを考えると、エリーとは考えを別にするリプリチャイルドが、この他にもいたり? もしくは、ミオリネの母・ノートレットがいるとか?
●ラストにプロスペラが「エリー!」と絶叫したシーン。彼女の頭部左側から左目のあたりにかけて、MSを操縦する時とは違う形でデータストームと思われる発光が描かれていました。プロスペラはなにかユニットのようなものを埋め込んでいて、それを介してエリートやり取りをしていたのかもしれませんね。あのシーン、実際にプロスペラは破壊されたエアリアルの姿を見てはいませんが、エリーとの接続が切れたことで、その身に危険が及んだことを察したのではないでしょうか。
また、ヘルメットは正体を隠すためのモノかと思いましたが、それだけではなく、エリーとやり取りをしていることを気付かれないようにする意味もあったんでしょうね。
●宇宙議会連合まわり、割と複雑というか……あえてそうしている節があるように思えます。これまで“作戦本部”とか“理事会(※フェン・ジュンいわく、確証はないがおそらくオックス・アースを工作組織として支援しているのが理事会)”とか“査察部”などが出てきましたが本部=理事会としていいのかどうかもちょっとよくわかっておりません。……筆者がへっぽこで見落としているだけの可能性もありますが。
●“ILTS”の攻撃が終わった後、エリーの周りにいたガンビットたちがキャリバーンの周囲に漂っていたということは、エリーは自分を守ることよりもスレッタを守ることを優先したと思われます。エリーが自分の身を守ることを優先していたら、破壊されていたのはキャリバーンのほうだったかもしれないなと思いました。
●これはもしもエリーがパーメットの中で生きていたら……という仮定のお話にはなりますが、キャリバーンにエリーが入ってさらにエスカッシャンも装備して、キャリバーンが“怪物”として真価を発揮する――みたいな形になったりするのでしょうか!? もしもこういう展開ならかなりアツいなと思いました。
高島雄哉さんが執筆する『小説 機動戦士ガンダム 水星の魔女』第2巻が明日発売!
明日6月26日には高島雄哉さんが執筆する『小説 機動戦士ガンダム 水星の魔女』の第2巻が発売されます。アニメとはまた違うメディアで展開していく『水星の魔女』。アニメとあわせて読むことで新たな発見があるかもしれません。こちらも楽しみなところです。
■小説 機動戦士ガンダム 水星の魔女 第2巻を購入する
『機動戦士ガンダム 水星の魔女』Season2
【スタッフ】※敬称略
企画・制作:サンライズ
監督:小林寛
シリーズ構成・脚本:大河内一楼
原作:矢立肇/富野由悠季
キャラクターデザイン原案:モグモ
メインキャラクターデザイン:田頭真理恵
キャラクターデザイン:戸井田珠里/高谷浩利
メカニカルデザイン:JNTHED/海老川兼武/稲田航/形部一平/寺岡賢司/柳瀬敬之
チーフメカアニメーター:久壽米木信弥/鈴木勘太/前田清明
副監督:安藤良/綿田慎也
テクニカルディレクター:宮原洋平
設定考証:白土晴一
SF考証:高島雄哉
メカニカルコーディネーター:関西リョウジ
設定協力:HISADAKE
プロップデザイン:絵を描くPETER/えすてぃお
美術デザイン:岡田有章/森岡賢一/金平和茂/玉盛順一朗/上津康義
コンセプトアート:林絢雯
美術監督:佐藤歩
色彩設計:菊地和子
音響監督:明田川仁
撮影監督:小寺翔太
3DCGディレクター:宮風慎一
モニターグラフィックス:関香織
編集:重村建吾
音楽:大間々昂
製作:バンダイナムコフィルムワークス/創通/MBS
【出演声優】※敬称略
スレッタ・マーキュリー:市ノ瀬加那
ミオリネ・レンブラン:Lynn
グエル・ジェターク:阿座上洋平
エラン・ケレス:花江夏樹
シャディク・ゼネリ:古川 慎
ニカ・ナナウラ:宮本侑芽
チュアチュリー・パンランチ:富田美憂
デリング・レンブラン:内田直哉
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