まるで『モンスト』のストーリーモードのような完成度。『キュビスタ』の“本物感”には理由があった!【キュービックスターズインタビュー】

電撃オンライン
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 MIXIの新作アプリ『キュビスタ(キュービックスターズ)』のクリエイティブディレクターを務める林僚太さんへのインタビューを実施。ゲームの魅力や開発に関するエピソード、裏話などを聞くことができました。

  • ▲林僚太さん。

 本稿に掲載するインタビュー後編では、主にストーリーやシステムに関する内容をお聞きしました。

 主に衣装のデザインや設定など、キャラクターに関する内容をお聞きしたインタビュー前編も公開中です。

開発者インタビュー前編はこちら

『キュビスタ』の前身はバランス×STGの激ムズゲームだった!?

――“パンドラの箱に『モンスト(モンスターストライク)』キャラクターが吸い込まれてキューブ化してしまい、救出に向かう”というストーリーや設定はどういったところから生まれたのでしょうか。

 「ストライクワールドとは別の世界にしよう」というところと「パンドラの箱」というのは本作が始動したときからプロデューサーが決めていた部分になります。

 ストライクワールドでの出来事にしてしまうと、描ける範囲に大きな制限が付きかねなくて、あくまで別の世界で起きている出来事にすることで、お話の範囲や演出にも自由度を持たせることができました。

 なので、パンドラが中心になるのは最初から決まっていた部分です。

――キューブ化という設定はどういったところから生まれたのでしょうか?

 実は、シナリオよりもゲームシステムによる部分が強かったという裏話となります。ジャイロ操作を使う部分は今と同じなのですが、開発当初はジャイロ操作でバランスを取りながらキューブを積んでいくグラグラゲームのような要素もあったんです。

 だから四角のキャラクター=キューブである必要があったんです。

――最初はシューティングゲームではなかったんですか?

 いえ、シューティングもしつつ、バランスもとる激ムズゲームだったんです(笑)。

――両方の要素が……それは難しそうですね。

 その名残でキューブをメインに扱うことになったときに、キューブである理由が必要になったので、パンドラの箱には厄災が詰まっているという設定を使い、そこに『モンスト』のキャラクターが吸い込まれてキューブになった。という設定が生まれました。

――紆余曲折ありつつ今の形が生まれていったんですね。初期の激ムズゲームも一度見てみたかったです(笑)。

 キューブを崩さないようにしながら敵を狙わないといけない。さらに4人で遊ぶゲームなので、崩したらケンカになりますよね。

――エイプリルフールで復活。なんて可能性は……?

 その予定はありませんが、いろいろといじりどころはあると思いますので、何かの機会で触れるかもしれませんね(笑)。

『モンスト』の物語を描く上で苦労したこととは?

――オリジナルストーリーは『モンスト』本編のチームとの連携を取りつつ作られているのでしょうか。

 ディクショナリーの制作者も含めて密に連携を取っていて、大枠のお話の流れから『モンスト』の制作チームと打ち合わせで決めています。その状態で外部の作家さんに発注して、それを都度細かく見てもらって直しながら制作しています。

――ここまでしっかりとキャラクター同士の掛け合いや物語が描かれるのはゲームの『モンスト』シリーズで初めてのことだと思うのですが、物語を描く上での苦労や気を付けている点などがあれば教えてください。

 『モンスト』のストーリーゲームがなかったもので、ボリュームにすごく悩みました。

 どのぐらいが適切なのかの見極めは今なお調整中です。長すぎてもだれるし、短すぎても味気なくなってしまう。

 あとは、ト書きがなくて基本的にキャラクターのセリフだけで物語が進行するので、説明的になりすぎないように気を付けました。

 また、登場人物が多くなりすぎて、喋らないキャラクターがずっといる。みたいなことにもならないように気を付けています。

 メインキャラクターが5名いて、5人を他の登場人物と絡ませていく形でストーリーが展開しますが、メインキャラクター全員を登場させる必要があるのかも議論した結果出てきた、他の『モンスト』キャラを主人公にしたものがあってもいいんじゃないかという話から生まれたのがネオから始まったエピソードイベントになります。

 そこに全部ソロモンやパンドラが出張っていくと、彼らばかりが目立ってしまって他のキャラクター同士の絡みが見えなかったり薄くなってしまうので、区分けすることにしました。

 あとはやっぱりボリューム感で、実際に出してみるとヤクモやネオのエピソードはちょっと短かったという声もいただいていたので、夏イベントは少し長めにしました。

 ヤクモ、ネオ、アルセーヌまでは事前に準備していた部分もあり、ボリューム感がつかめなかったので、今後はユーザーさんの反応も見ながら、もう少しボリュームを上げる方向で調整しようと思っています。

――メインストーリーとエピソードイベントでテイストの異なる物語が楽しめるのも魅力かなと思います。メインストーリーは冒険活劇といった感じの雰囲気ですが、エピソードイベントはかなりシリアス寄りですよね。

 そうですね。冒険活劇、シリアス……だけでなく、今後はギャグ寄りの面白おかしいストーリーなどもあるかもしれません。

フルボイスだからこその新発見? 8年演じる声優さんが初めて知ったロミオの喋り方

――ストーリーがフルボイスということで、『モンスト』のキャラがここまで沢山のセリフを一度に喋る機会は、これまであまりなかったように思いますが、音声収録に関するエピソードなどがあれば教えてください。

 とても印象的なものがあって、第三惑星でロミオが実装されるんですが、ロミオの声はずっと富岡佑介さんが担当されていて、『モンスト』の実装から8年ぐらい経ちます。

 『モンスト』のストライクショットのボイスは基本的には必殺技を撃つシーンや決めのセリフであることが多いので、叫んだり、大きな声で技名を言うボイスが多いんですね。

 一方で『キュビスタ』は日常的な会話シーンもあるので、「ロミオってこんな風にしゃべるんですね」ってロミオを8年演じている声優さんに言われたんです(笑)。

 アーサー、ウリエル、アラミスを収録した秋山絵理さんにも、「こんなにしゃべるですか!?」という驚きもありつつ、「こんな風にしゃべるんですね!」と喜んでいただけました。

――ずっと演じている声優さんにとっても驚きがあるというのは面白いですね。ロミオの普段のしゃべり方は個人的にも楽しみです。

 ぜひ楽しみにしていただければと思います。

――続いて、パンドラと冒険をする第二部隊のメンバーが4人(ソロモン、シャーロック・ホームズ、ノストラダムス、ロビン・フッド)になった理由や選定基準を教えてください。

 まずパンドラは外せないので、そのほかのキャラクターの人数と選定基準としては人気とバランスを大事にしました。あとは男性キャラクターを入れたかったので、そこを誰にするかはすごく悩みましたね。

 そのため、メインキャラクターのグループ分けを6パターンぐらい作りました。ユーザーさんからの人気を考えたり、おバカキャラだけでなく、物語がちゃんと進むように頭のいいツッコミ役のキャラクターも用意したり。そういったことを加味して選んでいって、落ち着いたのがこの5人でした。

 その後、キャラ的にお忙しい声優さんばかりで収録のスケジュール調整が難しいという問題が出たりもしましたが(笑)。

  • ▲ソロモンと共に旅する第二部隊のメンバー

――今後登場する第二部隊以外の面々もすでに決まっているのでしょうか?

 惑星ごとに“円卓”であったり、『モンスト』でも括られているけれど繋がりがあまり描かれていないところをテーマとしてチョイスしていて、1章では円卓。2章ではアリス(小説)、次の3章が劇場の惑星として、テーマに沿って登場メンバーを決めています。

 『モンスト』にはシリーズが沢山ありますが、その中でもテーマにしやすくて、敵もボスとして納得感があるキャラクターがいて、そのうえで掘り下げたほうがいいお話を選んでいます。

――そこに、先ほどお話にあった新旧のキャラクターのバランスもかかわってくる形でしょうか。

 そうですね、デモンズオペラでもロミオやジュリエットは古くからいるキャラクターで、逆にハムレットなどは最近のキャラクターになります。そのあたりをうまく組み合わせて出せる化学反応的な部分を大事にしています。

――これまでに実施されたエピソードイベントの中で特に思い出深いものを教えてください。

 ヤクモイベントはほぼ自分で書いたので一番思い出がありますね。屍人という敵を最初に用意して、最後まで敵を屍人だけで進めることもできたんですが、どうしても屍人だけだとボス戦が陳腐になってしまうため、識というオリジナルキャラクターも登場させました。

 お話に深みを出したり達成感を出すためにも、『キュビスタ』独自のキャラクターを作りたいという気持ちがあって、キャラクターを作る許可をいただいたうえで、識のデザインもイチから考えて、お話もセリフも全部自分で書きました。

 ヤクモイベントの制作は苦労しましたが、その分評価いただけた部分はあるのかなと。

――実際に遊んでみても、ヤクモイベントはかなり力が入っている印象でした。

 エピソードイベントの敵キャラについては、アルセーヌイベントのボスもロボット以外にも考えてはみたんですが、ジャスティス市長に関しては本家のPVでも十分表現されているので、それ以外で考えました。

 ネオに関しては“ノーマン”はPVには出ていたんですが、そもそもどういうものなのかはよくわからない状態だったので、あの形でよかったのかなと思います。

 それを踏まえても、やはりヤクモのイベントを弱いゾンビみたいな屍人だけで行くのは厳しいなと……。

 親が攫われた子供を助けるというストーリー展開は、モンストディクショナリーにも書かれている部分から抜粋していて、PVの中でちらっと見えた子供のデザインを使っています。

 そういった部分で、イベントを遊んだ後に『モンスト』のPVやディクショナリーを読んだときに、発見があるような形にできているのもよかったかなと思います。なかなかここまできれいに取り込むのは難しいですが。

 XとかでPVのスクショを撮って考察してくれている方もいたりしていて。そういったところは可能な範囲で今後もやれたらと思っています。

キューブ、第一部隊……謎のヒントは意外な場所に?

――ホロライブの宝鐘マリンさんとのコラボが実施されましたが、今後もVtuberさんやアニメ、ゲームとのコラボは今後も実施されるのでしょうか。また、コラボシップやキューブだけでなく、コラボキャラクターが登場する可能性はありますか?

 コラボについては、せっかくのスピンオフなので、『モンスト』本編ではやっていない、よりコアなものを考えていきたいと思っています。

 その中でお客さんが「キャラがいたほうがいいよね」となるのであればキャラクターの登場もあるかなと思います。

 宝船マリンさんとのコラボでいうと、マリン船長が船を手に入れるという部分を表現したかったので、あえてシップとキューブでの登場という形になりました。

――『キュビスタ』の今後の展開について教えてください。ストーリーのボリュームが増えて行くというお話もありましたが。

 そうですね。長ければいいということではないと思いますが、少し短すぎたので話数は増やして、より丁寧に描こうと思っています。

 メインストーリーについては、20日には3章が実装されました。3章はジュリエットがメインで、ロミオを追いかける展開になっています。

 『モンスト』でもジュリエットはロミオをずっと追いかけているんですが、『キュビスタ』の世界でもジュリエットはずっとロミオを追いかけるので、最後にどうなるか。追いかけた果てに何が待っているのか。楽しみにしていただければと思います。

――キューブ化の謎や第一部隊の存在など、気になる要素が沢山あるので、まずは3章をプレイしつつ、今後のストーリーについても楽しみにしています。

 なぜキューブにされたのか、だれがキューブにしたのか、どうしたらキューブから戻せるのか、そもそも第一部隊とは……などなど、色々な謎がありますが、チュートリアル前に流れるプロローグPVなどをよく見ていただくと、ヒントや伏線が隠されています。考察が好きな方は、その辺りにもぜひご注目ください。

 また、ストーリー以外でも、ゲーム性やバランスの調整や、新コンテンツの追加もあって、お話やキャラクター以外の面でもより楽しみやすくなっていきますので、その辺りにもご注目ください。

――最後に読者に向けたメッセージをお願いします!

 『モンスト』を遊んでいる方も、まだ遊んだことがない方も、以前遊んでいた方も、皆さん楽しめるお話であったりゲーム性になっています。

 アクションゲームが好きな方や新しい操作感のゲームが遊んでみたい方、はたまたキャラクターが好きな方、可愛いと思った方も楽しめる内容になっているのでぜひ遊んでいただければと思います。やり込み要素として高難易度のコンテンツも用意していますが、ストーリー部分の難易度や敷居は低めで、遊びやすい形にしていますので。

 すでに『キュビスタ』を遊んでいる方も、9月20日のアップデートで追加されたストーリーの新章や新モードにぜひ挑戦してみて下さい。

 新モードの“ノイズ殲滅(β版)”はスコアを競う遊びになっています。今までは強いキャラクターがいれば何とかなっていたところもありますが、より属性にフォーカスしたコンテンツになっているので、しっかり強化した編成で挑んでいただければと思います。

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