脱出劇を描いた『バイオハザード3 LAST ESCAPE』。どこまでも追いかけてくる追跡者に恐怖【周年連載】

ライターM
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 あの名作の発売から、5年、10年、20年……。そんな名作への感謝を込めた電撃オンライン独自のお祝い企画として、“周年連載”を展開中です。

 第101回でお祝いするのは、1999年9月22日にカプコンから発売されたPlayStation専用ソフト『バイオハザード3 LAST ESCAPE』。これまでにないゲーム性で高い人気を博した『バイオハザード』シリーズのナンバリング3作目で、ゲームシステムは前作『バイオハザード2』と同様にカメラ視点切り替え式の所謂ラジコン操作となっています。

 前作についてはコチラの記事も合わせてどうぞ。

▲アイテムストレージやMAP画面なども基本的に前作を踏襲しています。

 言うまでもなく、当時は広大な3Dフィールドをシームレスに移動するような、いわゆる“オープンワールド形式”のゲームは存在していません。ただ、本作をプレイした人の中には、カメラ視点切り替え式ながら、ラクーンシティの広さを肌で感じられたという人も多いのではないのでしょうか。


 屋内の舞台が多かった前2作と比べると、入り組んだ裏路地や目抜き通りなども織り交ぜられていて市街戦然とした臨場感がたまりません。

 おなじみのパズル的な仕掛けとは別に、ドラム缶や蒸気パイプ、高圧電線などマップ上に配置された専用オブジェクトを使ってのアクションも新鮮でした。

 嫌というほど悪夢を味わったラクーン警察署も登場。進行的にはこのあたりで“ヤツ”と初顔合わせとなります。

どこからともなくヤツの声が……

 シリーズを重ねるごとに『バイオハザード』には新たなシステムが盛り込まれてきました。本作では、新たに追加されたのは時間制限付きの選択肢。選択結果に応じて物語の展開にも若干ですが影響を与えます。

 そして何よりも、不意に出現してはスティンガーミサイルをぶっ放したり、ジルをネックハングしたりとやりたい放題の“追跡者”の存在が多くのプレイヤーを震撼させました。

 選択肢が出現するシーンでは画面がネガポジ反転して、一瞬だけ時間が止まります。一種のQTE(クイックタイムイベント)的な演出で、後のシリーズでも似たようなシステムが採用されます。

 地の底から響くような「スタァァァァァァズ……」という唸り声が聞こえたかと思うと、重量感たっぷりの足音を響かせて“追跡者”が出現!

  • ▲捕まれたら即座に振りほどかないと、えげつないダメージを食らいます。

 追跡者の何がすごいかと言えば、その神出鬼没ぶりに尽きます。市役所に向かいたいのに行く手を阻まれて仕方なくUターンしてレストランに飛び込んだら、なぜか店の奥から黒いコート姿の人影が……。

「いやキミ、さっきまで背後にいたよね?」と焦りつつ、嫌だなぁ、嫌だなぁ、怖いなぁとガタガタガタガタ震えながらも後ろ手に扉をギギィィッっと開けるじゃないですか。さすがにもういないだろうと。

 そう思った瞬間「スタァァァァァァァァァァァズ!!」ですよ。本当にもうフ・ザ・ケ・ル・ナと。

 まあ、壁やら屋根やら平気でぶち破ってくるお茶目なヤツなので、諦めの境地で逃げるしかありません。一応、撃退できるのですが、序盤は強化パーツドロップのオマケがあっても割に合わないこと、この上なしです。

 バトルを盛り上げる細かなポイントとしては、リロードツールとガンパウダーを使っての弾薬作成が登場。パウダーの種類に応じてハンドガンやショットガンに対応した弾薬が入手できました。

 また、敵の攻撃を食らう寸前にボタン入力することで発動する緊急回避も追加され、追跡者の攻撃ですら回避可能という仕様となっていました。

▲びちびちと毒液をまき散らして振り上げられる触手も、腰をかがめてスッと回避。

 あくまでも筆者個人の評価ですが、『バイオハザード3』はゾンビにかじられる恐怖は控えめで、いつどこから現れるとも知れない追跡者の影に怯える、緊張と焦燥感に彩られたサバイバルホラーでした。

主要キャラクター

 ここで簡単に、主要キャラクターを紹介しておきましょう。

ジル・バレンタイン

 第1作『バイオハザード』の主人公の1人。本作では、街に残って調査していたため、事件に巻き込まれます。

ブラッド・ヴィッカース

 ゲーム序盤でジルに泣き言を言った直後、追跡者に頭を貫かれて絶命してしまうS.T.A.R.S.の隊員。前作の冒頭でゾンビとなっていた理由がここで判明することに当時は驚きました。

バリー・バートン

 ある選択結果で姿を見せるS.T.A.R.S.の隊員。キャラ名こそ表示されないものの、おまけ要素の後日談を読めばその人だと分かる仕掛けでした。

カルロス・オリヴェイラ

 アンブレラ社から市民救出の名目で送り込まれた傭兵部隊“Umbrella Biohazard Countermeasure Service(U.B.C.S.)”の1人。本編中ではとあるシーンで、ジルに代わって操作キャラとなっていました。

ニコライ・ジノビエフ

 U.B.C.S.小隊の分隊隊長で、アンブレラの暗部を体現したような人物。ジルとぶつかり、行く手に立ちはだかることも……。後述するエクストラゲームではプレイすることができました。

ミハイル・ヴィクトール

 カルロスら傭兵部隊を率いる小隊長。迫り来る追跡者からカルロスらを守るべく身を挺して……。

クリア後のおまけ要素など

 シリーズの例に漏れず、本作でもクリアデータをセーブすることでさまざまなおまけ要素が開示されます。

 “THE MERCENARIES OPERATION MAD JACKAL”は本編に登場したアンブレラの傭兵部隊3人が主役となる脱出ゲーム。後のシリーズでも本ゲームがベースとなったものが登場しています。

 前作『2』にも“The 4th Survivor”というエクストラゲームがありましたが、こちらはその後発売された、『デュアルショックVer.』に収録されたエクストラゲーム『Extreme Battle』をもとに、さらに遊びごたえが増しています。

 目的は、制限時間内にスタートからゴールに着くこと。道中クリーチャーを排除したり、特定のポイントに居る生存者を救助すると、制限時間やクリア時の報酬額が増加します。入手した報酬は、本編で使用できる武器の購入に使用できるので、何度もプレイしたくなるのです。

 また、シリーズキャラの後日談が描かれる“EPILOGUE FILES”なども出現します。

 記事を見て、久しぶりにプレイしてみたいという人には、現在配信中のゲームアーカイブス版がお手軽でオススメです。

 そして、先日配信された“State of Play”にて、本作をリメイクした『バイオハザード RE:3』が発表となりました。ジルが活躍するオフラインでの物語と、非対称型のオンラインマルチプレイの『バイオハザード レジスタンス』がセットになっています。

 『RE:2』と同様にベースとなっているものは同じですが、設定やグラフィックは変わっているようなので、続報が楽しみです。

(C)CAPCOM CO., LTD. 1999 ALL RIGHTS RESERVED.
(C)CAPCOM CO., LTD. ALL RIGHTS RESERVED.

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『バイオハザード3 LAST ESCAPE』

  • メーカー:カプコン
  • 対応機種:PS
  • ジャンル:アクション
  • 発売日:1999年9月22日
  • 希望小売価格:5,800円(税別)

『バイオハザード3 LAST ESCAPE』(ゲームアーカイブス)

  • メーカー:カプコン
  • 対応機種:PS3/PS Vita/PSP(ダウンロード専用)
  • ジャンル:アクション
  • 配信日:2008年12月24日
  • 価格:628円

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