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レビュー:【イーグレットツー ミニ】『クライムシティ』の敏腕刑事は何度やられても決して屈せず凶悪犯に挑む!

大瀬子ヤエ(大瀬子屋)
公開日時

 タイトーから12月21日(木)に発売される、『イーグレットツー ミニ』専用ソフト収録SDカード『アーケードメモリーズVOL.2』のなかから、比較的マイナーなタイトルをピックアップしてレビューしています。

 今回のタイトルは、『クライムシティ』です。

  • ▲『クライムシティ』は、1989年にリリースされたアクションゲーム。各種ガンによる銃撃戦と、パンチや回転アタックを使った近接戦を楽しめます。

 ほかにも下記の4タイトルをレビューしていますので、ぜひあわせてチェックしてください!

・1985年『ワイバーンF-0』
・1987年『ワードナの森』
・1987年『特殊部隊U.A.G.』
・1988年『中華大仙』

知らなかったアーケードゲームが遊べるのもイーグレットツー ミニの魅力

 告白すると、自分にとってこのゲームは『アーケードメモリーズVOL.2』の収録作10本どころか、これまでの過去全70本の収録作のなかで唯一と言っていいくらい「あれ、こんなゲームあったっけ?」と思ってしまったタイトルなのです。

 本作がゲームセンターで稼働を始めた1989年は、アーケードビデオゲームの歴史上において最もにぎやかだった時代といえます。毎月のように新作が発表され、ゲーメストなどの専門誌では、ほぼ毎号なんらかの新作がお披露目されていた時代。

 まあそんななかで、当時の自分のような(ゲームを仕事にしているのではない)単なるファンの人間が見逃しているタイトルがあっても何ら不思議ではありません。むしろ、アーケードゲームファンが追いつけないほど怒濤の新作が出ていた、ゴールドラッシュみたいな時代。いまでは信じられない話ですが……。

 このような個人的な事情もあって、今回、新作と同等の感覚で触れることができました。そんな発見、出会いがあるのもまたイーグレットツー ミニの魅力ですね(当時の開発者、関係者には失礼な話かもしれませんが)。

  • ▲犯罪はびこる街が舞台というだけあって、罪人がうろつき、銃弾が飛び交う超危険なところです!

事件現場に急行する名うての刑事。彼らは何者!?

 と、「歴史に埋もれた幻の一作」のよう書いてしまいましたが、このゲーム、じつはタイトーの「あの」大ヒット作と深いつながりがあります。

 逃走犯の車を捜査車両で追いかけてぶつけて止めるという、ドライブゲームにまったく新しい文法をもたらした、1988年稼働開始の『チェイスH.Q.』と同じ主人公による刑事アクションゲームなのです(※物語の関連は明言されていませんので、続編と表現するのは少し違います。あくまで同じ主人公が登場するゲームです)。

 ジャンパーを羽織るトニーギブソン刑事と、スーツをキメたレイモンドブローディ刑事、彼ら2人が主人公。いわば血気盛んで無鉄砲な男と、いぶし銀のベテランのタッグ(注:ここは筆者のイメージです)。もうこの時点で今の言葉で言う相……あ、いや、いわゆる「バディ」モノ風ドラマを感じずにいられません。

 『チェイスH.Q.』では検挙デモ以外は車中だったので、人物を意識することはなかったのですが(ドライブゲームだからある意味当然)、あのクルマの中には彼らが搭乗してたんですね。

  • ▲ドラマのプロローグを描くクレジット投入後のデモ。電話の主は『チェイスH.Q.』のヒロイン、ナンシーかどうかは不明ですが、署から事件の一報が届きます(なお、彼女はゲームに出てきません)。
  • ▲本稿では1人プレイ前提で書いていますが、2人同時プレイに対応しています。友人とのプレイも熱いので、ぜひ!

 舞台は悪の組織と犯罪がはびこる街、クライム・シティ。ここでは強盗、窃盗、麻薬売買などあらゆる犯罪が日常的に起きており、地元警察はもう為す術もないという有様。そこで市警特別捜査班の敏腕刑事である2人が乗り込んで、悪の巣窟に戦いを挑む……というのがおおまかなストーリー。

 物語仕立てで各ステージが始まり(1面は「第一話 集団脱走」)、基本は横スクロール形式(それ以外の場面もあります。詳細は後述)で、犯罪者の一味と戦いながらマップを進行、最後に主犯格との銃撃戦を経て検挙を目指すというものです。

 プレイヤーはライフ制で、敵や障害物に接触するとライフゲージが減りますが、銃弾に関してはこのゲージは関係なく、くらうと一発でミス。このあたりは妙にリアルで(?)、それゆえにゲームに独特の緊張感を与えています。

タフでなければ刑事は務まらない! 銃と多彩なアクションが武器

 さて、『チェイスH.Q.』での武器はクルマ(?)でしたが、今回は……?

 それは銃と自らの身体。前者は刑事モノだから当然としても、後者がどういうことかというと、主人公はレバーとボタンの組み合わせで攻防のアクションを繰り出すことができます。これらのアクションをうまく使いこなして敵を倒す、難局を凌いでいくことがこのゲームの面白さの核となっているのです。

 そのアクションで最も重要なものは、レバー斜め下+ジャンプボタンを入力すると出せる「回転アタック」。入力すると、アクション映画さながらに地面を転がるのですが、この最中に敵を倒すことができるのです。

 立ち状態の敵が撃つ銃弾を避けながら回転アタックで体当たり、いかにもヒロイックなアクションですね。ただし、そうは言ってもけっして万能な技ではありません。敵弾を喰らうと、(通常時と同様に)1発でミスになります。キビシイ……。

 要は、状況に応じて使い分けましょうということです。なお、ジャンプ中にもう一度ジャンプボタンを押すと、空中でも回転アタックと同等のアクションが出せます。

  • ▲これが回転アタック。ゲーム冒頭にいきなりこのアクションが「使える」シーンが出現します。レバーを斜め下方向に入れないと出ないので注意!
  • ▲敵に隣接すると、銃ではなくパンチ攻撃が繰り出せます。ただし、ダメージは低いので連打しなくてはなりません。
  • ▲しゃがんで敵弾を避けるのは基本中の基本です。しかし、なかにはしゃがみ撃ちをしてくるやっかいな敵もいます。

難所の対策は文字通り体当たりで覚えろ!

 そんな感じで基本的には、スキを見て銃とアクションを使って敵のもとに切り込み、危なそうな状況では無理せず素直に一歩引いて身を守る。そんな姿勢で挑むゲームです。というか、そうしないと残プレイヤー数がいくつあっても足りません。ここは誇張抜きで足りません。

 前述のように、主人公は敵弾にはめっぽう弱いので、最初のうちはひたすら連続コンティニューすることになるのですが、このゲームはやられまくりながら、その場面の対策を身につけていく“覚えゲー”的な色彩の強いゲーム。ゆえに、膨大なプレイヤー数を消費してしまうのは仕方のないこと、とここでは言い切ってしまいます。

 でも、いつしか「やられポイント」がわかってくると、身につけた対策を用いてサクサクと進めるようになり、いつしかストレスが気持ちよさへと転化していきます。それでも、さすがにノーコンティニューでオールクリアを目指すのはキツいですが……。

 生き残るために、画面端にわずかに姿が見える敵を銃で撃って進路の安全を確保するという、一見陰険な攻めもこのゲームでは十分にアリですし、敵に触れたとき、ライフの減少と引き換えにわずかに発生する無敵時間を利用して“安全に”周囲の敵を倒すという、「肉を切らせて骨を断つ」的な戦法も大いに有効なのです(ライフ全回復アイテムはわりと頻繁に出ます)。

 そのような攻略を身つけていく営みは、いわば敵との知恵比べに近い感覚があります。

  • ▲ここに敵はいない? いいえ、画面右端にわずかに敵の銃口が見えるのですよ。うっかり飛び込むと銃撃の餌食になるので、先に倒して進路をクリアに!

 その知恵比べの真骨頂が、各ステージ最後に発生するボス(主犯格)との銃撃戦です。

 1面を例に見ましょう。ボスは3連射するマシンガンを放ってきますが、そのボスとプレイヤーの間には都合よく(?)敵の足を止める1ブロック分の地形があります。

 すぐ見ておわかりのとおり、ここは「しゃがんでマシンガンの弾を避ける→弾のスキに立ち上がって銃を放ちボスを撃つ」の繰り返しをするだけでノーダメージで倒せますが、ほかのボス戦も「ここならどうする?」→「こう攻めるとよい」というお題と答えがきちんと用意されており、この有効打が見えてくるころには、このゲームの面白さが感じられるようになっていることでしょう。

  • ▲1面ボス。非常にわかりやすい場面なので、ノーミスで倒せるでしょう。
  • ▲4面ボス。立ち状態で火炎放射機を放ったあと、今度はしゃがんで放ってきます。逃げる先はもちろん……。

 ちなみにこの作品、慣れると15分ほどでオールクリアできる適度なステージ長です。

 たまに縦スクロールの場面や、奥行き方面の敵と戦う場面に転換するなど、刑事アクションらしい「見せシーン」もあり、空いた時間にサクッと遊んで気持ちよくなれるアクションゲームとしてもオススメです。

 ひたすらコンティニューしまくって(しなくても可)、敏腕刑事ばりの華麗なアクション作法を自分のモノにしましょう!

  • ▲通常の横スクロールから、固定フィールドの奥行方向の敵を倒す銃撃戦に変化。ここは全滅を目指します。
  • ▲縦スクロール面。じつはこのヘリコプターは、あまり目立たないですがけっこうな高得点です。

「ナイトストライカー」をはじめ、10タイトル収録。『アーケードメモリーズVOL.2』12月21日(木)発売!

 『アーケードメモリーズVOL.2』は、1985年から1995年までの間にゲームセンターに登場したゲーム10タイトルを収録した『イーグレットツー ミニ』専用ソフト収録SDカードです。本体のSDカード用スロットに差し込むことで、収録タイトルを遊ぶことができます。

 『アーケードメモリーズVOL.2』は、電波新聞社が展開する「インテリジェントコントローラ サイバースティック」対応で、ゲームセンターの臨場感そのままに対応タイトルをお楽しみいただけます。

※サイバースティック対応タイトルは「オペレーションウルフ」「ナイトストライカー」のみです。

製品紹介PV

収録タイトル紹介動画

『アーケードメモリーズVOL.2』製品情報

 『アーケードメモリーズVOL.2』には、全32ページの特典DX攻略本「電撃TAITO STATION VOLUME3」と10タイトルの「インストラクションカード ミニ」、特典「タイトー70周年記念ステッカー」が同梱されます。

発売日:2023年12月21日(木)

『アーケードメモリーズVOL.2』(10タイトル収録SDカード)

希望小売価格:8,778円(税込)
同梱物:特典DX攻略本「電撃TAITO STATION VOLUME3」(全32ページ)、インストラクションカード ミニ(10タイトル)、特典「タイトー70周年記念ステッカー」

『イーグレットツー ミニ』本体+『アーケードメモリーズVOL.2』セット【限定生産】

希望小売価格:19,778円(税込)
商品内容:
・イーグレットツー ミニ(40タイトル内蔵/ケーブル付属)
・アーケードメモリーズVOL.2(10タイトル収録SDカード)/特典DX攻略本「電撃TAITO STATION VOLUME3」(全32ページ)、インストラクションカード ミニ(10タイトル)、特典「タイトー70周年記念ステッカー」、セット特典「IMAGE CARD(復刻版)」2種

■イーグレットツー ミニ

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