レビュー:【イーグレットツー ミニ】ゲームセンターで『特殊部隊U.A.G.』に習った連射装置のありがたみ

安部理一郎(有限会社スプロケ)
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 タイトーから12月21日(木)に発売される、『イーグレットツー ミニ』専用ソフト収録SDカード『アーケードメモリーズVOL.2』のなかから、比較的マイナーなタイトルをピックアップしてレビューしています。

 今回のタイトルは、『特殊部隊U.A.G.』です。

  • ▲『特殊部隊U.A.G.』は、1987年にリリースされた縦スクロール・シューティングゲーム。開発は『グレートソードマン』や『黄金の城』などのアクションゲームを作ったセタ。

 ほかにも下記の4タイトルをレビューしていますので、ぜひあわせてチェックしてください!

・1985年『ワイバーンF-0』
・1987年『ワードナの森』
・1988年『中華大仙』
・1989年『クライムシティ』

今あらためて、連射の歴史を振り返る

 連射――ボタンを可能な限り早く連打すること。

 今ではすっかりソフト連射――ゲームソフト側で最適な連射を肩代わりする機能――が普及してしまい、自力での連射を求められることはまれですが、80年代においてはゲームを構成する一要素として活躍していたものです。

 かつて、ゲームセンターのコントロールパネルは垂直に付けられていました。それは、ゲームの進化とともにボタンは水平になり、連射という行為がやりやすくなりました(コナミの『スクランブル』)。

 『ハイパーオリンピック』では連射力そのもので勝負を競い、翌年の『スターフォース』以降、連射はゲーム、特にシューティングゲームに欠かせない要素となっていきました。

 アーケードゲームから始まった連射の歴史は、ここでいったん家庭用にその舞台を移します。

 ご存じ、ファミリーコンピュータのボタンに進化の歴史を見ることができます。初期型のコントローラーは四角いゴムのボタンでしたが、発売から1~2年ほどでプラスチックの丸ボタンに変更されます。サードパーティのソフトが増え、ラインアップが充実していくにつれ、連射が必要なゲームが出てきたのでしょうか。

 その後、1985年8月10日におそらく世界初の連射機能を搭載したジョイスティックである『ジョイボール』が登場。続いて『ジョイカードmk-Ⅱ』などが大ヒットし、高橋名人の存在とともに、連射の知名度は一般化。これにて連射は自動化され、名人でなくても連射が可能な時代が訪れます。

  • ▲イーグレットツー ミニでは、Dボタンが連射ボタンに対応している。結論からいうと連射装置があったほうがいいゲームなので、おとなしくDボタンのお世話になろう。

出回りはじめは貴重だった連射装置

 アーケードゲームに話を戻します。僕が出入りしていたゲームセンターで、はじめて連射装置が装備されたゲームは1987年の『ドラゴンスピリット』でした。

 いわゆるボリューム連と呼ばれる連射装置でしたが、この時代前後で全国のゲームセンターに連射装置の回路図が出回り(FAXで!)、それを見て電子工作のできる店員さんが装置を作成し、一気に普及したものだと思います。

 連射装置の威力はものすごく、従来の手での連射(手連)に比べて、とにかく疲れない。ゲームの難易度が変わるのです。いわゆる「固い敵」で疲弊することがなくなりました。極端に言うと、位置を合わせ、何秒撃ち込むか、というリソース管理ゲームに変質するのです。

 しかし、現実問題として、初期の連射装置は店員さんの手作りのため、量産ができません。僕の出入りしていたゲームセンターでは、『ドラゴンスピリット』に付いているものただ1つしかありませんでした。

ビルを超連射で破壊する特殊部隊

 同じ時代、『ドラゴンスピリット』が稼働している並びに設置されていたのがこの『特殊部隊UAG』でした。

 『特殊部隊UAG』は、『スーパーリアル麻雀』シリーズでおなじみのセタが作った縦スクロールシューティング。イーグレットツー ミニでは『グレートソードマン』『黄金の城』に続く、三作目のセタ作品の登場です。

 199X年――世界平和条約により地球上から消滅したはずの核だったが、北方の某国で密かに核が造られているという噂の真相を追って、合衆国は特殊部隊の投入を決めた――というような懐かしい雰囲気のストーリーで始まります。

 自機のバイクを操作して、サイドカーのオプションを付けてパワーアップ。このゲーム、単なる障害物に見えるビルも、ショットを連射することで破壊可能なのです!

 話だけ聞くと、巨大なビルが破壊できて爽快! ……なのですが、実際のビルはなかなかの耐久力を誇っており、最初の数棟はたしかに爽快。しかしこのゲーム、攻略に重要なサイドカーはビルに隠されているため、かなりのビルを破壊する必要がある=超連射を要求されるのです。

 入荷当初は連射装置など付いておらず、手連でのプレイを求められましたので、疲れるゲームだ、との認識となり、いつしか、あまり遊ばなくなってしまいました。

  • ▲このようにビルに撃ち込み破壊すると、たまにサイドカーが隠されていることがある。サイドカーの隠されている位置を把握するまでは撃ちまくる必要がある。

連射装置の移設で大きく変わるゲーム性

 ところがある日、『ドラゴンスピリット』の連射装置が『特殊部隊UAG』に移設されていたのです。

 「ほう! 連射装置が付いた! ならばやってみるか!」と、再プレイすると、手連のときから薄々感じていたのですが、このゲーム、撃てば撃つだけ弾が出る!(※実際には上限がありますが、だいぶ出ます)

 ビルの破壊もラクラク! これは楽しい! ヒャッホウ、進めなかったあのボスも越せるようになったぜ! ……ということで、腕前が足りず、クリアまでは遊ばなかったはずですが、連射装置の有無でゲームの体験が変わる! 辛いところが楽になる! というお話でした。

 なお、このゲームが設計された1986年ごろには連射装置自体が普及していなかったので、難易度設定やゲームデザインは連射なしでもクリアできるように設計されていると思われます。

 イーグレットツー ミニ版ではDボタンによる連射装置が標準装備なので、バンバン撃ち込んでビルを破壊しまくってください!

  • ▲手連で頑張って撃ち込んだ場合の弾数はこんな感じ。昔はこれで頑張ってビルを破壊していたが……。
  • ▲連射オンではこのくらい弾の発射間隔。これだけの弾数があれば、たいていの敵やビルと対峙することができるだろう。

「ナイトストライカー」をはじめ、10タイトル収録。『アーケードメモリーズVOL.2』12月21日(木)発売!

 『アーケードメモリーズVOL.2』は、1985年から1995年までの間にゲームセンターに登場したゲーム10タイトルを収録した『イーグレットツー ミニ』専用ソフト収録SDカードです。本体のSDカード用スロットに差し込むことで、収録タイトルを遊ぶことができます。

 『アーケードメモリーズVOL.2』は、電波新聞社が展開する「インテリジェントコントローラ サイバースティック」対応で、ゲームセンターの臨場感そのままに対応タイトルをお楽しみいただけます。

※サイバースティック対応タイトルは「オペレーションウルフ」「ナイトストライカー」のみです。

製品紹介PV

収録タイトル紹介動画

『アーケードメモリーズVOL.2』製品情報

 『アーケードメモリーズVOL.2』には、全32ページの特典DX攻略本「電撃TAITO STATION VOLUME3」と10タイトルの「インストラクションカード ミニ」、特典「タイトー70周年記念ステッカー」が同梱されます。

発売日:2023年12月21日(木)

『アーケードメモリーズVOL.2』(10タイトル収録SDカード)

希望小売価格:8,778円(税込)
同梱物:特典DX攻略本「電撃TAITO STATION VOLUME3」(全32ページ)、インストラクションカード ミニ(10タイトル)、特典「タイトー70周年記念ステッカー」

『イーグレットツー ミニ』本体+『アーケードメモリーズVOL.2』セット【限定生産】

希望小売価格:19,778円(税込)
商品内容:
・イーグレットツー ミニ(40タイトル内蔵/ケーブル付属)
・アーケードメモリーズVOL.2(10タイトル収録SDカード)/特典DX攻略本「電撃TAITO STATION VOLUME3」(全32ページ)、インストラクションカード ミニ(10タイトル)、特典「タイトー70周年記念ステッカー」、セット特典「IMAGE CARD(復刻版)」2種

■イーグレットツー ミニ

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