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『FF14』ロンドンファンフェス吉田直樹インタビュー。『黄金のレガシー』には特定の『FF』ナンバリング作の要素を導入、『FF16』コラボはさらなる展開も?

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 2023年10月21日(土)・22日(日)に、イギリスにて『ファイナルファンタジーXIV』(以下、『FF14』)のイベント"ファンフェスティバル 2023 in ロンドン"が開催。

 その1日目となる10月21日のプログラム終了後、全世界のメディアを対象にしたプレスカンファレンスが開かれた。そこでは、世界中のメディアから寄せられた質問に吉田直樹プロデューサー兼ディレクターが回答。その質疑応答の模様をお届けします。

吉田直樹(よしだなおき)

 スクウェア・エニックス 取締役執行役員 第三開発事業本部長。『ドラゴンクエスト』シリーズ初のアーケードタイトルである『ドラゴンクエスト モンスターバトルロード』シリーズのゲームデザインとディレクションを担当。2010年12月に『ファイナルファンタジーXIV』のプロデューサー兼ディレクターに就任。現在、『ファイナルファンタジーXVI』のプロデューサーも兼任している。文中は吉田。

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『ディアブロ』シリーズとコラボしたい気持ちはあるものの……

――『暁月のフィナーレ』は『FF4』から、『黄金のレガシー』は『FF10』の要素から、多くのインスピレーションを受けているかと思います。これからの拡張でも、同じようにほかの『FF』タイトルから要素を入れる予定はありますか?

吉田:あります。『黄金のレガシー』の中に特定の過去ナンバリング作の要素が強く入っています。ただ、それを話すと驚きやゲーム体験が薄れてしまうので、いまは「ある」とだけお伝えしておきます。

――お忙しい中、『FF16』の吉田直樹プロデューサーにコラボについて相談していただきありがとうございます。基調講演では、かわいいトルガルの報酬やクライヴの格好いい装備が紹介されましたが、ジルやベネディクタ、シドなど、ほかのキャラクターの装備も用意されていたりするのでしょうか?

吉田:『FF16』のプロデューサーの吉田さんもたいへんお忙しい方なので、なんとかコンタクトを取ることに成功してコラボの快諾をいただきました(笑)。ただPC版をお待ちいただいている方や、これからPS5版を購入して『FF16』を楽しもうとされている方がまだまだいらっしゃると思いますので、今回のコラボではあまりゲームの後半の要素を入れないようにしています。ですので、まずは“クライヴとトルガル”という要素で皆さんに楽しんでいただければと。今後さらに『FF16』のプロデューサーの吉田さんとコンタクトが取れれば「もう一度すごいクロスオーバーを何かやれませんか?」とリクエストしようと思っています(笑)。


――『FF』シリーズの生みの親である坂口博信さんが『FF14』を楽しくプレイしていることに対して、どのように感じられていますか?

吉田:何より「うれしい」というのがいちばんですね。今日のトークセッション(直樹の部屋)の中でもお話しましたが、MMOはすごく長い時間プレイしなければエンドコンテンツに到達できないので、お忙しい坂口さんがどこまでプレイしてくださるかは、僕も含めて開発チーム全員がドキドキしていました。

 “『FF14』のコンセプトは、『FF』シリーズのテーマパークでもある”と掲げてこれまで開発・運営してきました。その生みの親である坂口さんが『FF』のいろいろな作品のエレメントをひとつひとつピックアップして、まるでシリーズ全体の35年以上の歴史を自らが楽しむように遊んでくださっているのは、我々にとってものすごくパワーになりましたし、『FF』ファンの皆さんに刺さるものになっていると思います。もちろん、坂口さんが僕に黙って“絶アルテマ破壊作戦”までクリアーしているとは思っていませんでしたが……(笑)。

――新アライアンスレイド“エコーズ オブ ヴァナ・ディール”が発表され、早くも『FF11』のどのような部分が描かれるのかが話題になっています。お話できる範囲でその方向性をお聞かせください。

吉田:まだ開発中なので、いまの段階でお話できることが少なくて申し訳ありません。いままさに『FF11』チームと話をしながらどういったバトル、ボスコンテンツを作っていくかを議論しているところなので、詳細に関してはもう少しお待ちいただければと思います。今日公開させていただいたアートワークは、『FF11』20周年に際して天野喜孝先生に描いていただいたイラストです。これから“エコーズ オブ ヴァナ・ディール”独自のコンセプトアートを描いていきますので、その中にヒントが垣間見えるのではないかなと思います。楽しみにお待ちください。

――Xboxユーザーがついに『FF14』をプレイすることができるようになりますが、吉田さんはどんな気持ちでしょうか?

吉田:なにより僕自身が超ヘビーなXboxゲーマーでもあるので、僕とフィル・スペンサーがいちばん喜んでいるのではないかなと思います(笑)。「スクウェア・エニックスのゲームがXboxでリリースされない」とXboxファンがやきもきしていたところもあると思います。それは僕らも同じで、『FF14』を世界中のひとりでも多くの人に遊んでいただくのが僕の長年の夢なのです。Xboxという素晴らしいハードウェアで、素晴らしいファンの皆さんにプレイしていただくのは本当にエキサイティングなことだと思います。

――最近、『FF14』のすべてのアチーブメントを達成したプレイヤーが話題になりました。全アチーブメントの達成について、10年間以上という長い期間がかかることは想定していましたか? また、現在のアチーブメントより、もっと達成難度の高いアチーブメントを実装することは検討していますか?

吉田:まずは達成した方に、おめでとうございますと言いたいです。僕たちのせいで10年かかったと言われたらそのとおりなのですが……(笑)。ただ本当に粘り強くチャレンジしていただいたことは、本当にうれしいことです。もちろんこれからもアチーブメントを追加していきますが、これ以上の難度のものを実装するかどうかは、達成してくださった方が望むかどうかなので、望む場合はフォーラムにコメントいただければと思います。メッセージをいただければ約束は守ります。

――『FF14』では、『妖怪ウォッチ』や『FF15』など、過去に開催された期間限定のコラボイベントでしか手に入らないアイテムが増えてきています。新規プレイヤーが手に入れられるよう、コラボイベントを再開催することは検討していますか?

吉田:『妖怪ウォッチ』コラボは、レベルファイブの日野さんとお話をして再開催の準備を進めています。『FF15』に関しても、お声をいただければタイミングを見てしっかりとリバイバルしようと思っています。過去に開催した期間限定のコンテンツは、「そろそろやってほしい」というリクエストを積極的にいただければしっかりと検討していきます。今回に限らず、これからもぜひ声を挙げていただければと思います。

――この10年間で、『FF14』はゲーム内外でさまざまなブランドとユニークなコラボレーションをしてきました。これから、ゲーム内外で実現したいコラボレーションはありますか?

吉田:かねてからお話していますが、僕は大のBlizzardファンでもあるので、ぜひ『ディアブロ』シリーズと何かやりたいなという気持ちはあります。ただ皆さんご存じのとおり、『ディアブロ』は非常にハードコアな世界観のグラフィックスを持っているゲームです。“人が串刺しになっているオブジェクトがたくさんある”といった世界観を『FF14』の中で表現するには、我々のレーティング的に越えなくてはいけないハードルがあります。やりたい気持ちはすごく強いのですが、『FF14』の中に優しい世界観の『ディアブロ』が出した結果、「こんなの『ディアブロ』じゃない」と言われてファンにガッカリされたくないので、すごく悩んでいます……。

 もちろん僕はゲーマーでもあるので、世界中のたくさんのゲームのファンです。いろいろなゲームタイトルとクロスオーバーをすることで、『FF14』プレイヤーとコラボ先のファンの皆さんが盛り上がって、ゲーム業界全体を活気づければと。機会があればいろいろなチャレンジをしてみたいと思っています。

――10年間を通して、『FF14』には多くのサイドクエストが実装されてきました。吉田さんにとって、絶対に見逃さずプレイしてほしいサイドクエストがあれば教えてください。

吉田:『蒼天のイシュガルド』で実装された三闘神関連のサイドクエストでは、第十三世界の話題を扱っているので、プレイすることでロアや世界観に関しての知識、キャラクターどうしの関係などがより深く知れると思います。お時間があればぜひプレイをしていただきたいです。

 あとは5.xで展開していた“希望の園エデン”シリーズは、ノーマルでかまわないのでストーリーを体験していただけると、鏡像世界というものがどうなっているのか、それぞれの世界がこの先どうなっていくのかといった部分をより知れるかと思います。鏡像世界は、『FF14』のメインストーリーの中で大きな要素のひとつになってきますので、お手すきのときにじっくりと楽しんでいただけると、より『FF14』が広がって感じられるのではないでしょうか。

――『新生エオルゼア』~『暁月のフィナーレ』までのメインクエストに関連するすべてのダンジョンがコンテンツサポーターに対応しました。メインクエストでは訪れない、それ以外のダンジョンへのコンテンツサポーター対応も検討されているのでしょうか?

吉田:いまのところ、メインクエストの進行にあたってクリアーが必須ではないダンジョンへのコンテンツサポーター対応は予定をしていません。それは明確にふたつの理由があります。ひとつは、いま現在は、7.0で登場する新たなNPCのAIを作るのに精いっぱいだということ。つぎに、メインクエストに関連するダンジョンは“暁のメンバーや主要NPCたちが、そのときどきで何をしているか”という状況に合わせて展開しますが、それ以外のダンジョンでは名もなきNPCたちとの攻略になってくると思います。それだったら暁や主要NPCたちとの冒険をもっといろいろなコンテンツに転用したほうがいいのではないかと考えているため、というのがもうひとつの理由です。

――“クガネ登山”のような、いわゆるジャンピングパズルが大好きなのですが、新大陸のトラル大陸のどこかで同じようなチャレンジは期待できますか? また、『Fall Guys(フォールガイズ)』とのコラボをすごく楽しみにしています!

吉田:まずは『フォールガイズ』とのコラボコンテンツを楽しみにしてくださってありがとうございます。今回、報酬の一部も動画で公開しましたが、非常にかわいらしくて『フォールガイズ』を感じられる多数のリワードを用意してありますので、ぜひ楽しんでいただければなと。

 そしてジャンピングパズルが大好きだと言っていただけるということは、クガネ登山ぐらい難しいものが好みだということですよね? 大丈夫です、作ります! ですので、トラル大陸を冒険しながら、マップの上の方に飛び出している場所があったら、ぜひチェックしてみてください。

――ファンフェスティバルやこれからのインタビューで、“絶対に聞いてほしくない質問”はありますか?

吉田:いま聞かれたくないのは、「8.0のメインストーリーがどういう話になるのか」という質問や、「8.0の新しいジョブは何ですか」という質問です(苦笑)。拡張パッケージを作って情報をお届けしているときには、その先の2年後ぐらいのことも計画しているのですが、さすがにいま僕の頭の中で描いているイメージをお話するわけにはいかないので、その質問をされると困ってしまいます。ただ、聞かれたくはないですが、8.0~9.0ぐらいまでのアイデアは一応あるので、しっかりとそこまで『FF14』を続けていこうと思っています。

――他社のIPとのコラボレーションを企画する際のプロセスについて聞かせてください。『FF14』チーム内でアイデアを決めて他社に提案することが多いのでしょうか? それとも逆のパターンの方が多いでしょうか?

吉田:コラボに関しては、これまでは僕が直接、コラボ先のチームの方々とお話することが多かったです。たとえば『モンスターハンター:ワールド』とのコラボであれば、『モンスターハンター』シリーズのプロデューサーの辻本良三さん、そしてシリーズを生み出した藤岡要さんとは非常に仲よくさせてもらっていて、もともと「いっしょにやりましょう」と長期間温めていたアイデアでした。

 一方で今回の『フォールガイズ』コラボは、『フォールガイズ』チームから『FF14』のヨーロッパチームを経由して「何かできませんか?」と提案してくださったことが始まりです。そこから「僕たちも『フォールガイズ』が大好きだからぜひいっしょにやりましょう」と企画がスタートしました。そのときに我々からも「こういったコンテンツをやります」と企画書を用意するのですが、たいてい、コラボ先の方々に「報酬だけじゃないの?」と驚かれます。我々は“クロスオーバーをやるなら全力でやる”というのがポリシーです。先ほどもお話しましたが、ゲーム業界が盛り上がっていくようなコラボで『FF14』プレイヤーも楽しんでもらえるようなものであれば、どんどんとやっていこうと思っています。

――“ハイデリン&ゾディアーク編”シリーズが完結し、『暁月のフィナーレ』も最後のパッチアップデートが迫ってきています。6.0と6.xシリーズの開発を振り返った感想はいかがですか?

吉田:プレイヤーの皆さんの視点は、その時々、その瞬間だと思いますが、僕はロングスパンで『FF14』の成長を考えています。その中でも6.0~6.xでは、コンテンツをソロや少人数に寄せるというのが、僕としての隠れたコンセプトでした。それを感じられていた方もいたのではないかと思います。それは、6.0でハイデリン・ゾディアーク編というひとつ目のサーガが完結するにあたって、ひとりでも多くの人に楽しんでいただきたかったためです。とくにMMOに苦手意識がある人でも「ソロでも十分に遊べる」と感じられるように、力を入れて準備をしてきました。

 今後の7.xシリーズでは、もう少し皆で協力して、大人数で何かを攻略するといったことをやっていくつもりです。MMOでは同じことばかりをくり返していると飽きますし、同じ波ばかり続いていくと、どうしてもプレイ体験や感動が薄れていくと思っています。ですので、これまでにさまざまな準備をしてきたからこそ、また改めて「皆で楽しむ」ということにフォーカスをして、7.x以降にいろいろとチャレンジしていこうと思っています。

――吉田さんはこれまでにさまざまなMMO作品をプレイしてきたと思いますが、それらのタイトルから将来的に『FF14』に実装してみたいコンテンツやゲーム体験はありますか? また、実装したいけど『FF14』には実装できないものはありますか?

吉田:それぞれのMMOにはそれぞれの良さがあって、それをそのまま転用しても必ずしもおもしろくなるわけではありません。その一方で、ほかの作品から影響を受けたゲーム体験を参考にして、『FF14』用にアレンジをしたり、エッセンスをうまく組み込ませていただいたりというのは、じつは日ごろからやってきています。

 僕はもともと『ウルティマオンライン』で衝撃を受けた人間で、初期のころの『ウルティマオンライン』のカオス、フリーダムな部分は、いずれ僕のゲーム開発者としての人生のキャリアが終わる前にそれに近しいものを作ってみたいという気持ちはあります。ただ、あれを『FF14』に入れるとコミュニティが壊れてしまうのではないかなと思います。さらに、そこまでハードなMMOを作っても、いまの時代では売れない気が……(笑)。

――ゲーム内では、多くのコミュニティイベントが開催されています。イベントのスケジューリングのため、スマートフォンのアプリに繋がる『FF14』のゲーム内カレンダー機能を実装する予定はありますか?

吉田:とてもいいアイデアだと思います。アプリに関しては、最適化もかなり終わり、新機能を入れていこうと思っています。ご提案してくださったようなコミュニケーションを促進させる仕組みはリストアップされているので、これからしっかりと発展させていこうと思っています。

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LOGO & IMAGE ILLUSTRATION:(C) YOSHITAKA AMANO

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