新作FPS『THE FINALS(ファイナルズ)』開発者が語る“弾丸を一発も撃たなくても楽しめる”本作の魅力とは【インタビュー】

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 ネクソン、Embark Studiosが開発するPC(Steam)PS5、Xbox Series X|S向け新作FPS『THE FINALS』。本日12月8日にリリースされましたが、11月30日に行われたメディア向けプレビューイベントにおいて、メディア合同の開発者インタビューも同時に行われました。

 本作のコンセプトや、開発において影響を受けた作品についてなどを聞くことができたので、その様子をお届けします。

 なお、インタビュー回答者はEmbark Studios 共同設立者/「THE FINALS」エグゼクティブ・プロデューサーのRob Runesson(ロブ・ルネソン)氏と、Embark Studios コミュニケーション・ディレクターのSven Grundberg(スヴェン・グランドバーグ)氏です。また、会場登壇者としてNEXON チーフ・マーケティング・オフィサーのHenrik Johansson(ヘンリク・ヨハンソン)氏が参加しました。

※電撃オンラインでは『THE FINALS』プレビューイベントでのプレイレポートを掲載しています。こちらもあわせてご覧ください!
レビュー:カオスを極めたFPS『THE FINALS(ファイナルズ)』はステージが破壊&隕石や重力で変化。飽きない戦いが楽しめる

色々なところから着想を得た『THE FINALS』。中には意外な作品も

──本作はどういったコンセプトで開発されたのか教えて頂けますか?

Rob Runesson氏:Embark Studiosにいるたくさんのメンバーたちは、今までFPSゲームを作ってきていて(『バトルフィールド』シリーズなど)、私自身も20~30年間くらいゲーム業界で仕事しながら、20タイトル以上のFPSゲームを作っていました。それで、FPSゲームはもうちょっと古くなっているのかな? と感じ、Embark Studiosで少し新しいものを作りたいと考えました。

 楽しいものでありながら、競争も出来るものを作りたい、プレイヤーたちが自分のプレイスタイルを、自分がどういうプレイをしたいかに合わせてカスタマイズが出来る! というコンセプトのものです。ダイナミックなゲーム空間をプレイヤーの経験のために作りながら、プレイヤーたちがゲームの結果を自分で決められる、そういうものを作りたいと思いました。

──『THE FINALS』はお金を奪い取って勝敗を決めるという形式ですが、その開発のきっかけとなるものは何かありますか?

Rob Runesson氏:色々な挑戦をしながら、色々な失敗をしました。このゲームを今までたくさんプレイしながら開発しましたが、2年くらい経った後に、ゲームの中に破壊やダイナミックなマップ・チームプレイ・戦略などがありつつ、動的なゲームプレイと静的なゲームプレイが同時に出来るものを作りたい! と思い、その時に“お金を取る”というルールを考えました。

 私達が作りたかったのは、本当になんでもできる世界観です。楽しいこともできるけど、同時に競争もできる。そういうゲームを作りたくて、その中でこの“バーチャルゲームショー”というものを考えました。

──本作の開発にあたって、何か影響を受けたものはありますか?

Rob Runesson氏:私達のインスピレーションは、色々なところから生まれています。特に日本にみなさんにお話ししたいのは、私達は伝統的なアーケードゲームの大ファンである、ということです。


  • ▲ゲーム内のクレジットを見ると、アーケードゲームのようなクレジットムービーが再生される。

 実は、『THE FINALS』は他のFPSゲームからはあまり影響を受けておらず、『鉄拳』や『ストリートファイター』などの格闘ゲームからたくさんの影響を受けています。開発途中に、昔持っていたセガサターンを持ってきて、100時間以上コンソールでいろんな格闘ゲームをしながら、格闘ゲームがどういうシステムで動いているかを研究しました。

 私達が影響されているたくさんのゲームは、日本から来ているものが多く、昔の日本の伝統的なアーケードゲームから、たくさんの影響を受けております。そこに関して、本当に日本の皆さんに感謝を表現したいと思います。

 他には、テレビシリーズや昔の映画などからも影響を受けていて、日本の映画からも影響を受けています。また、『イカゲーム』などの韓国ドラマからも影響を受けていたり、『Formula 1: 栄光のグランプリ』や『アメリカン・グラディエイターズ』などのテレビシリーズからも影響を受けています。『THE FINALS』は、本当にたくさんのジャンルのメディアから影響を受けていますね。

──これまでのクローズドβテストやオープンβテストで、ユーザーからどのようなフィードバックがあったのか教えてください。

Rob Runesson氏:βテストの結果、本当にたくさんのフィードバックを頂きました。小さいバグからバランスの問題に関してのフィードバックなど、本当に何百万という時間のプレイデータを頂いて、それを分析しています。

 『THE FINALS』を特別なゲームにするため、サーバーの環境管理や移動管理システムに関するフィードバックも頂きました。このようなフィードバックは、私達にとってとても重要なもので、武器ハンドリングや弾速・射撃シミュレーション・マップの再制作など、たくさんの修正を行っています。

Sven Grundberg氏:私達はプレイヤーと一緒にゲームを作っていると思っています。本当にこのゲームをプレイしていただき、ありがとうございます。

──年内には何個シーズンを展開していく予定なのでしょうか? また、シーズン2以降、各シーズンではどういうコンテンツを行っていくのか、ヒントがあればぜひお聞かせください。

Rob Runesson氏:まだ正確には言えないのですが、だいたいのシーズン期間は3ヶ月ぐらいを予定していて、1年には4つのシーズンが展開される予定です。

 『THE FINALS』のシーズンでは、世界中の色々な有名な場所に行きたいと思っていて、現在計画している場所は、“韓国”や“モナコ”、“アメリカのスカイウェイスタジアム”、そして“日本”にも行きたいと思っています。いつになるかは今は言えないのですが、プラン上にはあります。

 各シーズンは本当に特別なものになる予定です。シーズン中のイベントも予定しており、小さいイベントからシーズン限定のイベント、シーズン限定のバトルパスなども予定しています。

 シーズン2はシーズン1とは完全に別のものになる予定で、シーズン3はまた別のものになる予定です。シーズン2を見たら本当に驚くと思いますよ。私たちは世界中の、色々な格好いい場所にすべて行きたいと思っています。

Sven Grundberg氏:ライブサービスというのはすごく難しいものなので、私達はコミュニティと一緒にライブサービスのリズムを作り、一緒にこのライブサービスを続けていくことを今の課題として重要に思っています。

──カジュアルでありながら競争も出来るゲームバランスを目指すということをお伺いしたのですが、ゲームバランス的には競技性を求めていくのか? ある程度気楽に遊べるようなカジュアルなのか? どちらになるのでしょうか。

Rob Runesson氏:実は両方をこのゲームの中で作ろうと思っています。すごく競技性があるゲーム、例えば『Counter-Strike(カウンターストライク)』や『VALORANT』、『StarCraft(スタークラフト)』のような競争の要素を、このゲームの中にも入れようと思っています。

 それと同時にカジュアルですごく楽しい要素、例えばビルを破壊するとかそういったものも入れて、楽しくて同時にハードコアなプレイが出来るゲームを作ろうと思っています。

 また、プレイする人たちはもちろん楽しみながら、それを見る人達も楽しい、というゲームを目指しています。『THE FINALS』では、競技性とカジュアルさの両方を楽しめると思います。

Sven Grundberg氏:ひとつ追加したい説明があるのですが、『Counter-Strike』や『VALORANT』のように対照的なゲームではない、ということを言いたいです。

 『THE FINALS』はちょっとクレイジーな要素と、様々な予想できないものが起こるゲームで、従来の対照的なマップを持っているゲームとは少し違っていて、射撃スキルだけがすべてを決定するゲームでもありません。周辺の環境を利用して、プレイヤーがちょっとクリエイティブなプレイができるゲームとなっています。

──リリース後、ファンコミュニティにどのように遊んで欲しいのか? 発展していってほしいのか? など、開発側からの展望のようなものはあるでしょうか。

Rob Runesson氏:私たちがこのゲームを作っている時、プレイしている時と同じ気持ちになって欲しいと思っています。私たちはこのゲームをプレイする時、笑いながら大声を出しながら、時々はキーボードを壊しながらプレイをしています。

 本当に情熱を持って、まるでクリスマスにプレゼントを貰った子供のように、そういう気持ちでプレイしております。ハッピーで笑いながら、そういうプレイをしているので、ファンたちにも同じような気持ちになって欲しいと思っています。ちなみに、銃のチャームとして“壊れたキーボード”を入れる予定があります(笑)。

 私たちと同じ気持ちでこのゲームを愛して、できれば10年以上プレイして欲しい。このゲームをしながらハッピーになって欲しい。愛を持って欲しい。そういう気持ちで楽しんで欲しいと思っています。

──オープンβテストから、コインダッシュモードというのが新たに登場したと思います。過去のトレーラー映像でもコインがピックアップされているのですが、『THE FINALS』の世界観において、このコインには細かい設定などがあるのでしょうか?

Rob Runesson氏:ゲームとして「お金を取り合う」という設定があるので、コインがゲームの中ですごく重要な要素になっているのはもちろんですが、メッセージとしての役割もあります。

 例えば、最初のトレーラーには“INSERT COIN(インサートコイン)”というメッセージがあって、これは私たちのルーツでありコアになっている昔のアーケードゲームに対してのオマージュなっています。昔、私たちはアーケードゲームをプレイするために、両親の財布を拝借したり(笑)、コインを狙って色々なことをたくさんしていて、私たちのコアはそこにあると思っています。

 これ以上コインについて詳しく話すと、未来のスポイラーになるかもしれないのですが……本当にコインが重要な理由は、お金を奪い合うという“バーチャルゲームショー”のゲーム性と繋がっています。私たちがあの10代の少年だった時の、コインをあの機械の中に入れたい、というその時の感情と繋がっています。

──これから初めてFPSをプレイするユーザーに対して、何かメッセージや『THE FINALS』のここを楽しんで欲しい、というものがありましたらお願いします。

Rob Runesson氏:私達はグローバルマーケットで人気があるゲームを作りたいと思っていて、単純にハードコアゲーマーだけではなく、新しいプレイヤーたちも楽しめるゲームを作りたいと思っています。ひとつも弾丸を撃たなくても、他の人をヒールしたり、もしくはビルを破壊したりと、クリエイティブに楽しめるゲームを作りたいと思いました。

 私の姉は昔、『ゼルダの伝説』や『スーパーマリオ』などの任天堂のゲームをしていましたが、大人になってからはゲームをプレイしたことがなく、『THE FINALS』は彼女がプレイした初めての3Dゲームでした。姉は娘と一緒にβ版をプレイしましたが、弾丸を全然撃たずに、ずっと自分の娘にヒールだけをしていました。それでも、2人はすごく楽しい時間を過ごし、姉は「ゲームをしながら、こんなに楽しめるとは思わなかった」と私に言いました。

 新しいユーザーに言いたいことは「楽しんでください。想像力を活用してください」ということです。 単純に敵を排除して勝つことだけではなく、様々な環境にある色々なものを活用して楽しんで欲しい、クリエイティブになって欲しいということです。

 あと、姉の一番小さな娘に、ゲームについてどう考えているかと聞いた時、彼女は「つまらない」と言いました。何でつまらないのか? と聞いたら、「私はパンダとしてプレイしたい」と言ったので、ゲームにパンダスキンを追加して、パンダはβバージョンのキーアートになりました。

 eスポーツのプロから小さな子供まで、すべてのプレイヤーたちが私たちにとっては重要で、そのプレイヤーたちのフィードバックは私たちにとってすごく大事なものです。

 私たちが世界で一番のゲームを作ることを手伝ってください。ぜひ、いろんなフィードバックを私たちにください。

──ありがとうございました。

Rob Runesson氏Sven Grundberg氏:Thank you.

  • ▲最後はオンラインインタビューでしたがみんな含めて自撮りで画面を撮影し終わりました。

※画像はすべて開発中のものです。
THE FINALS © 2022-2023 Embark Studios AB. THE FINALS, ARC RAIDERS and EMBARK trademarks and logos are trademarks or registered trademarks of Embark Studios A

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