レビュー:カオスを極めたFPS『THE FINALS(ファイナルズ)』はステージが破壊&隕石や重力で変化。飽きない戦いが楽しめる

sexy隊長
公開日時

 ネクソン、Embark Studiosが贈るPC(Steam)PS5、Xbox Series X|S向け新作FPS『THE FINALS(ファイナルズ)』メディア向けプレビューイベントが11月30日に行われました。

 『THE FINALS』は、戦闘ゲームショー“FINALS”の出場者となり、富と名声、そしてスポンサーの支持を得るため、チームメイトと共にバーチャル世界で戦いを繰り広げていく基本プレイ無料のチームFPSです。

 戦闘が行われるアリーナ(マップ)は、現実世界のロケーションが美しく再現されており、モナコの石畳の市街地や韓国・ソウルの高層ビル群での戦闘が楽しめる作品になっています!

『バトルフィールド』イズムを引き継いだカオスなFPS作品

 本作の開発を手掛けるEmbark Studiosは、『バトルフィールド』シリーズを手がけたDICEの元メンバーたちが中心となって設立したスタジオです。FPSに造詣が深いスタッフが揃っているので高い品質はもちろん、FPSの新たな可能性を見いだせるスタジオということに……期待も高まります。

 『バトルフィールド』はリアルさよりも遊びやすさにゲーム性に重きをおいている印象ですが、『THE FINALS』はそのイズムを引き継ぎ、多種多様な兵器を使ってさらに楽しくプレイできるよう、進化を遂げたFPSになっているのが最大の特徴です。

『THE FINALS』の基本的なアクションとルール

 本作の基本的なアクションは、射撃・歩き・ダッシュ・ジャンプ・スライディング・しゃがみ・リロードといったFPSの基本的な操作に加えて、様々な個性的なアビリティが使用できます。プラス、本作には“掴む”という独特なアクションが存在します。

 この、掴む、というアクションですが、マップ上に存在する様々なオブジェクトを手に持つことができます。投げて敵の注意を引いたり、オブジェクトそのものに武器を設置したり、と他のFPSでは無いようなプレイが可能なので、アッと驚くようなことができるかもしれません。遊び方が色々見つけられそうでワクワクしますね。

 基本的なルールはキャッシュアウトという、マップ上にある金庫から“キャッシュボックス”を入手し、“キャッシュアウトステーション”に運び回収してお金(コイン)を稼いで、最終的にこの金額が多いチームが勝利、というルールになります。

 キャッシュアウトステーションに運んだあと、回収が完了するまでしばらく時間がかかるので敵チームに阻止されないように防衛する必要があります。つまり、逆に回収しようとしている敵の元へ向かいキャッシュボックスを奪取することもできるので、守るか? 攻めるか? という戦術やチームワークが問われるルールになっています。

 コインは相手チームをキルしても稼げますが、味方チームが全滅するとコインがガッツリ減ってしまいます。キャッシュボックスの金額は試合時間の経過とともに増えていくため、最後の最後に大逆転! ということがある、試合終了まで油断が出来ないルールです。最後まで気が抜けません!

基本的なゲームモードの説明

 ゲームモードは大きく分けて3つ。クイックマッチ、トーナメントモード、練習、があります。

 クイックマッチでは、クイックキャッシュと先日のオープンβテストで新規追加されたコインダッシュという2つのゲームモードが選択できます。どちらもカジュアルに楽しめるモードになっているので、本作の試合の流れや世界観を味わうのに最適です。

●クイックキャッシュ
 3vs3vs3形式のカジュアルなキャッシュアウトルール。本モードでは試合時間がより長く、リスポーン時間とキャッシュ回収時間が短くなり、一度に出現する金庫は1つのみになります。ルールがシンプルなのでまずはこのクイックキャッシュからプレイするのがオススメです。

●コインダッシュ
 3人1組の4チームがコインを奪い合う、カジュアルで戦闘に特化したモード。先にコインの上限に達したチーム、またはラウンド終了時に最も多くのコインを集めたチームが勝者となるルールなのでハイスピードかつ戦闘力が試されるモードなので、クイックキャッシュで慣れてきた方や、戦闘の練習をしたい方にオススメです。

 トーナメントモードでは、トーナメントランク・トーナメントという2つのゲームモードが選択できます。どちらも基本的なルールは同じで『THE FINALS』を理解し、慣れてきた方向けのゲームモードになっています。

●トーナメント
 3人1組の4チームが競い合い、金庫を見つけてキャッシュアウトステーションに入金するキャッシュアウトルール。全3ラウンドのランクなしのトーナメント形式で、計24人のプレイヤーが参加可能です。

●ランク・トーナメント
 上記のトーナメントルールにランク要素が追加されたキャッシュアウトルール。参加人数が増え、計48人のプレイヤーが参加する全4ラウンドのトーナメント形式で争われます。

 練習モードでは、チュートリアルと射撃場といったモードがプレイできます。初めてプレイする方や、操作方法やアクションがどんなのか分からない! という方はぜひここからプレイしてみてください。

常識が覆される! 柔軟性が問われるFPS

 FPSをプレイしたことがある方には分かっていただけそうな「高台を取れ」という教え。これは高所から撃ち下ろすことで敵からの被弾も少なく有利に戦えるという意味なのですが、本作ではこの教えは……あまり意味がないかもしれない……! と感じました。

 本作の魅力の一つに破壊というがあります。マップの建物の壁や床などは武器やアビリティで破壊することが可能で、高台を取っているプレイヤーの足場を破壊して簡単に引きずり下ろすことができます。

 加えて、アビリティにはジャンプパッドやワイヤーアクションのようなアビリティが使えるので高台への襲撃も簡単に行なえます。


 基本的に4チームで競い合う作品なので、壁や床を破壊して戦闘を仕掛けるだけではなく、敵同士をぶつけ合うことができたり、敵チームを下に落として戦闘に参加させないようにしたりと、戦場をカオスにできちゃうのも好印象。従来のFPSの常識に囚われているとかなり驚かされます。

 そしてここに関わってくるのが、3種類のボディビルドです。プレイヤーは競技者として軽ビルド(ライト)・中ビルド(ミディアム)・重ビルド(ヘビィ)の中から好きなビルドを選択できます。ビルドによって体力や武器など個性が変わるので、軽く紹介します。

●軽ビルド(ライト)

 スピードは抜群に早い反面、HPが低く生存率は低いですが、ヒット&アウェイ戦法が得意。アビリティによってステルスと回避に特化したビルド。HP150で使える武器は近接系のサブマシンガンやショットガンがメイン。やや熟練者向けのビルドだと思います。

 スピード特化のため、ダッシュやワイヤーアクションのアビリティが使えるのでキャッシュボックスを運ぶのに適しており、試合中結構やることが多めの印象です(笑)。

●中ビルド(ミディアム)

 体力と移動速度は平均的で、中距離戦闘が得意。回復、スキャン、仲間のサポートに特化したアビリティが使用できるビルドです。

 HP250で使える武器はアサルトライフルやDMRやグレネードランチャーといった中距離系武器がメインです。初心者はサポートキャラとして&熟練者は超攻撃的なキャラとして使用できる最も使い勝手の良いビルド。まずはこのビルドからプレイするのが一番良い気がします!

●重ビルド(ヘビィ)

 生存率は高いが、移動速度が遅めです。破壊や防衛に特化したビルドと言えます。

 HP350で使える武器はライトマシンガン、グレネードランチャー、ショットガン、ハンマー、火炎放射器といった火力特化の武器がメイン。ダイナミックに戦いたい方はぜひ。

 アビリティは防衛壁を作ったり、建物の壁を壊せたりとビルド&スクラップキャラで、初心者でも使えるけど、上記の通り破壊によって試合をコントロールできます。ゲーム解像度が高くなってくればくるほど楽しくなってくるのではないでしょうか。今後一番伸びしろがありそう……!?

 といった感じで、どのビルドも個性のバランスがしっかり取れているので、絶対に◯◯が必要! みたいなことはなく、義務ビルドプレイが発生しないのではないかと思います。全員軽ビルド、全員重ビルドといった尖った編成でもそれに応じた戦略が作れるので、かなり柔軟なFPSになっていると感じました。

どうやっても飽きがこない試合展開

 本作はとにかくハイスピード! プレイ動画を視聴しているときに「速そうだなぁ」と思いながら見ていましたが、実際プレイしてみるとその数倍速かったです。

 キャラの動きは重ビルドですら全然速いですし、何より試合展開が速い! 次どこに向かうか? 攻めるのか? 引くのか? などと考えている暇がなかったです。4チームが入り交じる戦場、破壊によるマップの変化で安全地帯みたいな場所はなく常に移動、常に戦闘が発生します。そのため、何時間も飽きることなくプレイできてしまいそうです。

 プレビューイベントではボイスチャット(VC)なしでプレイしましたが、VCありでプレイしたほうが連携も取りやすく、より盛り上がると思います。VCなしでもピン指しで指示を送れるので問題なく連携がとれるで、ハイスピード展開にもなんとかついて行けますよ!

 マップ上に無数の隕石が降り注ぐ“メテオシャワー”やジャンプ力が上がる“低重力”になるなど様々なイベントが起きるのもポイント。同じマップでもイベントによって立ち回りや戦術が大幅に変わるので、毎回違う場所を遊んでいる気分になります。

 本作の面白いところはまだあります。戦わなくても楽しめるという部分です。中ビルドのキャラを使用して仲間を回復し続けたり、重ビルドのキャラを使用して“キャッシュアウトステーション”を防護壁で囲み要塞を作ったりと、クラフトプレイでも楽しめます。

 FPSなのにエイム依存ではないので、FPSが苦手な人でも途中で上手くいかず飽きてしまう……ということも起きないのではないでしょうか。

といってもFPSなので撃ち合いが楽しい!

 真上で戦わなくても楽しめる! といった矢先に逆の話になってしまいますが、本作はやはりFPS。なので、撃ち合いもとても楽しく作られています。

 その理由の1つが、敵を倒したとき、血ではなくコインが吹き出すということ。その見た目と音がとても気持ちいい! メダルゲームのジャックポットが当たったような爽快感が得られます。

 本作のキルタイムは他のFPS作品よりもやや遅いので、キルが取れたときの快感は他の作品よりもあると思います。FPSが苦手な方でもすぐにやられてしまう! ということがないので比較的プレイしやすく、回復といったサポートプレイもかなり役に立ちます。

 キルタイムが遅いと試合テンポが悪いのでは? と思う方もいるかもしれませんが、本作はキル数を競うのではなくお金を集めることが目的なので、キルで打開! だけではなく、あえて戦わない・被弾しながら強引に移動する、といった様々な選択肢が出てくるので、他のFPSでは考えられないような戦術も必要になるかもしれません。

とにかく面白いトーナメントモード

 クイックマッチも面白いのですが、とにかくトーナメントモードが面白いです。トーナメントモードはその名の通り、4チームバトルで上位2チームに入ったら次のステージに進出、そこでまた4チームバトルを行い、上位2チームに入ったら3v3の一騎打ちバトルで優勝者を決める……というモードになります。

 4チーム中2位でも次のステージに進めるルールのため、勝ちにこだわらなくとも3位・4位に落ちない立ち回りでも勝ち上がることができます。トーナメントでは仲間との連携、判断力が問われるのはもちろん、最後の最後で大逆転も起きやすく、トーナメントならではの戦い方や緊張感が味わえました。

 聞いた話によるとプレビューイベントでは筆者だけではなく、日韓のストリーマーがこのモードばかりプレイしていたとのことなので、このモードの面白さが伺えます。

 トーナメントで一度は優勝したい! と思っていたところ、マッチした仲間がなんと、Rush GamingとRush Clanの総大将であり、国内初の『Call of Duty』クリエイターサポートである “ハセシンさん”&APEXプレデター日本1位6回、9連続世界1桁維持、開幕世界最速5回というSBI e-Sportsの Apex Legends部門所属“cheekyさん”という奇跡が起きました!

 筆者はお二方についていくのに必死でした(笑)。激流に飲まれた小魚のごとく戦場を駆け巡り……なんとトーナメント優勝! 実質ハセシンさん、cheekyさんの二人だけでトーナメントを勝ち上がってしまったのですが、日本トップレベルの実力にただただ見惚れてしまいました。

戦略的だけど笑いが出るぐらい楽しい作品

 最後にオススメしたいのがグラフィック! 綺麗でリアルなのはもちろん、倒されてしまったときに人がフィギュア化したり、リスポーン待ちの画面がアーケードゲームのコンティニュー画面みたいになっていたりと、遊び心満載になっているところにも注目してほしいです。

 キャラクターのスキン変更はもちろんできますが、スキンを変更したら見た目が一気に変わるだけではなく、顔・髪型・目・ヘッドウェア・フェイスウェア・ボディペイント・上半身・背中・腰・手首・グローブ・シューズ……などなど、細かい部分のスキンが変更できます。人と被らないビジュアルでプレイできるのはかなり魅力的。

 個人的にはウェディングドレスのような、戦場では絶対にお目にかかれないようなスキンも用意されているのが嬉しかったです!

 武器も見た目のスキンだけでも大量に用意されていますし、ステッカーやチャームも装着できるので武器にも愛着が湧きます!


 ということでざざっとレポートをお届けしましたが、タクティカルなFPSなのにカオスで、常識に囚われず柔軟な発想が必要とされる、一見難しそうに見えるけど、実際にプレイすると笑いが出てしまうぐらい楽しい……そんなハチャメチャ加減が面白い作品です。

 上述の通り、戦わなくても勝利に貢献できる作品になっているので、FPSが好きな人はもちろん、FPSが苦手な方も一度遊んでみてほしいなと思います。

※画像はすべて開発中のものです。
THE FINALS © 2022-2023 Embark Studios AB. THE FINALS, ARC RAIDERS and EMBARK trademarks and logos are trademarks or registered trademarks of Embark Studios A

本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります

関連する記事一覧はこちら