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『点睛(TENSEI)』製品版レビュー:煩悩退散。禅の精神で挑むエンドレスアクションは飽きが来ず、水墨画風の世界に訪れる四季折々の変化に心が癒される

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 Project Pegasusが開発する、2024年3月25日発売予定のSteam向けアクションゲーム『点睛(TENSEI)』の製品版を先行レビューします。

●『点睛』システム解説動画

※本記事はニューロン・エイジの提供でお送りします。

水墨画風の世界に現れる四季折々の風景が美しい【点睛(TENSEI)】

 『点睛(TENSEI)』は、『PLAY DOG PLAY TAG』を手掛けたニューロン・エイジの社内インディー開発チームProject Pegasusが開発する、水墨画風の世界が舞台のアクションゲームとなっています。

 目的は跳躍を繰り返しながらひたすら空へ登っていくというもので、明確にクリアというものがないのが特徴ですね。アクションはジャンプと、ジャンプ中に急降下を行うドロップのふたつと非常にシンプルなことも相まって、ずっとやっていたくなる中毒性があります。

 以前に開発途中のものをプレイさせていただきましたが、今回は改めて製品版をプレイ。開発途中のものでも完成度が高かったので非常に楽しみです。

 水墨画は名前の通り、墨で描かれた絵のことで、ぼかすことで濃淡や明暗をかき分けています。本作では山や木などの風景が描かれていて、それは水墨画の中でも水墨山水画というものになります。

 開発途中のものをプレイしたときにも思ったので改めてになりますが、どこか懐かしさを感じる風景はかなりきれい。空に向かって登り始める前にまずはこの風景を堪能すべく見まわしてみると、あることに気付きました。

 風景には、空へ登っていくための足場として使用できるものと、遠くに見える世界を彩るためのものの2種類があります。そのうちの遠くに見えるものですが、濃淡がはっきりしているように感じました。

 ただ、すべてがそう見えるのではなく、遠くに見えるものの中でも、距離が近いものは濃く、遠いものは淡くなっていて、その差でそう見えるのかもしれません。そのおかげもあってか、足場として使用できるものもはっきりと描かれている印象を受けました。

 ひとまず風景はこのあたりにしようと思いましたが、空へ登っていく途中でさらなる発見が。水墨山水画で描かれた世界というだけあって、見える風景は自然のものが多いのですが、五重塔や枯山水のような人工物の数が増えていました。開発途中のものになかったわけではありませんが、明らかに数が増えているように思います。

 こういった人工物が増えたことで、風景にメリハリがつきました。本作はクリアという概念がなくひたすら空へ登っていくという目的上、仕方ないかもしれませんが、自然のものだけだと似たような風景ばかりになってしまいます。そこに人工物が出てくることで、同じような風景が続きにくくなることにつながります。

 もちろん、人工物がただポツンとあるだけだと違和感が強いかもしれませんが、うまく風景に溶け込んでいるので違和感はありませんでした。

 また、空に登っていくにつれて風景が移り変わるのも本作の特徴です。桜が咲いている場所や緑が生い茂っている場所、木が紅葉している場所、雪が積もっている場所。まさに日本の四季のようで、白黒の世界で四季を感じられる要素だけがカラーになっているので、より際立っています。

  • ▲同じ季節でも昼夜が変わることでまた違う印象を受けますね。

製品版でもずっとプレイし続けたくなる中毒性は変わらず。無心で遊びたいときはZENモードがオススメ【点睛(TENSEI)】

 水墨画のような世界が舞台になっているということで、どうしても風景に目を奪われがちになってしまいますが、あくまで本作の目的はできるだけ高く空へ登っていくことです。

 プレイヤーが操作するのは瞳らしき物体。前述しましたが、アクションはジャンプと急降下を行うドロップのみとなっています。ジャンプは三段ジャンプができるようになっており、空中に点在する足場をうまくわたっていき、空へ登っていくというわけです。

 ジャンプはふわっとした浮遊感がある独特なものとなっていて飛距離は長め。シンプルだからこそ、足場の距離をうまく計算してジャンプしていく必要があります。

 ただ、それでも予想を誤って届かないという場面もあったのですが、瞳は壁にくっつくようになっていて、足場の側面に届けば何とかなりました。ただ、足場の底面はくっつかないようになっています。さすがにそこまでくっついてしまったら面白味が薄れてしまうので側面にくっつけるだけでも十分。

 また、ジャンプ中は、瞳の外見がカエルや鳥などジャンプが得意だったり飛べたりする生き物になるのも楽しいです。見た目の変化だけではなく、最後までジャンプをしてそれ以上ジャンプができないようになると、瞳の姿に戻って黒目の部分が×に変わります。これで、もうジャンプできないというのが視覚的にわかるので、ジャンプの回数を数えなくてもよくなっています。

 できるだけ高く空へ登るのが目的で、クリアがないゲームなのでこういったところでストレスを感じないように工夫されているのにも、楽しんでもらおうという開発者の想いを感じられます。

 もうひとつのアクションであるドロップは、赤く光っている足場に使用するのが主な使い方になります。赤く光っている足場は何もせずに降りると失敗になってしまいますが、ドロップするとほかの足場のように降りても大丈夫になります。

  • ▲ただし、赤いとげに包まれた物体には注意。小さいので狙いを定めないと当てづらく、ドロップしても消えるので足場として着地できません。そのぶん、通常の赤い足場よりも多くのオーブを入手可能で、ゲージがためやすくなっています。

 このふたつを駆使して空に登っていくというわけです。さらに赤い足場をドロップしたときや、空中にある輪っかを通ったときに溜まるゲージが最大になると、ジャンプしたときに龍に変化して、一定時間無限にジャンプできるようになります。

 一気に空へ登ることが出来て爽快感を得られます。ほかにも、ジャンプ台のような一気に高く跳躍できるギミックもあって、飽きにくくなっていました。

 また、赤い足場をドロップするとランダムで黄色い宝珠を入手できることがあります。これは、交換所でさまざまな要素と交換するときに使用するもの。

  • ▲龍になると近くの赤い足場を自動で降りても大丈夫な足場に変える効果が。これでも宝珠を入手できます。

 宝珠で交換できるのは、赤い足場に当たったときや落下での失敗を防ぐことができる護符や機動力の調整、ZENモードの解放です。

 機動力の調整は、ジャンプを調整するもの。ジャンプの高さを変えれば、それまでとは違ったプレイが求められます。ジャンプを高くして難度を下げてもいいし、低くすればより難しい状態で遊べます。

  • ▲護符の効果は、交換後の最初のプレイ時にのみ発揮されます。

 高く登っていくことが本作の目的ですが、登った高さや入手した宝珠の数に応じてスコアが表示されます。登った高さだけではなく、ハイスコアを目指してプレイするのもあり。それもひとつの楽しみ方です。

 それらの要素を廃して、ただ単純に登っていくことだけに特化したのがZENモードです。

 より登ることや風景を楽しみたいときには、ZENモードでプレイするのがおすすめ。個人的には、登った高さやスコアが表示されると少なからず意識してしまうので、そういったことを何も考えないでいいZENモードは、無心でプレイできました。

  • ▲龍になる要素はありますが、ゲージは表示されません。ジャンプして龍になったときにはじめてゲージが溜まっていたことがわかります。

 新しさと懐かしさの両方を感じる、墨を使って描かれた水墨画のような世界に引き込まれること間違いなし。大きな変化ではないかもしれませんが、開発中のものより濃淡がはっきりしたことで、もともと力が入っていたビジュアル面も強化されています。

 アクション部分は、シンプルで程よい難度であるからこそ、いつまでもやっていたいと思えます。今回プレイしているときには10000mくらいはいけるのですが、その先で集中が切れてしまって失敗してしまうことが何回もあったので、もっと高くまで行けるように挑戦してみたいですね。

  • ▲きれいな風景の場所も探してみるのも楽しいかもしれません。

 ちなみに、特定の条件を満たすと実績が解除されます。実績は解除してもプレイに影響がなく、自己満足の類。ですが、ひとつの目標として解放を目指してプレイしてみるのもおもしろいかもしれません。

  • ▲ほとんど回数やスコアに関するものですが、条件が具体的ではない実績もあります。

 ゆったりといつまでも遊べる『点睛』は、非常にお手頃な価格でリリースされるようなので、ちょっと心を癒したいときなど、リラックスして気軽にプレイするのがおすすめです。


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