レビュー:『点睛(TENSEI)』水墨画風の世界は色彩豊かなビジュアルとは違うベクトルの美しさ。ゆるいアクションも中毒性あり

電撃オンライン
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 Project Pegasusが開発する、2024年発売予定のSteam向けアクションゲーム『点睛(TENSEI)』を最新のビルドで先行レビュー。なお、Steamでは本作の体験版が配信中です。

※本記事はニューロン・エイジの提供でお送りします。

どこか懐かしさを感じる水墨画風の世界【点睛(TENSEI)】

 『点睛(TENSEI)』は、跳躍を繰り返しながらひたすら空へ登っていくアクションゲーム。『PLAY DOG PLAY TAG』を手掛けたニューロン・エイジの社内インディー開発チームProject Pegasusが開発しています。

 水墨画は名前の通り、墨で描かれた絵のことで、ぼかすことで濃淡や明暗をかき分けています。まず、そんな水墨画の世界がプレイしていて目に留まりました。

 これまで触れる機会があまりなかった水墨画で表現された世界はかなり新鮮。なのに、どこか懐かしさも感じられる不思議な印象を受けました。一言で表すと「落ち着く」という表現がぴったりです。

 墨の濃淡でいろいろとかき分けているので、ほとんどが白黒になっていますが、木に咲く花は桜のようなピンク色だったり、紅葉のような赤色、若葉のような緑色と、四季を感じられる美しさ。

 筆者が知っている水墨画は色で言うと白と黒色だけだったので、本作は水墨画の世界というよりも、水墨画に新たな要素を足した水墨画“風”の方がピッタリな気がします。

  • ▲ちなみに自然の風景を描いたものは山水画で、水墨画の技法で描かれた山水画は水墨山水画というそうです。

 色がついている花は、ほかの風景が白黒なのでかなり映えます。カラフルな世界で同じ色の花を見るよりもまわりが白黒な分、より鮮やか。ずっと白黒の世界だと景色の変化が乏しく飽きやすいと思いますが、花の色による変化がありその心配もなし。

 ゲームの本来の目的である空へ登っていくという目的も忘れて、どこから見たら一番きれいなのかを探したくなります。というか、実際に探しました。

  • ▲絶対もっといい場所があるはず。

 昨今のゲームでよく見られる、色をふんだんに用いたビジュアルとは、違ったベクトルの美しさがある本作。体験版では、プレイできる範囲には制限があったのですが、製品版ではどんな景色が見られるのか楽しみです。

ほどよいアクション性で龍のようにただただ高く空へ【点睛(TENSEI)】

 水墨画風の景色もいいですが、本作の目的は空へ登っていくことです。

 プレイヤーが操作するのは、何かの瞳らしき物体。タイトルである『点睛(TENSEI)』の睛という文字には瞳という意味があるので、たぶんこれは瞳なんでしょう。

 瞳は三段ジャンプが可能で、これを駆使して空へ登っていきます。空中には足場が点在しており、ジャンプでどこまで飛べるかを判断する必要がありますが、足場の数が多く、ジャンプできる距離も長め。ただし、足場の中には赤く光っているものもあり、これに触れると力尽きて失敗になります。

 赤く光っている足場は、ジャンプ中に可能な“ドロップ”を使用すると、ほかの足場と同じように乗り移れるようになります。基本のルールはこれだけなので遊び自体は簡単。

 誰でも気軽にできるうえに明確なゴールがなく(体験版では2000mで終了)、いうなれば、∞プチプチのようにやりたいだけやれるのが本作の醍醐味です。

 要になるジャンプは、そこだけ時間の流れが遅くなったように、ふわっとした浮遊感があります。ジャンプ中は、瞳の外見がカエルや鳥などジャンプが得意だったり飛べたりする生き物になるのも、細かいところですが、こだわっていますね。

 さらに、赤い足場をドロップしたときや、空中にある輪っかを通ったときに溜まるゲージが最大になると、瞳は龍に変化。一定時間無限にジャンプできるようになります。

 ただ空へ登っていくだけではなくちょっとした要素も含まれていて、ビジュアル面だけではなく、アクション面でも飽きにくくなるような工夫がされています。

  • ▲ジャンプ台のような一気に高く跳躍できるギミックもありました。
  • ▲足場の垂直な部分にくっついて移動できます。

 最初に龍になったときには、「墨で描かれていてかっこいいし、一気に高いところを目指せる」とビジュアルやアクション面に注目していましたが、のちにタイトルの『点睛(TENSEI)』が、画竜点睛という言葉と同じ文字が使われていることに気付きました。

 画竜点睛は、壁に書いてある龍に瞳を書いたら、龍が動いて空へ登っていったという故事がもとになっています。プレイヤーが操作する瞳が空を目指し、龍になると一気に登っていく。そのゲームのタイトルが『点睛(TENSEI)』。あくまで、推測ですが、すべてがつながったような気がします。

 本作は、墨を使って描かれた水墨画風の世界を舞台にしており、ビジュアル面には大きく力が入っています。色彩豊かなビジュアルとは違ったベクトルの美しさがそこにはありました。白黒の世界に突然現れるカラフルな花も白黒の世界を引きたてていましたね。

 アクション部分は、程よい感じの難度でありながらもいつまでもやっていたいと思わせるような魅力がありました。いい感じの緩さがあるんですよね。

 美しい水墨画風の世界を舞台に程よいゆるさのアクションとずっとやり続けたくなる中毒性があるゲーム。それが『点睛(TENSEI)』です。体験版では2000mまでしかプレイできませんが、それだけでも本作の魅力が十分にわかるはず。ぜひプレイしてみてください。


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