アンデルセンの大願。そして、“なにものでもなきもの”へ【グリムノーツ最終考察13_6】

そみん
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 スクウェア・エニックスのiOS/Android用アプリ『グリムノーツ Repage(リ・ページ)』の物語がいよいよ完結します。

 その物語をより楽しめるよう、ストーリーの流れをまとめつつ、物語の背景を読み解く考察記事をお届けします。

※本記事内には物語のネタバレを含む表現がありますので、ご注意ください。

アンデルセンの大願

 『リ・ページ』の16想区(終局の世界・前編)にて、デウス・アンデルセンはアルケテラーを倒す目的を「世界を、一つにすることだ」と語っている。

 「かつてあった世界は、意味を失い、消滅の危機にさらされた…「古き人たち」は、アルケテラーを創り、それを免れた」

 「だがアルケテラーは不完全だった。もっと言うならば、ハンパ者…ぼくに言わせれば…「三流の語り部」だ」

 「ヤツは世界を語りきれなかった。だから、世界はバラバラの“想区”の形でしか存在できなくなった」

 「不完全なんだよ、この世界は。だから常に不安定なままだ」

 「そんなことをあのバカは、もう何千回、何万回と繰り返している」

 「このままでは、那由多の果てまでこのままだ!」

 「そうだ。あの三流の語り部を追い払い、ぼくが、この世界を語る!」

 「この世界を一つにする。正しき語り部のもとに、正しき世界が生まれる」

 「想区などという、小さな区切りではない。この世界は、“デウス・アンデルセンの世界”になるのだ!!」

 このように、デウス・アンデルセンはバラバラの想区ではなく世界丸ごとを1つとして語りきれる自分がアルケテラーになりかわろうとしていることを明かしている。

 これは、彼が“お月さま”としてモリガンを操り、フォルテム教団を操った際に語った「不条理な語り部から、私“たち”の運命を取り戻す刻が」という言葉とも合致する。

 また、『グリムノーツ』で語られているテーマの1つである、“与えられた運命に従うか、逆らうか”という観点で見た際には、自分の自由意思を尊重するため、アルケテラーから一方的に“運命を与えられる”ということへの反発もあるのかもしれない。

アンデルセンが“お月さま”になった理由

 アンデルセンが“お月さま”になった経緯は、『リ・ページ』の16想区(終局の世界・前編)で明らかになる。

 数百年前、「究極の語り部とはなにか」という命題の答えを知るために、“万象の栞”でアルケテラーとコネクトをしたアンデルセン。

 アルケテラーは、その答えを教える代わりに、己の中に芽生えた“否定するもの”を切除することを願った。本来は“空白の書”を持つ者が“否定するもの”の対応にあたるはずだったが、アルケテラーのもとに“空白の書”を持つ者が訪れることはなく、もう限界となっていたのだ。

 アルケテラーは“否定するもの”について、こう語る。「それは、私の中に生まれし、理解不能な存在。ただ確実なことは、かの者は、既存の物語の全てを否定し、無意味にしかねない力を持つと。




 アンデルセンは“否定するもの”の切除には成功したものの、“ワイルドの紋章”を持たない彼の精神も、彼が宿っていた“空白のホムンクルス”も砕け散り、魂も肉体も崩壊してしまった。



 その隙を、“否定するもの”は見逃さなかった。そもそも肉体も魂も精神も存在しない“否定するもの”はアンデルセンのの魂の欠片を吸収し、一種の思念体と化した。それが“お月さま”である。

 こうしてアンデルセンとなった“お月さま”は、“ワイルドの紋章”を持つエレナに宿って彼女を“災厄の魔女”モリガンへと変え、万象の想区でレイナの“再編”を受けてモリガンの肉体を失った際には、“ワイルドの紋章”を持つエクスへと宿った。


 そして、クラウス、またはプロメテウスを名乗って行動を続け、“フィーマンの想区”でエレナの未熟な“創造”を受けたプロメテウス(お月さま)は古い肉体(エクス)を捨て、フランケンシュタイン博士と大錬金術師パラケルススが作った“完璧な肉体(デウス・ホムンクルス)”へと入ったのだった。

 そんなデウス・プロメテウス(お月さま)の肉体はエレナの“創造”で想区の力を外に逃がされたことでボロボロとなり、エレナたちからはカオス・アンデルセンと呼ばれることに。


 さらに“再編”で“お月さま”の力をそごうとするエレナに対して、“お月さま”は“アンデルセンであること”を排除。“なにものでもなきもの”へと姿を変えるのだった。







 ちなみにインタビューにて、シナリオ担当の大泉貴さんとSOWさんは、“お月さま”と“お星さま”について、以下のように語っている。

大泉:お月さま自体は、“自分の光では輝けないものの象徴”で、プロメテウスの力の根源です。

 元々はモリガンの設定を決めるときに、童話によく出てくる悪役の魔女をイメージしていて、モリガンが月の女神でもあるので、そこからお月さまの設定が生まれました。

 あと、物語中でも匂わせていますが、アンデルセンの『絵のない絵本』から着想を得ています。

――お月さまと似たもので、“お星さま”もありますよね。

SOW:大泉くんの初期の着想からお月さまというキーワードがあって、それに対になるものが欲しいと思い、アンデルセンの想区からお星さまを出しました。

 アンデルセン童話の『もみの木』から着想を得ています。クリスマスツリーになったもみの木のてっぺんに付けられた星の飾りがモチーフで、自分で輝ける者の象徴として描いています。

 何者かの光を浴びないと輝けない者と自分で輝く者、これがラストでどう結びつくのかにご期待ください。

大泉:空白の書の持ち主が新星と呼ばれているなど、星というキーワードはお星さまに限らず、『グリムノーツ』シリーズではよく出てきますので、お月さまと同じくらい重要なキーワードになると思います。

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グリムノーツ Repage

  • メーカー: スクウェア・エニックス
  • 対応端末: iOS
  • ジャンル: RPG
  • 配信日: 2016年1月21日
  • 価格: 基本無料/アイテム課金

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  • メーカー: スクウェア・エニックス
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  • ジャンル: RPG
  • 配信日: 2016年1月21日
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