『夢現Re:Master』の世界を奏でた3人の歌姫によるガールズトーク♪ 曲のイメージや歌への取り組みを告白

ライターM
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 工画堂スタジオから、6月13日に発売されるPS4/PS Vita/Nintendo Switch(ダウンロード専用)/PC/Steam用ソフト『夢現Re:Master』。本作にかかわるメンバーへのインタビューを掲載します。

 本作は、工画堂スタジオのしまりすさんちーむによる、ゲーム制作会社を描いたアドベンチャーゲーム。帝都東京の都心からほど近い街、“虹園寺(こうえんじ)”にある小さなゲーム開発会社“ユリイカソフト”を舞台に、ゲーム制作者や声優たちの努力と葛藤を描きます。

 今回はテーマ曲を担当された3人のアーティストへのインタビューを実施。作品のテーマを聞いた時の印象や仕事への取り組み方、曲に対しての想いなどを語っていただきました。

 なお、インタビュー中は敬称略。

アーティスト紹介

  • ▲左から安月名莉子さん、亜咲花さん、今井麻美さん。

亜咲花さん……OPテーマ『Place of promise』を担当。アニメソングをメインに幅広く活躍されている女性歌手。アニメ『Occultic;Nine -オカルティック・ナイン-』のEDテーマ『Open your eyes』でデビュー。代表曲は『SHINY DAYS』(アニメ『ゆるキャン△』OP)や『この世の果てで恋を唄う少女』(アニメ『この世の果てで恋を唄う少女YU-NO』OP)など。

今井麻美さん……EDテーマ『懐かしい街』を担当。歌手としても活動中の人気声優。工画堂スタジオ作品では『ソルフェージュ』シリーズの天野まり役、他にも如月千早役(『THE IDOLM@STER』シリーズ)や牧瀬紅莉栖役(『STEINS;GATE』シリーズ)でおなじみ。

安月名莉子さん……EDテーマ『花』を担当。シンガーソングライターとして活動し、アニメ『やがて君になる』OPテーマ『君にふれて』でメジャーデビューを果たした。本作では声優にも挑戦している。

みやざーさん……本作のディレクター。代表作は『白衣性恋愛症候群』や『白衣性愛情依存症』、『ソルフェージュ』シリーズなど。

『夢現Re:Master』特集記事 バックナンバー

今井さんの中にある百合ゲーは工画堂でできている!?

――本作は女の子同士の友情や愛情がテーマとなっているわけですが、みなさんはどのような印象をお持ちですか?

安月名:私の中のイメージでは、必ずどちらかがサバサバしています。

亜咲花:わかる! すごいわかる!! そうじゃないと成立しないんですよね。

今井:宝塚的なイメージということかな?

安月名:たぶんどちらかが男性気質なので雰囲気になるのだと思います。

今井:ちょっと正解が分からない(笑)。

――そんな今井さんはいかがですか?

今井:主人公が男の子という作品に触れることが多かったので、初めて工画堂さんの作品に出会った時は衝撃的だったんですけど……人は慣れるものなんです。

(一同笑)

今井:最初はちょっと照れてしまったんですよ。『ソルフェージュ』では出演声優さんはみんな知っている仲間だったので、自宅に帰ってゲームを遊んだ時にはニヤニヤが止まらなかったんですね。
 このニヤニヤの成分はいったいなんだろうと思いながらプレイをしていたんですけれども、今は当たり前のように受け止めている自分がいるなと。私の中の百合ゲーは工画堂さんでできています。

亜咲花:女子高ではないけれど女の子が多い学校だったので、スキンシップは多かったですね。帰国子女しか入れないインターナショナルスクールだったためかもしれないのですが、おはようってハグしたり、あいさつ代わりにほっぺにチュッとしたり。

今井:私がステージ上で後輩のほっぺにチューした際、1カ月前から悶々と考えていたのに!

亜咲花:今井さんもちょっとチュー癖があって、ライブ中によくチューしていますよね(笑)

今井:見られてた~。ずっと考えていて、どうしようどうしようって。

安月名:キスのタイミングを見計らっているんですか?

今井:そう。だからよく見たらゆっくり近づいてすごい不自然なの(笑)。あとになって、あれで嫌われたんじゃないかって、しばらく落ち込んだけどね。

亜咲花:やる方はちょっと勇気がいりますよね。今回のようなガッツリと女の子同士の恋愛を描いた作品にかかわるのは初めてだったので、歌う側もドキドキしました。

――女の子同士の恋愛と聞いて思い浮かぶ作品はありますか?

今井:『マリア様がみてる』ですね、衝撃的だったので。

安月名:私の場合は百合作品に初めてかかわったのがデビュー作の『やがて君になる』で、最初は「女の子同士が……」という恥ずかしさがあったんですけど、今井さんがおっしゃったように慣れましたね。

――そういった気持ちは歌にも影響するのでしょうか?

安月名:ありますね。デビューシングル『君にふれて』ではいつもの恋愛ソングよりも爽やかに歌うことができたと思います。

亜咲花:私は逆だったかもしれない。女の子同士を意識し過ぎてしまうと狭い曲になってしまうと思ったので、性別を固定するのではなく、大まかなラブソングとして歌いました。

今井:今回はゲームの内容よりも先に曲をいただいていました。どういう内容かわからず、エンディングとだけ聞いていたんですけど、どう聞いても悲恋なんですよね。
 自分が今までかかわらせていただいた作品ではうまくいかなかったとしても、最後はホッコリする内容が多かったので、「みんな不幸になれ~」みたいなのだったらどうしようと不安で、「本当に大丈夫なの?」という確認を5~6回繰り返しました。
 後日キャラクターボイスの収録の時にあらすじを聞かせていただいて、そこでやっと腑に落ちましたね。

安月名:私も先に曲をいただいたので、レコーディングした時と、ストーリーを読んだ時という、二段階の衝撃がありました。どこに出てくるエンディングなのかもわからない状態だったので、「バッドエンドでこういう切ない場所があるのかな」と。

亜咲花:私は主題歌でしか参加していないので、事前情報がまったくない中、それこそアフレコが始まる前に収録をしていたので、女の子同士の恋愛とゲーム会社というのがキーワードとだけ聞いていました。

今井:エンディング曲を収録した時に作品名は聞いてはいたんですけど、イラストとかも見ていなかったのでそこまで印象はありませんでした。

――今井さんが本作の楽曲でかかわることを知ったのは、どのタイミングなんですか?

今井:ゲームショウで本作の記事を見た時に「このイラスト、かわいいな。あれ? このタイトル、聞いたことがあるな」って。

みやざー:その時はまだ主題歌名しか発表していなかったんですよ。そのため、調べても出てこなかったようです。

声の仕事へのこだわりに迫る

――今回キャラクターボイスにも携わられていますが、どのような役でしたか?

今井:どこまでお話ししていいのか分からないですけど、主人公とはまったく別の世界で生きていて、とある事情を抱えている……。

みやざー:劇中劇というか、ゲームの中に登場するゲームのキャラクターですからね。

今井安月名:言っちゃった! それ言って大丈夫なんですか?

みやざー:それは大丈夫です(笑)。だから、お2人に渡した台本は、メインイラストに描かれている女の子たちとは全然違うんです。

亜咲花:完全に2人の世界ということですよね?

みやざー:そうです。

今井:台本をもらった時に「思っていたのと違~う!」って思いました。

みやざー:どうしてゲーム会社なのに魔女役なんだろうって?

今井:前世なのかなと思いました。

安月名:私が演じたニエちゃんはとにかく純粋で、昔からつらい経験をしてきたから他人の痛みが分かる子だなって思いました。

みやざー:生贄の“ニエ”ですからね。

安月名:素直で言うことを聞きすぎて心配になることはありましたね。「この子、いつか誰かに騙されてしまうんじゃないか」って。そのくらい人間味のある、カワイらしい子だというのが私の印象でした。

――今井さんの演じられた魔女の方はいかがですか?

今井:先に収録を終えていた莉子ちゃんの声を聴かせていただいてから収録に臨んだんですけど、彼女の声がしっとりとした色気も含んだ声だったので、大人な魔女という言葉から想像するイメージを含めつつ演じさせていただきました。
 今回初めて声優に挑戦という莉子ちゃんは透明感のある素敵な声で、思わず「この方、どなたですか?」って聞いちゃったんですよ。

安月名:ありがとうございます、録音したかった。

今井:え? 今の発言を?(笑)

安月名:憧れの今井さんにこんなこと言われるなんて……。

――初めてのアフレコ収録はいかがでした?

安月名:歌と違いすごく難しかったこと、それと同時にすごくやりがいのあるお仕事を経験させていただきました。ニエちゃんが自分より年齢が下の子の声なので、すごい苦労しました。声優の仕事をさせていただいてこれを言うのもなんなのですが、演じていると徐々に素の安月名に戻ってくるんですよ。
 その時に、別のブースにいらっしゃるスタッフさんが、すごい優しい声で、ニエちゃんのイメージがわくような具体的な言葉をかけてくださったおかげで最後まで演じ切ることができました。
 あとは歌うように声を張ってしまって「メーターが上に振り切ってるよ」と言われて(笑)そういうところも勉強になりましたね。

――亜咲花さんは声優業にご興味はおありですか?

亜咲花:実はゲームとかで何度かやらせていただいたことがあるんですが、そのたびに声優さんのすごさが分かるんですよ。例えばこのセリフを何秒までに収めなければいけないとか、このワードは力強く入れなければいけないとか、キーワードをセリフにはめつつも、文章全体のニュアンスを考えていくのがすごく難しいですよね。

 アフレコの現場を見学させていただいたりすることもあるんですけど、参加させていただく度に声優さんは本当にすごいということを肌で感じています。

今井:怖い……隠れたい……。

(一同爆笑)

みやざー:安月名さんの時にスタッフさんとで、歌手と声優では訓練の仕方が違うから、声の出し方が違うということ。という話をしていましたね。

亜咲花:普段のしゃべりとかでも、どうしてもお腹から出しちゃいますよね。

安月名:腹式呼吸で。

今井:私、つねに適当だからわからない……どうしよう、怖いよぉ(笑)。

――声を当てる時と歌を歌う時の心構えも、それほど変わらないのですか?

今井:歌と声を当てたものと考えるとレコーディングになってくるじゃないですか。よほどのことがない限り、レコーディングは緊張しないよね?

亜咲花安月名:しないですね。

今井:声優としてだと、役によってはとても緊張する時もあるので一概に比べられないなとは思います。歌手としてステージで歌う時はもちろん緊張するし、心持ちがどうなのかと問われると難しいですけれど、少なくともどちらの仕事も楽しい時はとても楽しいです。

みやざー:歌でつらいことはありますか?

亜咲花:例えば、自分はこう表現したいのに、体と喉が追いつかないケースはあります。理想が大きすぎて現実ではうまくいかないという。

今井:私も一番ひどかった時期は理想がどんどん大きくなっちゃって、自分の中ではこういう風に歌いたいというイメージがあるのに、現実はまったくそこに追いつかない。その時の落ち込み方がハンパなくて、レコーディングが終わった後、皆さんが「大丈夫だったよ」って言ってくれるんですけど、全然聞かないでずっと無視。

亜咲花:無視ですか!?

今井:「いいんです、そういうの大丈夫なんで!」、「気休めはやめてください!」と口走ってしまって、みんな無言でご飯を食べていたみたいな。そこまで落ち込んでいるならもう帰れよという話なんですけど、もう絶望的な感じでした。

安月名:ぉお……。

今井:でも、いろいろな方に協力していただいて、いざ発売されたものを聞いてみると、自分の理想にちょっと近づいているんですよ。その時の私が一番ひどいんです。「思ったより大丈夫だった~♪」って。みんなあれだけ気を遣っていたのに(笑)。

(一同爆笑)

亜咲花:おもしろい(笑)。

今井:莉子ちゃんはそういうのまだないかな?

安月名:お2人が言っていた「理想が大きくて……」というのはあります。もっと鍛えて理想に近づけたいというのはつねにあるので、そこでいつも悔しい思いをしています。

ゲーム会社はどんな感じ!?

――本作のテーマの1つでもあるゲーム会社について、皆さんはどのようなイメージをお持ちですか?

今井:ぶっちゃけ、ゲームを作っている会社さんには数えるほどしか行ったことがなくて、工画堂さんにもお邪魔したことがないですよね……。

亜咲花:今日のインタビューが行われている場所、MAGES.さんは?

今井:MAGES.さんも、ゲーム会社か! でも、実際にゲームを作っているフロアは別だから、やっぱり行ったことないですね。

みやざー:実際、こんな感じですよ。

今井:本当にこんな感じなんですか?

みやざー:大きい会社は違うけど、小さい会社はそうですね。

今井:勝手なイメージで、本当はもっと散らかっているイメージでした。数は少ないですけれど、ゲーム会社さんにお邪魔した際に、毎回「意外とキレイなんですね?」と話をしていたので。

――それは今井さんが来ると分かっていたから、一時的にキレイにしているのかと。

今井:そういう仕組み?

亜咲花:アポなしで行ったらすごいかもしれないですね(笑)。

安月名:私はゲーム会社って1回も入ったことがないんですが、フィギュアとか置いてあるんですか?

みやざー:フィギュアは机の上とかにだいたいありますね。

今井:偏見とかじゃなくて、フィギュアはデッサン用ですという空気を出しつつも、「それ、絶対趣味だろう!」っていう(笑)。

安月名:徹夜とか本当にするんですか?

みやざー:しますよね、しなきゃいけない場合は。

今井:するんだ~~……そりゃそうですよね。

亜咲花:私はゲームが好きなので、実際に見たいんですよね。どこから案が上がって、どういう風に会議をして、どうやって本編に組み込むのか。作画班とかシナリオ班とか、どういう風に話を合わせていくのかなど、見てみたいですね。

みやざー:今回の『夢現Re:Master』はそういう作品なので、一から全部は見られないけど、どのようにして作品ができていくのかという流れは見られます。

理想と現実のギャップ

――本作の中でも産みの苦しみというものが描かれます。先ほどの理想と現実のギャップではないですが、みなさんが活動される中で、どのようにして壁を乗り越えていますか?

今井:莉子ちゃん、今どれくらいだっけ?

安月名:えっと、ご、5カ月目です。

今井:5カ月で産みの苦しみあったら嫌だわ(笑)。まだ何でも吸収する時期じゃないですか。

みやざー:でも作詞なども、やられているんですよね?

安月名:そうですね、シンガーソングライター歴は5年目くらいですけど、デビューしてからは5カ月目の赤ちゃんです。

今井:バブゥ! 3年の亜咲花ちゃんがベテランに感じちゃう(笑)。

安月名:おそれ多いです、本当に。

今井:まだ楽しいことばかり?

安月名:そうですね、楽しいことの方が多いです。

今井:3年やってきた、亜咲花ちゃんは?

亜咲花:最初はアニソンアーティストとして歌えることがすごい幸せで、与えられた曲を歌うので精いっぱいでした。今はアニメの世界観に自分の歌が合うように、どのように表現していけば良いのかを、悩みつつ考えながら歌っています。アニソンはアニメタイトルあってこそのもので、自分が魂を吹き込むという感じで歌っていますね。
    カップリングとかアルバムとかでタイアップがついていない時は自分の好きなようにして、例えば歌詞を全部英語にしてしまうとか、アーティスト亜咲花を詰め込ませてもらってます。

――タイアップ曲とそうでない曲とでは、歌い方とか心持ちは大きく異なる?

亜咲花:まったく違いますね。

今井:亜咲花ちゃんは特に違うよね。

亜咲花:私の場合はロックも歌うしバラードも歌うし、EDM(エレクトロニック・ダンス・ミュージック)も歌ったり…。1つのジャンルに囚われず本当にバラバラなんですよ。タイアップに合わせた歌を歌えるようにしています!

今井:会社が、ゲーム会社さんに近いレーベルなので、いろいろな曲調を歌う機会がありますね。

亜咲花:志倉千代丸さんが作詞作曲を行われたり、『SHINY DAYS』のようなちょっと洋楽っぽい曲があったり、亜咲花といえばコレだよねというジャンルがない。
 そういう意味ではジャンルで攻めていくよりは、歌い方とか個性で亜咲花というのを押し出していくことを最近見つけ出したところです。3年目でこの悩みがあるということは、大先輩の今井さんなんかはもう……。

今井:悩みまくって、一周まわってフワフワしているの。一番最近出した『Believe in sky』(アニメ『ぱすてるメモリーズ』OPテーマ) はすごく疾走感があってみずみずしい楽曲だったんですが、自分が何も考えずに歌うとなにか違う。言葉の使い方とか、すごく今どきの楽曲だったので、今どきの子が歌うのと私の世代が歌うのでは、とらえ方やクセが違う。
 そう思っていろいろな曲を聞いている中に亜咲花ちゃんの曲があって「コレだ!」って思い、亜咲花ちゃんの成分を少し取り入れさせていただきました。だから『Believe in sky』は亜咲花ちゃんのおかげ。ありがとうございます。

亜咲花:『Believe in sky』は今井さんの曲の中でもかなりアップテンポな曲になっていますよね。今井さんはしっとりとした曲の中でひとつひとつ言葉を置いていくタイプなのかなって私は思っていて。だから、アップテンポで言葉をひとつひとつ踏んでいくと追いつかなくなってしまうじゃないかなと。

今井:そうなの! もう一生懸命。ちょっとした子音の持っていき方とか母音の出し方とかが違うんですよね。声優畑で生きている人と、歌手一本で活動している人では、発音の仕方が違ってくるので、本当に参考になるんです。歌手活動10周年になったんですけれども、まだ勉強できるところがたくさんあると感じています。

安月名:この流れで、5カ月の悩みを言っても大丈夫ですか?

今井亜咲花:聞きたい!

安月名:今までシンガーソングライターとして自分の言葉しか出してこなかったんですよ。自分が頑張るんだという思いを、自分の内から皆さんに発してきた。それがアニメ曲のように「こういう課題で作ってください」と言われた時の壁が一番大きかったです。
 アニメ主題歌のイントロを聞いた瞬間に、いろいろな作品の情景が溢れるじゃないですか。私もこういう歌を作っていきたいなって、ずっとプラス思考に考えています。でもそこは結構悩みました。

――その壁はどのように突破されたんですか?

安月名:現在進行形で、まだ突破できてないです(笑)。

亜咲花:悩みが真逆ですね。

『Place of promise』のイメージは?

――今回歌われた曲のイメージについてお聞かせください。

亜咲花:主題歌『Place of promise』は、男女の恋愛とか性別を固定したのではなく、恋愛という大きなくくりを見て歌わせていただいたものになります。歌詞の中にヒロインのあいちゃんとこころちゃんという名前をわざと、しかもひらがなで詞の中に入れたと聞きました。

みやざー:別れはまた会うための扉とか、何回でもきっと巡り合えるとか、約束の場所とかも、作品のテーマとして重要なキーワードとなっています。

今井:我々のテーマですね。

亜咲花:え? 約束の場所が出てくるんですか? サビのところで何回も出てくるんですよね。

みやざー:ゲームが終わった後で『Place of promise』を聞くと「おお!?」ってなると思います。そういうのも作詞をしてくださった柿沼さんが入れてくれたので、ありがたいです。

  • ▲『Place of promise』が収録されている『19BOX』。

――レコーディング中に方向性などについて指示されましたか?

亜咲花:ハスキーというかパワフルなことが多かったので、なるべく暖かな陽射しで包み込むような歌い方を意識しようとしました。芯を柔らかすぎず、でも強くしすぎずという、中間のところで亜咲花らしさを残しつつも、優しい感じの声質に仕上げて歌うように心掛けています。

――朝の木漏れ日のような印象を受ける曲ですよね。

亜咲花:うれしいです。この楽曲は私のミニアルバム『19BOX』に収録されていているのですが、ミニアルバムの中でもすごいスパイスになって、楽しんでもらえているのではないかなと思っています。

――東京ゲームショウの時にひと足早くお披露目されていましたが、いかがでした?

亜咲花:あれが大変で……レコーディングする前に披露したんですよ。

今井安月名:え~!?

亜咲花:まだアフレコも行われていない、レコーディングも始まっていない、でも歌っちゃおうかみたいな超最速先行ライブでした。正解も何もないので、どういう風に歌えばいいのか、すごく怖かったです。
 結果、すごくイイ感じだったので、ライブが軸になってレコーディングではすんなり歌えました(笑)。

今井:すごいですね。私はステージで先に披露した後にキャラクターとしてレコーディングということが結構あって、その方がしっかりと曲を組み立てたうえでレコーディングできるうえに、いろいろなことを試す余裕もできるので好きですね。

――その人によっていろいろですね。

『懐かしい街』の難しさとは!?

――『懐かしい街』はいかがでしたか?

今井:レコーディングを行ったのが去年の夏。収録自体が早くて、私のところまでまだ資料が届いていなかったので、余計にわからなかったんですよ。歌詞はどう見ても悲恋で、「失った恋が私に強さをくれた」というワードを見て、「失うの~!? うまくいかない工画堂みたいになっちゃう」と思いました。

亜咲花:パワーワードだ(笑)。

今井:でも、この曲ってとても柔らかくて、恋愛としてはうまくいかなかったものを振り返って次の道に行こうという、決意の歌なんですが、すごく優しい気持ちになれる楽曲なんですよね。歌詞もメロディもそうだと思って歌うと、とんでもなく難しいんですよ。『太鼓の達人』で言ったら難しさ“おに”。

(一同笑)

安月名:『太鼓の達人』で例えるんですね(笑)。

今井:でも、それを苦しそうに歌ったら絶対にダメで、そこの兼ね合いがうまくいくのかなと考えながらレコーディングをしました。その後、発売より先に皆さんの前で披露する機会があったんですよ。国際フォーラムで、しかもフルオーケストラで歌うという。

安月名:え~~~!?

亜咲花:お客さんも曲が分からないんですよね?

今井:そう、ライブで初めて披露したので知りません。特別に編曲していただいたんですけど、その編曲家の方に「とても素敵な曲ですが、この曲の難しさはみんなに伝わらないのがカワイそう」と言われたんです(笑)。
 それを分かってくださったのがうれしくて、初対面だったのにかかわらず手を握ってキラキラした目で見つめながら「ありがとうございます! がんばります!!」と返しました。今回、10周年記念のCDの中に入れさせていただいていて、自分の音楽という意味でご縁のある作詞家、作曲家の方々にお願いできたことが至高でした。本当にうれしかった曲です。

  • ▲『懐かしい街』が収録されている『Believe in Sky』。

『花』に込めた想いが明らかに

――もうひとつのEDテーマである『花』についてお願いします。

安月名:『花』は曲も歌詞も作曲家の濱田智之さんに作っていただきました。イントロとアウトロの切なさがすごいんですよ。結構どん底に落ちる音で、出だしの歌詞が「誰もいない。」なんですよ。

今井:「誰もいない」はよくあるけど、「誰もいない。」って言い切るのはなかなかないですよ。

安月名:だから初めて聴いた時は「なんだ、この絶望的な曲は!」というのが正直な印象でした。さらに、アウトロも悲しい感じで終わるんですよ。

亜咲花:ちょっとホラー寄り?

今井:百合ゲー……だよね?

みやざー:絶望というよりは、この世界に2人しかいない、2人がいればそれでいい、という歌詞だと思うんですよ。

安月名:一番印象に残ったのが「世界は二人だけの、空っぽの器になるから」というフレーズで、これはニエちゃんと魔女様の世界そのものだと思ったんです。
 歌については濱田さんが私のキーをすごく考えて作ってくださっています。出るか出ないかのラインの音程を、一番最後の「終わりと始まりへと」というところで出しているので、歌いながら「きゅ~」という気持ちになりました。

 あとはクラシックな感じのメロディラインだったので、幼いころから触れてきたことで自分の中から湧き出るミュージカル感、感情的になり過ぎてしまう癖に気をつけました。人はストレートに言葉を言った方が伝わることが多いため、感情を抑えつつ、それでいてサビでは一気に解き放つことを意識して歌っています。

  • ▲『花』が収録されている『Shouting My Soul』。

――濱田さんからは何かオーダーがあったのでしょうか?

安月名:出だしの「誰もいない。」は少し落ち着いてストレートに歌うということで、7回くらい歌い直しました。これまでの私の楽曲にはないパターンで、ライブで『花』を披露すると皆さんグッと来るみたいですごくうれしいです。その方たちにも、ぜひゲームを遊んで聞いていただきたいですね。

みやざー:今井さんのライブでも、オープニングアクトとして歌われましたよね。

今井:そうなの、ありがと~。

安月名:もう夢みたいでした。

今井:すごく素敵で刺激を受けました。ちょうど10周年のツアーが終わったところですが、回数を重ねていくと初期の頃の「よし、絶対最後まで頑張るぞ」みたいな感覚が薄れてきて、いい意味では余裕が出てくるんですね。

安月名:私は最初から最後まで楽しませていただいたんですけど、今井さんの余裕さというか、ライブすべてを見渡しているんですよね。ちょっとしたお客さんの反応にも応えていて、そういうところが本当にすごいと感動しました。

今井:でもすごい反省した。

安月名:なんで~!?

今井:最初、モニター越しに莉子ちゃんを見ていて、トークもすごくキュートだったし、画面からも歌がキラキラと輝いていた(笑)。もちろん緊張はしていると思ったけど、いい緊張感。緊張しているけど「私の歌を聞いて」というオーラが全身から出ていて、もう「ふわ~!」って。

亜咲花:ふわ~っ!(笑)

今井:こういう感情忘れていたと思って、自分を戒めました。いい意味で気が引き締まったというか、頑張ろうと思いましたね。歌に対する純粋な思いとかもカワイかったです。
 もちろん、歌に対しては自分もいつでも真摯でありたい、ステージに立つ時にはお客さんと向かい合いたい気持ちは今も持っているつもりですが、自分の中でスキルとして培われてきてしまった部分もあって、こういう歌い方をすればこういう反応が返ってくるかなどが経験上分かるようになってしまっている寂しさはあるんです。
 それが莉子ちゃんのステージにはなくて、本当に興味を感じる立ち居振る舞いでした。私もこうありたいと思ったらエンジンがかかりました。何度もライブに足を運んでくださる人にも、「ステージの今井さんがキラキラしている」と思われたいという欲が出ました(笑)。

安月名:私があのように歌えたのは今井さんのファンの方々のおかげ。イントロが流れて私が出たら、すぐに立ってくださったんですよ。

今井:福岡の時、誰も立たなかったんだよ。

(一同爆笑)

安月名:あれ?(笑)

今井:福岡の時に出ていったら誰も立たなかったのでビックリして、歌い終わった後に「すいません、今日は立たない感じですか?」って聞いちゃいました。

亜咲花:聞いちゃったんですか(笑)。

今井:ある意味、みずみずしかった。そうしたら皆がざわつきました。確かに去年はアコースティックライブが多くて、アコースティックライブは普通、立たない。それもあったので、どうするか分からなくなったみたいです。でも、『Believe in sky』を逃したら、立ち上がって騒ぐ曲はそんなになかったんです。

安月名:そこしかなかったんですね。

今井:うちのお客さんはそういう風に空気を読む人たちが多いんです。莉子ちゃんが出てきて歌い始めた時に「立ちたい」という感情になったんだと思う。だから、莉子ちゃんのパワーが皆を立ち上がらせてくれたんですよ。

安月名:そういうファンの方がこれから応援してくれるようになりたいですね。本当にうれしかったです。

歌うことの意味とは……

――皆さんにとって“歌う”とはどういうことですか?

亜咲花:自分の気持ちを代弁するものではないですが、ファンのみんなに面と向かって言うのは恥ずかしい気持ち、ありがとうというメッセージを込めて歌うと届けやすいというのがありますね。普段言えないようなことを歌にのせて発するのはちょっといいなって。

今井:その話を聞いてめっちゃ反省した。

亜咲花:どのあたりで?

安月名:なんで反省するんですか(笑)。

今井:キュンキュン系の楽曲の時に「大好きだよ」という歌詞があるじゃない。ちょっと天邪鬼だったころ、マイクをお客さんに向けて「君たちが言いなよ、言いたいんでしょ?」とやっていた。
 でも去年あたりに「あれ? これはひょっとして私が言うべきワードなのかな?」と感じて、どうしたらいいのかなと思いながら歌ったの。私が10年経ってやっと気づいたことに3年で気づいてますよ。超反省(笑)。

亜咲花:斬新すぎてもう(笑)。でもそのためてきた“10年分の大好き”で逆に萌えますね。

今井:おそらくずっと「俺たちに言わせるな~」って思っていたんですよね。

亜咲花:大好きな今井さんからセリフを聞きたいですよね。おもしろい(笑)。

――そんな今井さんにとって歌とは?

今井:私は声優業をやらせていただきつつ、歌手もやらせていただいているというちょっと亜流で、自分にとっての歌は演技をやるうえでのエッセンスだと思っています。
 生まれた時からずっと歌が好きで、好きなものをお仕事にできるのは本当にラッキーなこと。自分が幸せだなと思っていることはきっと聴いてくださっている方も幸せだなと感じていただけるのではないかと思っているので、歌は幸せの象徴だと思います。

安月名:歌は私にとっては会話です。シンガーソングライターとして自分の歌を歌ってきたというのもありますが、もっと会話したいなということに最近気がつきました。曲の中で必ずお客さんとピタッと合う瞬間があるんですよ。
 ほんの少しの間であったり、一番届けたい言葉を口ずさんだ時に私を見てくれていたり……その時は歌で会話ができているんだなって思います。歌を歌っている瞬間が、歌を聴いてくださっているお客さんと意思疎通ができているんだなと感じる瞬間なので、私にとっての歌は会話です。

――これから挑戦してみたいことなどはありますか?

安月名:まだこれからがんばらなくてはいけない時期なので、いっぱいあります。弾き語りから始まって、そこから急に踊りだしたり、ジャケット撮影で水の中に沈んだり……。

今井:すごいいろいろなこと、してる(笑)。

安月名:デビュー前までは弾き語り1本でやっていくというプライドがあったんですよ。でもエンターテイメント自体が好きなので、ダンスで表現したり、キャラクターを想像しながら自分で演じたり、そういう原点の感覚に戻らせていただいているのもすごく楽しく感じています。歌、演技、ダンスすべてを見せられるように、エンターテイメントを極めていきたいです。

亜咲花:私は作曲です。作詞はやらせていただいているんですけど、曲まで自分で作れると、もっと説得力のある曲になるんじゃないかなと思っているので、作曲までできたらいいと思っています。

今井:声優生活20周年、歌手生活10周年という記念の年なんですけど、声優としても歌手としてもプライベートも、本当にこの1年はいい1年だったと振り返れるようにしたいと思っています。
 ライブで「来年以降のことは約束はまだしない。とにかく2019年を駆け抜けてからまた考えようかなって思っています」って言ったところ、ザワザワザワザワってすごく不穏な空気が流れたの(笑)。

亜咲花安月名:いい言葉なのに!?

――深読みしたファンの方に「まさか引退するのでは」と勘違いされたのでは?

今井:そういう意味じゃなかったんだけどな(笑)。お客さんが「うお~!」ってなるのかなと思っていたら、ならないの(笑)。

――安月名さんの言葉をお借りすると、“会話に失敗した”感じですね?

今井:てへっ。

(一同笑)

――今日はありがとうございました。

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