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イツカ、キット、願いは叶う。20周年を迎えた今でも遊んでしまう『俺の屍を越えてゆけ』の魅力【周年連載】

長雨
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 あの名作の発売日から5年、10年、20年……。そんな名作への感謝の気持ちを込めた電撃オンライン独自のお祝い企画として、“周年連載”を展開中。

 第96回でお祝いするのは、6月17日に20周年を迎える和風RPG『俺の屍を越えてゆけ(通称、俺屍)』です! 本作は1999年にソニー・コンピューターエンタテインメント(現ソニー・インタラクティブエンタテインメント)よりPS用ソフトとして発売され、2011年11月10日にはリメイクとなるプレイステーション・ポータブル(以下、PSP)版が、2014年7月17日にはPlayStation Vita(以下、PS Vita)にて続編『俺の屍を越えてゆけ2』が発売されました。

 発売当時は俳優の岸部一徳さんが出演する印象的なTV-CMが放送され、ゲームはプレイはしていないけどタイトル名やコマーシャル映像を覚えている人もいると思われます。

 今回は、好きな作品ベスト5に入るほど思い入れが深く、今でもカラオケに行くと主題歌『花』を熱唱するライターが、本作の魅力を語っていきます。

 なお、ゲーム画像はPSP版のものです。

“種絶”と“短命”、2つの呪いが生む悲喜こもごも

 物語の舞台は、日本の平安時代によく似た京の都。主人公の両親は京を襲撃する鬼の頭目・朱点童子討伐あと一歩というところまで迫るが、卑怯な罠にはまって父・源太は討ち死に、母・お輪は行方知れずに……。

 さらに主人公は復讐を恐れた朱点童子によって、約2年しか生きられない“短命”と人との間に子孫を残せない“種絶”の呪いをかけられてしまいます。

  • ▲すべての始まりの事件は、序章で見ることができます。入手するアイテムやセリフなど、端々に伏線が散りばめられています。

 2年ほどしか生きられない、子孫も残せない、RPG史上でも類を見ないほどの超ハードモードな運命を背負わされた主人公。しかし救いの神というものはいるもので、彼らは手を差し伸べてくれた天界の神々との間に子孫を残し、何代にもわたって力を蓄え、一族の悲願である朱点童子討伐を目指すことに!

 『リンダキューブ』などを手掛けたゲームデザイナー・桝田省治さんらしさ全開の理不尽で、不条理な物語。そのぶん、すべてをクリアした時の解放感がたまりません。

  • ▲ある事情で、本作は本名プレイ推奨。理由は、最後にわかります。

 また本作には朱点童子を倒すというメインストーリー以外にも、神々の過去や京の都で起きた悲劇など、さまざまなドラマが隠されているんですよ。しかし、その情報は迷宮のボスたちから断片的に語られるだけ……。「もしかしたら」と空想できる、奥深い世界観は考察のしがいがあって最高です。

▲一族の屋敷でお手伝いをしてくれるイツ花と、各地で助言をくれる美少年・黄川人。神様以外にも、いろいろな意味で一族を導いてくれる存在が登場します。

 世代を重ねることで親の仇を子どもが取ったり、予定外に双子が生まれて慌てたりと、一族の歴史を刻みながら自分だけの家系図を作れるのが本作ならではの魅力。プレイするたびに生まれる子や起きる出来事が変化するので、何回もクリアしていても、毎回新鮮な気持ちで遊べるんですよね。

  • ▲本来は見られない何代も先の子孫まで見守れます。剣士の一族は花の名前を付けるなど、個人的に命名にはこだわる派です。
  • ▲一族は天寿を全(まっと)うする時に遺言を残していくのですが、どれもぐっとくるものばかり。見るたびに朱点童子を倒そうと決意を新たにします。

戦闘でも一族を彩るドラマが起こる

 拠点となる京の都の周辺には、鬼が巣くう迷宮が点在。一族のメンバーで最大4人のパーティを組み、迷宮の鬼たちを倒すことで能力を強化させていきます。迷宮内のバトルはシンボルエンカウントで、敵の大将を倒すか、全滅させると勝利!

  • ▲迷宮は、どれも和風のデザイン。BGMもかなり凝っていて、好きな曲ばかりです。
  • ▲報酬は、戦闘前のスロットで決まります。序盤はとにかく、移動速度を上げられる“速瀬”の巻物を求めて、相翼院にいっていました。

 本作も、現実と同じように12カ月で1年が経過。各迷宮には1カ月滞在でき、探索終了時に次の月も続行するか選択できます。迷宮に長居するほど奥まで進めますが、無理をすると一族の健康度が下がって寿命が縮むリスクが!
 
 夏と春には豪華景品がもらえる御前試合、夏限定の迷宮などもあり、どのタイミングで迷宮に行くか、子孫を残すか、一族のスケジュール管理はとにかく大変ですがそこが楽しくもあります。
 

 職業は、剣士、薙刀士、弓使い、槍使い、拳法家、大筒士、壊し屋、踊り子の8つです。私は全体攻撃重視のプレイヤーだったので、範囲攻撃ができる踊り子や薙刀士にお世話になっていました。妹は槍使いを絶対に入れていましたし、プレイスタイルによって選ぶ職業が違うのもおもしろいところです。

  • ▲個人的に、男性踊り子のムキムキ感が大好き。一族の衣装カラーは、青系ばかり選んでしまいます。

 職業は子どもごとに決められるのですが、親から子へは奥義と呼ばれる必殺技を継承できるため、個人的には“剣士の家系”、“拳法家の家系”のように決まった職業を継がせることが多いです。子が親の能力を越えていったり、失われた奥義が何代か後に復活したり、戦闘でも一族のドラマを感じられる出来事がたくさん起こるのも楽しいポイントですね。

  • ▲PSP版からは特注の武器を作れるようになり、新たに子孫に残せる財産が増えました。なお、剣士のみです。

恋愛ゲームにも負けない!? 美男美女とラブラブになれる“交神”

 本作を語るうえで忘れてはいけないのが、“交神”で子孫を授けてくれる魅惑的な神様たちです。美男美女からキュートなケモノ系まで多種多彩な神々がいるので、誰でも好みのお相手が見つかること間違いありません。

 しかもPSP版から同じお相手と何度も“交神”することで、セリフがより親密なものに変化するようになりました! 和風のRPGとギャルゲー&乙女ゲーを同時に楽しめる作品なんて、世界広しといえど本作だけでしょう(たぶん)。

▲神様は、みんないい性格の持ち主ばかり。親密になるほど、愛おしくなってきます。

 自由度がとにかく高く、プレイヤーごとにさまざまな楽しみ方ができる『俺屍』。20年前の作品ではありますが、物語もシステムもまったく古さを感じさせないのがスゴイです。もちろん昔のタイトルではあるので、PS版には少し不便なところもありますが、それでもさまざまな魅力があります。

 作品のテーマのように親から子へ、そして孫へ、幅広い年代に遊んでほしい1本です。

(C)1999 Sony Interactive Entertainment Inc.
(C)1999-2011 Sony Interactive Entertainment Inc.

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『俺の屍を越えてゆけ(PSP the Best)』

  • メーカー:SIE
  • 対応機種:PSP
  • ジャンル:RPG
  • 発売日:2014年3月6日
  • 希望小売価格:パッケージ版 1,851円(税込)/ダウンロード版 1,440円(税込)

『俺の屍を越えてゆけ』

  • メーカー:SIE
  • 対応機種:PS3/PS Vita/PSP(ダウンロード専用)
  • ジャンル:RPG
  • 配信日:2007年2月22日
  • 価格:617円(税込)

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