『フロントミッションオンライン』は10対10のチーム対戦が熱い! 思い出やシステムを振り返る【周年連載】
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あの名作の発売から、5年、10年、20年……。そんな名作への感謝を込めた電撃オンライン独自のお祝い企画として、“周年連載”を展開中です。
第106回でお祝いするのは、2005年5月12日にスクウェア・エニックスから発売されたPlayStation2用ソフト『FRONT MISSION ONLINE(フロントミッションオンライン)』です。
プレイヤーはヴァンツァーという巨大な兵器を操作。O.C.U.軍、U.S.N.軍のどちらかに所属し、ハフマン島で起きている第二次ハフマン紛争に介入します。
5月にPS2版のサービスが開始し、12月にはPC版がスタートしました。3年間続いたサービスは、2008年5月31日に終了となりました。
今回は担当していた編集、ライターが当時の思い出やゲーム内容について語っていきます。
2000年代初頭だからこそ生まれた濃密な作品 文:柏又
『フロントミッションオンライン(以下、FMO)』のサービス期間は2005年から2008年までということで、当時は長い間サービスしていたように思いましたが、数字だけをみるとオンラインゲームとしては短命だったのかもしれませんね。
作品が出てから時間が開いているので解説すると、『フロントミッション』シリーズは、スクウェア・エニックスで1990年代から2000年代にかけて展開されていたロボットもののゲームです。初代からつづくシミュレーションRPGを中心に、さまざまなタイトルが発売されました。
『FMO』が発売されたのはPS2で『4』が発売された後のことで、シリーズがとても盛り上がっていた時期だったと思います。
シリーズの魅力はなんといってもヴァンツァーと呼ばれるロボット型の陸戦兵器。5つのパーツと4つの武器を組み合わせるカスタマイズの自由度と、ミリタリー色の強いデザインは多くのプレイヤーを魅了しました。
『FMO』は、『4』で採用されたヴァンツァーのクラスシステムを引き続き採用しつつ、最大10対10でプレイヤー同士が戦うTPS(3人称視点シューター)として登場しました。マッチングはプレイヤーが出撃しているマップに乱入する形式で行われ、最大数に満たない機体はCPUが操作する戦車やヘリが代行するシステムでした。
ただし、プレイヤーの間では、最初に10人でバトルグループと呼ばれるチームを組んでから出撃します。戦闘は撃破されると原則的にそのマッチ中は復帰できない、いわゆるパーマデスのルールが採用されていた他、味方を撃ってもダメージを与えられるフレンドリーファイアありだったため、プレイ中はかなりの緊張感かあったことを覚えています。
また、本作はジョブと呼ばれるクラスごとの専門性が強く、プレイヤーが使用する機体の役割を果たせないと勝てない内容でした。
機動性と火力で前線を支えるアサルトや遠距離から誘導ミサイルで攻撃するミサイラー、機体のダメージを修復するメカニックの他、レーダーやソナーで相手機の位置を探知するレコンや、EMPで相手にデバフを与えたりレーダーの妨害を行うジャマー、通信機で砲爆撃を要請したり、撃破された味方機を戦場に復帰させるコムスなど、もとがシミュレーションRPGだけにそのシステムは奥が深く、アサルトを巧みに動かして後方からコムスに爆撃を要請して爆撃が来る直前に味方を退避させる、EMPでデバフをかけた相手機を集中攻撃で確実に仕留めるなど、プレイヤーの間でさまざまなバトルグループの構成や戦術が生み出されていったことも思い出深いですね。
必然的にプレイヤー間のコミュニケーションはボイスチャットが要求されるようになり、今から考えるとかなり密度のあるゲームを体験していたと思います。
ゲームとしては、きちんとチーム構成を考えて10対10できっちりぶつかれば最高におもしろいゲームだったと今でも思います。一方で、もう少しカジュアルにマッチングできる要素があったほうがよかったとも思っていました。ゲーム中のイベントにバズーカオンリーの闘技場大会が開催されたことがあったのですが、例えばそのような感じでヴァンツァー同士の撃ち合いに集中できるバトルの場があってもよかったかもしれません。
『電撃PlayStation』本誌では、電撃小隊というチームがありましたが、私はそれとは別に一般のプレイヤーが作ったクランに所属して本作をプレイしていました。当時の『FMO』は、マッチングシステムの関係上、プレイヤー各人が積極的にチーム集めや参加を行う必要があったのですが、自分が所属していたクランのリーダーも含めて皆が熱心に遊んでいたことを今でも覚えています。『FMO』が3年にわたって続いたのは、間違いなく彼らの熱量があったからだと思います。
私は、本作をきっかけにFPSやTPSをはじめとする海外発のタイトルの記事を中心に担当するようになりました。いろいろなタイトルを遊んで、いいところやゲームバランスについて感じるところもたくさんあったのですが、10人の仲間がボイスチャットや定型文でコミュニケーションを取りながら、非常に細かい連携を取って勝利をつかみ取るような体験ができたのは『FMO』だけだったと思います。
じゃあ、「今『FMO』がやりたいか?」と問われると、厳しいところがあるのも事実ですが、家庭用ゲーム機をインターネットにつないで遊ぶようになる時代の幕開けだった、あのころだったからこそ実現したタイトルのひとつが『FMO』だったのは間違いないですね。
個人的多人数対戦ゲームの最高峰 文:レトロ
『FMO』が発売されて、かれこれ15年になるんですね。『フロントミッション』はシミュレーションゲームの人気シリーズでしたが、リアルなヴァンツァーを自分で自由に動かせる作品は当時なかったので、シリーズファンからの期待がすごく大きかったのを覚えています。
本作は最大10vs.10のリアルタイム対戦、いわゆるPvPがメインのタイトル。オフラインモードなどもなく、あくまで対戦がメインコンテンツだったため、万人受けするとは言えず、約3年でサービスを終了することになりました。
とはいえ、この3年間(がっつりやり込んでいたのは2年弱でしたが)のハフマン島での生活は本当に充実していました。対戦ゲームは他にもたくさんプレイしてきましたが、仲間と協力して戦う『FMO』は本当に楽しかった!
ということで、ここでは『FMO』のバトルの魅力を改めて振り返っていきます。
1機の撃破が勝負を分けるスリリングな戦い
eスポーツが世間に浸透しつつある昨今。1vs.1のシンプルなスタイルはもちろん、1vs.複数人や大人数でのバトルロイヤル形式など、今はさまざまな対戦を楽しめます。
『FMO』のバトルは10vs.10。それ自体は特筆すべきことではありませんが、再出撃などは基本できません。そのため、撃破されないように立ち回ることが非常に重要でした。
少数同士の戦いで再出撃不可だと、1機欠けた時点でゲームセットになることがほぼ確定します。逆に大人数同士の戦いであれば、1機欠けても挽回のチャンスはいくらでもあるということ。
本作の再出撃不可の10vs.10って、そういう部分でも絶妙だったんです。1機欠けると均衡が崩れて形勢が傾くことに違いはないのですが、その劣勢は覆せないわけではありませんから。
もちろん、劣勢になるのは間違いないので、撃破されないようにメンバー全員で立ち回りますし、まずは相手1機を撃破することを第一目標にしていました。1機をめぐる攻防がここまで熱かったのは、僕のゲーム人生では『FMO』だけですね。
個々の技術力 < メンバーとの連携
対戦ゲームで重要なのは個々の技術。それを否定する気はまったくありませんが、『FMO』では個々の技術だけでは埋められないメンバーとの連携が何よりも重要でした。
『FMO』には機動力を武器に前線で敵を倒すアサルト、遠距離からミサイルやロケットで攻撃をするミサイラー、傷ついた仲間を回復するメカニック、敵の行動の阻害やレーダーをかく乱できるジャマー、遠距離からライフルで撃ち抜くスナイパー、センサーで特殊な航空支援を呼べるコムスと7つのジョブがありました。正確にはジョブというよりは、装備する武器などで役割が決まるのですが……。
その中で僕が好きでよく担当をしていたのがジャマー。EMPやECMと呼ばれるバックパックを装備し、行動を阻害したり敵のレーダーをかく乱するのが、このジョブの特徴です。バックパックの効果はさまざまで、攻撃の起点にも守備の要にもなりえます。
ここでは守備面での話をしましょう。『FMO』のミサイルは攻撃対象を追尾してくるため、無策だとなすすべもなくやられてしまいますが、唯一無効化できる装備がECMでした。ECMは2種類あって、効果範囲に入ったミサイルの誘導を解除するアンチロックがスタンダードですが、僕はもう1つのテイクロックがお気に入り。
テイクロックは範囲に入ったミサイルの誘導を自身に強制変更するというクセの強い性能で、だだっ広い平野での戦いでは役に立ちません。ですが、市街地などの入り組んだマップでは非常に便利。遮蔽物の陰でECMを展開してミサイルを引き付けているあいだに前衛が敵陣へ突撃、といった感じの連携がうまく決まった時の爽快感は格別!
そういった仲間との連携しだいで、アクションが苦手な人でも十分活躍できるのが『FMO』の醍醐味でしたね。アクションの腕にそこまで自信のなかった僕でも活躍できたし、何より楽しく対戦ができたのです。
汎用的なものからオンリーワンまで、個性が生まれるセットアップ
『フロントミッション』シリーズの最大の魅力はヴァンツァー、それは疑う余地がありません。ボディ、アーム、レッグを自由に組み合わせて自分だけのヴァンツァーを作れる。しかも、それを自由に動かせる。それだけで最高に楽しかった!
もちろん、対戦ゲームなので決められたコスト内でやりくりする必要がありましたが、俗にいうレア機体みたいなものはありません。同じ性能の機体や武器を使っての機体構成になるため、対等な戦いとなるのが対戦ゲームとしてはうれしい限り。己の腕や仲間との連携だけが大事なわけですから。
使用できるパーツは多く、その組み合わせを考えるのはまあ楽しいもの。ハンガーにこもってセットアップを繰り返し、イレギュラーな構成を考えては仲間に共有し、実践投入してあーでもない、こーでもないと夜な夜な話していたものです。
好きな構成の1つが、ラジオバックパックとグレネードの組み合わせ。コムスとミサイラーの役割を兼ねたもので、戦場ではほとんど見かけない構成でした。味方を炎熱攻撃を軽減するアーマーコーティングで守りつつ、固まった敵にはグレネードでドカン!
万が一味方に当たってしまっても炎熱アーマーコーティングされた味方へのダメージは軽減されるので、まあ仕方ないということで(笑)。
『FMO』は本当に熱くなれる最高の対戦ゲームでした。こうやって振り返っていると「最新ハードでまたあの熱い戦いがしてみたい!」って本気で思います。PS5で『FMO2』ができたりしないかなぁって、勝手に妄想しながらその時を待っています。わりと本気で!
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