【ゲーム雑談紀行】うまいプレイヤーが考える格闘ゲームの魅力とは?

kbj
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 電撃の編集やライター、クリエイターなどなど、いろいろな人とゲームについてゆるく話をしていくコーナー“ゲーム雑談紀行”を掲載します。

 第3回の話題は、格闘ゲームのおもしろさについて。電撃四天王からゴローと栗田親方と語っていきます。

参加者

ゴロー

 普通にゲームを遊ぶのではなく、人と違うプレイを追い求める電撃オンラインの編集。ハンドルコントローラで死にゲーをプレイしたのもその片鱗の表れ。

栗田親方

 格闘ゲームを嗜むゲーマー系編集者。『バーチャファイター3』にて行われた全国大会で新キャラの鷹嵐(たかあらし)で優勝をはたした。

kbj

 電撃オンラインの編集。格闘ゲームは物語やキャラの設定を知るのは好きだけど、対戦は別にうまくはない勢。

うまいプレイヤーが考える格闘ゲームの魅力とは?

kbj:ここ数年、eスポーツが盛り上がっていることもあり、格闘ゲームが注目を浴びているじゃないですか。そもそもになるんですが、2人は格闘ゲームのおもしろさはどこだと思います?

栗田親方:いろいろあるけど、格闘ゲームならではのおもしろさは“対人戦”になるかな。CPUと戦うアクションゲームから発展して、プレイヤー対プレイヤーになったのが格闘ゲームだと思うので。

ゴロー:やはりそこよね。CPUをどう攻略するのかが、プレイヤーをどう攻略するかになった。

栗田親方:CPUが相手でも、プレイヤーが相手でも、強い連係を使ったりデータを元に攻略したりする要素は一緒。ただ、相手がプレイヤーだと、攻略が付き詰まったとしてもそれがゴールにならない。そこからグルグルと回り始めるのがおもしろいところかと!

kbj:相手のやりたいことを読んで違うことをしたり、対策したりするのがおもしろいと。

栗田親方:あとはアプローチの仕方で、同じキャラでもまるで違うキャラになるのも特徴。……2D格闘ゲームだと近い感じになるけど、3D格闘ゲームは全然違うキャラになるからね。

ゴロー:3Dのほうが、幅の広がりはある作りだよね。

栗田親方:『バーチャファイター』だと、例えばちび太と闇よだれで戦い方が全然違うし、同じリオンというキャラでいうと、ちび太とふ~ども違う。違うけど、それぞれ強い! 予想できないようなファンタジスタタイプや、ロジックで固めるモラリストタイプにわかれて、別の戦いをするのがおもしろいところかな。

  • ▲左が電撃四天王の“闇よだれ”。

ゴロー:俺が思うおもしろさは“交流”かな。行きついた対戦になると「お前がこうするなら、俺はこうする」みたいに会話っぽいやりとりを、短い時間にするようになる。そもそもの話になるけど、格闘ゲームってプレイヤーの性格がすごく出やすいのもおもしろいところ。

栗田親方:出るねぇ~(笑)。

ゴロー:それこそ、相手をわざと怒らせるようなプレイをする人もいる。画面越しだとかみ合わなくてムカつくのに、話すとすごいおもしろい人だったり、変わった人だったりする。そういう交流の部分が、格ゲーで一番いいところだと思う。

kbj:ゲーム内に留まらないところが魅力だと。格闘ゲームを動画や配信で見る人、所謂“見る勢”も増えていますけど、それこそプレイヤーのスタイルを把握し始めると、見るのがまたおもしろくなるんですよね。

ゴロー:やらずに対戦を見ているだけでもおもしろいからね。そこは他のゲームより大きいポイントじゃないかな。

 結局のところ、“使い手の魅力”が一番にあるのかな。今のeスポーツもそうだと思うけど、人を追いかけていくところが楽しかったりするからね。

栗田親方:それこそ、格闘技やスポーツにも近い感じ。その人に決め技や得意な技があって、それが決まると見ている人も盛り上がる! 因縁のあった相手に勝つと沸き立つ! みたいな。

kbj:性格が出るという意味だと、大会の雰囲気に飲まれて発揮できないとかもありますよね。

ゴロー:大会はすごいある! 野試合はすげー強いのに、大会だと緊張して動けないとか。それこそ「お前、先鋒の時はノビノビ動いていたのに、大将になったら、なんだその動き!」とか。

(一同笑)

栗田親方:“野試合王”とか“チキンハート”とか呼ばれる人もいるもんね。

kbj:読み合いや対策は格闘ゲームの醍醐味だけど、そもそも格闘ゲームが得意でない人には難しい。そのハードルを越えるには何をしたらいいですか?

ゴロー:セットプレーかな。頭を使わなくていいから、“とりあえず、この動きをやる”ということを意識していくと、それ以外のことが見えるようになってくる。パターン化は相手にバレやすいんだけど、まずはそうやって慣れるのがオススメ。

栗田親方:アドリブをきかすことって相当難しいからね。

 例えば『バーチャファイター』でよくあるパターンは、シリーズ的に↓+パンチ、通称下パンが強い。そこで、下パンが当たったら何をする、ガードされたらどうするというのを決めておいて、それをちゃんとやるのが大事。

 それを発展させると、どっちかの技がさわった後の有利、不利を考えるようになる。有利だったらこうする、確定ポイントはしっかりおさえるというようにセオリーがあるので、そのセオリーを守れるプレイまで到達すると、逆にそれを裏切る動きを考えたりして、深みが出てくる。

 アドリブを考えるのはそこらへんじゃないかな。

ゴロー:ガードされているのに無茶苦茶暴れてくるとか、堅実に見せかけてすごい大技を置いておくとかすると、相手は嫌がるね(笑)。

kbj:そもそも格闘ゲームが苦手な人は有利や不利が、わからないのでは?

栗田親方:わからないからこそ、これが当たったらどうするという“セットプレイ”を決めておくわけ。

ゴロー:攻撃が当たった、当たっていないを意識するだけでしばらくはOK! あとは強い技、軸となる動きを覚えておくのも重要。慣れてきたらいろいろ引き出しが増えていくよ。

栗田親方:勝つためには、強い技を2~3個覚えるのは重要。中級者の定義にもよるけど、中級者以上になってくると、データを入れないときつくなってくるかな。

 ある程度、戦えるようになるまでは「この技が強い」や「この連係が強い」ということを覚えるだけで、いけるんですよ。そこから読み合いが出てくるイメージ。もちろん、最初から読みに特化したスタイルをやりたいなら、それでもいいけどね。

ゴロー:最初からやるのは、ちょっと早いかな。格ゲーは読み合いが楽しいんだけど、そのステージに立つまで少し時間がいる印象がある。

栗田親方:読み合いの初歩としては、とにかく技を出してくるタイプなのか、困ったらガードするタイプなのかを判断する。よくガードするならば投げを混ぜるとか、技を出してくるから打撃を出すとか、それだけでも“読み合い”になる。

 そこに始まり、極まってくると特定のセットプレイに対して読み合えるようになって、複雑になる。相手のパターンを見極めて攻撃を通せたら、ものすごく気持ちがいい!

ゴロー:同じ人とずっとやると「この人、こればかりやる」というのがわかる。その対応っていろいろな答えがあるけど、その癖を見切ってやるのが人対策の第一歩かな。

栗田親方:本来強いはずのセットプレーをつぶせたら、相手のメンタルにもダメージを与えるからね。

ゴロー:「通用しない……だと!?」って(笑)。

栗田親方:自分はセットプレーで強い連係を押し付けるプレイスタイルなので、それに対応されるとメンタルを崩されがち。だから長期戦に弱かったする。

(一同笑)

ゴロー:10先(※1)とか、厳しいだろうね。

※1 10先:先に10試合先取したプレイヤーが勝ちになるルール。長期戦になるために運の要素が少なくなり、実力が出やすい。

栗田親方:長期戦に強いので有名なのは、ウメハラさんとかふ~どだね。

kbj:流れの中で、対応されたことに対策を立てたり、流れを切るような動きをしたりするのが、長期戦のおもしろいところですね。

ゴロー:そうね。対応力がポイントになる。

栗田親方:それをうまく切り替えられるのは、攻略が進んでいて、自分のことは万全で、そのうえで相手を見ることができる人。すごく深まった状態なので、長期戦が強い人は仕上がっていると思うね。

ゴロー:もう最終段階だからね。

kbj:うまくなりたい場合は、1キャラをやるのがいい? それともいろいろなキャラをさわるのがいい?

ゴロー:俺は強いキャラをやり込むのをオススメする。

栗田親方:そこは人によるかな。勝ちたいなら強いキャラで、楽しくやりたいなら好きなキャラでいいと思う。俺は好きなキャラタイプかな。今は余程のことがない限り、まったく勝てないキャラは少ないと思うし。

ゴロー:環境的には、自分と同じくらいのランクの人がいないと、続かないかな。

kbj:個人的には、同じくらいだけど少し相手のほうがうまいのが理想なんですが……。この人に勝ちたいからやるというのは、モチベーションになるのかなって。

ゴロー:それもいい。たまに勝てるくらいの人。

栗田親方:個人的な理想は、自分よりうまい人と、同じレベルの人と、弱い人がいてほしい。負け続けてモチベが下がる人もいるからね。プレイヤーの性格にも関係するだろうけど。

ゴロー:そういう意味ではオンライン対戦でランクマッチみたいなのがあるといいよね。

kbj:対戦ゲームで負け続けると、モチベが続きにくいからなあ。

ゴロー:負けたくてプレイする人はいないからね。もしいたら危ない人でしょ。

(一同笑)

⇒11月18日掲載回に続きます!

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