シリアスな取材もあるんよ!!【O村の漫画野郎#33】
- 文
- 奥村勝彦
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秋田書店の漫画編集者を経て、元『コミックビーム』編集総長もつとめた“O村”こと奥村勝彦さんが漫画界の歴史&激動の編集者人生を独自の視点で振り返る!
シリアスな取材もあるんよ!!
あー。取材の話ってキリねえな、ホンマ。今回で終わらせるぞ。前回までと違ってシリアスな内容が2本だ。
●「オールナイトライブ」(鈴木みそ)
みそさんは漫画家にしては非常に珍しく理系のテーマに強くて、漫画家というよりルポライターとしての資質が強い。ストイックにどんどんネタに突っ込んでいく姿勢には驚かされたもんだ。
ネットワークに関してもかなり初期の段階から首を突っ込んでいたもんなあ。もちろんネットワークビジネスにも詳しい。俺なんかチンプンカンプンだったけどな。
うーん正直、未だに苦手だ。客がなるべく意識しねえように課金して、財布に小さな穴をあけるようなやり口は、どうも性に合わねえんだよなあ。
……あ、話が脱線した。俺がみそさんと取材した中で、一番印象に残ったのは、専門学校の回で、結果的にミもフタもねえ話になっちまった。でも、事実は事実なんでそのまま描いちゃったんだけど、相当な反響があったね。
あと、入れ墨の彫り士の人に取材をして、実際彫ってる所を見せてもらったけど、シーンとした中で入れ墨彫りの機械の音だけが、ジジジジと流れて、俺らは息をのんで作業を見つめ続けていて、物凄い緊張感!! そりゃ失敗できねえもんな。
……あの頃は、何を描いてもそんなに規制されることが無かったし、コッチも相当気合いを入れて取材してたんで、もし良ければ昔の本だけど探して読んでもらいたいね。
●「まる珍メディア紀行」(渡辺浩弐)
これはマンガじゃなくてコラムなのね。当然、渡辺さんも漫画家じゃなくて……えー、あのー、職業なんなんだろう? あの人。昔からワケのわからん人だったが、いまだにワケのわからん素敵な人である。
彼とコラムのイラストレーターの渋谷さんと3人でいつも取材に出かけたんだが、最初がイキナリ強烈!! 人間の死体をプラスチックの樹脂に付け込んで作った人体標本(プラスティネーション)!!
なんかテカテカのビーフジャーキーになった人間の筋肉やら内臓やら……俺は死んでも、献体されるのはかまわんけど、あんな風にされるのは、絶対嫌だなあ。特にグロくはないんだけども、なんかマヌケな感じがしてねえ。
それから、ぶっちぎりでインパクトがあったのは、当時、どっかの省庁で人体やら環境に影響を与える可能性を探るために、無料で貸し出してくれた小型の電磁波測定器。
それを3人で借りてきて、色んな所で測定して遊んでいたんだ。電子レンジの近く…、空港…、電波塔の下…、思ったほど強烈な電磁波なんて現実生活だと無いもんだなあ……。なんて言っていたら、そのあと、日常的でアタリマエな状況で驚異の数値が!? これはちょっとヤバイので今はとてもじゃねえけど書けねえ。
だもんで、その後すぐに貸し出しサービスそのものが停止された!! まあ、このエピソードも当時はフツーにコラムに載せてたんだが……。
……というワケで取材っていろいろあったなあ、んで、ビームもいろいろ……待て!! 次回!!
(次回は2月8日掲載予定です)
O村の漫画野郎 バックナンバー
イラスト/桜玉吉
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