俺の現在の本業、ちょこっとPRするぜ!!【O村の漫画野郎 特別編】

奥村勝彦
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 秋田書店の漫画編集者を経て、元『コミックビーム』編集総長もつとめた“O村”こと奥村勝彦さんが漫画界の歴史&激動の編集者人生を独自の視点で振り返る!

 今回は特別編として、9月30日発売となるマレーシア発の2冊の漫画(電子書籍)について紹介します!

俺の現在の本業、ちょこっとPRするぜ!!

 あー。唐突だがマレーシアって知っとる? シンガポールを除いたマレー半島とボルネオ半島の北側にある国。熱帯雨林とビーチがいっぱいのリゾート地。なぜか現在、GACKTが住んでいる。

 まあ、そんなトコだろう。俺もそうだった。行ったことねえし。行きたくても行けねえし。

 ところが、定年目前の俺が、なぜかマレーシアの漫画を日本で発売(電子版)することに!! タネを明かせば、KADOKAWAの拠点がマレーシアにあったりする(結構、世界のあちこちにあるのよ)ので、日本の漫画をそこで発表するだけじゃなく、現地の漫画も日本で発表しようってコトで、俺に白羽の矢が立ったのな。

 どーせ、あのオッサン暇だし、ほっといたらロクなことしねーだろーと。うむ、その判断は全面的に正しい!! マレーシアに対して何にも知らない俺は、アホ特有のシンプルさで二つ返事で引き受けた。いやまあ、なんか楽しそうじゃん。南国だし。


 んで選んだのが2本。1本は恋愛漫画。もう1本は変身ヒーロー物。うんバラバラで俺らしい。

 1本目の恋愛漫画、『常夏の国で、君と。』(ファクヌール・アヌール著)。マレーシアにおける短編読み切り集だな。編集作業やってて面白かったのは、マレーシアの家庭環境やらがモロに反映されてるのね。

 たとえば一族の絆が強烈に強くて、なぜか皆、バアさんに相談する。バアさん最強!!


 んで、イスラム法によって嫁さん4人までOK!!(でも、そんなマネできんのはよほどの金持ちか権力者だけなんだが) やっぱり惚れあう男女のキッカケは同じでも、その後のプロセスが全然違ってて面白いなあ。

 んで、南国特有なミステリアスな話もあって、やってて楽しかった。ただまあ、俺は恋愛漫画には相当なアレルギーがあるので(編集者としては30年以上、1本もやらなかった)、女性スタッフの力を借りてどーにかこーにかやれたんだわ。情けない話だけども。


 もう1本が『ライデン 1巻』(ZINT著)。全体的にシックでキッチリした1本目と対照的にコッチはアホ丸出しのヒーロー物!!

 著者は細かい設定を考える気なんて最初っからねえの。途中、何回か「オメエいいかげんにしろよ!!」ってツッコミ入れたくなった。

 主人公の相棒であるバイクは、元々馬が転生してるんだけど、オス馬でホモで主人公にスリ寄ってくるという、ワケのわからなさ。さすが南国、おおらかにもほどがあるだろ!!

 まーいいや、どうせアホなら、とことんやったれと思い、全部のセリフを河内弁(関西弁の一番ガラの悪いヤツ)に変えてやった。作者にはわからねえだろうけど、本望であろう。たぶん。


 てな感じで2作品をリリースするワケだが、やっぱ国が違えば、漫画も違う。なんか色んな国で漫画という文化が愛されてるってえのを感じるのは嬉しいね。皆さんも一度、試してみては? マレーシアだけに南国の香り(たぶんココナッツ系?)が漂ってくるかもしれんぞ!! トロピカルだし!!

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イラスト/桜玉吉

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