秋田書店、現シャチョーさん!!【O村の漫画野郎#16】

奥村勝彦
公開日時

 秋田書店の漫画編集者を経て、元『コミックビーム』編集総長もつとめた“O村”こと奥村勝彦さんが漫画界の歴史&激動の編集者人生を独自の視点で振り返る!

秋田書店、現シャチョーさん!!

 あー。新雑誌創刊のための準備期間つーのは、連載漫画の準備、雑誌名の決定、取次との交渉、雑誌の方向性を考えたり、やるこたぁ山盛りあるわけです。

 半年の準備期間なんてアッという間に過ぎちゃったりすんのよ。


 んで、新雑誌名は『GRANDチャンピオン』に決定!! それと並行して依頼した漫画家たちと、シコシコ打ち合わせをやりまくっていった日々…。


 あ、そうだそうだ新雑誌での俺の上司。編集長は『月刊チャンピオン』から引き続いて大西さん。そんで副編が樋口さん。

 この樋口さんってえ人と俺は、なんだか妙に気が合って、いつも一緒にいて、いろんなことを話してたよなあ。たぶんあまりにバカな後輩なので、いろいろ気を遣ってくれたんだろうね。

 6年ほど俺より年長なのだが、彼は童顔で俺はその正反対(オッサン顔 マユ毛無し)だったので、飲み屋ではいつも俺が先輩だと思われていた。

 樋口さんはかつて地元ではかなりのヤンキーだったらしいが、同じ岡山県人である壁村さんによると「あんなクソ田舎のヤンキーなんざ、たかが知れている」らしい。……マユ毛もあったし。もっとも壁村さんに、あいつヤベえって言わせようと思ったら、人殺しか銀行強盗ぐらいしねえとダメなんだが。


 そんな樋口さんも今や、秋田書店の社長である。岡山のヤンキー仲間は、彼が東京の大学に進学しただけでブッ飛んでたらしいので、有名出版社の社長になった時は、全員失神したに違いない。

 岡山県ないし警察は秋田書店を表彰しなければならない。なぜなら、少なくとも2人の反社会的傾向のある人物を立派に更正させ、さらに社長や役員にまでしちまったんだからな。


 あんまり、こんなことばっかり書くと、今度会った時が怖いのでやめとく。

 いろいろとアホみたいなエピソードも山盛りなんだが、なんせ現役の社長だもんな。

 フォローしとくと、樋口さんってえ人は、マジで情に厚くて誠実な人です。……ただまあ、一定量以上の酒を飲んだら、アッチの世界に行っちゃいます。しかも、本人にその間の記憶が一切ありません。

 そういや昔、会社に朝イチで出社したら、血だらけで会社のソファーに寝てたなあ。どうも自分の血じゃなかったようだが、本人には一切記憶がない。恐らく高尾の山中でイノシシと戦っていたのであろう。……そこだけ注意すれば全然真人間。俺はアッチの世界にいる間の方が面白いんだが。


 そんじゃ、俺の仕事は具体的にどんな風に進行していったのか? 漫画だけじゃなくて色々あんのよ、コレが。待て、次回!!

(次回は9月21日掲載予定です)

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イラスト/桜玉吉

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