会社分裂、その1!!【O村の漫画野郎#34】
- 文
- 奥村勝彦
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秋田書店の漫画編集者を経て、元『コミックビーム』編集総長もつとめた“O村”こと奥村勝彦さんが漫画界の歴史&激動の編集者人生を独自の視点で振り返る!
会社分裂、その1!!
あー。まあ、編集業はシコシコと頑張ってやっておった俺だが、実はアスキーに入ってからすぐに大きな騒動があったのよ。
そもそもアスキーってえのは、控えめに言っても非常にエキサイティングな会社で、3度の分裂があり、3回の身売りがあった。1度目の分裂だけは俺の入社前だったが、それ以外は全てライブで経験してきた。
おまけにやたらと引っ越しが多くて、ある程度のベテランになると、引っ越しした時に梱包した段ボールは、だいたいそのままにしていた。なぜなら、どーせまたすぐに引っ越しするから。
んで、俺は臨時の社員総会つーのが、地下のホールであるってんで行ってみたら、何だかしらんが役員と社長が血相を変えて壇上で怒鳴りあいをしていた。
さっぱりワケがわからねえので、周りに聞いてみたら、どーも社長さんと何人かの役員さんが、無茶苦茶仲が悪いらしい。
そらまあ、大勢が見ている前で怒鳴りあうくらいだから、本当に仲が悪いんだろうなあと思っていたら、ビームが創刊する前に、会社が分裂する騒動に発展しちまった。
問題なのはビーム編集部の上の役員が、アスキーから出ていく側の人間だったことだ。
このままだと、編集部をほっぽりだして出ていかなきゃいけない。……マジかよ!! そんなの漫画家から見りゃあ、知ったこっちゃねえもんな。いちおう、その役員に新会社で漫画をやる気があるのか、金田一君に聞いてもらったんだが、答えはノーであった。
え!? んじゃ俺が行っても、やることねえじゃん。自慢じゃねえけど俺は汎用性のねえ人間である。
んで、マンションの一室に辞表やらの会社を辞める書類を用意してるから、そこに行けと言われた。もちろん俺は前記の理由で、そんなのは無視した。最悪、1人ででも何とか雑誌を出すくらいは出来るかなあ……なんて考えてたの。
結局、その騒動は、出ていく側の計画が当初よりも相当縮小されて、漫画部門はそのまま残ることになって、正直ホッとはしたんだけど、この先どうなることやらと不安もビシビシ湧いてきたりした。
ただまあ、人間の適応力ってのは凄いもんで、その後も多くのドタバタが起こるんだけども、こちとら慣れちまって今じゃ結構楽しんじゃったりしてるもんなあ。……って話をしつつも、話題はビームに戻る!! 待て!! 次回!!
(次回は2月15日掲載予定です)
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イラスト/桜玉吉
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