『戦国無双5』鯉沼プロデューサーにインタビュー【後編】戦国ドラマやバトルシステムはどう変わる?
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6月24日にPS4、Nintendo Switch、Steam(Steam版は後日配信予定)でコーエーテクモゲームスから発売予定の“『戦国無双5』”。制作を指揮する鯉沼久史プロデューサーへのインタビュー企画の後編では、新キャラクターの斎藤利三、みつきのデザインコンセプトなど興味深いお話をお届けします。
画面のインパクトを与えつつも操作感は安定した手応えに調整!
――エフェクト周りでの変化に“和を意識した新しい表現”とありますが、具体的にはどういったところに力を入れているのでしょうか?
鯉沼:主にシェーダーを変えたことでアニメ調というか、イラスト調的な表現になっています。一番変化を感じていただけるポイントは剣の軌跡でしょうか。墨で筆の勢いを感じられる表現になっており、アクション時の効果エフェクトで和を感じていただけると思います。
――いわゆる漫画的な少しオーバーな表現もあって、斬り応えみたいのも増している感じでしょか?
鯉沼:そうですね。それと今回は“無双奥義・皆伝”を発動するとイラスト調のカットが表示されるようになっていまして、3Dモデルがアクションをして最後に切り替わるような流れになります。そこの切り換えが不自然にならないように、しわや肌の質感などキャラクターモデルの段階から描き込みを多く行っています。そこからも『戦国無双5』が変わったなと、強く感じていただけるのではないでしょうか。
――そうなると実際にプレイできるのが楽しみですね。ちなみに、社内での手応えはいかがですか?
鯉沼:見た目が大きく変わりましたが、操作感の部分では“しっかり『戦国無双』の操作感”になっているんですよ。まだ途中段階での社内チェックですが、操作の爽快感はそのままに大きく変わったという印象を与えられて、かなり手応えは感じています。
――となるとシリーズのファンが、本作からまた操作を一から覚え直すような必要なないんですね?
鯉沼:そうですね。『戦国無双』シリーズのアクションは踏襲していますので、そこについてはご安心ください。だから、新しい設定で描く物語を存分に楽しんでいただきたいと考えています。
――そして変化という部分では、効果音やサウンド面もどうなるのかが気になります。
鯉沼:今までも和を意識したBGM作りというのはやっていましたが、今回のイラスト調のグラフィックを意識して、弦楽器を加える形で“和風スタイリッシュ”という方向性を目指して制作しています。
――楽曲は合戦やキャラクターなどでイメージが定着していた名曲が多かったと思いますが、すべて一新されるのでしょうか?
鯉沼:これまで合戦によって作ってきたBGMなどがありますが、同じような合戦がある場合は今回の“和風スタイリッシュ”に合わせた曲調でのアレンジを収録しています。メインテーマについても同様ですね。もちろん、書き下ろしの新曲も多数用意する予定です。そこはこれまでのシリーズファンの方々にも喜んでいただけるのではないでしょうか。
――すべて変わってしまうのかな……、という寂しさも少し感じていたので、それを聞いて安心しました(笑)。
厳選された27名の武将たちが紡ぐ新しい“戦国ドラマ”に期待!
――発表内容でファンの注目を集めているのは、やはり総勢27名のキャラクターで誰が登場するのかということです。信長、光秀を軸とした物語になると、伊達政宗、真田幸村、毛利元就のような時代や場所が離れたキャラクターはどうなるでしょうか?
鯉沼:基本的に信長と光秀が活躍する時代に合わせたキャラクターしか登場しません。初代『戦国無双』を作った当時は、“『真・三國無双』を戦国時代に合わせて作ってみたらどうなるか”がコンセプトでもありました。
ですが、戦国時代は三国志とは異なり大名の数が多くて、さらに大名が一騎当千というのは少し変だよね、という意見もあったんですよ(笑)。それで戦国時代で一騎当千をやるならば真田幸村かなということで、時空を超えるような形で登場したという経緯があります。
『戦国無双5』では信長と光秀を軸に、戦国史をしっかり描き直そうということをコンセプトにしていますので、基本的には彼らが活躍する時代に登場するキャラクターのみとなっています。
――少し残念な気もしますが、そうなるとキャラクターの数が『戦国無双4』より少なくなったことで、1キャラクターあたりの掘り下げ度が深くなるような感じでしょうか?
鯉沼:そうですね。信長と光秀の両視点で語られていくので、信長の時代を描く作品としては濃いものになると思います。
――27名のなかには既存のキャラクターだけでなく新キャラクターも含まれているとのことで、一報では斎藤利三、みつきが発表されています。それぞれのデザインコンセプト、そして魅力などを教えてください。
鯉沼:斎藤利三は信長と光秀を中心に描くにあたり、光秀周りの物語を深掘りするために用意したキャラクターです。立場としては光秀に対して絶対の忠誠を誓う側近で、ときには光秀を諫めるようなご意見番な立場ですね。デザインについては……普通過ぎて大変だったなと(笑)。
どこに特徴を出していこうかとなったときに、最終的に衣装の袖や肩のシルエットを特徴づけるというところに落ち着きました。利三はもともと性格的にも真面目で堅物というところもあり、派手に遊び心を加えるようなキャラクターではなかったので。だから『戦国無双』シリーズのなかでも、なかなかない地味なキャラクターだと思います(笑)。
みつきについては少しファンタジーが入っていますが、もとは甲賀の忍という設定です。出自は不明ですが、なぜか信長を父親と信じ込んで育ってきたというキャラクターになります。
――みつきは織田家に仕えているのでしょうか?
鯉沼:そうですね。信長と光秀に深くかかわる立場として描かれていきます。デザインでは忍者という設定があり、『戦国無双』シリーズではくのいちというキャラクターがいるので、彼女とどう差別化をしていくのかという点に気をつけました。
さらに今回登場する女性キャラクターのなかで、どういった立ち位置のキャラクターにするのかという部分でもすみ分けを考慮しています。あとは最初の登場シーンは全身が真っ黒で、シルエットを見ると誰だかわからなかったこともあり、シルエットがわかるように紐のようなものを付けてもらいました。基本は活発な少女で、男勝りのかわいい女の子という感じでしょうか。そのイメージはデザインでしっかり出せているのではと思います。
――イラストには武器が描かれていませんが、利三とみつきの武器が気になります!
鯉沼:利三の得意武器は槍で、すごくオーソドックスな武器をチョイスしているキャラクターです。そしてみつきの得意武器は籠手で、格闘スタイルのアクションになっています。
――ちなみに、利三とみつき以外にも新キャラクターの登場は予定されているのでしょうか?
鯉沼:詳細はまだ明かせませんが、27名のなかにはこの時代に活躍したキャラクターや忍びなどが多数登場しますので、そこは続報にご期待ください。
――あとはキャラクターの個性付けという部分で大きく影響を与えている声優のキャスティングだと思います。本作ではどのくらいシリーズを継承し、また変えていく形でしょうか?
鯉沼:大きく時代設定のために変えざるを得なかったキャラクターは一部変更していますが、リニューアルしてもイメージ的に合う方については、引き続き担当をお願いしました。ただ、逆に先方から「今回はイメージに合わないから」と、辞退されたケースもあります。『戦国無双4』でも幸村、信之の子ども時代の声は別の方で収録していますし、そこは作品の中での描き方に合わせてですね。
――ちなみに、島﨑信長さんが信長を演じるのはあえて狙っているのでしょうか?(笑)
鯉沼:とくにお名前で選んだということはないですね(笑)。じつは『戦国無双4』の段階から島﨑さんのお名前はあったんですよ。そのときは『真・三國無双』で関興を担当されていて、『無双OROCHI』シリーズで共演すると混同する懸念もあり、実現はしませんでした。
今回は満を持して島﨑さんに信長役として登場いただきまして、実際にサンプルボイスを聴いたときも今回の若々しい信長にピッタリでしたのでお願いした次第です。
――島﨑さんにお願いしたときの反応はいかがでしたか?
鯉沼:やっと来たか! みたいな感じでしたね(笑)。もうちょっと年齢を重ねてから演じるのかなと、ご自身では思っていたようです。ただ、今回の信長はうつけ時代から始まるので、若くてみなさんが知っているイメージとは異なりますので、「これならば今の自分でも大丈夫」とおっしゃっていました。
これまでもネタ的に信長の説明をご自身がされるとかはあるらしいのですが、キャラクターとしてしっかり確立された信長役は初めてということでした。非常に喜んでいただいていたのでよかったなと(笑)。
――それは意外ですね(笑)。
物語だけでなくゲームプレイでも時代の流れを感じさせるシステムを採用!
――先ほど操作感に違いはないというお話がありましたが、そこを確保するにあたって例えばフレーム数に調整を加えているなど、手を加えている部分はあるのでしょうか?
鯉沼:もちろん、従来と同じフレーム数での表現を維持して、爽快感という部分に違いが出ないようにはしています。ただ、ビジュアルを描き込んだので「この表現をするために、ここではフレームレートを犠牲にして……」という部分もありましたが、そこは見た目と操作感をバランスよく取ることができたと思います。
――あとは『戦国無双』シリーズのキャラクターの個性として重要システムであるチャージ攻撃、通常攻撃、特殊技、神速のタイプが残るのかが気になります。
鯉沼:基本的なところは踏襲していますが、けっこう変わっていますね。詳細はまだ明かせませんが、根本的に変わっている部分と、昔からのシステムが共存している部分があります。ただ、触り心地は変わっていないと思います。
――そこも早く手触り感を味わいたいですね。そして奥義関係はどうなりますか?
鯉沼:奥義はほぼシリーズを踏襲しています。無双奥義と無双極意があって、無双極意中に無双奥義を出すと無双奥義・皆伝をくり出せるという流れです。ド派手に締める演出が入るので、爽快感もバッチリですね。
――やはり皆伝はここぞというタイミングで使う感じでしょうか?
鯉沼:そうですね。今はまだバランス調整中なので正確にはお答えしづらいですが、なかなか出せないと思いますよ(笑)。
――それ以外の新システムとしては、時代が進むにつれさまざまな戦術が生み出されて、敵兵がそれらを駆使してプレイヤーに立ちはだかるようになるとあります。具体的にはどういった変化があるか教えてください。
鯉沼:戦国初期の戦場では兵士の統率が取れていなかったのが、末期になってくると集団化して統率が取れてきたり、武器や防具が進化していったりとかですね。実際に騎馬隊が鉄砲隊で打ち破られてと歴史上でも重要な戦があったと思いますが、そういった時の流れを感じてもらえるようにしています。
やはり戦国時代後期になるほど、集団戦闘も進化していったであろうと考えられますので。もちろん、自軍も時を経て強くなっていきますけれども、敵側もそれ相応に強くなっていく感じです。
――物語でも合戦でも時代の流れを体感できる仕掛けがあるということですね。
鯉沼:それを目指して制作を進めています。
大河ドラマで光秀にハマった人が欲しくなる早期購入特典もあり!
――大河ドラマ『麒麟がくる』の特別衣装が早期購入特典として付くようですが、どんな衣装になりますか?
鯉沼:劇中に信長と光秀が着ていた衣装を再現したものですね。なお、こちらの特典はPS4版、Nintendo Switch版での特典となります。
――大河ドラマのストーリーを彷彿させるような展開など、ゲーム中に盛り込む予定などはあるのでしょうか?
鯉沼:大河を意識した展開は用意はしていませんね。制作も『麒麟がくる』の発表前から進めていましたので。ただ、同じ時代を描いていますので、大河ドラマで活躍した武将のなかでは誰かが登場するかもしれません。
――例えば光秀が将軍(足利義昭)と懇意にしているシーンが多かったので、そういう展開もあるのかなと(笑)。
鯉沼:光秀の場合は将軍寄りの展開がありますが、とくに大河で描かれたから物語を書き直したということはありません(笑)。
――現状ではPS5版の発売はアナウンスされていませんが、こちらはどうお考えですか?
鯉沼:今のところはPS4版、Nintendo Switch版を発売させていただいて、そのあとにSteam版を発売するところまでは決めているのですが、それ以外の機種については未定です。じつは最初に申したように構想自体がものすごく前からスタートして、さらにコロナ禍という状況もあり制作には時間がかかっていまして……。正直PS5版を視野に入れられるような状況ではなかった、というのが現状です。
――では『戦国無双5』のコンセプトをひと言で表すとしたらどんな言葉になりますか?
鯉沼:“新・戦国無双、始動”でしょうか。新生に近いのですが、新始動というイメージですね。
――最後に発売を待つファンに向けてメッセージをお願いします。
鯉沼:『戦国無双』は発売以来17年が経って、『戦国無双4』では集大成としてやり切った感がありました。ですが今回は一から『戦国無双』シリーズを描き直すということで、若い開発メンバーをそろえてチャレンジして、ていねいにモノづくりをしています。
これまで応援してくださってきたユーザーの皆さん、そしてこれまで触ったことがない新規の方など、いろいろな方に遊んでいただきたいです。今後も発売に向けて情報を公開していきますので、楽しみにお待ちいただければ幸いです。よろしくお願い致します。
(C)コーエーテクモゲームス All rights reserved.
※画面は開発中のものです。
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戦国無双5
- メーカー: コーエーテクモゲームス
- 対応機種: PS4
- ジャンル: アクション
- 発売日: 2021年6月24日
- 希望小売価格: 8,580円(税込)
戦国無双5
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