【おすすめDLゲーム】兄弟で開発する環境科学ゲーム『Plantan』に詰まったオリジナリティ。雰囲気もいい作品
- 文
- キャナ☆メン
- 公開日時
ダウンロード用ゲームから佳作・良作を紹介する“おすすめDLゲーム”連載。今回は、iOS/Android向けに配信されている『Plantan(プランタン)』のプレイレポートをお届けします。
『Plantan』は、ある荒廃した星で“宇宙一燃費の悪いスマホ”を見つけた博士の女の子・コピアとともに、星とスマホの謎を解き明かしていくゲームです。工学博士と情報系の大学生という理系兄弟がタッグを組むデベロッパー“Morphon(モルフォン)”が開発しています。
プレイして最初に心ひかれたポイントは、温かみとかわいらしさ、寂しさと切なさが綺麗に溶け合った雰囲気。ビジュアル、音楽、テキストのすべてが世界観をやさしく彩っていて、ゲーム画面で映る以上に、世界の広がりを想像してしまう作品です。
宇宙一燃費の悪いスマホと謎のドラゴン
ゲームの中核となるのは、コピアが見つけた“宇宙一燃費の悪いスマホ”です。起動すると、画面内にかわいらしい姿のドラゴンがいて、つつくと(タップすると)断片的に言葉を発します。
さらに、このドラゴンを操作するアクションゲームがスマホ内にはインストールされています。1つクリアすると次のアクションゲームがインストールされ、最終的に4つのアクションゲームをプレイ可能です。
本作では、ドラゴンの発する言葉やゲーム内のヒントから、直接的には語られない物語(星とスマホ、少女にまつまわる謎)を解き明かしていくこと、アクションゲームをクリアしてゲームを次の段階へ進めることがプレイの軸になっていきます。
しかし、そこは“宇宙一燃費の悪いスマホ”なわけです。
起動中はすごい勢いで電力を消費していき、ドラゴン君をつんつんして言葉を聞き出している内にも、どんどん充電率が下がっていきます。そのため、各アクションゲームは時間(充電率)との戦いで、十分な電力を充電してから挑む必要があります。
“環境科学”がユニークなゲーム性をもたらす
スマホを充電するには発電所を設置することが必要なのですが……って、さすが“宇宙一燃費の悪いスマホ”! スケールがでかい。
スマホ1つの充電に発電所を用いるとは何やらギャグのようでもありますが、実は“ただスマホを動かすのになぜ膨大な電力が必要なのか?”ということも、物語につながる謎になっているのだから驚き。ゲームの随所には、物語を読み解くためのヒントが隠されていて、ストーリーの背景や設定が細かく表現されています。
さて、発電所の建設はシミュレーション仕立てになっていて、水力や風力、太陽光など、さまざまな種類から発電所を選び、メイン画面に映る大地の最大6カ所に施設を建てて電力を供給していきます。
水力発電所なら水辺に建てる必要があるというように、発電所の特性は地形と密接に関係し、それと同時に天候からも大きな影響を受けます。
昼夜の時間サイクルをはじめ、気圧、風速、気温、降水量、地熱など、細かな環境データが存在し、これらは天候とともに変化していきます。
以前にイベントでうかがったところによると、こうしたデータと天候はランダムで変わるわけでなく、きちんとシミュレータによって管理されているとのことです。実際、移り変わる天候のリアルさが、プレイのアクセントになっていておもしろい。
説明すると何やら複雑に見えますが、発電所の建設に必要な資源は1種類ですし、施設と場所を選ぶだけですぐに建てられるので、基本のシステムとしては敷居が低くて非常にシンプルです。
ただ、「雷雨になりそうなので水力発電所や避雷針を建てよう」とか「昼間は太陽光発電所を建てよう」とか、そうしたことで発電効率が意外と変わってきます。公式サイトには“環境科学系ゲーム”と記されていますが、まさに文言通りのゲーム性と、適度な思考を要する楽しさを味わえると思います。
手軽に遊べる。しかしオリジナリティの詰まった作品
遊んで感じたのは“日常のすき間時間で遊べる配慮の丁寧さ”で、アクションゲームはシンプル操作かつ短時間で挑め、スマホの充電は発電所を建てておけば放置でも構わないので、操作からプレイ時間の取り方まで含めて遊びやすいです。
しかし、それだけのゲームかというとそうでもなく、発電に関しては地形や天候、時間帯を考慮してうまく発電効率を上げられれば、放置しなくとも意外と素早く電力を蓄えられますし、アクションゲームもクリア評価でオールSランクを取るとなると、なかなかやり応えがあります。
誰でも遊べる手軽さを維持しつつ、アクションやシミュレーションなどハイブリッドなゲーム性が形作る体験は、不思議な楽しさがあります。流行に即して量産される型にはまったスマホゲームとは、また異なる体験ができるでしょう。
そして何より独特なのが、本作のストーリーの見せ方です。文章として見せる物語は最小限であり、断片的な文字や文章、あるいは暗号などの形で、世界の背景や物語に関するヒントがゲーム内にちりばめられています。
やさしくも切ない雰囲気を漂わせるだけに、プレイしていると「何かある――」と思わせるものの、その真実は“見せられる”のではなく、自分で“読み解く”ストーリーになっているのです。
ゲームをはじめ、小説や映画など、細かな描写を考察して裏にある表現まで楽しむことが好きな人は、本作は好みに合いやすいかと思います。ただ、考察の難度が相当に高いことは踏まえて遊んでいただければと。筆者が思うに、本作は開発者にとってもユーザーにとっても挑戦的なゲームです。
さらに感想を加えるなら、“宇宙一燃費が悪い”という設定は、ゲームとしては制約になっているものの、それをしっかりとストーリーに溶け込ませ、制約を逆手にとってシミュレーションの遊びにも変えてしまう。この工夫が凝らされたゲームデザインは、非常にユニークだと感じました。
いろいろとオリジナリティに富んだゲームなので、基本無料でプレイできますし、「新しいゲームに出会いたい」と思っている人は、ぜひ1度プレイしてみてください。
(C) Morphon
本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります
“おすすめDLゲーム”まとめページはこちら(電撃オンライン)
Plantan(プランタン)
- メーカー: Morphon
- 対応端末: iOS
- ジャンル: アクション/SLG
- 配信日: 2019年6月21日
- 価格: 基本無料/アイテム課金
Plantan(プランタン)
- メーカー: Morphon
- 対応端末: Android
- ジャンル: アクション/SLG
- 配信日: 2019年6月21日
- 価格: 基本無料/アイテム課金