ビーム前期漫画振り返り第二弾!!【O村の漫画野郎#43】
- 文
- 奥村勝彦
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秋田書店の漫画編集者を経て、元『コミックビーム』編集総長もつとめた“O村”こと奥村勝彦さんが漫画界の歴史&激動の編集者人生を独自の視点で振り返る!
ビーム前期漫画振り返り第二弾!!
あー。先週の続き、ビーム前期の作品紹介!! いってみよー!!
●『ウルトラヘヴン』(小池桂一)
長期連載その4!! つーか、まだ続いてんだよなあ連載。あまりにもインターバル空きまくっているのでワケがわからないけど。
コミックス1巻と2巻の間が3年、2巻と3巻の間が4年、ここまではまあ、なんとかオリンピックなみの間隔であったが、3巻が出てからもう11年!!
普通ここまで時間が経過しちまうと、そのまま尻切れトンボで終わりそうなもんだが、実はコツコツ描いていたりして。原稿も4本ほど溜まっていたりして。連載当初、あまりにペースが遅いので、こんな調子じゃ俺、担当しきれねえっすよぉ、なんて冗談で言ってたのだが、ホントに定年を迎えちまった。
まあ、あんな鬼のように細かくブッ飛んだ絵なんで、しょーがねえけどさあ。まさに、日本を代表する超時空漫画だよな。
●『B.Q.』『BAMBi』(カネコアツシ)
ビームで最初に連載したのが『B.Q.』。1本1本が、そのままB級映画にしてもいいくらいのグレードで、毎回、原稿アップが楽しみだった。俺もB級映画大好きだったしね。実際カネコ君も映画を監督したもんな。
んで、次の連載が初のキャラクター漫画といっていい『BAMBi』!! 主人公がブッ飛んでポップな女なんだが、俺はハタと困ってしまった。ここまで読んで頂いてわかると思うんだが、俺にはポップな要素が無い。完膚なきまでに無い。こりゃヤバイなあと思って、担当を岩井に代わってもらった。
結果的にこのスイッチは大成功で、当時のクラブカルチャーにハマって、作品はミュージシャンに支持されて見事にヒット!! 俺じゃあ絶対に出来なかったよなあ。未だにクラブがどんなトコか知らんし。人間には得手不得手ってもんがあるんよ。だもんでポップな作品と恋愛モノは俺は絶対にやらねえ。
●『少女・ネム』(木崎ひろすけ/カリブ・マーレイ)
もちろんカリブ=狩撫さんだ。最初に狩撫さんといましろ君でタッグ組ませちゃった手前、それまでの劇画系漫画家とは意地でも組ませねえぞ、と白羽の矢を立てたのが木崎君。
実は秋田時代の新人賞で、俺が惚れこんで原稿を読んだ翌日に、名古屋まで会いに行った逸材である。ただ、あまりにもナイーブすぎる所があり、難しい漫画家だったが、狩撫さんに「この子、どーすか?」って見せたら一発OKが出た!!
出来上がった作品は恐ろしいほどの透明感を持つ木崎君の絵と、ズシンとヘビーな狩撫さんの原作が、ギリギリのバランスで成り立っていた素晴らしい作品だったが、コミックス1巻が出たあとで、木崎君がギブアップして連載は終了。
2001年に木崎君は惜しくも他界してしまったが、担当した漫画家で画力No.1は誰だと問われたら、俺は迷わず彼の名前を挙げる。
まだまだ、一杯あるんだけど、とりあずキリがねえので、次はビーム中期のエピソードを語ろう。……待て!! 次回!!
(次回は4月19日掲載予定です)
O村の漫画野郎 バックナンバー
イラスト/桜玉吉
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