クトゥルフをベースに身近にある苦悩……重い題材を描く『トロメラ』インタビュー後編【電撃夏アニメ×ゲーム】

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 メディアミックスプロジェクト『D_CIDE TRAUMEREI(ディーサイドトロイメライ)』に関わる5名の開発者にお話を伺う、インタビュー後編をお届けします。

→インタビュー前半はこちら

 『ディーサイドトロイメライ』は、サムザップ・ドリコム・ブシロードによる三社共同のメディアミックスプロジェクト。キャラクター原案をくっか氏、ストーリー&キャラクターコンセプト設計を里見直氏が担当し、テーマソングアーティストは東京事変という大型プロジェクトです。

 7月10日よりTVアニメ『D_CIDE TRAUMEREI THE ANIMATION(ディーサイドトロイメライ ジ アニメーション)』が放送開始。また、アプリ版は現在事前登録が受付中で、登録者数10万人を突破しています。

 なお、電撃オンラインではこの夏おすすめしたいアニメに関連するゲームを特集する“夏だ! アニメだ! ゲームも遊ぼう(電撃夏アニメ×ゲーム)”を展開中。この記事もその企画の一環として、Twitterでのプレゼントキャンペーンを実施中ですので、ぜひご参加ください。

『ディーサイドトロイメライ』開発陣

宍戸義孝氏
ゲーム開発会社・ブラストレイン所属。シナリオチームのリーダーとして、ゲーム『ディーサイドトロイメライ』のメインストーリーの執筆を主に手ががけている。ほかには設定の監修も担当。

田淵裕基氏
ブラストレイン所属のプロデューサー・ディレクター。もともとゲーム会社でプランナーを務めていたが、オリジナルIPを立ち上げたいとブラストレインに入社し、ゲーム『ディーサイドトロイメライ』のリーダーとして開発を進めている。アニメに関しても監修作業を担当。

大野木寛氏
数々のテレビアニメの脚本を手がける脚本家・小説家。『マクロス』シリーズや『交響詩篇エウレカセブン』など、SFロボットアニメの脚本を多く手がける一方で、『あたしンち』や『ドラえもん』などのアニメにも参加。アニメ『ディーサイドトロイメライ』ではシリーズ構成および監修を担当し、ゲームのシナリオにも携わっている。

今義和氏
株式会社サンジゲン所属のクリエイター。『蒼き鋼のアルペジオ -アルス・ノヴァ-』シリーズのCGディレクターや、『新サクラ大戦 the Animation』の副監督などをこれまでに担当。アニメ『ディーサイドトロイメライ』では、監督として映像の制作作業をおこなっている。

中山雅弘氏
株式会社ブシロード所属のプロデューサー。SEGA在籍時に『サクラ大戦』『シャイニングシリーズ』『戦場のヴァルキュリア』など多くの人気タイトルに関わり、のちにブシロードに入社。『D4DJ』や『RODA59-新時代任侠特区-』などの大型メディアプロジェクトを手がける。『ディーサイドトロイメライ』ではアニメの現場をメインに担当。

※インタビュー中は敬称略。

インタビュー前編

こだわった渋谷の描写、オススメは回転寿司屋!?

──アニメの今後の見どころを教えてください。

中山:大枠としてはゲームと共通のクトゥルフ的な抗えない大きな存在の恐怖をテーマとしながら、身近にある苦悩、ヤングケアラーや被害者遺族といったシリアスなテーマに切り込んでいることもあって、シナリオ段階で個人的に泣けたものもありますし、やはりストーリーにはぜひとも注目していただきたいです。

 とくに#05は映像編集の現場で誰も言葉を発さなくなるくらいのシリアスシーンでしたし……。放送されたときに視聴者の方にどういった反応をしていただけるのか、想像してしまいました。

今:僕も自分の仕事の中でここまでしっかりと社会問題を扱ったことはありませんでしたし、過去一番重たい作品とはいえる気がします。

大野木:逆に僕は『ゲゲゲの鬼太郎』で社会問題をテーマにしたお話を書いてきたので、重たい話をどうやって見せるかという点は得意だと自負していて。やりがいのあるお仕事をいただいたなという感じがしました(笑)。

──#01でもゲームのメインキャラクターである古堅蘭堂(声優:菅沼久義)や天海える(声優:佐倉 薫)がワンシーンだけ登場しましたが、今後の展開の中でガッツリと出てくることもあるんでしょうか?

今:はい。実はしっかり出てきます。

大野木:序盤は各話ごとに「こんなキャラクターがいますよ」という紹介をさせてもらっている部分もありましたが、後半からは怒涛の勢いでお話が進んでいくので期待していただけたら幸いです。

──アニメのアフレコ現場の様子はいかがでしたか?

今:キャストさんに収録してもらう段階では、コンテの映像をもとにお芝居をしていただくということで手探りでお芝居をしていただく……という形にはなりましたが、その中でも素晴らしいものを出していただけたと感じています。

 とくに大変そうだったのがトリス。実はゲームよりもアニメの収録が先だったので、ゲームの最序盤でいろいろな説明がなされる部分をスキップして収録していただく感じになったので、もものはるなさんにはだいぶ手探りでチャレンジしていただいた感じです。

 シナリオ面ではキャストさんたちから「こんな重いアニメを作っていいんだ!」ともおっしゃっていただけたので、そこはよかったのかなと(笑)。

中山:「ストーリーは重いのに回転寿司屋のシーンはやたらと凝っていておもしろい」っていう話も出ていましたよね(笑)。

大野木:渋谷の若者は回転寿司屋にたまるという話を娘から聞いたので、それをポロッと言ったら監督が「回転寿司を入れるんだったらできますよ? やらせてください」って(笑)。

今:モデリングで店内を形作っていったんですけど、モデラ―がこだわっちゃって寿司のクオリティがやけに高くて、軍艦巻きとかもめちゃめちゃ作り込まれているんですよ。プリンがいっぱい出てくるんですけど、そっちもすごくきれいで。

──渋谷の街中のロケハンも綿密におこなわれたんでしょうか?

今:タイミング的にコロナ禍にぶつかってしまったので、それが難しく……。とくにリニューアルした渋谷区立宮下公園(ミヤシタパーク)に龍平たちが集まるシーンがいっぱい出てくるんですけど、公園の開園が延期になってしまって「えっ、何度も出てくるシーンなのにどうしよう!?」って頭を抱えました。

 ネットに出ている完成予想図みたいなものをひたすら眺めながらみんなで構造について協議もしましたし(笑)。ひとまず空白のまま周囲のモデリングを進めつつ、公園が開園すると同時に少人数のスタッフで急いで取材におもむき、ひたすら撮影しまくってそれをもとにモデルを作っていただくことになりました。

大野木:渋谷ってドンドン変わっていく街だと思いますし、その象徴として「これからできるんですけど、宮下公園を舞台にしませんか?」と提案させてもらったんですよね……。何かとあれば宮下公園って書いちゃったせいで……すみません……。

今:いえいえ(笑)。

──一方でゲームの舞台となるのは、架空の島・由良島です。こちらのロケーションはどのようにイメージされたんでしょうか?

田淵:一番大きなモデルのベースになったのは小笠原諸島です。キャラクター原案のくっかさんも自然が豊かな環境に馴染みがあるようなので、タイムスリップした田舎の風景みたいなものを描いていただき、それを自然に組み合わせることで構築しています。

宍戸:もともとは観光地として繁華街がにぎわっていたという設定でもあるので、レトロな観光地ということで静岡県の熱海を参考にさせてもらいました。

 ノスタルジーな街並みと、一転して夜になったときの不気味な恐怖感みたいなものをコントラストとして意識した部分です。ゲームが進めば進むほどホラーも増しますし、同時に楽しい部分もコントラストとして増えていくと思います。

子どもはもちろん、大人だって魅力的な人物ばかり

──今回の座談会でも話題に上がっているように、個性豊かなキャラクターは『ディーサイドトロイメライ』の大きな魅力になっています。みなさんの中でお気に入りのキャラクターはいますか?

今:僕はやっぱり織田龍平(声優:阿座上洋平)が好きですね。かっこいいけれど、どこか間が抜けている2.5枚目といいますか。個人的にコンテを描いていて表現の幅も広かったので、すごく楽しかったです。

 あと、伏辺或斗くん(声優:堀江 瞬)が小生意気なのに憎めない感じで良いですし、ジェシカ(声優:悠木 碧)とトリスがプリンを食べまくるシーンもかわいいし……いっぱいいますね(笑)。

大野木:みんな、監督に言われちゃった!(笑) プリンを食べまくるシーンを監督に気に入ってもらえたのはよかったです(笑)。あと、村瀬良判(声優:松岡禎丞)なんかもいいキャラクターなので、ぜひ注目していただければと。

宍戸:ゲームのメインキャラクターとなる幼なじみ4人の古堅蘭堂、大寝屋周一(声優:神谷浩史)、橙田ありや(声優:紡木吏佐)、湊 亞希(声優:井上麻里奈)はやっぱり動かしていて楽しいですね。それぞれの目標なんかはバラバラなんですけど、根底にある友情が美しいといいますか。

 『ディーサイドトロイメライ』は作品としてノワール・ジュブナイルをうたっていますが、『スタンド・バイ・ミー』のようなあの年齢特有の想い合う関係性みたいなものは気に入っています。

田淵:僕はうって変わってオトナ組が好きですね。三浦無弦(声優:中村悠一)や七瀬茉莉亜(声優:相羽あいな)といった海神学園の先生たちがみんな深く物事を考えていて、その思慮の深さには尊敬の念を抱くというか「こんな人間になりたい」とさえ思ってしまいます。

 大人も若者もみんな濃くて、やっぱり世界観を形作るのはキャラクターたちなんだなと改めて感じています。

中山:大人のキャラクターが魅力的っていうのは僕も感じていました。子どもの頃は大人って仕事一辺倒で厳格なイメージでしたけど、今の世の中では50代、60代でも仕事以外に楽しいことがあって少年少女のよう生き生きされている方も沢山いらっしゃいますし、中には親子で同じゲームを遊んだりする方もいて共感するポイントも近かったりするわけです。

 その点、『ディーサイドトロイメライ』のオトナ組のメンバーは年齢に関係なく好きなことに没頭したり、ノッカーアップになったら子どもが好みそうなモチーフの武器を愛用したり……すごく親しみが持てるんですよね。大人って決して仕事ばっかりじゃなくて、こういう感じでいいんだぞと!(笑)

──キャラクターたちの今後の活躍も楽しみです。

今:あと、これまで話に出ていない魅力でいうと、やっぱり“色彩”には注目してほしいです。最初にビジュアルボードを拝見させていただいたときにものすごくきれいな色使いだと感じましたし、アニメでもぜひ踏襲したいなと。

 通常、アニメでは美術ボードという背景を書く際のお手本みたいなものを用意するんですが、その際にブラストレインさんにもお願いして色使いなんかも細かく相談させていただきました。なので、背景やキャラクターの色味なんかにこだわっていますので、そういう部分も注目してみるとおもしろいんじゃないかと思います。

大野木:あと、シナリオライターの僕が言うのもなんですが、オープニング曲とエンディング曲がとにかくカッコいい!(笑) シナリオを書く段階では声はもちろん、音楽なんか想像のはるか彼方にある部分なので、映像を見ると「おー、こんな曲なんだ!」という驚きがありました。

田淵:オープニング曲『獣の理』を歌う東京事変さんには、ゲームでも挿入歌として多数の名曲を提供していただいていまして、物語を楽しんでもらう要素として大きな役割を果たしていると思います。ゲームをプレイしていてどのタイミングで流すかということも綿密に考えながら作業していますので。

宍戸:キャラクター、音楽、ビジュアルとあらゆる要素がかみ合って、ノワール・ジュブナイルとしての世界観を形作っていると思うので、空気感そのものを楽しみにしていただけるとうれしいです。

 そこから広がっていくストーリーのギミックも一筋縄ではいかないようにがんばって書いていくので楽しみにしていただけるとうれしいです。もちろん、アニメのキャラクターも活躍するので、アニメを観て気に入った方がいたらぜひ!

田淵:先行しているアニメに負けないようにがんばってゲームの制作を進めたいと思うので、ぜひゲームの方も楽しんでいただければと思います。

大野木:アニメの方もこれから魅力的なキャラクターがさらに増えていきますし、同時に謎も増えていきますので、そちらもぜひお楽しみに。

今:少年少女たちが傷つきながらもノッカーアップとして壁を乗り越えていく様を見ていただきつつ、アニメとゲームがいかに混ざっていくのかを楽しみにしていただければと思います。メディアミックスも本当に力が入っているので。

中山:数多くブシロードではメディアミックス作品を展開させてもらっていますが、これだけ壮大なテーマと多彩なキャラクターの作品はなかなかありません。

 アニメを観たときにゲームではできない映像表現もたくさんあるなと僕も感じましたし、逆にアニメを観ているとゲームを遊んだときに、リンクしてその感覚がよみがえり、楽しさも倍増する気がします。ぜひ両方とも楽しんでいただけるとうれしいです。

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©D_CIDE TRAUMEREI PROJECT/DCTM製作委員会

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