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『新すばせか』キャラデザインタビュー! ネクとリンドウの意外な共通点とは!?

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 スクウェア・エニックスから7月27日に発売予定のNintendo Switch/PlayStation 4/Epic Games Store(※)用アクションRPG『新すばらしきこのせかい』。その開発者インタビューをお届けします。

※Epic Games Store版は2021年夏に発売予定です。

 『新すばらしきこのせかい』は、2007年にDSで発売された『すばらしきこのせかい』の続編。3Dで再現された渋谷の街を舞台に、主人公のリンドウが生死をかけた“死神のゲーム”に挑みます。

 今回のインタビューは、キャラクターデザインに焦点を当てた回。クリエイティブプロデューサー&キャラクターデザインの野村哲也氏、キャラクターデザインの小林元氏と山下美樹氏、プロデューサーの平野智彦氏をお相手に、デザインに密着したお話をお届けします!

 また現在、Nintendo SwitchとPlayStation 4で無料体験版が配信中! まだプレイしていない人は、ぜひチェックしてみてください。

3人のキャラクターデザイン体制で臨む『新すばらしきこのせかい』

――現在、公式サイトでは18人のキャラクターが公開されていますが、まずは誰がどのキャラクターを担当したのか教えてください。

野村哲也氏(以下、敬称略):主人公のリンドウのほか、ツグミ、ショウカ、クボウを担当しました。

小林元氏(以下、敬称略):僕が手掛けたのはフレット、ススキチ、モトイ、シイバ、ヒシマです。

山下美樹氏(以下、敬称略):私はナギ、ミナミモト、フウヤ、カノン、カリヤ、ヤシロ、アヤノ、カイエ、ココをデザインしました。ミナミモトとカリヤとヤシロは野村が、ココは小林が、前作でオリジナルデザインをしたキャラクターになります。

――野村さんと小林さんは前作から引き続き関わっていますが、山下さんは『すばらしきこのせかい』に関わるのは初となります。山下さんは、過去にどんな作品に携わったのでしょうか?

山下:スクウェア・エニックスに入社後は、ずっと『キングダム ハーツ(KH)』シリーズのソーシャルゲームでアバターデザインなどを担当してきました。具体的には『KH χ』、『KH Unchained χ』、『KH Union χ[Cross]』ですね。

――そのつながりから声をかけられて本作に?

山下:はい。その頃アートディレクターを務めていた神藤(『新すばらしきこのせかい』のシリーズディレクターである神藤辰也氏)に猛アピールをしたところ、『新すばらしきこのせかい』のチームに入れてもらえました。

野村:以前から山下はチームからも推薦されていたので、どこかのタイミングで前面に出したいとは思っていました。山下が今回デザインしたキャラクターは好評なようで、無事に羽ばたく姿が見られてよかったです。

――本作にはキャラクターデザイナーが3名もいるということで、前作からキャラクターの数はかなり増えたのではないでしょうか?

小林:そうですね。総数を比較すると、ずいぶん増えたと思います。

――デザインの担当分けはどのように決めていきましたか?

小林:まず、野村が担当するキャラクターというのがある程度決まっていて、それ以外のキャラクターを僕と山下で割り振っていきました。最初は自分の希望や得意な部分で担当分けをしていく予定だったのですが、実際にはデザインの順番やキャラクターの絵素材を作る作業などが入った影響で、想定より随分山下に多く任せることになりました。

――事前に3人で打ち合わせなどをしてから、実際のデザイン作業に入ったのでしょうか?

小林:最初に僕と野村のほうで打ち合わせをしました。なにせ『すばらしきこのせかい』に関わるのは久々だったので、大まかなデザインの方向性などを話し合い、それをのちに山下とも共有しました。

 あとは企画側から上がってきたキャラクター設定などのプロットに基づいて、それぞれデザイン作業に入ったという流れです。僕や山下がデザインしたものは、最終的には野村にもチェックしてもらってフィックスしていきました。

――公式のトレーラーを見ると、まだまだ多くのキャラクターの存在がうかがえますが……?

野村:ファイナルトレーラーでいろいろチラ見せしてるかと。僕がデザインしたキャラクターのなかにはまだ情報が出ていないものもいますが、そのあたりは語るとネタバレになっちゃうので。

 小林が言うように、自分は2人から上がってきたものを監修していますが、最終的にゲーム画面に映るものは小林が全部統括しているので、こちらは比較的ラクでした。気になるところがあっても、小林にお願いしておけばいい感じに仕上げてくれるので。

ツイスターズの紅一点・ナギはまるで山下さんそのもの!?

――ツイスターズの4人について、それぞれデザインのポイントを教えていただけますか? まずは、野村さんのリンドウからお願いします。

野村:前作主人公のネクが、14年間も『すばらしきこのせかい』のイメージキャラクターとなっていたので、それを引き継ぐリンドウのデザインは難しいところでした。役どころ的にハードルが高いといいますか。悩みに悩んだ末に、完成したのがあの姿になります。

――ネクのヘッドフォンに対してリンドウはマスクがトレードマークになっている、というのは以前のインタビューでも話されていましたね。

野村:そうですね。それに関してはほかにも秘話があって、ゲーム内のブランドに“ジュピター・オブ・ザ・モンキー”というのがあるんですけど、ネクもリンドウもこのブランドの服を好んで着ているんです。モンキー(猿)といえば、有名な言葉に「見ざる、言わざる、聞かざる」というのがありまして……。

――ああ! ネクのヘッドフォンやリンドウのマスクにはそういう意味も!?

野村:そんな感じです。自分がデザインするときは、だいたいそういう小ネタをこっそり仕込みます。

――では、次に小林さんのフレットについてお願いします。

小林:フレットは主人公の一番の友達であり相棒、そしてお調子者であるということを意識してデザインしました。自然とリンドウと対比して見られるので、リンドウとは異なるウェーブがかった髪型や柄物を取り入れたカラフルな服装などにして、両者の違いを出しています。ピアスなど含め、実際にいる人のファッションも参考にしつつ描いていきました。

 あと、前作にいないタイプのキャラクターを目指すというのも重要なポイントでしたね。

――パッと見ですが、ツイスターズのなかではフレットが一番オシャレを意識している印象がありました。

小林:たしかにフレットは身だしなみに気を使っている人物なので、デザインを通してそれが伝わったのであればよかったです。

――山下さんが担当したナギはいかがでしょうか?

山下:ナギは、最初にもらったキャラクターの資料に“推しへの尊みが過ぎるオタク女子”と書いてあったのが印象に残っています。初期デザインではもっとおとなしめの案もあったのですが、このキャラクターはユニークな方向に振り切ったほうがいいと思い、オタク的なアイテムてんこ盛りに描きました。

 シャツに書かれた“推しが尊い”という文字は、海外版でも当然あのままです。よくある日本語がプリントされたオタク感のあるシャツをイメージしたもので、下手にローカライズすると逆にカッコよく見えちゃうんですよね。

野村:なんというか、ナギは山下に似てるらしいんですよね。今回、山下が新しくチームに加わると聞いて「山下ってどんな感じの子?」と確認すると、みんな「ナギみたいな子です」と言っていました。

――(笑)。山下さん自身はそういう自覚はあるのでしょうか?

山下:まあ、たしかに、“私を絞り出したらナギになる”みたいなところはあるかもしれません……。

――製品版でナギを見るのが楽しみです。では、ミナミモトについてもお願いします。

山下:ミナミモトは私がチームに参加して最初に着手したキャラクターなのですが、何度描いても全然OKが出なくて、すごくデザインが難しかったです。最終的に野村のほうから、フードやコート、七分丈パンツなどのポイントを押さえたイメージ画像をもらい、それをもとに落とし込んでいきました。

――山下さんは野村さんや小林さんがオリジナルデザインを手掛けたキャラクターも担当していますが、このようなキャラクターを新たに描くうえで心掛けたことは?

山下:やはりオリジナルのイメージを損なわないようにすることですね。そのうえで、続編に合ったデザインアップデートを目指しました。野村と小林が手掛けたキャラクターはどれも人気が高いので、新たにデザインするのはすごく緊張しました。

――ココは前作からだいぶんイメチェンしましたね。

山下:ココに関しては、前作から変えてくださいと言われましたので、大胆に描き起こしました。

野村:前作のココみたいな格好の子って、今どきいませんからね。

山下:きっとココは、そのときどきで一番可愛い服装を選ぶ女の子だと思うので、今回はあのようなお姫様風の格好にしてみました。

――メインキャラクター以外にも王子英二やえいるといったNPCがいますが、これらのキャラクターはどなたが担当されたのですか?

小林:僕と山下のほうで割り振っていますが、大半は山下がデザインしています。王子英二やえいるについても、山下担当です。

山下:小林は作画のほうの作業がたいへんだったので、キャラクターデザインは主に私が引き受けています。

野村:ゲーム画面に出ている絵のほとんどは小林が手掛けているので、トータルの作業量は尋常じゃないんです。

小林:各キャラクターの表情や立ち絵の差分、絵のタッチの統一などは僕の担当だったので、けっこう苦労しましたね。

今回もキャラクター名には法則が……?

――ご自身がデザインを担当したなかで、とくに思い入れが深いキャラクターはいますか?

小林:新宿死神のリーダーであるシイバは、物腰の柔らかさなど含めてお気に入りの1人ですね。あと、チームリーダーのモトイは人間臭いところがすごく好きです。

山下:私はカノンが気に入っています。デザインする際に、全体のバランスを考えて肩の生地をくり抜いてみたのですが、それが結果的に小林が描いたキャラクター絵とすごくマッチしまして。いろいろなあざといポーズをするたびに、素肌の肩がセクシーさを強調していて、色気のある見た目になっていると思います。

――配信中の無料体験版のなかではクボウの存在感も強烈でしたが、あのキャラクターは野村さんデザインでしたよね?

野村:クボウは、当初のシナリオにはいなかったキャラクターです。開発中盤ごろに、自分がこういうキャラクターを入れてほしいと言ってねじ込んでもらいました。本当は2人追加したかったのですが、シナリオライターが困った顔をしたので、クボウだけにしたんです。

 なぜクボウを追加したかというと、前作の死神には北虹のようなアクの強い悪役キャラクターがいましたが、今回はそういう人物がいなくて、全体的にキレイ目な性格ばかりだったんですよ。なので、クボウみたいなクセがあるキャラクターを入れてもらいました。

 無理言って入れてもらった割にクボウの出番は意外と多くて、あとで聞いてみたらけっこうノリノリでシナリオを書いてくれたみたいです。

――無料体験版では各キャラクターの個性的な本名も垣間見れましたが、キャラクター名がデザインに影響を及ぼすことはありましたか?

野村:自分がデザインした一部のキャラクターは自分で名前を決めたので、そういうのはなかったです。今回はほぼシナリオライターの方が名付けてはいますが、逆に見た目に合わせて変更したりはありました。リンドウは最初はどういう名前だったかな……。

平野智彦氏(以下、敬称略):リンドウは最初は仮の名前を当てていて、野村のデザインが完成してから名前を決めてもらう形になっていました。

野村:あと、前作の死神は名前に干支が隠れているというルールがありましたが、今回もある方式にのっとって名前がつけられています。

平野:新宿死神だけでなく、メインキャラクター系の名前にはすべて何かしらの法則があります。

野村:ほとんどの名前はイシバシ(『新すばらしきこのせかい』のシナリオライターであるイシバシアキコ氏)がつけていて、実在する名前をもとに命名しているらしいです。フレットの名字の“觸澤(ふれさわ)”とかも、初めて見たときは驚きましたが、実在する苗字らしいです。

――まもなく発売ということで、楽しみにしているファンにメッセージをお願いします。

小林:前作からキャラクター数が増え、イベントシーンはかなり見ごたえがあります。各キャラクターの表情もとても豊富なので、このあたりにも注目してもらえれば嬉しいです。14年ぶりとなる『すばらしきこのせかい』新作、ぜひ楽しんでください!

山下:本当にたくさんのキャラクターや絵素材を作り、たっぷりゲームのなかに詰め込みました。今の時代、こんなに2D絵にあふれた作品も珍しいと思うので、隅々までデザインを眺めながらプレイしていただきたいです。

野村:今回、キャラクターデザインを3人で担当したことで、三者三様の個性がズラリと並びました。きっと、みなさんの琴線に触れるキャラクターが1人はいると思いますので、ゲームを遊びながらお気に入りのキャラクターを見つけてください。

※画面は開発中のものです。
© 2021 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved.
CHARACTER DESIGN:TETSUYA NOMURA & GEN KOBAYASHI & MIKI YAMASHITA

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新すばらしきこのせかい

  • メーカー:スクウェア・エニックス
  • 対応機種:PS4/Switch/PC
  • ジャンル:アクションRPG
  • 発売日:2021年7月27日(PC版:2021年夏)
  • 価格:7,480円(税込)※パッケージ版、ダウンロード版ともに

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