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2008年4月19日(土)

【蟲の居所】アニメ「蟲師」を影から支えた人物登場! アニメ制作時秘話を公開

文:電撃オンライン

 2005年10月にTVアニメが放送され、今年1月31日にはDS用ソフト『蟲師 ~天降る里~』が発売された人気コミック「蟲師」。TVアニメで主人公の“ギンコ”を演じた中野裕斗氏が、「蟲師」に携わった人を訪ねたり、「蟲師」にかかわったことをするコーナー「蟲の居所」の第7回目をお届けする。

「蟲の居所」
題字・漆原友紀

 「蟲師」は、「月刊アフタヌーン」(講談社刊)で隔月連載中のコミック。本作を題材にしたTVアニメは、幅広い層の支持を獲得して、文化庁メディア芸術祭「日本のメディア芸術100選」アニメーション部門で6位入賞を果たした。また、マーベラスエンターテイメントから発売されているDS版『蟲師 ~天降る里~』は、「蟲師」の世界が100%再現されているのに加え、ゲームオリジナルのストーリーを楽しめることでも話題となった。

 第7回となる今回の「蟲の居所」は、TVアニメ「蟲師」を制作したアートランドさんを探訪した。制作部の吉田彩さんに、TVアニメ放送当時の状況や長濱監督の苦労話などを伺ったので以下に掲載する。

「蟲の居所」 「蟲の居所」
 東京都武蔵野市にあるアニメーションの企画・製作を行うアートランド。この場所を訪れたのは、このコーナーではお馴染みの白髪の男。アニメ制作現場で、一体彼は何をするというのか……。

中野氏:本日は、TVアニメ「蟲師」を制作したアートランドにお邪魔して、制作部の吉田彩ちゃんにお話を聞きたいと思います(パチパチパチ)。

吉田さん:どうぞ、お手柔らかにお願いします。

中野氏:じゃあちょっと砕けた感じに話しましょうか(笑)。最初の質問です。彩ちゃんは、仕事としてかかわる前から「蟲師」を知っていましたか?

吉田さん:マンガの存在は知っていて気にはなっていたんですが、読んではいませんでした。仕事として接することになった時に、購入して読みました。不思議な作品で、世界観や描写などに感動したんですが、「この作品はアニメにできるのかな?」って思いました。

中野氏:TVアニメではデスクというポジションですが、具体的な仕事内容は?

吉田さん:マネージャーですね。みんなの進行状況を管理して、監督に付きっきりで世話をして(苦笑)。

中野氏:その話は後でじっくり聞くとして(笑)。先日発売されたDS『蟲師~雨降る里~』はプレイしましたか?

吉田さん:すみません。忙しくて、まだやっていないんですよ。

中野氏:では、ゲーム化の話を聞いた時はどう思いましたか?

吉田さん:長濱監督と中野さんが冗談のような感じでゲーム化について話していたことがあったんですが、「難しいのでは?」と思っていたので、本当に実現することを聞いた時は驚きましたね。その後に「どうなるのかな?」とちょっと心配しました。

中野氏:「蟲師」の世界感を表現した作品になっていますよ。今、ここにソフトがあるのでちょっとさわってみましょうか?

吉田さん:中野さんは、ゲームを遊ばれたんですか?

中野氏:クリアして、全部の蟲を集めましたよ。なんていっても“ギンコ”ですからね!(ワハハハハハ)

吉田さん:全部集めたんですか? それはすごいですね! (ゲームを起動させて)うわ~~、ちゃんとしゃべるんですね。おおお、絵がキレイ! あっ、何かいますよ。蟲ですね……。これは、すごいですね。

中野氏:現場のスタッフとして、吉田さんから見て、長濱監督という人は、どういう人でしたか?

吉田さん:とても一言では言い表せません(苦笑)。1日の仕事の始まりは、監督を起こすことからでした(一同笑)。スタジオにずっといたので、打ち合わせの日は迎えにいったり、電話で起こしたりしていました。夜になって「疲れた」っていうので、ちょっと寝てもらって……ってそんな感じでした。

中野氏:常に横にいたから一番わかっているんじゃないかな、監督のことを。

吉田さん:最近感じたのは、「ひょっとしたら、人じゃないのかな?」って(笑)。でも当時は気が付くヒマもなかったんですが。

中野氏:なるほど。人ではなくて「蟲」なんじゃないのかな?と。(一同笑) では次の質問です。アニメを作っている最中、おもしろかったことやよかったと思えることはなんですか?

吉田さん:全然違うジャンルのメディアに載せたいという長濱監督たちの意向もあったようなんですが、アニメ関係ではないメディアの取材を受けることが多かったんです。それを横で見られたのは、貴重な経験でしたね。ラジオのスタジオにも行ったりしましたね(笑)。

「蟲の居所」

中野氏:そんなこともあったね。では、監督と離れて、距離を置いてみた今の状態で、監督へメッセージはありますか?

吉田さん:そういえば、最近会ってないですね。TVアニメ「ギャグマンガ日和」以来お会いしてないです。

中野氏:「ギャグマンガ日和」と言えば、オープニングアニメを撮影するころ、突然長濱監督から電話がかかってきて、「車のスクラップがたくさん積んであるところ、知りませんか?」って言うのよ(一同笑)。とりあえず知らなかったので、友人に聞いて、教えたなあ。

吉田さん:その後、朝イチで向かいましたよ。でも実際はそこに行けず、結局その近くで見つけて撮影したんですよね。

中野氏:それで放送を見たら、ほんのちょっとしか映ってなかったよ(笑)。

吉田さん:ワンカットですからね。オープニングの歌が印象的なアニメでしたねえ。

中野氏:まあ「ギャグマンガ日和」は置いておいて、そんな監督へ一言。

吉田さん:TVアニメの「蟲師」が終わってからも、ずっといろいろなことが続いていましたから、ゲームが終わったことで、やっと一区切りつけられたのではないですか? お疲れ様でした。最近も大変そうですが、ちゃんと休んでいますか? 疲労が溜まっているようなので、倒れないようにしてください。

中野氏:DVDが出て、ゲームが出て……彩ちゃん的には、もういいの? また次をやりたくない?

吉田さん:次ですか……。美術監督の脇さん(※脇威志氏)と2人で、「見る側で、次作を楽しみにしています」って話したことがありますね。

中野氏:ワハハハハハハハ。でも、もし次があるってことになったとしたら、やらざるを得ないよね?

吉田さん:「蟲師」って、体力がいるんですよねえ(苦笑)。……若い人にお任せします。

中野氏:いやいやいや、監督の手綱を引くのは、1人しかいないでしょ。

吉田さん:忙しいのに、アメリカンコミックの人形がある店とかに行かなくてはいけないですしねえ(笑)。お店閉まる直前だっていうのに店に行きましたから。それからスタジオで打ち合わせして、それらが終わってから監督を家まで車で送っていき……電車がある時間に仕事が終わった記憶は、ほとんどないですね。

中野氏:やっぱり彩ちゃん以外に適任者はいないと思うなあ。じゃあアニメの第2期が決まったら、電話しますね。そして監督の管理と、俺のスケジュールも管理してもらおう(笑)。

吉田さん:面倒を見る人が増えてるじゃないですか!(笑)

中野氏:監督の話はこのくらいにして、「蟲師」の原作やTVアニメのキャラクターで、好きなキャラクターを教えてください。

吉田さん:原作だと結構出てきていて、TVアニメだと最終話で登場したキャラクター“イサザ”ですね。最近の原作コミックにも登場したこのキャラが好きです。TVアニメの最終話「草を踏む音」は、自分で担当したということでも思い入れがあります。

中野氏:放送当時はつらかったけど、今ではいい思い出でしょ! 作画監督さんの数もすごいいたし、みんなよくやったよね。

吉田さん:そうですね。こだわってこだわって作った作品です。……最近ようやく、いい思い出と感じられるようになりました。そんなわけで、次は第3者として、客席から見ようと思います。

中野氏:そうはさせませんって。そんな思い出の詰まった作品のDVD-BOXが、3月末に発売されました。アピールポイントなどを教えてください。

吉田さん:ボリュームがあって見ごたえがあると思うので、まだ持っていない人はこれを機に購入してみてはどうでしょうか? 作画のクオリティにもこだわっており、普通のアニメ以上に手間をかけて作っているので、よろしくお願いします。何より、お求めやすく、大きさもコンパクトになっています(笑)。そして、馬越さん書き下ろしの手ぬぐい付きです!

中野氏:もうずっと一緒に仕事をしていたので、メッセージも今更ないかもしれませんが、目の前にいる“ギンコ”、もしくは中野に一言お願いします。

吉田さん:今後は“ギンコ”じゃない役で、お仕事のお願いをするかもしれません。「蟲師」以降、仕事じゃないところでよく会うので、次は機会を作って仕事でお会いできればなと。でも、“ギンコ”ではなくていいです(笑)。

中野氏:最後のところを強調していたのが、若干気になりますが……本日はありがとうございました(一同笑)。

「蟲の居所」

 そして今回も、“ギンコ”がアニメ制作の現場を見たいとのことなので、見学させていただいた。

「蟲の居所」 「蟲の居所」 「蟲の居所」
アニメの作画監督を担当された田中氏や、彩色を担当されていた岡野氏と記念撮影を行い、ご満悦な“ギンコ”。「そろそろ、帰るとするか……蟲を寄せる体質なんでな」とは言っていなかったが、あまり仕事の邪魔をしていてもなんなので、退散することに。アートランドさん、お邪魔しました。

 次はどこへ行くのか? 長濱監督のどんな話を聞けるのか? 乞うご期待!!

「蟲の居所」
 大地丙太郎監督のTVアニメ「おじゃる丸」にゲスト出演してきました。中野以外にもRIKI PROJECTから、山口祥行、勝矢という3人が参戦! 気合を入れて現場に入ったのですが、音響監督のたなかかずや氏からすかさず「お子さん向けの作品ですから。かわいらしく行きましょう、かわいらしく」と言われました(笑)。 そんなヤサグレ3人衆を、大地監督がどう料理したのか。ぜひ放送をお楽しみに!

(C)漆原友紀/講談社・「蟲師」製作委員会
(C)2008 Marvelous Entertainment Inc.


データ

▼『蟲師 ~天降る里~』
■メーカー:マーベラスエンターテイメント
■対応機種:DS
■ジャンル:SLG
■発売日:発売中(2008年1月31日)
■価格:5,040円(税込)
 
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▼「蟲師 二十六譚 DVD Complete BOX」
■発売元:マーベラスエンターテイメント
■販売元:エイベックス・マーケティング
■発売日:2008年3月28日
■価格:29,400円(税込)
 
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