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2008年7月11日(金)

PROJECT ACES開発の『スカイ・クロラ イノセン・テイセス』を体験してきた!

文:電撃オンライン

 バンダイナムコゲームスは、7月5日に都内の「イオンモールむさし村山ミュー」において、今秋発売予定のWii用ソフト『スカイ・クロラ イノセン・テイセス』の体験会を開催した。

『スカイ・クロラ イノセン・テイセス』

 本作は、原作・森 博嗣氏、監督・押井守氏の劇場用アニメ「スカイ・クロラ The Sky Crawlers」をモチーフとしたドラマチックフライトシューティングゲーム。大人にならずにずっと思春期のまま生きる「永遠の子供たち《キルドレ》」が戦闘機に乗って、「ショーとしての戦争」を戦う姿が描かれる点は共通ながら、ゲームでは原作にも劇場作品にもないもう1つの物語が展開する。

 本作を開発するのは、『エースコンバット』を手掛けたPROJECT ACES。質感、量にこだわったという「雲」が彩る美しい空を、原作や映画に登場するレシプロ機が多数駆けめぐる。その機体の操作では、ヌンチャクを操縦桿(かん)に、Wiiリモコンをスロットルに見立て、体感ゲームのようなプレイを楽しめる。さらに、レベル1~3までのゲージをためてAボタンを押すと発動する「タクティカルマヌーヴァコマンド」では、一気に敵機の後ろに回りこんで作中キャラクターのようなアクロバティックな空戦テクニックを可能にしている。

 当日行われた体験会では、子どもや老人、同施設内で開催された劇場アニメ「スカイ・クロラ The Sky Crawlers」特別上映会に参加した原作ファンたちがゲームを楽しんでいた。筆者もその中で一緒にプレイしてきたので、ゲームの発売に先駆けて本作の体験レポートを以下に掲載する。

『スカイ・クロラ イノセン・テイセス』 『スカイ・クロラ イノセン・テイセス』 『スカイ・クロラ イノセン・テイセス』
『スカイ・クロラ イノセン・テイセス』の体験プレイを楽しんでいた参加者たち。ハードがWiiということもあり、子どもから老人まで幅広い年齢層のプレイヤーが触っていた。

■ミッション前はミーティングです。

 この日の体験版は、4分間でいかに多くの敵機を墜とせるかというもの。同社の広報 よれば、ゲームに慣れた人であれば平均10~15機撃墜していたとのこと。ちなみに筆者は PS2版の『エースコンバット』シリーズなどを軒並みプレイしているフライトSTG経験者で 、Wiiは未所持なのでWiiリモコンやヌンチャクの操作には慣れていない人間だ。

『スカイ・クロラ イノセン・テイセス』

 先ほど、「ヌンチャクを操縦桿に、Wiiリモコンをスロットルに見立て」と述べた本作の操作方法だが、通常のゲームとは逆で、右手にヌンチャク、左手にWiiリモコンを持つことに。なお、ヌンチャクは垂直に立てるのが正位置で、操縦桿と同じく前後左右に操作しながら、トリガーを引けば機銃発射だ。Wiiリモコンも垂直に立てるのが正しい持ち方となり、この状態を保つことで自機も加速していく。加えて、十字キーでターゲットの変更、Aボタンで敵機の後ろを取る「タクティカルマヌーヴァコマンド」が発動する。

 また、レシプロ機を操作する本作では、ミサイルは登場しない。敵機と空戦を行う場合は基本的に機銃で戦うことになり、ミサイルの代わりに「タクティカルマヌーヴァコマンド」が搭載されているといった感じだ。ただし製品版では、爆弾など特殊兵装も多数用意され、空戦以外の偵察ミッションなども収録されているという。

■撃墜王を目指していざ出撃!

 前置きが長くしまったが、ここからは実際に体験版をプレイした感想をお届けする。まずゲームが始まって印象的だったのが、空の美しさゆえの「自機が飛んでいる感覚」。HD対応のハイスペックなハード並とはいかないが、開発スタッフがこだわったという空は、非常に美しいものであった。

『スカイ・クロラ イノセン・テイセス』 『スカイ・クロラ イノセン・テイセス』 『スカイ・クロラ イノセン・テイセス』

 操作感としては、ヌンチャクのちょっとした動きがダイレクトに伝わり、ジェット機とは違うレシプロ機ならではの軽さを感じることができる。この日の体験版で操作した「散香(サンカ)」は、原作でも軽さが特徴という戦闘機なので、紙飛行機のような軽さと旋回性であった。ただし、限界まで「操縦桿を引く」ようにヌンチャクを操作すると、重力と風に逆らう航空機の質量のようなものも感じられた。

 と、冷静に書いたものの、実際にはヌンチャクを使ったフライト操作に慣れず、敵機を追いながら、空を溺れるように飛んでいただけ。フライトSTG用のスティックコントローラに慣れた人であればわからないが、筆者は手に持ったヌンチャクの垂直軸を空間的に捉えるのに手こずってしまい、1回目のプレイは撃墜スコア7機と散々な結果に終わった。

■撃墜王を目指していざ出撃!(TAKE2)

 鬼教官がいたら「エサも取れないヒヨッコめ!」と怒鳴られそうなプレイに終わった1回目。しかし、筆者も4分間のプレイが終わるころにようやく操作感をつかむことができたので、苦笑いで「もう1度いかがですか?」と気を遣ってくれたお姉さんの好意に甘えて、2回目のプレイにチャレンジした。

『スカイ・クロラ イノセン・テイセス』

 最初は戸惑うヌンチャクによる操縦(慣れたので言い換えてみる)も、2度目となれば空を自分の思うように飛ぶ感覚は味わえる。それで即座にエースパイロットのように飛べるかといったら「NO!」なのだが、それなりに敵機を正面に捉えることはできた。操縦のレスポンスがよいので、ヌンチャクを微妙に動かしながら目視で機銃を狙い撃ち、敵機を撃墜! といった一連の流れで、爆発が画面に映った時は素直に気持ちいい。

『スカイ・クロラ イノセン・テイセス』

 また、「あと少しで敵機を機銃射線上に捉えられるのに、追いきれない……!」という時に役立つのが「タクティカルマヌーヴァコマンド」。これは画面上に表示されるゲージがレベル1以上になると発動でき、発動後は自機が華麗に空中を舞うシーンカット挿入の後、ターゲット機の真後ろにぴったり張り付くことができる機能となっている。これにより、後はトリガーを引くだけで敵機を撃墜できる。

『スカイ・クロラ イノセン・テイセス』

 「ちょっとそれ反則だろ!」と、『エースコンバット』シリーズに慣れたプレイヤーであれば思うかもしれないが、最初に述べた通り、本作の航空機にはミサイルが搭載されない。例えば『エースコンバット』シリーズにおいて、機銃だけで敵機を墜とそうと思ったら、どのくらい時間がかかるだろうか? 無論、プレイヤーの腕によって大きく左右されるが、時間制限のあるミッションなどは達成が難しいだろう。ただし、それを考えてもこのシステムは非常に強力なのだが、製品版では後半になるにつれ「タクティカルマヌーヴァコマンド」を使用しても簡単には墜とせない敵が出現するという。なので、上級プレイヤーは後半までこのシステムを封印したプレイなどを楽しんでみるのもいいのではないだろうか。

■基地に帰ってコーヒーでも一杯。

 さて、2度目のプレイの撃墜スコアは10機。「1回の戦闘で2桁も敵を墜とすなんて、撃墜王としてチヤホヤされる(誰に)こと間違いなしだな」というハッピーエンドを迎えることができた。とは思ったものの、実は今回の体験版、「4分間での撃墜数を競う」という特別バージョンのために、敵機が多めに出現する他、ほとんど避けない仕様になっていたのである。なのでギリギリ平均点といったところ。

『スカイ・クロラ イノセン・テイセス』

 それでもプレイした筆者には、体験版で本作の空戦を十分に楽しむことができた。Wii未所持なため、いささかヌンチャクによる操作を新鮮に感じすぎたかもしれないが、それでも微妙な操作で思うがままに機体が動くのは楽しい。また機銃による空戦も、アニメやマンガのような「ドッグファイト感」を体験している気分。ジェット機に比べてスピードに劣るぶん、旋回性は素晴らしいレシプロ機ならではの味が出ていた。

 ただし、『エースコンバット』シリーズのようなリアル思考と比べて、本作は原作小説や映画の「人間ではありえないアクロバティックな空戦」を再現しているので、開発チームは同じでもゲームとしての趣はだいぶ異なる。例えば、操縦桿がねじ切れるような操作をヌンチャクで行うと、機体は平気な顔して空中分解するような動きをし続けることに、筆者は違和感を覚えてしまった。抽象的な言い方になってしまうが、『エースコンバット』シリーズと比べて、空戦の「フィクション性」がだいぶ高い。

『スカイ・クロラ イノセン・テイセス』

 と、苦言のように述べてみたものの、本作は本作でそういった狙いと方向性をもって作られているので、筆者が「おもしろい」と感じたのは確か。操作についてはまだ開発中ということもあり、「ジェット機ではないレシプロ機の操作感」はおそらく実現すると、体験版から感じることもできた。

 なお製品版では、Wii向けに中盤までの難易度が下げられている他、終盤は『エースコンバット』シリーズのように歯ごたえあるミッションが楽しめるという。本作に興味を持った人は、とりあえず今後の続報に期待してほしい。

※画面は開発中のもの。
(C)2008 森 博嗣/「スカイ・クロラ」製作委員会
(C)2008 NBGI
(C)GeoEye (C)JAPAN SPACE IMAGING CORPORATION
(C)European Space Imaging

データ

▼『スカイ・クロラ イノセン・テイセス』
■メーカー:バンダイナムコゲームス
■対応機種:Wii
■ジャンル:STG
■発売日:2008年秋予定
■価格:未定

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