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2008年10月2日(木)

DSを1人1台普及させていく――「任天堂カンファレンス 2008.秋」レポート

文:電撃オンライン

「任天堂カンファレンス 2008.秋」
▲任天堂代表取締役社長・岩田聡氏。

 本日10月2日、任天堂は東京・渋谷の国立代々木競技場 第一体育館において、プレス向け発表会「任天堂カンファレンス 2008.秋」を開催した。

 壇上に登場した任天堂代表取締役社長・岩田聡氏は、まず初めに同社から2004年12月2日に発売された携帯型ゲーム機「ニンテンドーDS(以下、DS)」について言及。岩田氏によると、DS(ニンテンドーDS Lite含む)の販売数は発売から3年弱で2,000万台を突破したが、2007年夏以降の発売台数は落ち着きをみせているという。日本のゲーム市場における2,000万台は、ほぼ普及の限界台数であると言われており、多くの人間がすでにDS市場は飽和したと考えている。しかし岩田氏は、一時よりも普及のペースが落ち着いたとはいえ、今でもDSはこれまでの主流プラットフォームの普及期と同レベルで売れていると話し、「携帯型ゲーム機独自の新しいライフスタイルが提案できれば、DSはまだまだ普及の余地はある」と自信を見せた。

 氏は、ゲーム機は家庭内で複数の人間によって共有されていると指摘し、「普及の究極の姿は、一家に1台ではなく1人1台」と断言。世帯あたりのDSユーザー数の平均が2.8人なのに対し、世帯あたりのDS台数は平均1.8台というデータを示した上で、「これからもDSを健全に発展させていくために、複数の家族の間で共有されているDSを、自分専用にしていただいて、一家に1台から1人1台の流れを作っていきたい」と話した。

■DSプラットフォーム第3のモデル「ニンテンドーDSi」

 そこで岩田氏から発表されたのが、DSプラットフォーム第3のモデルとなる「ニンテンドーDSi(以下、DSi)」。11月1日に発売され、価格は18,900円(税込)とのこと。DSiでは、数多くの新要素を追加した他、ユーザーから寄せられた意見をもとに、さまざまな点を改善したという。まず、耐久性を犠牲にしない範囲で、DS Liteと比べて2.6mm分の薄型化を実現。この結果、ゲームボーイアドバンスのソフト差し込み口は廃止された。また、液晶画面も3.0インチから3.25インチへ拡大。スピーカーの音質も向上する。

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 さらにカメラ機能「ニンテンドーDSiカメラ(以下、DSiカメラ)」やオーディオプレイヤー機能「ニンテンドーDSiサウンド(以下、DSiサウンド)」などを搭載している。これらの機能を使うために、DSiでは記録媒体としてSDカードを使用可能。「DSiカメラ」で撮った写真をSDカードに記録すれば、それをWiiの写真チャンネルで見られる。また「DSiサウンド」は、サウンドデータをAACフォーマットでSDカードに入れる方式で利用できる。

 さらにDSiでは、Wiiと同様に本体保存メモリを搭載しており、そこにソフトを格納して本体から選んで起動できるようになる。「DSiカメラ」や「DSiサウンド」は、この本体保存メモリに最初から搭載されて出荷されるとのこと。また、インターネットに接続することにより、無料&有料のDSi専用ソフトをダウンロードできる「ニンテンドーDSiショップ(以下、DSiショップ)」を通じて、本体保存メモリに新しいソフトをダウンロードすることも可能になる。この仕組みは、Wiiにおける「Wiiショッピングチャンネル」と同じものだ。

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▲DSiで写真撮影ができる「ニンテンドーDSiカメラ」。写真が撮れる他に、撮った写真を加工したり、合成したりもできる。
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▲「ニンテンドーDSiサウンド」では、音楽再生に加えて、カラオケを練習したり、音声速度や音程を変えたりと、音楽で遊ぶことができる。

 岩田氏は、このような機能を実現することで、DSiを持っているユーザーが、本体にソフトを内蔵するなどして、自分専用に強化・カスタマイズして持ち歩くことができるようになると話す。また、ソフトメーカーにとっては、ソフトウェアのダウンロード配信による新たなビジネスチャンスが生まれることになるという。

 なお、DSiでダウンロード決済が必要になったことにともない、これまでWiiでダウンロード決済するための手段として販売されてきた「Wiiポイントプリペイドカード」の名称を「ニンテンドーポイントプリペイドカード」に変更することが明らかにされた。ニンテンドーポイントを「Wiiショッピングチャンネル」でWiiにチャージするとWiiポイント、「DSiショップ」でDSiにチャージするとニンテンドーDSiポイントとなり、それぞれのマシンで使えるようになるとのことだ。

 「DSiショップ」の第1弾配信ソフトは、無線LAN接続によってインターネットが利用できる「ニンテンドーDSiブラウザー」で、本体発売と同時に無償で提供されるという。また、第2弾配信ソフトとして、手書きメモを残せるソフト「うごくメモ帳」も無償で提供される。

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 今年年末からは、「DSiショップ」より「ニンテンドーDSiウェア(以下、DSiウェア)」の提供が始まる。DSiウェアは大きく分けて、無償で提供されるものと、コンパクトなツールやゲームの「DSiウェア200」、シンプルなパズルゲームや大規模なツールの「DSiウェア500」、そして800ポイント以上で展開する「DSiウェアプレミアム(仮)」と、4種類のカテゴリーからなる。任天堂では、多くの人にDSiウェアを試してもらうため、2010年3月末までに初めて「DSiショップ」に接続したDSiに対し、1,000DSiポイントをプレゼントするキャンペーンを実施するとのこと。岩田氏は、「このキャンペーンを利用して、ぜひDSiにお好みのDSiウェアをダウンロードして、自分専用のマイDSを作る醍醐味を味わっていただきたい」と力強く語っていた。

 この他、これまで全国のゲームショップ店頭などで展開してきた「DSステーション」に続くWiFi接続拠点の第2段階として、新サービス「nintendo zone」をスタートすることも発表された。最初の展開として、マクドナルドとの協業により、関東・中京・近畿地区のマクドナルド店舗で「nintendo zone」のサービスを提供する。「nintendo zone」では、その場所オリジナルの情報の他、DS用ゲームの体験版や追加コンテンツを配信。WiFiコネクションも利用できるという。

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■これからのWiiの展開――今後の課題について

 Wiiについては「まだまだ課題が多いと認識している」と話す岩田氏は、課題の1つに「本体保存メモリの不足への対応」を挙げる。「Wiiチャンネル」のサービスが拡大し、バーチャルコンソールやWiiウェアなどのソフトラインナップが充実する中で、ソフトを格納するための本体保存メモリが不足しているという声が非常に多かったという。岩田氏は、本体のセキュリティを犠牲にすることなく、かつ利便性を向上させる最もよい方法を研究してきたと話す。その結果、「Wiiショッピングチャンネル」でSDカードに直接Wiiソフトをダウンロード購入できるようにする他、SDカード上のWiiソフトを簡便な操作で本体保存メモリにコピーして実行できるようして、対応していきたいと語った。これらのサービス提供は、2009年春を予定しているとのことだ。

 岩田氏が挙げた2つ目の課題は、「インターネットの接続率の向上」について。氏は、ネットの接続率は徐々に向上しているものの、現状が十分な水準であるとは考えていないと断言する。そもそも、Wiiをインターネットにつなぐと何ができるのか、それが十分ユーザーに伝わっていないと述べ、「ゲームの楽しむ人の層が劇的に拡大している中で、我々の努力が十分な水準に達していないと考えている」と話す。これを解消するための映像を用意し、今秋から製造するWiiに初期状態からチャンネルとして組み込むという。

 また、9月から任天堂のサイトで直販していた「ニンテンドーWiFiネットワークアダプタ」を、10月より一部の店頭でも販売し始めるとのこと。さらに、「Wiiネット接続できる人ができない人を手助けして500Wiiポイントを両方がもらえるキャンペーン」を実施するという。これは、WiFi接続の知識を持っているユーザーが、Wiiのネット接続ができないままになっている人の手助けをするという企画。一定の手順を経ることで、両方のWiiに500Wiiポイントが贈られる。キャンペーンの詳細は後日発表されるとのことだ。

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 課題の3つ目は、「ゲーム人口拡大へのさらなる取り組み」について。岩田氏の口から、任天堂は、巨大なライブラリを所有するNHKのコンテンツを使用したゲームソフトを、NHKエンタープライズおよびNHKエディケーショナルと開発していることが明らかにされた。NHKの人気クイズ番組「ジェスチャー」や「連想クイズ」をモチーフにした『みんなが主役のNHK紅白クイズ合戦(仮)』と、日常会話に欠かせない100語の基本英単語をピックアップし、その使い方を徹底攻略する『100語でスタート! 英会話(仮)』の2タイトルを制作しているという。これらは2009年の発売を予定している。

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▲『みんなが主役のNHK紅白クイズ合戦(仮)』
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▲『100語でスタート! 英会話(仮)』

 最後に、「Wiiにとってもっとも重要な課題は、ソフトタイトルラインナップの充実」と述べた岩田氏は、「これから来年にかけて、任天堂が得意とする、ゲーム初心者が楽しめるゲームはもちろん、ゲーム熟練者にも楽しんでいたける、新しい驚きと遊びごたえのあるソフトを提供していきます」と発言。各メーカーの注目タイトルに加え、ゲームキューブ用タイトルをWii専用に全面的に作り替える「Wiiであそぶセレクション」を展開するという。12月11日には『Wiiであそぶ ドンキーコングジャングルビート』(3,800円・税込)、12月25日は『Wiiであそぶ ピクミン』(3,800円・税込)を発売すると明かした。

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▲『Wiiであそぶ ドンキーコングジャングルビート』▲『Wiiであそぶ ピクミン』

 この他、今年から来年にかけて発売される任天堂およびサードパーティのDS&Wiiソフトラインナップの紹介映像が流れ、本日のカンファレンスは終了となった。

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