2009年2月11日(水)

『ストIV』開発者インタビューその2 気になる家庭用のバランスを直撃!

文:電撃オンライン

 カプコンから2月12日に発売されるPS3/Xbox 360用FTG『ストリートファイターIV(以下、ストIV)』。このソフトを手掛けた小野義徳プロデューサーにインタビューを行った。

 『ストIV』は、日本のみならず世界中で対戦格闘ゲームのブームを起こしたFTG『ストリートファイター』シリーズの最新作。アミューズメント施設で2008年7月からアーケード版が稼働中だ。移植となるPS3版とXbox 360版には新キャラクターが追加される。

 先日に続いて掲載する今回のインタビューでは、家庭用についての要素について紹介する(※インタビュー中は敬称略)。

『ストリートファイターZERO』シリーズ→『ストZERO』シリーズ
『ストリートファイターII』→『ストII』
『ストリートファイターII’』→『ストIIダッシュ』
『ストリートファイターII’TURBO』→『ストII TURBO』
『スーパーストリートファイターII』→『スパII』
『スーパーストリートファイターII X』→『スパII X』
『ハイパーストリートファイターII』→『ハイパーストII』
『ストリートファイターIII』シリーズ→『ストIII』シリーズ
※記事中のタイトル表記は右とする。



■家庭用について

――アーケード版を制作している段階から、家庭用も動いていたんですか?

小野:社内では家庭用まで踏み切るのか否かは、アーケードの状況を見ようという空気があって、チームリソースを他に有効活用できないのか、という事を考えていたみたいです。しかし、タイトルを発表して、墨絵のトレーラーを公開したら、どうもユーザーの方で火がくすぶり出している。“AOUアミューズメント・エキスポ”に出展したら、昨今見なかった行列ができた。そしてロケーションテストをやったら、すごい数の人が集る。基板の受注を取ったら、全国的に店舗数が少なくなっているにもかかわらず、注文がかなりきていると。これはもしかしてもしかすると思っていたら、会社が「小野さん、家庭用もこのままやりましょう。」って動き出すことになったんです。

――ついに来たかと!

小野:(笑)。アメリカにはゲームセンターがないし、そもそも流通がないので、『ストIV』の権利を持っているカプコンUSAは、家庭用を出したがっていたんですが、日本の様子を見てからという感じは肌で感じ取れていました。でもでき上がったゲームを見たら、原点回帰の意味もわかる。何より「なんでアメリカで出さないんだ?」って、ユーザーの声が大きくなったんですよ。それで会社は家庭用への踏み切りに決意ができたという流れですね。そして、今あるハードで検討していったら、通信機能もあるしPS3とXbox 360にしようと。結果的には、アーケード版だけでなくコンシューマ版でも、ユーザーの声に助けられましたね。


――ネットワーク対戦ができることは、当初から決まっていたんですか?

小野:アーケード版を作り出した時から言い続けたのが、「ツールは1人用ではない」ということなんです。とにかく対戦を活性化させたいと思っていた。アーケードで導入したリンクマッチもその一環なんですよ。これって、もうかるお店はありがたいけど、ちょっと閑散としている店からすると導入にお金がかかる。しかし、我々が提供したかったのはゲームソフトという商品だけではなく、止めどなく対戦をしてほしいという環境を含めてのものだったんです。「キミは『ストII』のルールは知っているよね? だから、あとは切磋琢磨するために対戦しましょうよ」って。でも、初めて触る人やプレイを忘れている人もいるだろうから、3ステージだけ練習ができる“ビギナーモード”を用意したんです。そういう考えがあったので、家庭用に行くならガリガリ戦わせようと初めから考えていました。それが実ったのが“アーケード待ち受け”ですね。ツールに必要なオンライン機能を用意するのが必須というか、命題でした。

――ネットワーク対戦でユーザーが気になるのはラグ。離れた土地で情報のやり取りをする以上、0にはならないと思うのですが、どうでしょうか?

小野:マルチマッチングやKDDI MMBBから培って来た技術はすべて入れています。情報の伝達が遅れた時に許容できるトンチは用意しているんですが、そのトンチを超えてしまうとやっぱりどうしようもないですね。でもラグを感じさせないような見せ方には、かなり気を使っています。全国でもトップクラスの人がプレイすると「全然反応していない」と思われてしまうかもしれないんですが、それよりも少し下の人であれば、遊べるようになったと思います。それと、対戦する前に互いの通信状況をバーで確認できるようになっているんです。なので、通信状況が悪いときはあらかじめ「ちょっとガタつくかもな」とわかるので、闘う前から状況を把握できるようにしています。


――実際、どれくらい離れると体感的にラグを感じますか?

小野:海を渡ってしまうと、離れれば離れるほどきつくなりますね。日本のユーザーがヨーロッパの人と闘うと、インターネットなので、サーバやルーターを何十個と経由することになるので厳しかったです。実は今回、言語指定のフィルタリングも入れているんですよ。海外で日本語を使っている人もいるかもしれないんですが、確率からすればほとんどが国内の人とやれるので、それを利用すると安定しやすいです。少し手間にはなるかもしれないんですが、ユーザーの方に協力してもらうことで、よりよい環境を提供できるように努力はしています。

――家で気軽に対戦を楽しみたい人なら、十分に楽しめると。

小野:はい。でも、それよりいい環境を求めるなら、申し訳ないんですがアーケードでプレイしてもらう必要がありますね。しかし、もともと「いい環境でしか格闘ゲームをプレイしない」と考えている人は家庭用に大きな期待や興味を感じていないのでは、と思っているので、それは逆にありがたいですね。

■家庭用のCPUは強い!? 家庭用の落としどころはどこ?

――先日、家庭用をプレイさせてもらった際、CPUが強いように思えたのですが。

小野:そうなんですよ。家庭用で少しだけチューニングさせてもらったのが、コンピュータの強さなんです。EASYとかあるのですが、それでも最後の方はきつかったんではないですか?

――強いですね(苦笑)。

小野:特に最後のセス戦とかは、しんどい人が増えるかなと。そこはあえてといえば、あえてなんです。バックボーンにアーケード待ち受けがあるから土台にしてもらいたかったんです。トレーニングモードで練習をするんではなく、手ごたえのある相手とやりながら自分の上達を感じて、そしてネットワークに出て行くという方向性があるから、難しくしました。内にこもるのではなく、常にオープンな状況で練習をしてほしいというアーケードライクな考えですよね。そのためには、CPUにも手を入れよう。ユーザーの技を見てから反応するというフラグを、もう少し多めに入れていこうといろいろ手を加えたのは事実です。


――かなりAIがしっかりして、人間らしい動きをしますよね。EXセービングでキャンセルしてバックダッシュとか。

小野:それを言われるとホントにうれしいですね。僕らが言いたかったのは、“対戦する相手は人”ということなんですね。100人いたら、その分だけパターンがある。しかし、それだけあるパターンでも、もし見たことがある動きならば、対戦中に光明を見出せるかもしれない。だからそのパターンをAIに多く持たせて、クセのある人たちにも対応できるようにしたかったんです。でも、結論から言えば、やっぱりAIってパターンなんで、数には限りがある。ガリガリやっていくと見切られてしまうんですが、それでもしばらくの間は練習になりますよ(笑)。

――家庭用の落としどころは、家で『ストIV』の練習ができるというのではなく、家でやりつつも対戦ができるということなんですね。

小野:はい、家の中にプチゲーセンを開いてもらうようなイメージです。対戦ツールである以上は、プチゲーセンをどれだけ構築できるかが課題だと思います。あとは上達できるような仕組みを入れてあげること。チャレンジモードにトライアルというのがあって、そこでコンボを覚えることができるんです。レベル3以降は、EXセービングを駆使する必要があるので、難易度は高いですよ。それをやっていくことで、攻め方を覚えられる。そして、それも頭に入れてオンライン対戦に挑んでみて、その結果として使える状況や弱点を認識していく。そんなサイクルを作ることは、家庭用を作る当初から考えていました。


――CPUのEASYでも敵が強くて、トライアルも序盤の方からハイレベルなコンボがそろっているように感じられたのですが、格闘ゲーム初心者の人はついていけないのではないでしょうか?

小野:対戦ツールで僕が思っているのは将棋なんです。一定のルールを覚えたら、おじいちゃんと孫でも対戦ができる。そして一方では“竜王戦”という名人同士のハイレベルな対戦もできる。ゲーム初心者の人は、おじいちゃんと孫なんです。おじいちゃんと孫が対戦を成立させるには、相手が名人だと話にならないので、おじいちゃんと孫同士にする必要があるんですよ。そのために、今回搭載した“バトルポイント”が重要になるんです。闘いというのは、頂点の人だけが行うのではなく、カジュアルなユーザーも同様の人たちとコミュニティ、対戦ができることが大切。そして、そこで成長すれば、また次の段階に進める。でもそこだけで闘っていくのも別にアリなんですよ。世界中のおじいちゃんと孫だけが闘いに参加できるようなステージを用意してあげられるというのが、デジタルのいいところで、ネットワークの優れたところだと思います。

――コンマ1秒をしのぎ合って闘う人もいれば、連続技ができない人もいる。それが同じツール、『ストIV』を使って行われることに意味があるのですね。

小野:レバガチャで遊ぶ人も、全国大会で決勝に出るような人も、同じルール・ツールでプレイできる。それが『ストII』のルールブックで『ストIV』をやれる、原点回帰のメリットかなと。これが『ストIII』シリーズの太いルールブックでやってしまったら、難しすぎて初心者がいなくなってしまったと思うんですよ。それは避けたかった。薄いルールブックなんですが、戦術を深くすることはできるというゲームにしたかったので。

――『ストZERO』シリーズのキャラクターが家庭用で参戦しますが、どのようにして決まったのでしょうか。

小野:同窓会の例を再び持ち出しますが、今回の同窓会は『ストII』の人の同窓会でもあれば、『ストZERO』シリーズの人の同窓会にもなる。かたや『ストIII』シリーズの人が来るかもしれない。もちろん軸は『ストII』の人に向けた同窓会なんですが、それ以外の人がつまらないイベントにはしたくなかったんです。なので、『ストZERO』シリーズをやっていた人のために、ターゲットコンボ(通常技をキャンセルして通常技が出せるシステム。弱キック→強キックなど、キャラクターごとに固有のパターンが決まっている)やダッシュを入れるという工夫をしました。また家庭用に移植するにあたって、さらにわかりやすいさくらとダンを追加しました。でも『ストZERO』シリーズをやっていた人の中には、テクニカルなことがしたい人もいると思うので、元やローズも参戦させたという経緯です。


――なるほど。『ストIII』シリーズのシステムの一部も本作に盛り込まれていると思うのですが、それは『ストIII』をプレイしていた人に向けて入れたんでしょうか?

小野:基本はそうなんですが、昔のシステムを感じるんだけれど、それを駆使しなくてもいいということに重きを置きましたね。繰り返すんですが、ルールブックを太くするのではなく、それができればもっと上を目指せる要素にしたかった。『ストIII』シリーズのことを入れているからといって、ハードルを上げているつもりはなく、なかったらなかったでいいやという立ち位置なんですよ。新システムって、大抵のゲームがそれがないと対戦が成り立たないんですが、セービングアタックってなくてもいいんです。コマンド入力の1つとして、ボタンの同時押しがある。それならば、格闘ゲーム初心者でもわかるじゃないですか? でも初心者にブロッキングは難しいですよね?

――確かに難しいですね(苦笑)。

小野:攻撃に合わせてレバーを前に入れる。それもニュートラルを通さないといけないとか、制約だらけですからね。でもセービングアタックは、ボタンを押すのが2つになっているだけで、弱パンチを出すのと変わらないんです。それでも「ボタンを放すタイミングがわからない」という人のために、押しっぱなしにしたら最後にガード不能の攻撃が出るという仕組みにしています。でも。技の本質を理解できたら、もっといろいろな場所で使えるようになるんです。セービングアタックを入力している間にダッシュでキャンセルできてフェイントをかけられるとか、ゲージがたまっていればEXセービングを発動できて、通常技と必殺技をくっつける役割になるとか。こうやって、どうでもいいことかもしれないんですが、それを入れることによって上級者なら戦略性が増すし、初心者でも興味さえあればうまくなるきっかけになる。決して飛びぬけたシステムを入れるのではなく、できる範囲のルールブックをもとに少しだけ追加していく。まあ、こんな風に言うのは簡単で、実現するのはすごく難しかったですけれども、カプコンが出せる1つの答えは出せたのかなと思います。


■バランスは調整されるのか!? そして気になる新キャラは?

――アーケード版にいるキャラは、家庭用では調整が行われているのでしょうか?

小野:ほとんどやっていません。『ストIV』が稼働した当初は、「ブランカが強い! 家庭用で何とかしろ!」って言われていましたが、ブランカは現在そこまで飛びぬけていない。その後、ザンギエフが言われ、ルーファスが言われ、今はサガットに。でもサガットは、飛び道具があってピッチが早いというところで予想はしていたんですが(苦笑)。覚えているかもしれないんですが、『ストIIダッシュ』が出たころに多くの店で「ベガ禁止令」が張り出されたんですね。でもある一定のタイミングでそれが解かれたんですよ。今回も、ある一定のサイクルが過ぎた時にそうなると思っています。アーケード版は日本でしか稼働していないので、家庭用が出て世界で遊ばれるようになった時にどれだけデータが取れるのか、楽しみにしています。そしてチャンスがあれば、そのデータを反映して、バージョンアップなどができればと思っているんです。でも、それができるかは、また別の話になりますが。そういうわけで、データをしっかり見てからチューニングしようと思っていたので、今回はCPUの調整や、どうしてもこの不具合は不味いなっていうところを調整だけにしています。

――キャラクター間のバランスが偏っているように思えるのですが、初めから意識していたのでしょうか?

小野:キャラ性能の表を作った時に、どうしても差が出るのはわかっていました。でもそれは本作に限らず、格闘ゲームでダイアグラムを組むとそうなるもの。研究し尽くされた後に、『ストIII』であればケンとチュンリーとユンが固まっているのが1つの答えだと思うんですが。まあ、あれは僕らが作ったダイアグラムとは違う結果になっていると記憶しています(笑)。ただ、今まで格闘ゲームを作ってきた歴史の中で、それを打ち壊してきてくれたのもツールの使い手だったのです。今回の全国大会で優勝したのは、ダルシム使いの伊予選手だったんですが、ダルシムは性能的には決して高くないんですよね。

――むしろ、性能的には弱いと思っていました。

小野:我々もダイアグラムで見て、低いと思っていました。それでも勝ち抜けたというのは、時の運だったり、対戦ツールなので何かによって左右される要素がある。何かで変化するなら、ダイアグラムは出てくるけど、これですべてではない。だからツールとしてのおもしろさなのかなって考えもありますね。将棋だと羽生名人が強くても、負けることもあるわけですよ。こないだも負けちゃいましたし。将棋のルールは変わってないし、羽生名人の脳も変わっていない。でも何かあって、不確定要素で負けてしまうこともあるのは一緒ですよね。


――サガットやリュウはEXセービングからウルトラコンボが入るんですが、ガイルは入りにくい。ウルトラコンボのつながりやすさに差があると思うのですが、それは開発段階からわかっていたことなのでしょうか?

小野:ガイルは入らないですね(苦笑)。……えっとですね、それは開発されてから段々にわかってきたんですよ。正直言うと、そこまでの意図はなかったです。最初は変わったポイントとしてウルトラコンボを大きく出したんですが、あれって僕らからするとつながろうがつながらなかろうが、1つの大技という認識だったんですよ。花火感というか、優越感というか。『スパII X』のときのスーパーコンボフィニッシュ時のフラッシュですね。出さなくても勝てるのにあえて出すっていう立ち位置。アーケードで入ってきた人って、おじいちゃんが羽生名人と対戦する可能性があるわけですよ。負けそうなおじいちゃんが名人に一矢報いたいという時に、こちらも何とかしてあげたい。コンボはつながらないけど、このウルトラコンボを使えば、ガードされても削れるし、もし決まれば大ダメージを与えられます。それくらいの意図で搭載したんですね。今回、つながるつながらないというのは、だいぶ皆が開発して出てきたので、意外だったというのはあります。だから、もしチューニングの機会をもらえれば、そこはうまく調整したいという気持ちはありますね。

――ウルトラコンボは通常技をキャンセルして出せないので、最初からEXセービングを使ってつなげるというデザインになっていたように見えたのですが……。

小野:EXセービングからというのは、僕らはバグチェックのときに試していますけど、強く意図していたわけではないんですね。だから今、よく見掛けるサガットの連続技(タイガーアッパーカット→EXセービングキャンセル前ダッシュ→タイガーディストラクション)というのは、気持ちの中では想定していたフローではないんです。ただそういうフローが見えてきた時に、「コイツ通常技からウルトラコンボまでつながらないじゃん!」ということがわかってきた。もうちょっと開けた目で見ておけば、どのキャラも通常技からウルトラコンボまでつながるような形にできたのかもしれないですね。でも、EXセービングからつなげるのって難しいじゃないですか。もし機会があればそこのハードルを上げない形で、他のキャラができることは全キャラができるようにしたいですね。


――家庭用の追加キャラは、EXセービングからウルトラコンボがつながりにくいように感じたのですが、そういった事情が背景にあるのでしょうか?

小野:コンシューマの最後のチューニング時に悩みましたね。結果から言うと、新しく入るキャラに関してはバランスを整えないとまずいってことになりました。ウルトラコンボがつながらないことのデメリットは、攻撃値や防御値を変えることでカバーできるんです。ウルトラコンボがつながらないキャラは、通常技や必殺技の攻撃力を上げることでダメージを奪っていけるといった具合にですね。現状不公平感が出ている中で、ガイルだけ置いてけぼりにして、新キャラが皆ウルトラコンボがつながってしまうというのもよくないので……。そのあたりは、アーケード版の状況も見て調整しました。正直、新キャラクターのウルトラコンボのことを考えなかったと言ったら嘘になりますね(笑)。

――フェイロンなんかはつながりにくかったですね。いつもの感じで、「熾炎脚(しえんきゃく)からウルトラコンボが入るんだろ?」と思ってちょっと試してみたんですが、うまく入りませんでした。

小野:ウルトラコンボへはつながり難いですが、製品版だとフェイロンはちょっと強いかなという印象があります。今回追加された元も強いんですが、操作が難しいのでうまいユーザーしか使いこなせないと思います。なので家庭用からプレイする人は、フェイロンを使えば、キャラクター性能で多少有利になるかもしれません(笑)。ただ、彼の攻め方は一方通行なので、ブロックされてしまうと後がないというデメリットもあります。『スパII X』のときのケンがガリガリ押せて猛威を振るっていたんですが、ガリガリ押せるやつは止められてしまうと攻めようがないんです。最初は猛威を振るうかもしれませんが、あとで攻略され落ち着くと思います。


――家庭用から入る人に、オススメのキャラクターを教えてください。

小野:『ストII』のDNAが残っている人、指が動きを覚えている人は使っていたキャラをそのまま使うのがいいと思います。ちょっとだけ格闘ゲームに触ったことがあるという人や、友だちにススメられてプレイする人は、まずは飛び道具を持っているキャラから始めるのがいいかと。リュウやケン、サガットなどの弾キャラには、バランスがいいキャラが多いので。あとは、間合いを見る必要があるとか、突っ込んで攻撃するとか、遠距離から攻撃するとか、『ストIV』のゲーム性を、教科書的にわかるキャラになっていると思いますよ。

――ルールブックの基本がひと通りの操作が入っていると。

小野:そうですね。彼らに慣れてから万遍なくキャラクターを使っていくと、全キャラがアンロックされた状態になっていると思うんです。そうなってから、自分にしっくりきたキャラを使ってもらうのがいいのかな。あと、キャラクターを触っていると、対戦時に相手の動きがわかるんです。だから、初心者の人も、すべてのキャラをプレイしておくほうが、対戦で有利になりますよ。


――ちなみに小野さんはどのキャラクターを使っているんですか?

小野:僕はリュウですね。強さだけでいえば、セスも強いと思うんですが、性能に振り回されてしまう可能性が高いんですよ。もちろんスペックは高いんですが、使いこなせるかはユーザー次第です。家庭用が発売され、しばらくはセス天下が来ると思うんですが、体力が低いのでガリガリ攻められると結構きつくなるので、そんなに長くは天下を保っていられないんじゃないかと思います。使う人は、どれだけ牽制できるかがカギになるかと。

 明日は、発売に向けて、そして今後の展開についてお聞きした後編を掲載する。

2日目となる今回のインタビューでは、アーケード版とコンシューマ版の違いやウルトラコンボなど、濃い話が飛び出した。

データ

▼『ストリートファイターIV』
■メーカー:カプコン
■対応機種:PS3/Xbox 360
■ジャンル:FTG
■発売日:2009年2月12日
■価格:8,390円(税込)
 
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▼『ストリートファイターIV』
■メーカー:カプコン
■対応機種:AC
■ジャンル:FTG
■稼働時期:2008年7月18日

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