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2009年5月30日(土)

人を好きになるってどういうこと? 『うみものがたり』アフレコレポート!

文:電撃オンライン

 TBS他で今夏に放送が始まるTVアニメ『うみものがたり~あなたがいてくれたコト~(以下、うみものがたり)』。その第4話のアフレコが、都内のスタジオで行われた。

 『うみものがたり』は、人気パチンコ機『海物語』をもとにしたアニメ作品。とある南の島を舞台に、少女たちの心の絆や戦いを描いた“魔法巫女ファンタジー”になっている。

 第4話のアフレコ終了後、本作の監督を務める佐藤順一さんと、キャスト陣にインタビューを行ったのでご覧いただきたい。

『うみものがたり~あなたがいてくれたコト~』

――第4話までのアフレコを終えた感想をお願いします。

佐藤監督:まだ探り探りなところはあるんですが、皆さんだんだんキャラクターの輪郭が見えてきたかなと思います。ドラマは動き出したばかりで、この後キャラクターが変化していきます。そこもまたおもしろいところかなと。今回初めて仕事をする方が多いのですが、ようやくどのような人なのか見えてきましたね。

阿澄佳奈さん(マリン役):もう4話まで終わっているということに驚きました。3分の1が終わってしまい、だんだん寂しくなってきつつあるんですが……。

一同:早い早い(笑)。

阿澄さん:確かにまだ早いかなと思うんですが(笑)、それだけ毎回楽しくアフレコさせていただいています。終わってみると台本の書き込みの量がすごいことになっていて、みんなで作品を作っていく過程が勉強になります。4話、5話あたりでキャラクターが出そろうので、そこからのキャラクターたちの変化を楽しみにしています。

寿美菜子さん(宮守夏音役):毎週毎週楽しくアフレコをさせてもらい、私は夏音として沖縄弁などもしゃべらせてもらい、キャラクターの気持ちもどんどん身近に感じられるようになって……いると思うんですが……。

佐藤監督:大丈夫ですよ。まぁ夏音は難しいんですけどね。邪悪なことを言いつつも、実はいい子なので大変だと思います。夏音の輪郭はできていると思いますよ。

寿さん:ありがとうございます。これから12話まで、夏音をしっかりつかんで、感情などを表現できればいいなと思います。あと今日4話までやってみて、沖縄弁が染み付いてきたなといった実感があります。

堀江由衣さん(ウリン役):台本を読んで、お話がおもしろいと思いました。夏音ちゃんは邪悪邪悪言われているんですが、実はとてもピュアなんです。そんな風に、心の中がピュアなキャラクターたちがとても多いような気がします。海や景色のきれいさに毎回癒されながら、アフレコをさせていただいています。

永井幸子さん(宮守都役):私もあっという間だなと感じています。キャストの方、スタッフの方、皆さん魅力的で、監督もとてもやさしく。

佐藤監督:ホントですか(笑)。

永井さん:ホントです。少し経験が浅い部分もありまして、必死に食らい付いています。私も魅力的なキャラクターを演じられるよう頑張りたいと思っています。

間島淳司さん(サム役):サムは海の中の人なので、“一方そのころ……”といった登場することが多いです(笑)。毎回出ているわけではないので、僕こそ“いつの間に4話!?”という感じですね。1話の時から感じていたのですが、すごくのどかでアットホームな雰囲気が現場にも出ていますね。南の島が舞台になっているせいもあるのでしょうか。久しぶりにアフレコに来ても参加しやすいですね。

福井裕佳梨さん(ワリン役):ワリンはサムさんと同じく海の住人の役なので、もう4話かという感じです。ワリンちゃんは邪悪なことも言わせていただくんですが、キャラクターの絆が感じられる場面もあって魅力的です。

納谷六郎さん:僕は1話に出ていないんですよ。なので、2、3、4話を収録したんですが、収録したのは3話が先だったんです。だからいきなり1話出ていなくて3話やって、全然わかんないんですよね(笑)。もちろん監督から説明は受けたんですけど。その後2話を収録した時に「なんでこんなにしゃべってるのよ」と思うくらいセリフがあって、すごく戸惑いました。

儀武ゆう子さん(鈴木役):出身が沖縄なので、出番がない時も(キャストの皆さんに)南っぽいしゃべり方をレクチャーさせていただいているんです。でも、いざ自分がマイク前に立って話そうとすると戸惑ってしまいました。“マイクの前に立ったら、なまっちゃいけない”というのが自分の中にあったので。毎回すごく勉強になっています。

――監督にお伺いします。作品を作る上で一番伝えたいメッセージはどういったものですか?

佐藤監督:劇中のいろいろなところで、マリンが「愛してる」と言うんです。予告の最後も「愛してる」ですし、恐らく番宣の最後も「愛してる」でしょうし、ポスターにも書くかもしれません。「人を好きってどういうことだろう」ということを新しい角度から考えてみようかなと思い、それが今回の大きなテーマになっています。マリンと夏音はまったく逆からのスタートになっていて、マリンは人を憎んだりしないピュアなキャラクター、夏音は人ぎらいで誰とも接触しないようにしています。その2人がお互いを好きになるし、2人の間に入るマリンの妹のウリンを、恐らくマリンも夏音も好きになっていくでしょう。そういったドラマの作りになっています。「愛してる」なんて日常では使わないですし、使ったことがある人だってどれだけいるんだ? と思いますよね。使ったことありますか? ないですよね。結婚している私ですらないんですから(一同笑)。まぁそんな言葉をマリンちゃんのマネをして言えたらステキだなと思います。

――メインキャスト3人にお聞きします。実際に演じてみて、自分のキャラクターの好きなところを教えてください。

阿澄さん:監督もおっしゃる通り、マリンちゃんはピュアで真っ白でまっすぐで、ステキな部分を全部詰め合わせたような女の子です。世界中探してもどこにもいない、アニメならではの存在といえるキャラクターだと思います。こんな人いないよなと思いつつも、すごくあこがれますね。

寿さん:夏音は邪悪なキャラクターで、マリンちゃんとは正反対なんですけど、その中に“本当はこうなりたい”という願望などがあり、それを隠して人にツンケンしてしまうんです。でもマリンちゃんやウリンちゃんやいろいろな人に出会って、変わっていくんだろうなと楽しみにしています。気持ちとしては共感できる部分がたくさんあるので、これからも頑張ってほしいなと思っています。

堀江さん:ピュアなマリンちゃんへの反動なのかわからないんですけど、ウリンちゃんは背伸びしているというか、しっかりしなくちゃと思っている部分があるんです。うれしいと思っていても素直にうれしいと言えないような、そういうところがかわいいなと思います。

――キャストの皆さんにお聞きします。第4話までの注目ポイントはどこですか?

阿澄さん:近付いていくマリンと夏音の関係性ですね。あと変身するシーンがPVでとてもきれいだったので、本編が楽しみです。カメの松本さんが火を吹くシーンも注目してください。

寿さん:絵がとてもきれいで、舞台の奄美小島の風景が画面からビシバシ伝わってきます。マリンちゃんの豊かな表情にも注目です。あとはサムさんの歯とか、歯とか、歯とか(笑)。いろいろなところが細やかに丁寧に描かれている作品だと思うので、すべてを見ていただけるとうれしいです。

堀江さん:4話まででは、やはりマリンちゃんと夏音ちゃんの友情が芽生える過程ですね。とても丁寧に描かれていると思います。夏音ちゃんの微妙な心の変化が見どころかなと思います。あとはおとぎ話のようになっているエンディングがとても美しくて、それにウリンちゃんが反応するのがかわいいです。ぜひ最後まで見てください。

永井さん:メイン3人の心の機微や、母(都)としては夏音ちゃんの成長っぷりや、あとはサムさんの歯や、松本さんが火を吹くところや、ワリンちゃんが意外にいい人そうなところが見どころですね。あとは都さんと夏音ちゃんの親子のやり取りですね。都さんは夏音ちゃんのことを“邪悪”と言っていますが、都さんは都さんで自分勝手な大人気ないところもたくさんあります。そういったところにも注目していただけたらと思います。

間島さん:サムとしましては、やはり歯の輝きですね(笑)。あとは“海ぶどう”です。この2点を押さえておけば、大体サムという人間がわかります(笑)。作品としては、シリアスなシーンとコミカルなシーンで、はっきりと差が出ていておもしろいなと思います。

福井さん:マリンちゃんもそうですが、どのキャラクターにもピュアな面があっていいなと思います。見終わった後にきらきらした気持ちになれるような作品だと思います。

納谷さん:ギャグシーンがすっごいおもしろいですよ! ギャグシーンとマジメなシーンが入れ替わるところが見どころです。

儀武さん:鈴木は夏音ちゃんの幼なじみで夏音ちゃんが好きなんですけど、それをなかなか言えないんです。でも、マリンちゃんがキッカケで少し距離が縮まります。そういう“愛してるけど言えない”という部分にも、作品のピュアさが感じられるかなと思います。みんなの心の動きにも注目してほしいです。

――佐藤監督にお聞きします。今回こういう物語を作ろうと思ったキッカケは何だったんですか?

佐藤監督:『うみものがたり』のアニメ化と、“変身美少女モノ”ということだけは決まっていたんですが、どういう話にするか、その骨格がまだできていなかったんです。そうして製作を進める中で、取材をしに奄美大島に行ったんです。舞台の奄美小島は奄美大島をモデルにしているんですが、そこで現地の人話を聞いたり、歴史を調べたりしているうちに「これだ」と思い、“愛すること”といったテーマも決まりました。奄美大島が非常に重要な要素になっていますね。

――パチンコをやらない方向けへの工夫などはされましたか?

佐藤監督:実は僕もパチンコはやらないんです(笑)。パチンコの『海物語』とアニメーションの『うみものがたり』でどう色合いを変えていくかということが、預けられたテーマでもありました。パチンコを好きな人よりは、アニメを好きな人、深夜なので難しいかもしれませんが、たとえば子どもたちなどにも見てもらえるような作り方をしています。

――最後に、番組を楽しみにしている読者に向けてのメッセージをお願いします。

阿澄さん:夏にピッタリの、海に行きたくなるような作品です。何かを好きになるという気持ちを素直に出すことはいいことなんだなと、見ている方に伝わったらうれしいです。私自身、これから先の展開も楽しみにしていますので、ぜひ皆さんもこの作品を見て心を温かくしてもらえればと思います。よろしくお願いします。

寿さん:『うみものがたり』の注目ポイントとして、“音楽”があるなと思いました。PVでも流れていたんですが、ピアノのサウンドが心にジーンときました。絵もステキなので、ぜひ見ていただいて好きになってもらえたらと思います。

堀江さん:私が演じさせていただいているウリンちゃんは、大好きなマリンお姉ちゃんを夏音ちゃんに取られ気味で、ちょっとおもしろくなさそうな状況が続いているんですが、それが今後どうなっていくのか注目してほしいです。一番最後まで見ていただいた後、皆さんの心の中に何かが残ったら、すごくステキなことだなと思います。

永井さん:作品の持つキラキラさに私も乗かって、今後もキラキラと頑張っていきたいと思います。

間島さん:美少女が変身して戦う作品ですが、サムは美少女でもなければ変身もしないので、そんなことは一切関係ないんです……(笑)。彼は彼なりに、海ぶどうと歯の輝きとともに頑張って生きていくと思います。僕も彼の歯の輝きに負けないような声を付けていきたいなと思っています。

福井さん:サムさんの歯も含め、いろんなキラキラを感じてもらえればと思います。私もワリンとして、皆さんに何か伝えられるように頑張っていきたいと思います。

納谷さん:色が付いた時の絵が楽しみですね。早く完成品が見たいです。

儀武さん:スタッフの皆さんが現地で取材されているので、南の島っぽいステキな映像になることは間違いないと思います。私は島の住民たちが、南っぽい雰囲気で話せるようご協力させていただいているので、見た人たちが南の雰囲気がすると少しでも思ってもらえるよう頑張りたいと思っています。やはりクセがあるしゃべり方なので、100%沖縄弁でというのは難しいんですが、私に何かできることを探しつつ頑張っています。

佐藤監督:奄美大島に取材に行ったこともそうなんですが、今回は世界観をどう作るのかが一番重要なところでした。取材したことをもとにお話を作り、音楽を奄美在住の村松健さんに作っていただきました。村松さんは奄美大島に詳しいので、現地で歌われているような島歌を作ってもらいそれを劇中に取り入れたり、方言も本物に近いものを使い、いかに存在感を出していくかということを1つのテーマにしています。背景を描いていただいている小林七朗さんは、アニメ界で言えば長老のような方で、我々が子どものころから背景を描いていらっしゃいます。そういったことも含めて、『うみものがたり』ならではの世界観をいかに作るかということに重点を置いて頑張っているところです。

 あとドラマの面では、キャラクターたちがこれから変わっていくところが見どころです。まだ4話なので、いい人ばかりのキラキラな作品と感じるかもしれませんが、そうでもないんです(笑)。この後みんな変わっていくドラマが待っています。夏音がマリンと出会うことで変わっていき、夏音に嫉妬してウリンが変わっていき、ウリンが変わったことでマリンが変わっていき、とキャラクターがそれぞれ変わります。私自身がピュアな人間ではないので、このままピュアなまま行くわけがありません(笑)。この後、夏音のことなんか大きらい! というキャラクターも出てきます。

寿さん:えぇ!?

佐藤さん:そんな中で、人を好きになることは、つらいこともあるけどいいことなんじゃないかなというところに行き着く物語を目指しています。この後、キャストの皆さんも驚くべき展開が待っていると思います。そして、いい形で安心して終われる最後が待っているので期待してもらっていいのではと思います。そんなラストを目指して、日夜努力しているところです。頑張ります。

■TVアニメ『うみものがたり~あなたがいてくれたコト~』
【放送局】CBC、TBS、MBS 他
【放送時期】2009年夏

【スタッフ】(※敬称略)
 原案:『海物語』シリーズ
 ストーリー原案:築地俊彦
 監督:佐藤順一
 シリーズディレクター:紅優
 シリーズ構成:山田由香
 脚本:横谷昌宏、吉田玲子
 キャラクターデザイン:飯塚晴子
 美術監督:小林七郎
 撮影監督:太田和亨
 色彩設計:川上善美
 編集:平木大輔
 選曲:佐藤恭野
 音楽:村松健
 アニメーション制作:ZEXCS
 他

【キャスト】(※敬称略)
 マリン:阿澄佳奈
 宮守夏音:寿美菜子
 ウリン:堀江由衣
 ワリン:福井裕佳梨
 サム:間島淳司
 宮守都:永井幸子
 鈴木:儀武ゆう子
 松本:納谷六郎
 小島:沢城みゆき
 大島:豊崎愛生


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