2009年8月20日(木)
『バーチャロン オラタン 5.66』配信理由から現状まで亙プロデューサーが語る!
セガから配信中のXbox LIVE アーケード用ソフト『電脳戦機バーチャロン オラトリオ・タングラム Ver.5.66(以下、オラタン 5.66)』について、亙重郎(わたりじゅうろう)プロデューサーにインタビューを行った。
本作は、1998年にアミューズメント施設で稼働開始したロボットアクションゲーム『電脳戦機バーチャロン オラトリオ・タングラム』の最終バージョンを、Xbox 360に移植したもの。移植にあたって、Xbox LIVEを用いた通信対戦モードや、本体2台を接続するシステムリンクでの対戦機能を搭載している。またオリジナルモードとして、機体のカラーを変更できるカスタマイズやトレーニングなども用意されている。
以下では、コンシューマでの配信が決まった経緯や、タイトルアップデートを行った理由、そして現在の状況などについて、亙プロデューサーに語ってもらった。現在、バーチャロイドを操縦している人も、アーケード版をプレイしていた人も、気になっているがまだ手を出していない人も、ぜひご覧いただきたい。
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――今回、『オラタン 5.66』が移植されることになった経緯を教えてください。
2つあります。やはりユーザーさんからの声が根強くあったこと。同時に、社内的にも作りたいという声があったこと。2つがうまい具合にかみ合いましたね。結果的に、「自主的に作り始めて是非を問う」ということになりました。
――初代『電脳戦機バーチャロン』や『電脳戦機バーチャロン フォース』ではなく、『オラタン 5.66』だったのは?
要望の声が大きく、かつ内部的に声が上がったのがこの作品だったためです。アーケード版が出た当時、似たようなゲームがあまりないので、今でも遊んでいただいている方にとっては唯一無二、未だに支持していただけているのだと思います。ゲームスピードの早さが目新しかったのかもしれません。
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――移植に際して、何か心がけたことや、新たに手を加えたことはありますか?
グラフィック自体は昔のままですが、HD画質に対応しています。しかし、特別なことをしているわけではありません。ソースはまったく同じものを移植しているのですが……走っているハードが違うので、やりこんでいる方からすると「微妙に違う」と思われるところがあるかもしれませんね。また、インフラの進歩はやはり大きいです。ドリームキャストに移植した頃に比べると、通信環境のポテンシャルが飛躍的に上がったメリットは筆舌に尽くしがたい。もちろん、制作側の技術的な努力も並大抵なことではありませんでしたが。
――移植するにあたり、ダウンロードソフトという形式を取った理由を教えてください。
ダウンロードで手軽に遊んでいただきたいという理由です。
――移植にかかった期間や人数はどれくらいでしょうか?
そんなに多い人数ではないですね。極めてコンパクトなチームです。
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――階級システムについて、下がることがなく、誰でも必ず元帥になれてしまうシステムにしたのはなぜだったのでしょうか?
考え方、受け止め方はさまざまかもしれませんが、このタイトルでの“階級”というイメージは、組織におけるリアルなそれとは違うと思っています。どれだけそのゲームをプレイしてくださっているか、楽しんでくださったかという目印であり、同時にそれに対する制作側の感謝の気持ちのようなものだととらえていただければ。最終的に、全員が元帥になっていただければ、こんなに喜ばしいことはありません。元帥までやりこんでくれた方には、「ありがとうございます」という気持ちでいっぱいです。
――手軽な対戦を楽しみたい人もいると思うのですが、分割対戦を削った理由を教えていただけますか?
実は分割対戦って、制作するのは大変なんです。分割対戦専用のモデルやステージを作らなければならない。そういった意味でコストがかかってしまうので、諸処検討したうえで今回は割愛しました。
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――ユーザーからの反応や、これまで寄せられた要望で印象的なものはありますか?
おおむね楽しく遊んでいらっしゃるという印象で総括できると思います。ハードと一緒に購入したというお話も耳にしております。そこまでしていただけるとは、多少予想外でした。
――タイトルアップデートを行った経緯を教えてください。
将来的に必要になるだろうと思ってあらかじめ準備していたものがあり、なおかつユーザーの方々の声を伺った上で、「こういったものをこのタイミングで配信すると多少なりともゲームを遊ぶ上でのサポートになるのでは」という判断をしました。
――今後のアップデートはあるのでしょうか? たとえばメッセージ機能やエンブレムエディットの追加など。
必要があればするかもしれませんが、現時点での予定はないですね。
――周辺機器の『ツインスティックEX』が発売に向けて動き出したのは、ユーザーの声があったからでしょうか?
もちろんそれもありますが、我々としては、このソフトを遊んでいただく際に、ツインスティックがあった方がいいだろうという思いが最初にありました。しかし、リリース前から模索していたにもかかわらず、社内的な調達が難しかったんです。それで4月のダウンロード開始には間に合わなかったわけですが、結果的にそれなりのオーダーを頂き、プレオーダーという形で前に進めることになりました。ソフトのリリースから半年ほど遅れてしまいましたけれども、実現にこぎ着けられたのは喜ばしいことだと思っています。
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――現在のユーザーのアクセス状況はどうでしょうか?
通常のネットワークコンテンツの範囲内、平均的なレベルだと思います。特徴としては、週末か平日かの差ではなく、昼か夜かでの差が大きいように見受けられます。個人的にはあまり夜遅くまでゲームしているのは、どうかとも思うんですが(笑)。
――なるほど(笑)。以前に公式サイトで、膨大な量のアンケートを行った理由については?
データを取る理由は「将来のため」ということです。『バーチャロン』のようなゲームを遊ばれる方、興味を持っている方が、どんなことを考え、どういったものを求めているのかを、作り手は知っておく必要があるだろうと。今回、きっかけ的には良いタイミングと思われましたので、実施させていただきました。
――その意見次第では、他機種での展開もあるのでしょうか?
どういった形やどのプラットフォームだと喜んでいただけるかを検討したうえで、どの機種で出すかを決めていくことになるので、その都度個別に決まっていくと思います。何をやるとおもしろいかが見えてくれば、今後も色々あるかもしれませんね。
――『電脳戦機バーチャロン フォース』の移植は?
もちろん可能性はあります。どういった形でアクションを起こすのがベストかを検討していった結果、どこかで何かが起こる、ということになると思うんですが……まだ今日明日で発表できるような段階ではないですね。
――シリーズの続編、新作の可能性はあるんでしょうか?
もちろんです。ビジネスとしてやっているので、予算が下りれば続編を作ることもあるでしょうし、そこは今後の動向次第になると思います。
――これから始めるユーザーに対して、オススメの機体やアドバイスを。
特にこれというオススメはないんですよね(笑)。……1つ1つの機体のキャラが立っていると思うので、てらいなく自分が気に入った機体を使うのがいいんではないでしょうか? 見た目でもいいですし、性能でもいいです。その上で「もっと装甲の丈夫なのが欲しい」とか「近接攻撃の強い機体がいい」などの希望がでてきたら、素直に変更していくのがいいかと。
――現在対戦を楽しんでいるユーザーと、これからプレイしようとしている方へメッセージをお願いします。
いま遊んでいらっしゃる方には、これからもプレイを楽しんでいただければ、僕としてはなにも言うことはありません。ただ、ネットワーク対戦という特殊な環境では、お互いの顔が見えない中で勝ち負けを競うことになりますので、その辺に気を遣っていただければ。ともするとゲーム中に熱くなって自分本位になってしまい、たとえ悪気が無くても、ネットの向こうで自分と遊んでくれている対戦相手の心証を害してしまうことがあるかもしれません。なにせ顔が見えないので、空気も読みづらい。対面している時以上に気を遣って、遊んでくれている相手を思いやる態度があれば、楽しい遊びがより長続きするんじゃないかと思います。
これは本作に限らずですが、対戦ゲームというのは“自分が遊んでいる”だけではなく、“相手に遊んでもらっている”ということでもあるんですよね。相手があっての対戦、そしてゲームなので、相手のことを思いやるプレイを積み重ねることで、勝ち負け以上のコミュニケーションとしての膨らみ・楽しさが出てくると思います。たとえばゲームの最初と最後にボイスチャットで軽くあいさつするだけでも、楽しさは変わってくると思いますし。これはもちろん初心者の方にとっても同じことです。基本的なエチケットが相手に伝わると、普通に嬉しいし、楽しい。コミュニケーションを持続させるための、ちょっとしたマナーだと思います。
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『オラタン 5.66』について、熱く語ってくれた亙プロデューサー。「自由にゲームを楽しんで欲しいですね」とユーザーに向けてメッセージを送った。 |
(C)SEGA CHARACTERS (C)SEGA/AUTOMUSS
CHARACTER DESIGN:KATOKI HAJIME
- ▼『電脳戦機バーチャロン オラトリオ・タングラム Ver.5.66』
- ■メーカー:セガ
- ■対応機種:Xbox 360(ダウンロード専用)
- ■ジャンル:ACT
- ■発売日:2009年4月29日
- ■価格:1,200マイクロソフトポイント