2009年9月17日(木)
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ズーが運営するゲームダウンロード配信サイト、ポップキャップ・ゲームズでは9月17日より『プラント vs ゾンビ日本語版』(以下、プラント vs ゾンビ)の配信が始まっている。
本タイトルは、我が家の前庭から、裏庭から、はては屋根から昼も夜も襲ってくるゾンビたちを、植物のキャラクターでやっつけるという、“タワーディフェンス系”のゲームである。ゾンビたちが狙っているのは彼らのごちそう、つまりプレイヤーの脳みそなのだ! ゲームはステージ制で、最後の一人までゾンビを倒せばクリアだが、植物をムシャムシャ食われ、ゾンビに家の中まで入り込まれると……何が起きるか多くは語るまい。
この『プラント vs ゾンビ』、植物とゾンビの戦いというバカバカしさとは裏腹に、クオリティの高いゲームとしてアンテナ感度の高いゲーマーたちの間では、今年の春頃からひそかに注目を集めていた作品だ。いちはやく海外のゲーム配信サイトで本タイトルを見つけたプレイヤーにより、投稿サイトなどでプレイ動画が紹介されていた。実は筆者も既に英語版をプレイ済みで、かなりハマったプレイヤーの一人である。もう、いかにも「海外産ゲームです!」といった毒々しい色合いゆえに、慣れない人はこの見た目だけで敬遠しそうだが、そんな理由でプレイしないのはもったいない。『プラント vs ゾンビ』の楽しさを一人でも多くの読者と分かち合うべく、編集部の冷ややかな視線を振り切って紹介していこう。
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ゾンビとの戦い方と操作方法、と言うほど『プラント vs ゾンビ』は複雑なゲームではない。戦いの舞台は家と道路の間にある、芝生が植えられた前庭部分。ここに植物を植えてゾンビを撃退するのだ。全ての操作はマウスだけで行える。
画面向かって左側にはプレイヤーの家があり、右側の道路からゾンビの大群が攻めてくる。プレイヤーが設置できる植物は、豆を1粒ずつ飛ばすピーシューター、触れると爆発するじゃが芋のポテトマイン、ゾンビの歩みをしばしブロックするウォールナッツなど、それぞれ違う機能を持っている。最初に使えるのはピーシューターだけだが、ステージをクリアすると徐々に新しい植物が使用可能になるので、これらを組み合わせ、ステージの特徴にあわせて植えていこう。また、各植物には必要な設置コストが太陽の数で表示されている。太陽は空から落ちてくるのでこれを集めても良いが、ステージが進むとゾンビの数も増え、到底コストが足りない。それを補うのがサンフラワー(ヒマワリ)だ。サンフラワーは設置に50個の太陽を消費するが、一定時間おきに25個の太陽を生み出してくれるので、サンフラワーをたくさん植えれば、より早いペースでその他の植物を植えられるわけだ。ただしサンフラワー自身は攻撃手段がないので、ゾンビに食われないよう守ってやらねばならない。
ステージを進めていくと、太陽を二倍生み出せるサンフラワー専用アタッチメントや、ゾンビがその上を歩くとダメージを与え続けるトゲトゲしたスパイクウィードといった、ユニークな植物も登場する。しかし高機能で高コストな植物が、どのステージでも有効に働いてくれるわけではないのが難しいところ。低コストな植物をたくさん植えて数で勝負するか。厳選した少数精鋭の植物で賭けに出るかはプレイヤー次第だ。
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▲ゲーム開始前に使用する植物を、あらかじめ決めねばならない。スロットには上限があるので何を組み合わせるのか考えるのが楽しい。あえて「●●は使わない!」と縛りプレイをするのもオススメである。 |
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▲ステージクリア後、新植物のかわりに“田舎暮らし年鑑”を手に入れた。この本には出会ったゾンビと入手した植物がアルバムのように保存されている。それぞれの説明も楽しいので、新しいものが加わったら読んでみてほしい。 |
さて、住人の脳みそを求めて襲ってくるゾンビにも、実は様々なタイプが存在する。最も弱いのがただの“ゾンビ”で、ピーシューターだけでも簡単に倒せる。しかし金属バケツをかぶった“バケツヘッドゾンビ”や、移動速度が速いうえにヘルメットでかためた“フットボールゾンビ”、読み途中の新聞を破られると激怒する“ニュースペーパーゾンビ”などは、なかなか手ごわい相手とだ。特に、赤いジャージで踊りながら登場し「ポウ!」とポーズを決めるゾンビが一人いるのだが、彼が登場するとちょっと涙ぐむプレイヤーもいるかもしれない。もしかするとゾンビになる前、人間だった頃の仕事や趣味なのかなぁと思うと少ししんみりしてしまうが、こちらも脳みそを食われたらたまらない。
耐久度の高いゾンビを相手にする時は、硬いウォールナッツや移動速度を落とす“スノーピー”で、一時的にゾンビを足止めしておくのも手だ。巨大食虫植物のチャンバーは、1マス先にいるゾンビを一人丸呑みできる頼もしい植物だが、飲み込むまでに時間がかかり、その間は無防備になってしまう。これもウォールナッツで防いでやれば、大量のゾンビを倒すのに有効な手段となる。
ゲームスタート前にはそのステージに登場するゾンビの種類をチェックできるので、植物とゾンビ両方の特徴をよく考えて、植えていこう。
ちなみに攻撃があたるとゾンビはまず腕が片方ぽろっともげ、もう片方の腕が落ち、最後に首がポロンと落ちれば倒したことになる。首が落ちると白い骨と赤いお肉がチラリと見えるのだが、「どうでもいいよ!」と言いたくなるところを、わざわざ描くあたりがシュールで実によろしい。
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ゾンビたちは素直に玄関からやってくるだけではない。時にはプールのある裏庭や、屋根からの侵入を試みるしつっこいやつらなのだ。それも昼も夜も遠慮がない。いや、まぁ、ゾンビが遠慮するとも思えないが。ここでは各ステージの大きな特徴を解説しよう。
●プールステージ
裏庭のステージにはプールがあり、なんとゾンビたちはアヒルちゃんの浮き輪や、シュノーケルを装着してやってくるのだ! それまではただ植物を庭に植えて防衛すればよかったが、プール部分はリリーパッド(蓮の葉)を浮かべ、その上でないと植物が設置できない。余計なコストがかかるため、太陽が溜まるタイミングを見誤ると、たちまち窓から侵入されてゲームオーバーに。
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●夜のステージ
夜のステージは当たり前だが太陽が降り注がないため、サンフラワーを植えようにもなかなかコストがたまらない。その代わり、威力は弱いがコストゼロで設置できるキノコが登場するので、これをうまく活用して序盤は切り抜けよう。また、夜だけ出てくるお墓はそのマス目には植物が設置できず、思うような防衛ラインが築けないのも特徴だ。後半は夜に加えて霧が発生して視界を塞ぐといった、高難易度のステージも登場する。ちなみにキノコは使い勝手がよいタイプが多いのだが、昼のステージでは寝てしまうのでそのままでは使えない。
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●その他のステージ
ステージをクリアしていくと時々、イレギュラーなゲームモードが現れる。ウォールナッツをボウリングのように転がしてゾンビたちを倒したり、画面上部のバーにランダムに現れる植物しか植えられないなど、リアルラックも大きく影響するのでかなりハラハラ、ドキドキできる。『プラント vs ゾンビ』のルールに慣れた頃に突然現れるモードなので、油断は禁物だ。
『プラント vs ゾンビ』の基本はゾンビを家まで到着させない、という非常にシンプルなルールだが、レベルが上がるにつれて様々な仕掛けをステージそのものに施し、プレイヤーに同じことの繰り返す作業感を与えない工夫がなされている。初めて挑戦するステージはかってが分からず、一度でクリアするのはなかなか難しいだろう。しかしステージの特徴を理解し、試行錯誤の上に正解にたどり着いた時には、何とも言えない爽快感を味わえるはずだ。
全てのステージをクリアすると、ちょっとしたお楽しみが用意されている他、ミニゲーム、パズル、サバイバルモードがアンロックされ遊べるようになる。このミニゲームがまた素晴らしいできばえで、メインのアドベンチャーモードクリア後もじっくり取り組めるコンテンツがあるのは嬉しい。
タワーディフェンス系のゲームはシンプルゆえに好みハッキリ分かれるジャンルだが、『プラント vs ゾンビ』は筆者の中では今年一番のカジュアルゲームだと、自信を持って言い切れる良質なタイトルである(2009年もまだあと3ヶ月あるというのに)。購入前に1時間の無料体験プレイができるので、本記事を読んで少しでも興味を持った人はとりあえずダウンロードしてみてほしい。
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