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2009年10月3日(土)

ユーザーに満足してもらうために! 小嶋慎太郎さんがモンハングッズを語る

文:電撃オンライン

■グッズを監修する上で大事にしていることは?

――アパレルだったりぬいぐるみだったり、はたまた立体造形物だったり食べ物だったり。多種多様なグッズがありますが、監修する上で心がけていることはなんですか?

 ひと言でまとめるのは難しいですが、偏りすぎないことです。極端に言えば、どんなにハンバーグが好きでも、ハンバーグを毎日食べていたら飽きる。フィギュアのできがどんなによくても、そればかり出していても仕方がないんですよね。『モンスターハンター』シリーズはモンスターを狩るゲームなんですが、ありがたいことにいろいろな要素がある。それをグッズのエッセンスにあてはめていったら、どんなことができるの?ということはしょっちゅう考えています。

 その上で一番重要なのは、「自分がお金出して買う?」ということです。買いたくならないものは、ユーザーさんだって買いませんよね? Tシャツにこの金額出すなら、これくらいのクオリティはいるよね? デザインはこうだよね? という感じです。アイルーはかわいいけど、Tシャツにするのならそのままじゃなくて、記号にしてみるとか。カワイイものを出したら、次はカッコイイものを用意する。まぁ、こういう展開ができるのもグッズ製作部署がこちらのわがままに付き合ってくれるからなんですけどね。助かってます。他には、安いものだけでなく、あえて高いけど質のいいものも出しています。

――シルバーアクセサリなどもその1つですか?

 そうですね。みんながさくっと買えるものはもちろん必要です。しかし、凝ったもの欲しい人もいる。そこは用意しますね。

『モンスターハンター』グッズ

――リング以外にも、モンスターのヘッドをグッズ化していますが、これはどういう経緯で生まれたのでしょうか?

 “工房 史(ふみ)”さんというシルバーアクセサリ屋さんにお願いしていたんですが、そこにたまたま『MH』が好きな人がいて、いろいろやり取りさせていただいた中で出てきました。身に付けられるアイテムもやれると思っていたので、最初はリングやチョーカーを作ろうと思っていたんですね。そんな中で先方から「皮を使った商品もできます」と言われ、「それだったら赤と緑で、リオレウスとリオレイアの皮でココット村のお守りという設定で出したらおもしろくない?」とこちらから逆提案したり、「縞々の柄があるなら、ティガレックスのアイテムもできない?」とか相談しながら作りました。

 1回目に向こうから上げてくるものがクオリティの高いものだと、「これでも全然いいんですが、これができるならこれもできない?」と投げたくなるんですよ。もちろん、それができないこともあるんですが、それに対して「やってみます」と食いついてくるところは、いいものを上げてきてくれますね。

――最近発売されたもので、気に入っているものはなんですか?

 う~ん。5周年のスカジャン(正式名称:『5周年記念 大空の王者 リオレウス スカジャン』)ですね。グッズって、半年、下手したら1年くらいはかかるんですが、去年から今年5周年を迎えることはわかっていたので(笑)、それにあわせてグッズを作りたかった。5周年Tシャツはアリだけど、悪くいえば普通でインパクトはない。僕、休みの日ってアパレルショップや雑貨屋さん、ゲームショップなど外によく行くんですよ。それか、家に引きこもっているかの2択なんですが(笑)。

 「なんかないかな」とブラブラしていたら、大阪アメ村にレグルスというカッコいいスカジャンを飾っているお店があって、その中に青龍の刺繍がしてあるのを見つけたんですね。「ラギアクルスみたいだな」って思った時に「刺繍ってこれまでになかったし、リオレウスでやったら絶対にカッコいい!」と思って、ショップとグッズの部署に話を振りました。それで藤岡(世界観を担当する藤岡要ディレクター)に「スカジャンってカッコいいよね?」って聞いたら「うん、カッコいいね」って帰ってきたので、「リオレウス描く?」って。「え? なんの話?」ってなりましたが、「いいからいいから」って(笑)。

『モンスターハンター』グッズ

――それでデザインをお願いしたと(笑)。

 かなり早い時期からお願いしていました。制作もかなり苦労しましたね、この口から火を吐くデザインもそうですが、色味も苦労しました。全商品にいえることですが、色って実際に見てみないとわからないんですよ。実物を見た上でどこまでいじれるかによって、クオリティが決まってきます。デザイナーの色とかクセは多少残したほうがいいと思っているんですが、この要素を入れないとレウスじゃなくなるってとこは処理してもらって……かなり大変でしたが無事に5周年に出せて、値段的に落ち着いたのでよかったなあと。31,500円(税込)ってグッズの値段として安くはないんですが、オリジナルデザインのスカジャンでいいものとしては、高くはないかと。背中から肩を通り抜けて刺繍をしているスカジャンって、あまりないんですよね。ちょっとイカついデザインですが気に入っています。いろいろ5周年アイテムは出しているんですが、苦労した反面思い入れが強いグッズです。

――その他のグッズで苦労したものというものは?

 女性アイテムは苦労しますね。監修の際も、他の商品なら「カッコイイ商品だからここはこう直してほしい」とかジャッジできるのですが、女性向けアイテムは女性スタッフにかなり相談しています。

『モンスターハンター』グッズ

――個人的には、この『マジソンバッグ』が女性にうけると思ったグッズですね。

 実はこの『マジソンバッグ』って女性からも支持されたんですが、女性だけをターゲットにしたわけではないんですよ。エナメル製のバッグなんですが、最初は中高生くらいでも使えるバッグを探していた。市販されているエナメルバッグってメーカーや野球チームのロゴが入っているだけでカッコイイ。それでスポーツバッグっぽいデザインを色々考えました。最初はアイルーの手は無かったんですが、ワンポイント入れる事でかわいらしさも入って、女性受けもよい商品になったと思います。

――値段が3,990円(税込)というのも、学生でも頑張って買える設定ですごくいいと感じた覚えがあります。あと個人的にはバンダイから発売されている『カリケシ』が秀逸だと思います。

『モンスターハンター』グッズ

 いろいろとグッズの展開はあったんですが、これを担当しているバンダイ ベンダー事業部の担当の方がおもしろいネタをたくさん用意していたんですね。その人から「SDガンダムのような展開ってありですか?」という風に聞いてきて、聞いてみたら某お菓子風の絵を見せてくれて「単色で100円で、SDのモンスターとかおもしろくないですか?」って言ってきたんですよ。即「おもしろいのでやりましょう!」と返しました。100円で単色なら全然いけると思ったので。

――モンスターのラインナップはどういう風に決めたんですか?

 ラインナップの中に、キャッチーなやつがいないと欲しくならないのでそこは考えました。あとは定番モンスターも加えて、『MH3(tri-)』のモンスターもよいタイミングだったので入れました。デフォルメのセンスがいけていて、レウス装備とかもカッコイイんですよね。第2弾、3弾と考えいきたいです。やっぱり、企画書やサンプルを見た段階で「いける」と思うグッズってあるんですよ。この『カリケシ』は自信がありますね。

■恐竜博覧会とのコラボや食品とのコラボについて

『モンスターハンター』グッズ

――『海竜ラギアクルス化石フィギュア』も、個人的にはかなりツボにはまったグッズですね。

 “恐竜2009-砂漠の奇跡”と『MH3(tri-)』がコラボすることが決まった時に、「これは作るでしょ」って。「恐竜の博覧会に飾るんだから、骨のデザインいりますよね、神戸さん?」って。「いいね!」って来て、「でしょ」っていう。結構この振りはよく使いますね(笑)

――これまでにないタイプの立体物で新鮮でした(笑)。

 『MH』シリーズが好きで恐竜も好きっていう人っていると思うんですよ。そういう人らが『MH』のコーナーを見つけて、こういうのがあったらニヤリとすると思うんですよね。そういう商品を作りたいということで、生まれました。実際にラギアクルスの頭骨の1/1も作ったんで、それを含めて狙ってみました。こういうものってコラボがない限り、逆にできないと思うんですよ。突然出てきても、驚かれてしまう。そうならない自然な流れにすることは気を使っています。

――お菓子やドリンクは、どういう経緯で発売するんですか?

 素材そのものは、「『MH』のドリンク・お菓子をやりたい」と提案を受けるんですね。それで発売予定時期を聞いて、「その時期なら『MH3(tri-)』で、イメージはこういう感じでどうです?」といったやり取りを経て発売していきます。たとえば、昨年バンダイ ライフ事業部から発売された『モンスターハンタードリンク』はフタをモンスターアイコンにしました。今年出た『モンスターハンタークーラードリンク』は、バンダイの担当の方と話し合い、「5周年なのででこれまでのパッケージモンスターでどうでしょう?」という提案をし、このデザインになりました。

――昨年にひき続きということは、やはりユーザーさんからの人気があったからでしょうか?

 ありがたい話ですが、そうなんでしょうね。それもあってまた作らして欲しいというメーカーさんは多いのですが、でもなんでもOKするわけではないんですよ。あまり多すぎると飽きられてしまったら嫌なので。

――“一番くじ”は?

 あれは、まず向こうから提案があって、おもしろそうなので動きました。バンプレストさんはいろいろなグッズを出していることもあって、引き出しが豊富なんですよ。なんでさっきのシルバーアクセサリじゃないですが、「そうきたか、それならこれはどうですか?」という中で、何品も詰めていってこの形になりました。ちなみに尻尾ペンは、僕渾身のアイデアです。

――あれはいいですね。他のグッズの出来もよかったと思います。グラスとか、普通に売ってほしいですからね。

 あれも「こういうデザインできないの?」ということを出したらすぐに戻ってきたんですよ。4種類あるのでカッコイイの2つと、カワイイのを2個にして、『MH3(tri-)』のを1つ入れて、武器も入れてって。かなりキレイにハマりましたね。

『モンスターハンター』グッズ

――「どれも欲しい」とハンターの間でも話題になっていました。こちらの『狩猟ぐらし 狩猟俗称名湯のみ』は、どこかで見たようなデザインですが……。

 お寿司屋さんの湯呑ですね(笑)。これは自分が考えたんですが、ベタといえばベタなグッズなんですよ。見た時に「ニヤリ!」とするようなものってすごくフックになると思うんです。この湯呑だって「この名前をみんなどれだけ見たんだよ!」って思うんですが、手に取ってもらうネタとしてアリかと。

――このリオレウス(『Hi-Blitz 大空の王者 リオレウス』)も、全身に可動ポイントがあってすごいですよね?

『モンスターハンター』グッズ

 存在感がありますよね。……これも苦労しました。造形的に関してもっとこだわりたい部分もあるんですが、可動という売りがあるので、そこをこだわると可動区域が少なくなるので、これで行きました。商品の価値に対して、デザインの面で許容することはありますね。譲れない部分もあるんですが、説明が理にかなっていればそうします。リオレウスヘッドも何種類か出ていますが、毎回少しずつ違いますからね。

→3年目を迎えたMHフェスタの裏側が、次のページで明らかに!?

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■モンスターハンターフェスタ’09 概要
【開催日程】
 東京大会:2009年8月23日 幕張メッセ 5-6ホール(※終了)
 大阪大会:2009年8月30日 インテックス大阪(※終了)
 名古屋大会:2009年9月6日 吹上ホール(※終了)
 福岡大会:2009年10月4日 西日本総合展示場
 札幌大会:2009年10月11日 月寒アルファコートドーム
 決勝大会:2009年10月25日 ラフォーレミュージアム六本木
 ※開催時間はいずれも10:00~17:00を予定
【入場料】無料、フリー入場
 ※決勝大会への出場は、モンハン部からの事前応募によるエントリーが必要。

■“モンハン部”アクセス方法
アドレス http://mcap.jp/g/monhanbu/
※以下のQRコードでアクセス可能
モンハン部

データ

▼『モンスターハンター3(トライ)』
■メーカー:カプコン
■対応機種:Wii
■ジャンル:ACT
■発売日:2009年8月1日
■価格:通常版 7,340円(税込)/クラシックコントローラPROパック 8,490円(税込)/スペシャルパック 33,000円(税込)/LIMITED EDITION 9,940円(税込)
※『モンスターハンター3(トライ) LIMITED EDITION』はイーカプコン限定販売
 
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関連サイト

電撃モンハン組合