2009年10月9日(金)
現在、全国ロードショー中のアニメーション映画『テイルズ オブ ヴェスペリア ~ The First Strike ~(以下、劇場版『TOV』)』。その中で主人公ユーリ・ローウェルを演じる鳥海浩輔さんにインタビューを敢行した。
劇場版『TOV』は、バンダイナムコゲームスのXbox 360/PS3用RPG『テイルズ オブ ヴェスペリア』よりも過去を描いた作品。アニメーション制作は『テイルズ オブ』シリーズに携わってきたプロダクション I.Gが担当している。
映画のストーリーは、ユーリの騎士時代にスポットを当てたものとなっており、先輩騎士など映画オリジナルのキャラクターたちも登場する。では以下に、鳥海さんのコメントを掲載していくので、公開を心待ちにしているファンは、ぜひご覧いただきたい。
▲こちらはお話をうかがった鳥海さんの写真。 |
――アフレコに臨むうえで、ゲームと映画では何か違いはありましたか?
特にはありませんね。ただ、ゲームと違って映画ではセリフをしゃべる時間が決まっていますから、その部分くらいですね。基本的には一緒です。演じ方は変えていません。年齢の違いは、しゃべり方ひとつで出せるものですし。
――劇場版が決定したということを知らされた時の感想は?
実は、割と早い段階から映画化についてはお話をうかがっていたんですよ。ですから「本当にやるんだ」という感覚でしたね。
――早い段階ですか。いつごろにはご存知だったんでしょうか。
ゲームの音声を収録している時には聞いていました。企画として元々あったようですね。(キャストでは)僕しか知らなかったと思いますけど(笑)。
――ゲーム、映画と経て、ユーリとの付き合いも深くなってきたかと思いますが、「ユーリのココが好き」と言えるような部分はどこですか?
そうですね、『必殺仕事人』じゃありませんけど、中村主水的なところはありますよね(笑)。普段はひょうひょうとしていて、決めるところではキチンと決めてくれるところですとか。結局、頼られるとほうっておけないタイプなので、仲間や誰かのために行動する。そういうアツいところが魅力ですね。信念を曲げずに貫き通すところもいいですよね。
――鳥海さん自身は、ユーリの生き方にあこがれたりしますか?
あこがれというか……いいなとは思いますね。男として彼のようにありたいというか……。実際にできるかどうかは別ですけどね(笑)。単純に男から見てもカッコイイ男ですよね。ユーリって。
――ユーリを語るうえで欠かせない存在が親友でありライバルであるフレンだと思うのですが、鳥海さんから見たフレンの印象は?
ゲーム、映画と全体を通して見るか単体として見るかでまた変わってきてしまうのですが、ここでは劇場版での彼の印象についてお話します。ゲームの時よりもユーリ、フレンともに青いところがあるのですが、フレンは思っていたよりも「自分の感情を素直に出すなぁ」という印象でしたね。
映画でのユーリはとても喜怒哀楽が激しいんですが、フレンはそれ以上にいらだちを抱えています。自分の思い通りにならないことや、目指すものに到達できないことなど、いろいろなことが理由なのですが。一方、ユーリはユーリでそんなフレンを受け止めるだけのものがまだありませんから、ケンカばかりしています。それも、本気でなぐりあうような激しいケンカなんですよ。
――『テイルズ オブ』シリーズの人気投票でユーリが1位を獲得しましたが、ここまで人気を集めている理由はどこにあると思いますか?
過去にいなかったタイプの主人公だということが、1位を取った理由なのではと考えています。ユーリは大人で、周囲に成長をうながすキャラクターだということ。それと、自分の正義を曲げない強さを持っていること。そして、先ほども言いましたが、同性の目から見てもカッコイイんですよ、ユーリって。そのあたりが人気につながったんじゃないかな。自分が携わっているキャラクターがこういう評価を得たことは、素直にうれしいですね。
――映画ではヒスカとシャスティルという双子の女騎士がユーリの先輩として登場していますが、ユーリやフレンとはどのように絡んでくるのでしょうか?
実は、ユーリやフレンと彼女たちが直接的に絡んでいるシーンって、あまりないんですよ。一緒にご飯を食べたりはしていますが(笑)。彼女たち絡みだと、フレンがテレてしまうシーンがありますが、そこは注目かもしれません(笑)。ストーリー的な面で話すと、むしろ隊長(ナイレン)の方が印象的ですね。ユーリやフレンにとって、彼の存在は大きな意味を持っています。
▲こちらは、鳥海さんの話にも出てきたフレンがテレてしまうシーン。 |
――なるほど。“大きな意味”というのは?
あの2人がゲームに出ているような大人になっていくにあたって、隊長はとても強い影響を与えています。影の主役と言ってしまってもいいのかもしれません。将来的にユーリは、この隊長に似ていくんじゃないかと思いますね。元々、ある程度は似ているんですけど。隊長にはぜひ注目してもらいたいですね。今回の映画で、僕は一番カッコイイ人物だと思います!
――ちなみにラピードは……。
カワイイですよ! いろんなものをくわえています(笑)。ラピードといえばキセルが印象的ですが、そのキセルが誰のものだったのかなども映画を見ていただければわかります。そういった仕掛けがあって、ゲームと見事につながっていますよ。
――ユーリにとってのフレンのような親友の存在はどう思いますか?
それはもちろん人間ですから、信頼できる人間がそばにいるってことはとてもすばらしいことだと思います。1人といわず、何人もいてほしいですね(笑)。
――続いて、アフレコ現場についてお話をうかがっていきたいと思います。スタッフとはどいうったやり取りをされていたんですか?
音響監督の若林さん(若林和弘さん)とすり合わせをしつつ、演技していった感じですね。ゲームのプロデューザーである樋口さん(樋口義人さん)もいらしてましたね。
――樋口さんもいらしていたんですね。
ええ。収録中は、あまり前に出てくるようなことはありませんが、樋口さんは世界観を監修するような役目ですね。実は僕、樋口さんとは同い年なんですよ。
――そうなんですか!
はい。以前に一緒にお酒を飲んだりしたこともありますが、とても作品愛にあふれるアツい人ですね!
――ユーリというキャラクターを演じて、鳥海さんの中で何か変わった部分はありますか?
それはあまりないですね。やはり、声優として数ある役のうちの1つです。ただ、最初にユーリを演じたのは3年前になるんですが、あのタイミングで出会えてよかったなとは強く思いますね。例えばもっと考え方が若い時にユーリと出会っていたとしたら……こうしてユーリを演じているのは別の人だったかもしれません。最初に「好きに演じてみてください」といわれて演じたものがそのままユーリになったんですが、これは制作陣のイメージしているものと、僕のイメージしているものが合致していたからだと思うんです。めぐりあわせや運もあるのでしょうが、とてもいいタイミングでユーリと出会うことができたと思っています。
――では最後に、劇場版に期待しているファンにメッセージをお願いします!!
皆様が期待してくださっていることは、いろいろなところから僕の耳に入っておりますが、映画の出来はその期待を裏切らないものになっているかと思います。若い2人がどのように成長していくのか、見届けていただければと思います!!
――ありがとうございました!!
(C)2009 NBGI/TOV Project
Original Character Design (C)藤島康介