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2009年10月22日(木)

『グラナド・エスパダ プラス』公式イラストレーター・小林智美さんインタビュー

文:電撃オンライン

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──『GE』から話はそれますが、せっかくの機会なので、小林先生がイラストレーターになったきっかけを教えてください。

 絵を描くことは小さい頃から好きで、小学生ぐらいの時にスタイル画を描いてファッションデザイナーになりたいなんて夢も持っていました。私は漫画世代というか、中学生の時にちょうど『ベルサイユの薔薇』の連載が始まり、よく模写とかしましたよ。その頃はタツノコプロダクションに入りたいと思ってました(笑)。

 その後、高校は美術系だったので1週間に美術の授業が10時間ぐらいあったんです。絵がいっぱい描けそうという理由で選んだんですよ。普通に就職して自分で稼ぐようになってからは、同人誌を作り始めました。その同人誌を見てくださった雑誌の編集者さんから「イラストを描きませんか」とお声がかかりまして。仕事をしながら、小説の挿絵を自宅で描いていました。で、26歳で会社を辞めて2ヵ月海外を放浪して、帰国してからはちょこちょこイラストの仕事をいただいてました。そのうちにどんどん仕事が増えて、いつの間にか本業になりましたね。

──『サガ』の仕事を受けたのもその頃ですか?

 いえ、それから3年ぐらいたった頃です。ちょうど『ドラゴンクエスト』ブームが起きて、ファンタジーが流行したんですよ。それでファンタジー系の挿絵を中心に、時代劇モノに現代モノ、SFまで何でもこなしていたら、スクウェア・エニックスさんから初めてゲームのお仕事がきました。

──そこから『GE』へ繋がるわけですね。

 そうですね、衣装デザインという形でお仕事を頂いたのは『GE』が初です。これで私の小学生の時の夢がかないました(笑)。

──使用されている画材について教えて下さい。

 紙は水彩アルシュというフランスから輸入されているもので、耐久性に優れてます。アナログで描いてる人は結構この紙を使ってるんじゃないですかね。消しゴムをかけても丈夫で、絵の具をいい具合にすーっと吸い込んでくれます。それと水彩、ガッシュ、カラーインクなどを使っています。

──画材の消費は激しいのでしょうか?

 うーん、好きな色は早く無くなりやすいですよ。今、好きな色はピンク、くすんだ赤、ブルーグレーなんかです。画材によって発色が違うので、刺し色に鮮やかな色を入れてメリハリをつけたり、わざと違う画材を使います。同じ画材だけ使うと印象が似ていてまとめやすい代わりに、いまいちおもしろみが無いんです。

──小林さんがお好きな作家さんを教えていただけますか?

 20代の頃は天野喜孝さんがすごい好きでした。少し耽美で、優雅で。その前は『幻魔大戦』の挿絵で有名な、生頼範義(おうらいのりよし)さんの、力強くて斬新なアイディアが大好きでした。最近は誰か他の作家さんを特に意識するというより、好き勝手に自分のペースで仕事をしているので、特に思いつかないですね。

──最近、注目されている作家さんはいらっしゃいますか?

 あまり外で人に出会うチャンスがないので知らないのですが、三国志や武将モノを描いていらっしゃる、正子公也(まさごきみや)さんの作品は美しいですね。中国や韓国では大変評価も高く、映画の衣装デザインも手がけていらっしゃいます。私も戦国武将のイラストを描くのは結構好きなんで、たまに描いてみるんですが、すごく疲れます。

『kobayashi』

──さて、ここからはプライベートなことをお伺いしたいと思います。先ほど26歳で会社を辞めて旅に出たということでしたが、どの国へどれぐらいの期間、旅に出たんですか?

 私は26歳の時に勤めていた会社を辞めて、2ヵ月ほどフラフラ歩いていたんです。当時ロンドンから入って時計回りに旅してパリから帰るのが定番だったので、8カ国ぐらい巡りました。

 欲張りだったので文化も見たいし、山も登りたいという感じで、当時はそういう名称はありませんでしたが、今で言う世界遺産を見て回りました。そこで初めて知った画家もいますし、古い歴史や文化に触れるのが楽しかったです。

──各地を転々としながら美味しい物にも出会いましたか?

 バックパッカーだったので高級なものは食べませんでしたが、ユースホステルで色んな国の同じような旅行者に出会って、そこで500円ぐらいで夕飯食べたりスーパーでヨーグルト買い込んだりしてました。 

 今と比べると航空運賃もかなり高かったですから、いかに安く上げるか工夫してました。ユースホステルの受付は午後4時半ぐらいから始まるんですが、オープン前から並んで、ベッドの空きがなくなったらおしまい。別のホテルを探すという。シャワーも共同だし一部屋に6つぐらいべッドがあって、シーツが有料なので寝袋も持参してました。

 同じ部屋で会った日本人と、また違う国のユースホステルで会ったりするんですよ(笑)。外国人に私の名前を漢字で書いて欲しいと頼まれたこともありました。

──かなり行き当たりバッタリだったんですね。

 若かったですから(笑)。宿泊先を予約せずに旅立つのは普通でしたよ。最近は事前にネットで予約できますけど。

──最近、旅行へ行かれましたか?

 去年1人でパリに行ってきました。それまでは、行きは1人ですけど目的地のホテルで合流することはあったので、完全に1人旅行は初めてでしたね。意外に大丈夫でした。

──1人旅行だと食事が寂しくないですか?

 そうなんですよ。しかも去年はユーロがとても強くて、ランチは外で食べるけれど、夕飯はその辺でパンを買ってくるという。スーパーに日本人がいっぱいいましたよ。パリに行ったのになぜかスターバックスに入るという。1ユーロが160円ぐらいだったのかな。

 あとは海外旅行の楽しみとしては、本屋さん巡りがありますね。日本では高価だったり手に入りにくい、ファッションの本や写真集を探してパリの町をブラブラしました。

──まだ訪れたことがない国で、一度は行っておきたい国はありますか?

 中近東にぜひ行きたいのですが、じつは羊肉が苦手なもので……。

──なるほど。それでは最後に『GE』のプレイヤーやファンへメッセージをお願いします。

 私のイラストは私だけのものではなく、受け取ってくれた皆さんの物でもあります。私の絵を道しるべにしつつ、ゲームを楽しんでくれれば嬉しいです。

『kobayashi』 『kobayashi』
▲10月26日発売の「グラナド・エスパダ プラス公式ビジュアルクロニクル」には、小林智美さんのサイン入りサウンドトラックやポスターが抽選で当たる応募券が付いている。小林智美さんのファンは要チェック!


『kobayashi』

(C)2003-2009 IMC Games Co., Ltd. Published by Hanbit Ubiquitous Entertainment Inc.
ILLUSTRATION(C)TOMOMI KOBYASHI

データ

▼『グラナド・エスパダ プラス 公式ビジュアルクロニクル』
■発売日:2009年10月26日予定
■価格:2,940円(税込)
■ぺージ数:144
 
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