2010年4月28日(水)
アトラスから4月22日に発売されたPSP用ソフト『東京鬼祓師 鴉乃杜學園奇譚(とうきょうものはらし からすのもりがくえんきたん)』の、開発者インタビュー第3回を掲載する。
『東京鬼祓師 鴉乃杜學園奇譚』は、『九龍妖魔學園紀』や『ペルソナ』シリーズなど数多くの學園ジュブナイルを生み出してきたアトラスが開発する、完全新作のAVG+RPG。鴉乃杜學園を舞台に、災厄を呼ぶといわれる“呪言花札”をめぐる物語が紡がれる。
『電撃PlayStation』(アスキー・メディアワークス刊)で紹介した本作の開発者インタビューの完全版を、電撃オンラインで全6回にわたって掲載。お話を伺ったのは、ディレクター・遠山博一氏、シナリオ担当・川嵜暁氏、キャラクターデザイン担当・齋藤晋氏の3名。第3回となる今回は“システム編”をお届けする。(インタビュー中は敬称略)
▲ディレクター・遠山博一氏 |
――こだわりの世界設定でしたが、システム面にもそのこだわりが生きていますね。
遠山:そうですね。せっかく世界観にこだわったのだから、それを損なわないようにシステムを組み立てました。たとえば、本作では携帯電話でいろいろな情報を確認できますが、これも携帯電話という皆さんが普通に持っているツールを通してプレイヤーに必要な情報を伝えることで、世界観を壊さないようにしています。
――戦闘システムでも、いろいろと新しい要素が見られますね。
遠山:戦闘では、爽快感を一番に重視して作りました。“封札システム”をうまく使えば、ザコ戦はすべて1ターンで勝利することができます。基本的にうまく進むという方向性でバランスを調整しているので、慣れてくるとは戦闘が簡単に感じられるかもしれませんが、それを自分がうまくなったと実感できるようなシステムになっています。このバランス調整には苦労しまして、後半に強力な花札が手に入るとボスでさえ1ターンで倒せてしまって、「せめて、ボスは3ターンは戦わせたい」という話し合いがもたれたりしました。そのあたりの調整は大変だったのですが、おかげですごく強い敵に見えても、花札をうまく組み合わせて戦えば楽になるほどよいバランスになったと思います。
――『九龍妖魔學園紀』では、ひたすら“寿司”を食べて戦闘していた記憶があるのですが(笑)。今回も、“調合”でいろいろなアイテムが作れるようですね?
遠山:そうですね。種類もたくさんあるのですが、今回はある商品とのコラボも実現していまして、そのあたりも楽しんでもらえるとうれしいですね。ただ、APを回復させながら戦うというのは、僕の中でスマートな戦い方ではないので、そこまでしなくとも十分に戦える内容にはなっています。ただ、戦闘が苦手な人への救済措置という形で、さまざまなアイテムが用意されているといった感じですね。じつは当初仲間もユニットとして動かせる案もあったんですよ。ただ、本作では主人公=プレイヤーという部分を強く押したかったので、仲間を動かせると主人公の外見が見えなくてはいけないということで、現在の主観視点に落ち着きました。
――では、本作のもうひとつの柱であるAVGパートで苦労された点などございますか?
川嵜:やはり“感情入力システム”ですね。1つの質問に対し9つの感情、つまり9つの反応を作るというのは非常に大変な作業でした。当然フルボイス化の案もあったのですが……。
遠山:検討を重ねた結果、一朝一夕にはいかないなと。たとえば同じセリフでも、“喜”の後に挿入される時と“悲”の後に挿入されるセリフでは、異なる感情になりますよね。そうなると、はたして各選択肢に対してどこまでボイスを入れればうまくなじむのか……今後の大きな課題ですね。
川嵜:感情入力システムは、非常に秀逸なシステムである思っています。それをやめてまでフルボイスするのは違うかなということで、現在の仕様になったという経緯もあります。ただ、AVGパートだけでなく、ダンジョンでもいろいろとボイスは入っていますので、十分楽しんでいただけるのではないかと思います。
遠山:ダンジョンでキャラにたくさんしゃべらせたのには意味がありまして、仲間と一緒に探索しているんだという一体感を出したかったんです。他にも、一緒にいる仲間で主人公の能力値に補正がかかるのもその1つですね。
川嵜:弥紀を連れていると、運動系を強化してもぜんぜんジャンプ距離が伸びなかったり……。
遠山:逆に燈治を連れていると頭脳系が……とかね(笑)。でもそういう点が仲間とのつながりを感じられる要素だと思うんです。自分の好きなキャラを連れていって、ダンジョン探索を自分なりに盛り上げてほしいですね。
→インタビュー第4回【キャラクター編 壱】は5月6日に掲載します。
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