2010年5月20日(木)
――最後に、呪言花札と深いかかわりを持つ、白と神使です。まず白を。
遠山:白誕生までは、結構時間かかりましたよね。
齋藤:そうですね。それだけに思い入れの強いキャラになりました。最初白い鴉という設定を聞いて、この髪型をデザインしたのですが、あとでこんな衣装を着せたいって言われて「この髪型で大丈夫かな」と不安になったり……。
川嵜:実際着せてみたら、しっくりきてよかったです。
齋藤:あとは顔の雰囲気が大人っぽいのか、幼いのかでうろうろしていた時期もありましたね。
遠山:キャラ的にはお子様なので、今の幼いデザインでよかったと思っています。
齋藤:その他、白には神道的なモチーフも入っています。髪ではない白くて長いものは、注連縄などに使われる紙垂(しで)で、後頭部には榊の枝を髪留めとして刺していたりもします。
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――次に神使の1人、鍵です。
遠山:鍵という名前は、彼が持っているキセルからきているんですよね。
川嵜:そうです。実際の神社にもある狐の像は、このイラストにあるような鍵をくわえていることが多いんです。
遠山:その鍵は宝物庫の鍵で、狐像は宝物庫の守護者だという説もあるんです。
齋藤:鴉羽神社の神使ですので、着物には鴉の羽をモチーフとして入れてあります。色合いも像をイメージしたものになっていますね。
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――最後に新米神使の鈴です。
川嵜:鈴は狛犬の化身です。鍵もそうなのですが、鈴も名前の元となったアイテムがデザインに含まれています。
遠山:普通、鈴っていったら猫ですけどね(笑)。
齋藤:デザインではまったく悩まなかったキャラです。設定を聞いてすぐこの姿が浮かんできました。
川嵜:鈴は外見は確かに幼いのですが、人間ではないので見た目どおりの年齢というわけではないんです。
遠山:神使としてみれば幼いということですね。鍵なんかは、その何倍も長く存在していますから。
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――さまざまなキャラクターのお話を聞かせていただきましたが、お三方のお気に入りのキャラは誰ですか?
遠山:僕は“日向輪”ですね。唯一声優さんを自分で決めさせてもらったキャラなんです。水原薫さんの声と輪のイメージがピッタリなんで、ぜひじっくり聞いてほしいですね。
川嵜:まだ公表されていないので言えないのですが、中盤以降に主人公の前に現れる謎の少女と言いますか……ぜひ楽しみにしていてください。
齋藤:私は白ですね。一番最初にデザインしたので、長い付き合いになったというのもありますが、主人公を導いたり、逆に導かれたりと、私の中では本作のヒロインですね。
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――世界観、システム、キャラクターと多くの魅力がつまった本作ですが、作品のテーマはどのようなものなのでしょうか?
川嵜:愛、友情、未来……いろいろとあるにはあるのですが、ジュブナイルらしく“冒険”そして“人との絆”といえばしっくりくるでしょうか。直球の物語を楽しんでいただければと思います。
――では、ジュブナイルというジャンルをゲームで表現する利点とはなんでしょう?
遠山:なんといっても、主人公がプレイヤーであるという構図を作れることでしょうね。小説や映画、ドラマなどにはない感情移入を生み出せるのは大きいと思いますよ。
川嵜:“感情入力システム”によって、その要素を拡大できているものと思います。返した反応はプレイヤーだけのものですからね。
――では、最後に読者へメッセージをお願いします。
川嵜:“ジュブナイル”という言葉には、なんともいえないノスタルジックな響きがあると個人的には常々思っています。同じような感覚を覚える方に、もう一度少年少女の時代を楽しんでもらえたらうれしいです。もちろん、今現在少年少女な方々もぜひ遊んでみてください。
齋藤:またこうしたジュブナイル作品にかかわれるとは思っていなかったので、感謝しつつキャラクターのデザインをさせていただきました。少しでも『九龍』ファンの皆さんに恩返しできればと思っています。楽しんでもらえるとうれしいですね。
遠山:本作を制作する上で第1に考えたのが“『九龍』が好きで『九龍』を楽しんでくださったユーザーに恩返しをしたい”ということでした。現状の『東京鬼祓師 鴉乃杜學園奇譚』以外に、もっと受け口の広いゲームの方向性もあったと思うのですが、『九龍』が好きだった人が一番楽しめる形で制作しました。もちろん本作は『九龍』の続編というわけではないので、『九龍妖魔學園紀』をプレイされていない方にもアトラスオリジナルのジュブナイル作品として楽しんでいただければと思います。
(C)ATLUS CO.,LTD. 2009